11月2日、清々しい秋晴れのもと、大中遺跡まつりが盛大に開催されました。 開会式前の古代の舞、厳かな雰囲気で始まりました。 開会式で行われる最大の見せ場、来賓の方々による「火起こしの儀」。 大勢の人が参加して、無事に火が起こりました。 展望塔から見た会場の様子です。メイン会場は森の奥で、 手前の広場に並ぶ紅白のテントは、当館と関係機関のブース。 今回も多くの方々にご来場いただきました。 “はばタン” 発見! 今年も応援に駆け付けてくれました。 さすがの人気で、周囲には子どもたちがいっぱい! * * * 「古代体験フェスティバル」と題し、 工夫をこらした さまざまな 古代体験メニューをご用意しました。 「おり紙ではにわ」 色紙で、水鳥形・朝顔形・盾形の埴輪を作ります。 埴輪の特別展にちなんだメニュー。「おひとついかがですか~。」 「ペーパークラフトで古代の船をつくろう」 テーマ展示室にある古代船 “ひぼこ” の模型を作ります。 うまくできたかな? 「トントン相撲」 当館の装飾付須恵器の力士をモデルにした 紙の人形で、遊んでもらいました。 「スタンプ『ポン!』して鏡づくり」 当館の加西分館 “古代鏡展示館” のブースです。 カラフルな海獣葡萄鏡ができました。 当館ボランティアの方々も、 さまざまな古代体験メニューを用意してくれました。 この写真は、創作紙芝居のブース。笑い声が響きます。 * * * 続いて館内の様子です。 スタートから30分で、大勢の人がお越しになりました。 「接合にチャレンジ」 本物の土器にも直接触れました。緊張しますね。 どうやってつなぎ合わせるのでしょうか。 「拓本しおりづくり」 昔のお金をつかって拓本づくり体験に挑戦する子どもたち。 熱心にやり方を聞いていました。 「CTC写真館」 発掘現場で記念写真が撮れるコーナー。 古代の服装や発掘調査を行うときの作...
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前回(前田遺跡)に引き続き、発掘調査の成果をご紹介。 10月20日に姫路市の才村(さいむら)遺跡で開催された、 現地説明会の様子について、ご紹介します。 * * * 才村遺跡はJR山陽本線、はりま勝原駅の東側にあります。 今年の8月下旬から発掘調査が行われ、弥生時代の後期から平安~鎌倉時代に 営まれた集落であることが明らかになりました。 見学の方と説明者の間を走るのは、平安時代の溝の跡。 当時は集落と畑の境界にもなっていたようです。 直線に伸びる様子から、土地区画(条里型地割)に合わせて 造られたと考えられます。 このほか、木で枠を組んだ井戸の跡も見つかり、須恵器 などが出土しました。 集落には掘立柱建物のほか、石を敷いた火葬跡も見つかりました。 発掘調査を担当した(公財)兵庫県まちづくり技術センターの調査員は、 この時代の墓を研究している専門家。説明にも力が入ります。 出土した遺物についてもご紹介。平安時代の遺物では。海外から輸入された 磁器がみつかっているほか、字を書く墨をすった硯も出土しています。 井戸の底からは曲物が見つかりました。 「永」と思われる字が刻まれていますが、注意深く見ると さらに上から墨で字を強調していました。 すぐ南にある郷着遺跡では、同じ方法で「万吉」と刻んだ曲物を、 井戸の枠として使っていました。 いずれも縁起の良い文字なので、井戸が枯れることのないように、 当時の人が思いを込めたのでしょうか。 才村遺跡のうち今回は、今からおよそ800年前に暮らした人々の様子について 説明しました。説明会には地元の方々も大勢参加され、調査で判明した 同じ地で暮す「先輩たち」に思いをはせておられました。 * * * 今年も兵庫県内では多くの発掘調査がおこなわれます。成果は新聞などで 皆さんにお伝えしますが、調査で見つかった遺構や遺物について、現地で ご説明する機会もあります。 お近くで実施される場合は、ぜひお出かけください。
10月20日、発掘調査が行われている、姫路市の前田遺跡・才村遺跡で 現地説明会が開催されました。その様子を2回に分けてご紹介します。 * * * 最近は天候不順が当たり前のようになって、 穏やかなの秋の空…なんて言っていられない日もあります。 屋外での発掘調査は、とにかく天候が大事。 大勢の方にお越しいただく現地説明会は、当日の天気が気になります。 前日まで雨でしたが、いい天気で行うことができました。 前田遺跡は古墳時代(今から、およそ1700年前)に営まれた集落の遺跡です。 今年度は大きく2か所で調査を行ないました。それぞれの地区の成果について、 発掘調査を担当した(公財)兵庫県まちづくり技術センターの調査員から、 説明がありました。 これまで前田遺跡からは、古墳時代の遺構が多く確認されましたが、 今回は中世に造られた遺構も見つかりました。 今から700年前の中世の井戸は、河原で集めた石を円く積み重ねて、 井戸の側枠にしていました。 古墳時代の井戸は、地面をそのまま掘り抜き、中から須恵器・土師器など 当時使われた土器とともに、玉や石製品、鉄製の短刀が出土しました。 井戸を埋めたときに際にお祭りをしていたようです。 遺構の説明に続き、主な出土品の解説がありました。 井戸から見つかった須恵器の器台は、ほぼ完全な形に復元が可能で、 古い時期の須恵器に見られる「コンパス文」が施されていました。 全国的に見ても大変珍しいものです。 また、前回の調査で出土した「山陰系甑形土器」も、 多くの注目を集めていました。前田遺跡に暮らした人々が、 山陰地方や朝鮮半島との交流でもたらされたと考えられます。 説明会は午前中の開催でしたが、大勢ご参加がありました。 皆さん古代の文化交流に思いをはせておられたようです。 * * * この日は午後から、近くで行われている「才村遺跡」で引き続き 現地説明会が行われました。 その模様は、次回にレポートします。どうぞお楽しみに。
播磨町と共催で、毎年秋に実施される大中遺跡まつり、今年も11月2日に開催されます。 天気予報は「晴れ」のようです。ワクワクしますね。 今年で29回目を迎え、ますます充実の秋の一大イベントです。 ポスターでは、マスコットのいせきくんとやよいちゃんが みなさんをお待ちしています。 播磨町のあちらこちらでは、ポスターとともに幟が並べられました。 風になびいておまつり気分を盛り上げています。 考古博物館も、「古代体験フェスティバル」と銘打って、 いろんな体験や楽しい遊びを館の内外でおこないます。 県内の美術館、資料館のほか、大阪や九州、遠く台湾の博物館も参加します。 いつもとは一味ちがった体験をお楽しみいただけます。 11月2日までは、狐狸ヶ池の橋がイルミネーションで飾られています。 展望塔の明かりとマッチして素敵です。 こちらもぜひどうぞ。 大中遺跡まつりは、11月2日、9時から16時、 考古博物館の古代体験フェスティバルは、10時から15時です。 楽しい一日をお過ごしください。お待ちしています。 ********************* 11月2日 は現在開催中の 特別展「埴輪の世界」も含めて すべて無料でご観覧いただけます。 この機会にぜひお立ち寄りください。
秋も深まり… 早朝には木々に冷たい露が光る季節になりましたね。 史跡・大中遺跡公園と隣接する当館は、自然あふれる環境に恵まれ、 散歩コースとしても、皆様にご利用いただいています。 大中遺跡公園と、ひとつ道を隔てた当館の敷地にも、 多くの木々が季節の変化を教えてくれています。 穏やかな木漏れ日が、気持ちいいですね。 遺跡公園の中では、現在修理作業が進められている 復元された竪穴住居が代表選手ですが、 公園の木々も弥生時代の様子を教えてくれます。 実は、大中古代の村に植えられた草や木は、 大中遺跡で暮らしが営まれていた弥生時代に生息していたり、 栽培していたと考えられる品種を栽培しています。 秋に実る「ドングリ」としておなじみの、クヌギやマテバシイ。 弥生人にとっても、貴重な食べ物でした。 公園の木々につけた実は、体験学習の材料としても使用しています。 これはトチノキの実。水につけて苦みを取ったら、 すりつぶしたりしてクッキーみたいに食べたりしていました。 大切な食べものが実りをむかえるこの季節は、 古代の人にとっても、「食欲の秋」だったのでしょう。 大中遺跡での暮らしを、 想像しながら散策してみませんか? 公園のなかには、ベンチも多数設置してありますので、 どうぞゆっくりとした時間をお過ごしください。 ちなみに、館内のテーマ展示室では、 縄文人が工夫したドングリの保存方法を ご紹介しています。 こちらもあわせてご見学ください。 * * * 変わりやすい曇り空と長雨とが去って、 こんな爽やかな青空が顔を出してくれました。 穏やかな秋の一日は、大中遺跡公園と 考古博物館にぜひお越しください。
10月19日(土)、特別展講演会第一弾として、 「但馬の王墓、池田古墳出土品を読みとく」を開催しました。 特別展「埴輪の世界」でも展示物の中心を占める 池田古墳(朝来市)で出土した埴輪。 令和元年7月に、国の重要文化財に指定されました。 その特徴や重要性について、講演いただきました。 講師は、文化庁の横須賀倫達 文化財調査官。 全国各地を飛び回り、文化財の保存に最前線でご活躍されています。 池田古墳出土埴輪の重要文化財指定にあたっても、 埴輪が持つ意味の分析・調査に大変お世話になりました。 まず「重要文化財とは何か?」という話題。 国内の文化財のなかで、歴史や芸術、学術の観点から、 価値が高く保護すべき、と国が指定したものです。 審査で多くの専門家から「我が国の文化を代表する」と 認められることで、はじめて指定されるとのこと。 国の文化を代表する資料であることを、あらゆる観点から確かめる 調査は数年を要することも、よくあるそうです。 池田古墳と一緒に指定された文化財や、これまで指定された兵庫県 にある重要文化財についても、ご紹介いただきました。 ここからは、池田古墳の出土品について、説明いただきました。 指定を受けたのは埴輪のほか、一緒に古墳に並んでいた木製品も。 埴輪は、保存状態がよかったことや、古墳で使われた場所・ 使われた様子がわかることが、特に評価されました。 水鳥形埴輪をはじめ、古墳を囲む濠から出土した遺物から、清らかな水を 「神聖なもの」としていた意識があり、埴輪や出土遺物から古墳の おまつりがどのように行われていたか?がわかることも、価値の評価に つながったと、紹介されました。 続けて、鳥の種類とかたどった考古資料から、古代の「鳥」に対する イメージについて説明されました。 鳥をかたどった考古資料はおまつりの道具に多く、悪いものを「飛び去る」 存在ととらえられ、時代ごとにモデルの鳥も変化するとのこと。 最後に、次回の講演会に向けての予告編?、船形埴輪の意味や、 古代人の船に託した想いにも触れられました。 「考古資料を丹念に読みとくことで、作り・使った当時の人々の想いに 近づくことができる」と結ばれま...