特別展が終わって、次の企画展「壱岐の古代文化ー海をめぐる生業と交流」に 向けた準備を進めている考古博物館ですが、メインホールでは7月1日から 新しい展示が登場しました。 考古博物館に収蔵されている何万点の資料の中から、 2ヶ月の期間限定で選りすぐりの”逸品”を展示しています。 今回登場したのは、尼崎市の東武庫遺跡で出土した壺です。 弥生時代には棺の周りに方形や円形の溝で区切った「周溝墓」が 数多くみられ、溝の中からは葬られた人にお供えされた土器など が出土します。この壷は、今から約2400年前の弥生時代の前期に 造られた周溝墓の溝から、見つかりました。 この土器は、日本が弥生時代だったころ朝鮮半島で使われていた 「無文土器」の特徴を供えています。外面にヘラや櫛で文様描く 弥生土器とは異なり、文様のない素朴な外面をしています。 東武庫遺跡で見つかったこの壺は、形も無文土器と一致します。 遠く海をわたって朝鮮半島からもたらされたのか? 日本で無文土器のつくりかたによってつくられたものか? はわかりませんが、土器を供えられた人が朝鮮半島とつながり を持っていたことを示す遺物です。 * * * 意外なほど素朴な佇まいですが、いまから約2400年前の 「海を越えた交流」をうかがわせる東武庫遺跡の無文土器。 遥かな時間と空間の広がりを感じるこの遺物は、8月31日まで メインホールで展示しています。ぜひ、ご覧ください。
投稿
6月 30, 2019の投稿を表示しています
午前中まで降っていた雨があがって、 梅雨の晴れ間の広がった6月30日(日)、 ひょうご考古楽倶楽部による夏恒例の体験イベント「ひとがた流し」が開催されました。 むかしから夏に向かうこの時期には「名越の祓(なごしのはらえ)」といって、 心身にたまった厄を祓い、残り半年間の無病息災を願う行事が行われてきました。 神話に登場する儀式に由来するこの行事、現在でも各地で行われています。 毎年この時期に古代の祓をもとにした「ひとがた流し」を実施しています。 まず、「ひとがた」とはどういうものか、創作劇をとおして紹介します。 脚本・出演は、もちろんひょうご考古楽倶楽部の皆さん。 人前でお話することは慣れている皆さんですが、舞台の上で少し緊張気味です。 劇の主役である「天皇」と「ヒメミコ」役は、 ご両親と一緒に明石市から参加してくださった 林ゆうと君と、こうめちゃんの兄妹に演じていただきました。 素晴らしい演技に、会場から大きな拍手がおくられました。 劇が終わったあとは、いよいよ「ひとがた」づくり。 木で作られた札に自分の顔を描き(病気をしている親しい人でもよいとのこと)、 ふーっと息を吹きかけて厄をひとがたに移し、川に流します。 自分のひとがたが出来たら、 手を洗い清め、お祓いをうけて、いざ、小川へ! 雨に恵まれ水かさが増したおかげで、勢いよく流れます。 「みんなで一緒に流すよ、せーの!」 本日ご参加くださった皆さん、そして、このブログをごらんの皆さんが 残りの半年も元気に過ごせますように。