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5 月11日(土) 、 春季特別展関連講演会を行いました。 講師は山﨑 健氏(奈良文化財研究所 環境考古学研究室長)で、演題は「 古代の都における人と動物の多様な関係」です。 13時30分より15時まで、考古博物館講堂におきましてご講演いただきました。 春季特別展関連の2回目の講演会です。 (残す関連講演会は、6/1・6/29の2回) 「環境考古学の仕事は、遺跡から見つかった動物の骨から歴史を研究すること」とお話をいただきました。 古代の人と動物の関係を「食べる」「運ばせる」「祈る」「使う」「あさる」「贈る」という観点からわかりやすく説明していただきました。 遺跡からみつかった、わずか2cmの骨からでも多くのことがわかるそうで、驚きです。 小さな出土品も見逃さない、慎重な発掘調査の息づかいが聞こえてきそうです。 今回も参加者から多くの質問がありました。 講演会終了後、15時10分からは、特別展示室で実際の展示物を前に解説もしていただきました。 おつかれのところ、ありがとうございます。 また、 山﨑 先生が持参された馬の骨の標本も紹介していただき、 さらに詳しく解説していただきました。 今回も内容の濃い有意義な時間を過ごすことができ、あっという間の90分でした。 山﨑 先生におかれましては、ご多用の中多くの標本も持参していただき、 ありがとうございました。(小林)
5月4日(土) 、 春季特別展関連講演会として 講師に 忍澤成視氏(東京大学大気海洋研究所 特任研究員)をお招きし、「 縄文のまつりと動物たち -土製品や装身具素材などから見た縄文の精神世界-」と題して、13時30分より15時まで考古博物館講堂におきましてご講演をいただきました。 春季特別展関連の最初の講演会です。 (関連講演会は、5/11・6/1・6/29と合計4回実施予定) 地磁気の逆転、77万年前の地層のお話(チバニヤン)もありました。 満員の会場は熱気に包まれていました。 時にユーモアも交えながら丁寧に説明していただきました。 縄文時代の動物形土製品は、海・山などに棲むあらゆる種類の動物たちがみられ、抽象的なものが多く、種類を判別できないものが多いというお話でした。 少し時間を延長していただき、質疑応答の時間もある有意義な講演会となりました。 今日の講師の忍澤 成視(おしざわ なるみ)先生の著書も紹介していただきました。 講演会終了後、15時30分からは、特別展示室で実際の展示物を鑑賞しながら、 忍澤先生に さらに詳しく解説していただきました。 貝塚は、ゴミ捨て場として紹介されることもあるが、再生を願って埋められた神聖な場所と考えることもできる。考古学に答えはなく、詳細に記録し後生に伝え、長年にわたって正解に近づけていくことが必要。縄文時代に使われていた広場が、現在は公園として保護・活用している等々。西日本では珍しい、いろいろな興味深い話を聴かせていただきました。ありがとうございました。 考古博物館では、最新の考古学の調査結果をわかりやすく解説する講演会やシンポジウムなどを開催しています。予約制で無料となっています。興味関心のある方は、是非考古博物館にお越しください。よろしくお願いいたします。(小林)
令和6年度の講座型の古代体験がはじまりました。 本日の体験は「縄文のブレスレット」の作製で春季特別展「動物と考古学」と関連した講座となっています。 最初に講師の忍澤成視(東京大学大気海洋研究所 特任研究員)さんから解説がありました。 今日の作業を簡単に説明すると、①貝殻に穴を開ける、②穴を広げて大きくする、 ③穴の内側を削って腕に通しても痛くないようにする、この3工程です。 「なんだ、簡単そうだな」と思った人、大きな間違いです! 貝殻って実は壊れやすいものなんです。作業はていねいに慎重に進めていく必要があります。 しかも、作業も縄文時代の再現ですから道具は石や鹿の角を使います。現代の金槌やキリ、ヤスリでも硬い貝殻を加工するのは難しいのですが、無事に完成させることができるかな。 今日使う貝殻は「ベンケイガイ」です。水深3~20mの海の砂地や砂泥地に生息している二枚貝で色は茶褐色、大きさは7~8センチくらいになります。 深いところに生息しているため、潮干狩りのように採取するのではなく、荒天時に浜に打ち上げられたものを採っていたようです。 縄文人は貝殻の中心部分を削って作った腕飾り ( ブレスレット:考古学では「貝輪」と呼んでいます ) を女性を象徴するアクセサリーとして使用していました。 特にベンケイガイは貝殻のサイズ、かたち、重さ、硬さ、数量などが貝輪として必要な要素を全て備えていたので、縄文時代後期以降の遺跡からは全国各地で発見されており「大流行」していたようです。 春の特別展「動物と考古学」でも貝輪を展示していますので、ぜひご覧ください。 西広貝塚(千葉県市原市)縄文時代 市原市教育委員会蔵 貝輪のほか垂飾(ペンダントとしてぶら下げる飾り)、髪針(ヘアピン)なども展示しています。 小丸山古墳群(姫路市)古墳時代 姫路市教育委員会蔵 兵庫県内でも発掘されています。巻貝製の腕輪で、埋葬された人の腕に付けられたまま発見されました。 お話は以上です。 お待たせしました。それでは、縄文人の気持ちになって作業開始です! 今日は天気も快晴ということで作業場は屋外に移して、気持ちよく製作に入りました。 まずは、最初に石で貝殻に穴を開けるところから。穴を開ける場所が重要です。 緊張しましたが、力加減もバッチリ。...