10月20日、発掘調査が行われている、姫路市の前田遺跡・才村遺跡で 現地説明会が開催されました。その様子を2回に分けてご紹介します。 * * * 最近は天候不順が当たり前のようになって、 穏やかなの秋の空…なんて言っていられない日もあります。 屋外での発掘調査は、とにかく天候が大事。 大勢の方にお越しいただく現地説明会は、当日の天気が気になります。 前日まで雨でしたが、いい天気で行うことができました。 前田遺跡は古墳時代(今から、およそ1700年前)に営まれた集落の遺跡です。 今年度は大きく2か所で調査を行ないました。それぞれの地区の成果について、 発掘調査を担当した(公財)兵庫県まちづくり技術センターの調査員から、 説明がありました。 これまで前田遺跡からは、古墳時代の遺構が多く確認されましたが、 今回は中世に造られた遺構も見つかりました。 今から700年前の中世の井戸は、河原で集めた石を円く積み重ねて、 井戸の側枠にしていました。 古墳時代の井戸は、地面をそのまま掘り抜き、中から須恵器・土師器など 当時使われた土器とともに、玉や石製品、鉄製の短刀が出土しました。 井戸を埋めたときに際にお祭りをしていたようです。 遺構の説明に続き、主な出土品の解説がありました。 井戸から見つかった須恵器の器台は、ほぼ完全な形に復元が可能で、 古い時期の須恵器に見られる「コンパス文」が施されていました。 全国的に見ても大変珍しいものです。 また、前回の調査で出土した「山陰系甑形土器」も、 多くの注目を集めていました。前田遺跡に暮らした人々が、 山陰地方や朝鮮半島との交流でもたらされたと考えられます。 説明会は午前中の開催でしたが、大勢ご参加がありました。 皆さん古代の文化交流に思いをはせておられたようです。 * * * この日は午後から、近くで行われている「才村遺跡」で引き続き 現地説明会が行われました。 その模様は、次回にレポートします。どうぞお楽しみに。
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播磨町と共催で、毎年秋に実施される大中遺跡まつり、今年も11月2日に開催されます。 天気予報は「晴れ」のようです。ワクワクしますね。 今年で29回目を迎え、ますます充実の秋の一大イベントです。 ポスターでは、マスコットのいせきくんとやよいちゃんが みなさんをお待ちしています。 播磨町のあちらこちらでは、ポスターとともに幟が並べられました。 風になびいておまつり気分を盛り上げています。 考古博物館も、「古代体験フェスティバル」と銘打って、 いろんな体験や楽しい遊びを館の内外でおこないます。 県内の美術館、資料館のほか、大阪や九州、遠く台湾の博物館も参加します。 いつもとは一味ちがった体験をお楽しみいただけます。 11月2日までは、狐狸ヶ池の橋がイルミネーションで飾られています。 展望塔の明かりとマッチして素敵です。 こちらもぜひどうぞ。 大中遺跡まつりは、11月2日、9時から16時、 考古博物館の古代体験フェスティバルは、10時から15時です。 楽しい一日をお過ごしください。お待ちしています。 ********************* 11月2日 は現在開催中の 特別展「埴輪の世界」も含めて すべて無料でご観覧いただけます。 この機会にぜひお立ち寄りください。
秋も深まり… 早朝には木々に冷たい露が光る季節になりましたね。 史跡・大中遺跡公園と隣接する当館は、自然あふれる環境に恵まれ、 散歩コースとしても、皆様にご利用いただいています。 大中遺跡公園と、ひとつ道を隔てた当館の敷地にも、 多くの木々が季節の変化を教えてくれています。 穏やかな木漏れ日が、気持ちいいですね。 遺跡公園の中では、現在修理作業が進められている 復元された竪穴住居が代表選手ですが、 公園の木々も弥生時代の様子を教えてくれます。 実は、大中古代の村に植えられた草や木は、 大中遺跡で暮らしが営まれていた弥生時代に生息していたり、 栽培していたと考えられる品種を栽培しています。 秋に実る「ドングリ」としておなじみの、クヌギやマテバシイ。 弥生人にとっても、貴重な食べ物でした。 公園の木々につけた実は、体験学習の材料としても使用しています。 これはトチノキの実。水につけて苦みを取ったら、 すりつぶしたりしてクッキーみたいに食べたりしていました。 大切な食べものが実りをむかえるこの季節は、 古代の人にとっても、「食欲の秋」だったのでしょう。 大中遺跡での暮らしを、 想像しながら散策してみませんか? 公園のなかには、ベンチも多数設置してありますので、 どうぞゆっくりとした時間をお過ごしください。 ちなみに、館内のテーマ展示室では、 縄文人が工夫したドングリの保存方法を ご紹介しています。 こちらもあわせてご見学ください。 * * * 変わりやすい曇り空と長雨とが去って、 こんな爽やかな青空が顔を出してくれました。 穏やかな秋の一日は、大中遺跡公園と 考古博物館にぜひお越しください。
10月19日(土)、特別展講演会第一弾として、 「但馬の王墓、池田古墳出土品を読みとく」を開催しました。 特別展「埴輪の世界」でも展示物の中心を占める 池田古墳(朝来市)で出土した埴輪。 令和元年7月に、国の重要文化財に指定されました。 その特徴や重要性について、講演いただきました。 講師は、文化庁の横須賀倫達 文化財調査官。 全国各地を飛び回り、文化財の保存に最前線でご活躍されています。 池田古墳出土埴輪の重要文化財指定にあたっても、 埴輪が持つ意味の分析・調査に大変お世話になりました。 まず「重要文化財とは何か?」という話題。 国内の文化財のなかで、歴史や芸術、学術の観点から、 価値が高く保護すべき、と国が指定したものです。 審査で多くの専門家から「我が国の文化を代表する」と 認められることで、はじめて指定されるとのこと。 国の文化を代表する資料であることを、あらゆる観点から確かめる 調査は数年を要することも、よくあるそうです。 池田古墳と一緒に指定された文化財や、これまで指定された兵庫県 にある重要文化財についても、ご紹介いただきました。 ここからは、池田古墳の出土品について、説明いただきました。 指定を受けたのは埴輪のほか、一緒に古墳に並んでいた木製品も。 埴輪は、保存状態がよかったことや、古墳で使われた場所・ 使われた様子がわかることが、特に評価されました。 水鳥形埴輪をはじめ、古墳を囲む濠から出土した遺物から、清らかな水を 「神聖なもの」としていた意識があり、埴輪や出土遺物から古墳の おまつりがどのように行われていたか?がわかることも、価値の評価に つながったと、紹介されました。 続けて、鳥の種類とかたどった考古資料から、古代の「鳥」に対する イメージについて説明されました。 鳥をかたどった考古資料はおまつりの道具に多く、悪いものを「飛び去る」 存在ととらえられ、時代ごとにモデルの鳥も変化するとのこと。 最後に、次回の講演会に向けての予告編?、船形埴輪の意味や、 古代人の船に託した想いにも触れられました。 「考古資料を丹念に読みとくことで、作り・使った当時の人々の想いに 近づくことができる」と結ばれま...
秋を迎えて、県の各地で行われている発掘調査も、成果が明らかになってきました。 良い天気に恵まれた10月14日、宇山遺跡の現地説明会が開催されました。 洲本市の市街地から洲本川を少しさかのぼったところにある遺跡です。 今年の7月から調査が行われ、平安時代中頃から鎌倉時代にかけての 集落跡が見つかりました。 絶好の?説明会日和。大勢の方が参加されました。 最初に、調査を担当する(公財)兵庫県まちづくり技術センターの担当者が、 調査で分かったことを大まかに説明しました。 平安時代から鎌倉時代の建物跡、墓、鍛冶炉跡などが見つかっています。 鍛冶炉跡のある場所では、掘り出された様子を詳しく説明しました。 炉跡の拡大写真で、地面が高い熱を受けて変色している様子が解説されました。 周りからは、鍛冶の作業に関連する遺物も出土していることから、 この遺跡には1000年ほど前に鍛冶屋が暮らしていた、とわかりました。 多くの建物は鍛冶炉より北側で見つかり、鍛冶屋は集落の外れにいたようです。 別の調査区では、弥生時代後期の竪穴建物跡が見つかりました。 調査の対象となったのは、建物跡のごく一部ですが、甕・高杯などが出土しています。 今回の調査では、縁に飛び出した部分が8つある「八稜鏡」が出土しました。 建物の柱穴から見つかっていて、地鎮に使われた可能性が考えられます。 このほかにも、鍛冶に関する遺物や当時生活で使われた土器の説明がありました。 * * * ちょっと話題を変えて…「鍛冶」ってどんなことをするのでしょうか。 辞書には「金属を鍛えて、いろいろな器具を作ること、または作る人」とありますが、 詳しくは、鉱石から原材料となる金属を取りだす「大鍛冶」と、 取り出された金属の材料を高温で熱して、道具の形を作る「小鍛冶」があります。 発掘調査したのは「小鍛冶」で、真っ赤に熱して柔らかくなった鉄を、 金づちなどで叩きながら、形を作ってゆく…作業が行われていたようです。 鍛冶炉に風を送るフイゴの羽口(はぐち)や、椀の形に固まった鉄の不純物、 鉄の形を整える金床石(かなとこいし)や、仕上げに使う砥石などが出土しました。 また鉄を金づちなどで叩いた時に飛び散ったカケラが見つかっていて、...
青空が広がった秋の一日、考古博田んぼの稲刈りを実施しました。 6月に、地元蓮池小学校の5年生たちが植えた苗、 今度は自分たちで成長を確かめつつ、刈り取ります。 総社赤米、ハリマモチ、ヒノヒカリ、壱岐黒米、対馬赤米、どれも程よく育ちました。 お世話になった多くの方々の汗の結晶です。 はじめに石包丁を使って、大昔の人たちがどのように稲刈りをしていたか知ってもらいます。 当館の担当が石包丁の使い方の説明をしました。 今日はテレビカメラの撮影があったので、子どもたちはちょっと緊張気味かな。 田んぼに入る前に準備体操。「体をほぐして、ケガの無いように十分注意しましょう」。 田んぼに入ったら、いよいよ石包丁で稲穂の先を摘み取ります。 一本ずつ丁寧に摘み取る、なかなか根気のいる作業。 子どもたちも、昔の人の苦労が実感できたかもしれません。 新聞記者さんのカメラに緊張しながら、石包丁で穂摘み。 爽やかな秋晴れとあって、多くの取材がありました。 今日の思い出がどんな記事になるかな?楽しみですね。 石包丁の次は、いよいよ本格的にのこぎり鎌を使って稲刈りです。 鎌は人に向けると危ないので注意して扱うように、気をつけます。 ぐるっと刃を回すように刈るのがコツだそうです。 うまく刈れるかな? 1列に整列して、できるだけきれいに刈り進みます。 早く刈れた人、慎重な人、助けあいながら、列を守って刈り取ります。 刈った稲は、そのまま後ろで待機しているスタッフに渡します。 刈り取った稲を天日干しするために、紐でまとめます。 大変なのは、適当な太さに稲を束ねること。 スタッフの職員やボランティアの皆さんは、 刈り取るスピードが速いと、追いつくのに必死です。 稲の刈り方にも慣れてきたところで、次の組と交代。 4つの学級が、順番に交代しながら、作業しました。 この組もやっぱり、1列に並んで刈っていきます。 子どもたちが刈り取る横では、テレビ取材のリポーターが様子をレポート。 稲刈り作業も、いよいよ大詰めです。 稲刈りが終わったら、ボランティアの方々が田んぼの整理をしてくれました。 次は11...