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考古博物館では、令和2年の第1回目になる展覧会 「ひょうごの遺跡2020-調査研究速報-」が開催中。 *   *   * サブタイトルにあるとおり、兵庫県内の各地で行われた 発掘調査や、出土遺物の整理作業を通じて明らかになった、 「ひょうごの遺跡」について紹介しています。 そのなかで姫路市の才村遺跡は、 以前レポート した、 800年ほど前の平安時代の様子について、展示しています。 実はその後も発掘調査は続いて、平安時代の地面の下から、 弥生時代終わりから古墳時代の初めの 多くの竪穴住居が重なり合って出てきました。 自然素材の竪穴住居は、時間とともに傷んで建て替えが必要です。 近い場所に重なり合って、住居の跡が見つかるのは、 住みやすい土地だった証拠でもあります。 今から1500~2000年前は大勢の人が暮らしていたとわかります。 四角い溝で囲まれた範囲が、一軒の家の床面です。 この上に柱が立って、屋根が乗っていたと考えられます。 *   *   * 11月23日には、(公財)兵庫県まちづくり技術センターの 「体験発掘」の催しが開催されました。 遺跡の発掘調査現場で、作業の様子をまじかに見たり、 実際の発掘が体験できる催しです。 今回は溝を発掘して、中に埋まった遺物を見つけ出す作業を 体験していただきました。 掘り出した直後の土器は、あちこち土がついているので、 ていねいに水洗いして取り出す作業にもチャレンジ。 発掘の様子を体感できる催しとして、毎回好評をいただきます。 来年度は、お近くで行われるかもしれません。 募集は考古博物館のホームページでもお知らせしますので、 興味ある方は、注目していただければと思います。
毎年1月26日は、文化財防火デーです。 当館では、それに先立って、メンテナンス休館中にスタッフで消防訓練を行いました。 ノートルダム寺院や首里城跡で大きな火災があり、防火の対策が強く求められています。 心肺蘇生法の講習も行い、お客様と文化財の安全対する意識を高めました。 加古川東消防署の皆さんにお越しいただき、訓練の指導をしていただきました。 ありがとうございました。 午後1時半に火災が発生、火元は事務倉庫での設定で訓練スタート。 館内にとどまったままのお客様がいないか急ぎ確認します。 「アッ、展示室でけがをして倒れている人を発見!」 すぐに応急手当をする者、車いすで運んで来る者と連携して外へ誘導します。 見学中のお客様もまず安全を確保すべく館外へ誘導します。 外では、初期消火班が消火栓の放水訓練をしました。 同じく初期消火班の消火器使用訓練。 水消火器を消防署が用意してくださいました。 火元に向けて放水(噴射)します。 本物の消火器も使いました。 最初の一撃を的確な場所に当てるのが難しいようです。 ひととおり訓練が終了し、消防署から講評をいただきました。 「訓練だと落ち着いてできても実際はもっと混乱するはず」 「貴重な文化財を保管している場所だから、火災を起こすことは許されない」 との指摘をいただきました。 引き続き講堂で、心肺蘇生法の講習を受けます。 安全安心に見学いただけるよう多くの職員が参加しました。 指導をしてくださる消防署の救急隊員の方々です。 始めにビデオで心肺蘇生法の概要を勉強します。 続いて5つの班に分かれて、ダミー人形を使って実際に手順を体験します。 人工呼吸は気道を確保して、胸のふくらみ具合を見ながら2回行います。 吹き込む息の加減が結構難しいです。 受付業務をしてくださっている方々のグループです。 「大丈夫ですか!」と、声掛けをしているところです。 とても真剣で講師の隊員に、時折鋭い質問がありました。 人工呼吸と心臓マッサージの講習を、AEDの使い方について説明を受けました。 心臓マッ...
古代の人々が暮らしの中から生み出した技や工夫を、 わかりやすく、楽しみながら学ぶ“古代体験講座”。 1月19日の講座では「砂型で銅鏡づくり」にチャレンジしていただきました。 はじめに学芸員から「銅鏡って何?」という説明がありました。 銅鏡とは一般的に青銅(銅とスズなどの合金)でつくられた鏡のことを言い、 中国では約3700年前につくられ始め、日本には約2200年前の弥生時代に伝わりました。 今回は銅よりも低い温度で溶ける金属を使って、古代の鏡のつくり方を体験します。 まず 溶かした金属を流し込む型( 鋳型)を砂で作ります。 砂は、水を混ぜてほどよいやわらかさに準備しておきます。 枠の中央に元型にする銅鏡を置き、周りに砂を少しずつ入れていきます。 鏡が中央から 動かないように注意しながら作業します。 今度は枠を抑えながら、砂を棒で押し固めます。 この作業でうまく鏡がつくれるか?決まります! 枠いっぱいまで砂を入れてしっかり固めます。 当て板をかぶせて慎重に裏返し、 砂型から元型をはずしたら「鋳型」の完成です。 当館ボランティアのサポートのもと、 溶けた金属を鋳型へ流し込みます。 熱い金属が飛ぶ危険があるので、グローブやゴーグルなどを着けて十分に注意しながら作業します。 鋳型から取り出した鏡です。 手でさわれる温度に下がったら、ハサミやヤスリを使って 鏡の周りのはみ出した部分を取って、形を整えます。 この鏡は内側の円弧が花のように見えるので「内行花文鏡」と呼ばれるものです。 あとはひたすら、「鏡面」を磨いていきます。 顔を映す平らな方を「鏡面」と呼び、 いろんな紋様がある方が「背面」です。 鏡面磨きは忍耐がいりますが、一番重要な作業です。 きれいに磨くと、ピカピカに輝いて、像が映るので、 みんな一生懸命に磨いていきます。 完成しました! 鋳型から、一から作った鏡なので、愛着がわきますね。 古代の銅鏡に興味を持たれた方、ぜひ当館の加西分館「古代鏡展示館」にも足を運んでください。 300面を超える古代中国鏡の中から選りすぐりの鏡を展示しています。 現在、企画展「龍...
稲美町にある加古大池で、竪穴住居の材料となるヨシの刈り取り作業を実施しました。 12月半ばに、博物館のそばにある狐狸ヶ池でもヨシ刈りを行いましたが、 加古大池のヨシの方が生育が良く、屋根の材料として良い状態です。 刈り込みが終わると、ヨシを束ねます。 できるだけ長さを揃えて、決められた太さにすることで、 使うときに扱いやすくします。 束ねたヨシは池の土手に積んで、トラックで大中遺跡公園まで運びます。 ボランティアの皆さん、竪穴住居復元プロジェクトのメンバーである明石高専の皆さんにも協力をいただき、 順調に作業は終了しました。お疲れさまでした。 トラックで大中遺跡公園まで持ち帰ったヨシは、 右が、12月に狐狸ヶ池で刈ったヨシ、左が今回刈ったヨシ。 比べてみると、加古大池のヨシが立派です。 現在、大中遺跡公園では、竪穴住居の改修などリニューアル工事がすすんでいます。 竪穴住居復元プロジェクトも、引き続き進めていきます。 よろしくお願いします。
当館は、毎年12月24日頃から30日まで、メンテナンスで休館させていただいてます。 遅くなりましたが、博物館のメンテナンスってどんなことをするのか? 一部ですがご紹介します。 展示物を念入りに掃除します。展示品を傷めぬよう、 掃除機やハンディーモップを使ってほこりや砂を慎重に除去します。 床下に潜っての掃除もします。頭を打たないよう注意しながら行います。 子どもたちが顔を近づけて見る展示物は、 安心してご覧いただけるよう念入りにきれいにします。 テーマ展示室の、大量に人形を飾っているケースでは、調湿剤を入れ替えています。 密閉したケースでは、温度を一定に保つ必要があります。 館の東側出入り口の木製扉も表面を少し塗装しました。 館の西側出入り口の壁の表面を水拭きします。 冬の屋外作業は手が冷たく、厳しい作業です。 博物館自慢の地層を模した外壁です。 壁に凹凸があるので、高圧洗浄機を使って汚れを落とします。 空調機のフィルター洗浄です。 活性炭の詰め直しなど、清浄な空気を保つには欠かせません。 これは専門の業者に依頼しています。 展示室の照明器具の電球交換です。器具に異常がないかも確認します。 場所によっては写真のように、高所作業台車を使って行います。 ご紹介したのは、多くの作業のうちのほんの一部ですが、 大事な遺物や資料を後世に残すため、 また、皆さんに快適・安全にお楽しみいただくため、 毎年年末の閉館とともに実施しています。 *   *   * 目に見えない場所が、ちょこっと新しくなった 考古博物館へ、ぜひご来館ください。

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