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そろそろ年賀状の季節になったが、昨今はノルマを課された郵便局員が、年賀状を売りさばくために自腹を切って買い取るという、「自爆営業」なるものがあるらしい。

これはもちろん郵政民営化に伴うものである。民間になったのだからノルマは当然という人もいるが、果たしてそうだろうか。

年賀状などというものは虚礼の最たるもので、メールが普及した上にこれだけ不景気が長引けば、出さなくなるのが当然である。以前より売れなくなるのは当たり前で、それでも売ろうと思うなら、何らかの根本的な対策を建てなければならない。そしてそれは、責任ある上層部の人が考えるべきことだ。

すでに商品として終わっているものを、末端で売る人がいくら努力したところで売れるはずはない。だから、彼らが自分で買い取るなどという、アホなことが起こるのである。つきつめて言うと、「自爆営業」の一番の問題は、売上を上げるための努力と責任を、末端の販売に関わる人に押し付けていることである。

売るための戦略を考えるのは、今までと違うことをやる以上、当然リスクがつきまとう。失敗すれば何もしないよりも利益が得られないかもしれない。しかし、それを考える立場にある人はリスクを負う責任があり、それだけの地位と収入を得ているはずだ。

もともと公務員は、ルーチンワークの得意な人間が出世するようになっている。リスクを取って成功しても給料が上がるわけではないし、逆に失敗すれば税金を使っている責任が重くのしかかる。日々の決まった仕事を堅実にこなすのがよい公務員だから、逆に言えば斬新なアイディアを出してリスクを取るのは忌むべきことなのである。

そんな彼らが、いきなり民営化されても、長年そうして働いてきたノーミソの中身はかわらない。年賀状を売る方法なんて、いくらでも工夫できそうなものだが、ルーチンワークで出世した人には、せいぜい販売員にノルマを課すことぐらいしか思い浮かばないのである。

もっとも、その「民間」だって事情はたいして変わらないことだろう。ブラック企業と言われる会社の存在はそれを如実に示している。

「民間になったのだからノルマは当たり前だ」などと言っている人には、「じゃあ、そのノルマでおたくの会社はさぞかし業績が上がったんでしょうな」とイヤミの一つでも言いたくなる。
(追記) (追記ここまで)
タグ :
#年賀状
#郵便
#ブラック企業

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