[フレーム]
新聞購読とバックナンバーの申込み

センバツ当確を逃した「自分らしい」落球 二松学舎大付・親富祖凪人に届いた春の吉報「次は絶対に捕る」

[ 2022年2月4日 09:00 ]

「守備でチームを助けたい」と誓う親富祖凪人(撮影・柳内 遼平)
Photo By スポニチ

第94回選抜高校野球大会(3月18日から13日間、甲子園)の出場32校を決める選考委員会が1月28日に開催され、関東・東京地区の6枠目は二松学舎大付(東京)が選出された。昨秋の東京大会決勝では国学院久我山に逆転サヨナラ負けを喫し、準優勝だった。

勝利でセンバツ出場が当確となる一戦だった。二松学舎大付が2点リードして迎えた9回の守備。2死満塁から国学院久我山の4番打者が放った打球を、右翼手・親富祖凪人(2年)は背走して追った。

フェンス際で倒れ込みながらも、何とかキャッチ。起き上がり、グラブを掲げて試合終了のアウトをアピールした。だが、右翼線審は「ノーキャッチ」の判定。返球する間に満塁の走者が次々と本塁に向かった。

3走者が生還して国学院久我山の逆転サヨナラ勝ち。親富祖は判定の理由を右翼線審に尋ねると、一度グラブに入った打球が飛び出し、フェンスに当たってから捕球したため「ノーキャッチ」と説明を受けた。「自分のせいで負けた」。受け止めきれない現実に涙も出なかった。

東京大会準優勝となった二松学舎大付は、関東大会に出場したチームと「6校目」のセンバツ出場枠を争うことになった。関東大会8強には昨年のセンバツで優勝した東海大相模(神奈川)がいた。「これで(6校目が)東海大相模さんだったら自分のせいで甲子園を逃したことになる」と自らを責めた。

センバツ出場が五分五分の状況で迎えた冬。風呂に入っても布団に入っても「あの打球」が目に浮かんだ。一時は右翼の守備位置に立つことも怖かった。だが、チームメートから「お前のせいじゃない」と励まされ、練習に打ち込んできた。

1月28日のセンバツ出場校発表日。教室に集められた二松学舎大付ナインに吉報が届き「今までで一番うれしかった」と親富祖。苦しんだからこそ自分に向き合えた。「最後に打球が飛んできて(負けで)終わってしまったことは自分らしい。日頃の行いのいい加減さが出たと思う」と振り返る。

野球以外の生活態度を見直して冬を越え、昨夏に続く自身2度目の甲子園へ。どんなに難しい打球が飛んできても「次は絶対、絶対に捕ります」と少し大人になった顔で誓った。(記者コラム・柳内 遼平)

◇親富祖 凪人(おやふそ・なぎと)2004年(平16)4月3日生まれ、沖縄県浦添市出身の17歳。小4から前田ホークスで野球を始める。滝の沢中では湘南クラブボーイズに所属。50メートル走5秒9。遠投102メートル。1メートル69、71キロ。右投げ右打ち。

続きを表示

野球の2022年2月4日のニュース

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /