9月30日に開会しました秋季特別展「駅家発掘!-播磨から見えた古代日本の交通史-」に関連した講演会が開催されました。 「播磨の駅家を語る」をテーマとして全4回の実施を計画しています。 今回はその第1回として、たつの市立埋蔵文化財センターから岸本道昭館長をお招きして「古代山陽道 駅路と駅家」のタイトルのもとご講演いただきました。 定数を遙かに上回る応募があったようで、会場も熱気ムンムンでした。 最初に「駅家」についての基礎知識として「山陽道とは」「駅家とは」そして「播磨国の駅路と駅家」についての説明がありました。 播磨国には9つの駅家があり、その大きさはだいたい80m四方(一部は除く)、また駅家には近くにお寺が隣接しているといった一定の法則があるとのことでした。 古代道路と播磨国駅家の様子を写真を交えてわかりやすく紹介していただきました。 ポスターやチラシにも使用されている「鬼瓦」の写真です。 瓦は当時、官の施設(公立)と私の施設(私立)のものでは、全く異なる文様の瓦が使用されていました。造立者によって瓦の生産・流通のシステムが異なっていたようです。 日本で最初に駅家 と確定された「布勢 駅家」と 小犬丸遺跡(たつの市)周辺の様子です。 播磨地域は駅家の研究では先進的な成果を上げており、各地の駅家遺構の調査モデルになっています。これは自慢できますね。 今回の講演では、駅家に関する概観を説明いただきましたが、始まったばかりの特別展や今後3回実施される講演会の導入としても、とてもわかりやすい素晴らしい講演でした。 講演会の終了後、特別展示室においてミニ解説もありました。 秋季特別展の主担当の中川学芸員からの解説の様子です。 講師の岸本館長にはいろいろな質問が投げかけられていました。皆さん興味が尽きないようです。 連続講演会は始まったばかり。2回目以降もぜひご期待ください!
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明日30日(土)から開会する秋季特別展「駅家発掘!-播磨から見えた古代日本の交通史-」の内覧会を実施しました。 会場の様子です。来賓をはじめたくさんの方々にお越しいただきました。 15時開会。 はじめに和田館長からの挨拶です。 「当館で駅家をテーマとして取り上げるのは2回目ですが、駅 家は当時の人の流れの中心でとても重要なインフラでした。今回は播磨地域を中心に担当学芸員の熱い思いもあり、欲張った展示となっています。」 つづいて、来賓を代表して佐伯播磨町長からのご挨拶がありました。 何と、今日は佐伯町長の誕生日ということで、とても元気なお言葉をいただきました。「今後とも博物館と播磨町がコラボして、いろいろな事業を行っていきたい。」 来賓紹介 佐伯播磨町長、兵庫県まちづくり技術センターの竹森常務理事のご紹介 後援・協力企業や祝電披露のあと、今回の特別展を担当しました館職員の紹介がありました。 紹介に続いて主担当の中川学芸員から本展覧会の概要、見所についての説明がありました。 中川学芸員は当館開館時に職員として勤めており、以降の16年間の成果を披露したいということで、館長の挨拶どおり熱い思いを語っていただきました。 特別展示室に移動して、実際に展示品を目にしながらの説明がありました。 「 駅家は今でいうサービスエリアのようなものですが、これは誰でも利用できるものではなく、使者であることを保証する駅鈴(えきれい)を備えた特別な人しか利用できませんでした・・・。」 詳細、ていねいな説明が続きました。 手前に写っているのが、ポスターやチラシのモデルとなっている「鬼瓦(辻ヶ内遺跡)」です。 明日から開会です。 「駅家」は当館が開館以来、調査を継続している重要なテーマです。 学芸員の皆さんも前日ギリギリまで準備をしていました。 みなさまのご来館を、こころよりお待ちしております。
このまま夏が終わらないのではないか、と思っていた暑さもようやく一息付けるようになりました。 ふと、公園内を見回してみると彼岸花が・・・ 秋ですね。 と、感傷に浸る間もなく、秋の特別展です! 秋季特別展「駅家発掘!-播磨から見えた古代日本の交通史-」、いよいよ開幕直前となりました。 当館は開館 ( 平成 19 年 ) 以来、播磨における駅家(うまや)の遺跡を継続的に調査しています。 学芸員の皆さんの準備も佳境に入っています。 今回は、出土品を並べる作業(列品と言います)やその説明に使うパネル設置などの準備についてレポートします。 特別展示室の準備は1週間前から始まっていました。 解説ボードの設置作業、9月24日の様子。 まず、展示する資料を、一時保管庫から特別展示室に集めます。 とても、丁寧に梱包されています。もちろん、これはほんの一部ですよ 。 慎重に荷ほどきを終え、展示ケースに並べていきます。 「順番はどうしようかな? とりあえず、並べてみてから考えよっと。」 壊れやすい出土品はクッション性の高い敷物の上にそろ~り並べていきます。 大型ポスターも特別展示室入口に掲示OK です。 受付横の展示室入口のバナー(上部) 今日のところはこのぐらいで、後は、お・た・の・し・ み。 完成した様子はぜひ特別展の会場でご確認ください。 館外の掲示も秋の特別展バージョンに衣替え。皆様のお出迎えの準備は万全です。 9月30日(土)から、いよいよ開会。 お待ちしています!
今回の講演会は「城館」について南北朝期に焦点をあてた研究結果や文献に見られる「役所」と呼ばれるものの役割とその影響などについての講演でした。 講演を行う永惠さんは兵庫県教育委員会文化財課での勤務や宮城県への震災復興支援のための派遣など、経験豊富な当館の学芸員です。特に城館研究を専門としており、また”GIS(地理情報システム)”という位置情報データの管理や分析を行うシステムにも精通していることから 、 今回の講演にはとても力が入っていました。 はじめに、城館研究での考え方について説明がありました。 「13~14世紀の城館」や「南北朝期の戦争地域」について地理情報を基にしながら、城館遺跡の事例や文献史料にみられる記載を踏まえながら、具体的なイメージがつかみやすい解説でした。 宮城県での勤務の時に、実際に平地の城の実地調査に関われたことが、以降の仕事をしていく上で、大変役立ったそうです。 文献に記された「役所」の分布図や「太平記」を引用した史料などを活用されています。 太平記は軍記物のため、内容には誇張した表現が含まれているが、そういった部分を取除くと、とても詳しい史料として有用であるとのことでした。 講演会終了後、展示室でミニ解説を実施していただきました。 講師への質問もたくさんあり、それらの回答も含めて、皆さん熱心に解説に耳を傾けておられました。 ※9月30日から開会する秋季特別展においても、テーマである「駅家」に関連した講演会が 4回も開催されます。シンポジウムもあります。 第1・2回の申込は既に終了してしまいましたが、3回以降は、まだ間に合いますので、ご興味のある方はどうぞお申込みください。 10/21 播磨の駅家を語る③「高田駅家と大市駅家を語る」 申込み10月 3日まで 10/28 シンポジウム「古代の山陽道の播磨の駅家を探る!」 申込み10月11日まで 11/25 播磨の駅家を語る④「出土遺物からみた山陽道の駅家」 申込み11月 7日まで
メインホール展示「駅家で見つかった謎の記号」 メインホール展示の展示品を入れ替えました。 9月30日(土)から開会する秋季特別展「駅家発掘!-播磨から見えた古代日本の交通史-」に関連し、 播磨国の駅家(うまや)の一つ、布勢駅家(たつの市:小犬丸遺跡)出土の土器を展示しています。 布勢駅家(ふせのうまや)は約1300年前の奈良時代の遺跡です。 「駅家(うまや)」は文字どおり古代の駅としての役割を担う施設で、馬を乗り継ぐ場所として利用されており、都や外国からの使者が行き来していました。 そこでは、疲れた馬の交換などを行うとともに、さらに食事や宿泊施設としての利用もされていました。 展示している土器を見てみると、不思議な記号が描かれています。 今回メインホールに展示した食器の蓋やお椀には矢印「↑」のような記号が描かれていました。また「=」や一筆書きの文様のような記号が描かれた食器もあります。 ただ、この記号は何かの目印や、情報を伝えるために描いたと思われますが、残念ながら、何を表しているのかは、今のところ解明はできていません。 このブログを御覧の皆さんはどのように推理されるでしょうか? (「↑」記号が書かれたふた) (「↑」記号が書かれた身) (「=」と書かれた蓋) (展示されている遺物の図面)
ひょうご考古楽倶楽部の古代体験~製塩土器で「塩」をつくってみよう~ 6月から9月の間に、当館ボランティアグループ“ひょうご考古楽倶楽部”の皆さんによる古代体験講座「製塩土器で「塩」をつくってみよう」が実施されました。 3ヶ月を超える長期プロジェクトとなりましたが、ついに塩をつくることができましたので、ご報告させていただきます。 「人間の生命にどうしても必要な塩を、古代人はどのようにして作っていたのか?」をテーマに、今後実施予定の古代体験講座の予行演習を兼ねて行われました。 手順としては、3回に分けて、 ①遺跡から発掘された製塩土器の形状を模し、粘土から土器を成形する。 ②成形した土器を野焼きという方法で焼成する。 ③焼成された土器を使用して、海水から塩を取り出す。 以下、その工程を振り返ってみます。 ①6月11日(日)…製塩土器づくり 発掘調査報告書の図面をお手本に、発掘された製塩土器の形状や寸法に注意しながら、粘土で土器をつくりました。 ②7月16日(日)…野焼き 真夏のあつ~い日差しのなか、 1ケ月間乾燥させた土器を、野焼きで焼成しました。 ③9月16日(土)…塩づくり 土器に海水を入れて、煮詰めて塩をつくりました。 つくった塩は、お客さまにも試食していただきました。 (お客さま用には安全のため、市販の"かん水”を使用しました。) 今後も、いろいろな試行錯誤を重ね、このように楽しみながら、より魅力的な「古代体験」ができる講座を追求していきたいと思います。 お楽しみに!
秋といえば「食欲の秋」、「スポーツの秋」など、いろいろあるけれども、一番は何といっても「特別展の秋」だね。 今年もあります特別展!テーマは「駅家発掘!-播磨から見えた古代日本の交通史-」 駅家は「うまや」と読むんだよ。 何と1,300年も前から日本では道路が整備されていたんだ。道路と言っても車が通る道じゃなくて、その頃は馬が重要な乗り物だったんだ。 都のあった奈良と九州の大宰府のあいだには、山陽道という道があって、その長い道の途中に「駅家」という、馬を乗り換え、乗馬している人が休憩する場所があったんだ。 今なら「道の駅」みたいな感じかな? それから、勉強したんだけれど、「だざいふ」という言葉には、二通りの漢字の書き方があって、古代の役所や史跡を表すときは「大宰府」、現代の市名や神社の天満宮などは「太宰府」と使い分けているんだって。 考古博物館では開館の時からずっと古代の山陽道を調べてきているので、貴重な資料や発見がいっぱい展示されるよ。 秋季特別展:令和5年9月30日(土)~令和5年12月3日(日) あと、2週間で開会。 お楽しみに!