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「低反発」で高校野球は変わりますか?「もう一度原点に」「何も変わらない」名将たちの新時代の攻撃とは

[ 2024年2月21日 07:30 ]

阪神甲子園球場
Photo By スポニチ

高校野球では今年度から低反発となる新基準の金属バット使用が義務づけられる。平均球速の上昇などに伴って打球速度も上昇傾向にあり、投手への打球直撃などの事故を防ぐことを目的に導入される。今春選抜では、不慣れなバットへの対応が勝敗の鍵を握るだろう。そうであるならば、「飛ばないバット」によって目指す野球も変わるのだろうか。名将たちに聞いてみた。

創志学園(岡山)・門馬敬治監督の信条は「アグレッシブ・ベースボール」だ。超積極的野球を掲げる以上、飛ばないバットがチームづくりに影響する可能性があるのではないか。しかし、同監督は首を振る。

「目指す野球は何も変わらないです。バットが変わるからと言って、野球は変わらない。そのバットにどう対応するかが大事ですから。高校生は球を芯で捉えられる技術が低く、甘い球を見逃したり、ファウルになったりする。バットが変わっても、芯に当てられるように練習すること自体は変わらない。基本が変わらないから野球も変わらない。(新基準のバットを)打てなかったときの言い訳にするのは嫌なのでね」

広陵(広島)は、22年の高校日本代表で4番を務めた内海優太(現明大)や高校通算62本塁打の真鍋慧ら毎年のように強打者を輩出してきた。ただし、中井哲之監督は新バットを通して、これまで同様に打力だけには頼らない堅実な野球の重要性を再確認している。

「打球が飛ばないのであれば、投手が有利になるのか、足を絡めた方がいいのか、守備を固めた方がいいのかな...とか。もう一度野球の基本、原点に立ち返るということ。投手はストライク先行、打者はセンター返し。スピード感のある野球、基本に忠実な守備をしたいと解釈しています。背伸びをしても仕方ないので。この子たちにできる野球をしたいと思いますよね。やるべきことをやって、あとは選手に任せたい」

大阪桐蔭は、高校通算28本塁打の4番・ラマルらを中心に今春選抜随一の打力を誇る。それでも西谷浩一監督は、飛ばないバットの影響は避けられないと明かす。

「なかなか飛ばないですし、難しいけど、どこの学校も同じなので。まだ答えは出ていませんが、何とか探りながらやっていきたい。飛ばなくなっているのは事実。安打数も減っている。バットが細くなり、難しくなっているが、しっかりと捉えるという当たり前のことをやる。打てないので、より守ること、より走ることが重要になると思います」

近江(滋賀)の多賀章仁監督は「打球もよう飛んでいるなと思ったり、前とあまり変わらんなとスタッフと話しているんですけど」と笑い、報徳学園(兵庫)の大角健二監督は「打撃は今までやってきたことの精度を上げる。変わるとすれば守備位置や配球ぐらいなのかな」と思い描く。

選抜優勝校の攻撃が、今後の高校野球のトレンドになるのだろうか。各校がどのようなチームづくりを進めて選抜に臨むのか、名将たちも気になって仕方ないに違いない。(記者コラム・河合 洋介)

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