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2025年06月

先日、「あまりにブログを更新していないから心配している」というメールをいただいた。ご心配をおかけしてすみませんでした。僕は元気・・・でもなかったんです。

5月31日、母に頼まれて生け垣の剪定をしに実家に帰った。この日は雨が降っていただけでなく、やたらと寒かった。あまりに寒いから、すでにしまっていたウインドブレーカーを引っ張り出して着ていったほどである。

昼ちょっと前に家に着いたら、母からストーブを階下の倉庫にしまうように頼まれた。そこで僕はストーブを持って階段を降り、倉庫の扉を開けようとしたのだが、その瞬間、腰に激痛が走りへたり込んでしまった。いわゆるぎっくり腰である。

ちなみにぎっくり腰は二回やったことがある。どういうわけか、重いヤバそうなものを持ったときにはならず、しょうもないことでなる。一回目は椅子を引いた瞬間だった。二回目は運動会で綱引きをしたときだった。今回のストーブもたいして重くはなかった。油断大敵である。

幸い、実家には以前父が使っていたコルセットがあったので早速それを装着、ロキソニンを飲んでなんとか動けるようにはなったが、そんなので完治すれば世話はない。実家で5月の総括を書くつもりだったが、満足に椅子に座れなくなって書けなった。

ぎっくり腰は、同じ姿勢をとっているぶんにはそれほど痛くはない。しかし、姿勢を変えようとすると途端に激痛が走り力が抜けてしまう。コルセットをしていれば歩けるが、振り向いたり向こうからくる人を避けたりするとものすごく痛い。

一番きついのが寝ている時である。寝返りがうてない。寝ている間にトイレに行きたくなると最悪である。コルセットを付けて寝るわけにはいかないので、横になったままコルセットをつけなければならない。なんとか装着しても起き上がるのは至難のわざである。そんなわけで、5月31日から一週間ほど睡眠不足がつづいた。

ぎっくり腰がほぼ治った頃、あの寒かった日はどこへやら、やたら暑い夏日が続いて、今度は季節外れの風邪をひいた。最初は咳と鼻水と痰がでる典型的な風邪だった。すぐに医者に行き薬をもらったが、さっぱり効いている気がしない。

そうこうしているうちに、咳の出方がおかしくなった。喘息みたいに発作的に咳が出て、止まらなくなるのである。熱は相変わらず出ないし鼻水も痰も出なくなったが、咳だけはひどくなる一方だ。

咳は寝るときにとくにひどくでる。横になるとすぐに咳こむので、座椅子に持たれて小一時間本でも読んで、いよいよ眠くなったらすかさず寝る。しかし、きまって午前3時か4時ごろになると、発作的に咳がでて叩き起こされる。これでまた小一時間寝られなくなる。毎日これの繰り返しである。

この症状を検索してみると、百日咳の典型的な症状らしい。百日咳菌が出した毒素により、風邪自体が治っても咳を引き起こすのだそうだ。その名の通り、本当に百日続くこともあるらしい。病院にいっても風邪自体は治っているから方策はなく、治るまで我慢するしかないという。腰砕けと咳のおかげで6月は睡眠不足の毎日だった。

幸い今はかなりおさまった。それでも夜中に咳で起きることがある。百日咳、流行っているらしいのでご用心を。

さて、明日からは7月です。毎年恒例のブログ強化月間が始まるよ。できるかな〜。

古活字本『伊曾保物語』の電子テキストを公開しました。

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古活字本『伊曾保物語』:やたナビTEXT

いつもどおり、翻刻部分はパブリックドメインで、校訂本文部分はクリエイティブ・コモンズライセンス 表示 - 継承(CC BY-SA 4.0)で公開します。

『伊曾保物語』は江戸時代初期に刊行された『イソップ物語』の翻訳で、本邦初のヨーロッパ文学の翻訳になります。『イソップ物語』の翻訳にはローマ字で書かれた『エソポノハブラス(天草本伊曾保物語)』が有名ですが、これとは別の本になります。

別の伝本に万治二年版本があり、こちらには挿絵が入っています。イソップが長屋のご隠居みたいだったり、古代ギリシャ人がチョンマゲ野郎になっていたり、セミがゴキブリにしか見えなかったりと、なかなか面白いので、挿絵に該当する説話に挿入し、挿絵を概観できるギャラリーを作ってみました。

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『伊曾保物語』は三巻からなり、冒頭から中巻9話までがイソポ(アイソーポス・イソップ)の伝記、それ以降は寓話集になっています。

前半の伝記は次のような内容です。戦乱により奴隷の身分となったイソポが、シヤントという賢人に買われます。イソポは弁舌によりシャントの危機を何度も助けますが、うまいこといいくるめて自由の身を得、得意の寓話を使って王にアドバイスをするようになります。その後、イソポは各国を遍歴し、いろいろな国の王に「よき道(道徳)」を説きますが、デルホス(デルポイ)という島に至り悪人に殺されてしまいます。

イソップは多くの辞典で古代ギリシャの寓話作家と書かれていますが、この伝記を読む限りでは寓話作家というよりは政治コンサルタントに近い印象を受けます。各国を遍歴して道徳を説いたというところは孔子を想起させます。ちなみに、イソップは紀元前620年ごろ、孔子は紀元前552年ごろの生まれで、生きた地域は違いますがほぼ同じ時代の人です。

後半は有名な寓話集です。各話は寓話の後に教訓という構成で、あとの方になるほど仏教説話っぽい感じになってきます。

登場人物を動物にするというのは画期的な工夫です。動物が持つ個性により、古代ギリシャと江戸時代の日本、そして現代の日本と、どの時代のどこの人が読んでも理解できる普遍性があります。日本にもたらされた最初のヨーロッパ文学が『イソップ物語』というのは、そのような強い普遍性によるものでしょう。

イソップの寓話は子供のころに読んだきりでしたが、今読むとなかなか考えさせられるものがあります。是非ご一読ください。
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