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2024年08月

米不足である。今日、近所のスーパーで買い物したが、たしかに米売り場に米はなく、インスタントラーメンが売っていた。売っていたとしても値段がかなり上っているらしい。

今回の米不足は理由がよく分からない。昨年は豊作だったが米の品質が悪く歩留まりがわるかったとか、インバウンドで消費が増えたとか、減反政策がどうのとか、いろいろ聞こえてくるが、なるほどと思える理由がない。複合的な理由なのだろうが、主たる原因が見つからない。

米不足となれば政府備蓄米の放出が期待されるのだが、坂本哲志農林水産大臣は「コメの需給や価格に影響を与えるおそれがあり、慎重に考えるべき」といった。これがまたワケが分からない。

実際に放出するとなると米の価格が異常に下る可能性があるから慎重になるのは分かる。しかし、このコメントではどうあっても政府備蓄米を放出しないということになる。そうなれば、ますます価格は上がり入手は困難になるだろう。

金融のことを考えてみればいい。もし為替相場が急騰・急落したときに、日銀が「為替は市場に任せます。どんなに円安(円高)でも介入はしません」と言ったらどうだろう。円安(円高)に歯止めがかからなくなる。まずは口先介入で市場に警告して、それでも効果がなければ介入するのがセオリーである。

米も同じことである。「現在は様子を見るが、これ以上続くようなら容赦なく備蓄米を放出します」ぐらいのことは言うべきだ。特に今回のように原因不明なときは、実際に米が無いのではなくどこかで滞っている可能性が高い。もしそうであれば、放出するふりをするだけで、市場に米がもどってくるはずだ。逆にいえばこれで戻らなければ、別の原因を考えることができる。

しばらくすると新米が出回る。収穫量もよかったらしいから近いうちに米不足は解消されるだろう。対処できないのは政府が無能なのだから仕方がないが、原因が特定できないのでは、また来年の夏米不足になるのではないかと不安になってくる。そして、その不安自体が来年の米不足を引き起こす原因になるだろう。

引っ越ししてから、どういうわけだかUPSの電源が入らなくなってしまった。amazonの購入履歴を見ると2017年11月に購入したとある。UPSの寿命は5〜6年らしいので、故障は仕方がないだろう。

UPSというのは「無停電電源装置」のことで、ようは停電した瞬間にバッテリーから交流100Vを供給する装置である。停電やブレーカーが落ちたときの保険みたいなものだから、無いと困るというものではない。バッテリーに繋がっていないコンセントは生きていたので、やたらでかいテーブルタップとして使っていた。

CyberPower無停電電源装置 (常時商用給電/矩形波出力) 375VA/255W CP375JP
CP375JP
ところが、先日のゲリラ豪雨で埼玉の実家が停電した。その後、大阪で大規模停電がおきた。なんだか停電が増えているような気がする。だんだん怖くなってきたので、UPSを買い換えることにした。

買ったのはCyberPowerのSX550UJP。今まで使っていたものよりもでかいが、これにしたのはSynologyのNAS(SynologyのNASを試してみた(その1):2017年07月21日参照。)と連動させることができるからである。

いままで使っていたのはコンパクトで安いのはいいのだが、PCやNASに連動する機能がなかった。何らかの原因で停電すると100Vを供給してくれるのだが、その間アラームが鳴るだけである。これでは僕がいないときに停電したら何の役にも立たない。今回買ったのはUSBでPCやNASとつなぐことにより、UPSのバッテリーが少なくなると自動的にシャットダウンしてくれる。

SX550UJP CyberPower UPS 無停電電源装置 常時商用給電 矩形波 550VA/330W:amazon

SX550UJP
というわけで繋いでみた。繋ぎ方は簡単、付属のUSBケーブルでUPSとNAS本体を繋ぐだけである。WindowsPCの場合は別途CyberPowerのソフトウェアをインストールする必要があるが、SynologyのNASは繋いだだけで認識してくれる。
UPS情報
あとはNASのコントロールパネルから設定すればいい。現在はバッテリーが少なくなるとスタンバイモードになるようにしている。Windowsの専用ソフトウェアだともっと細かい設定ができるらしい。
コンパネ

繋いだあとコンセントを抜いてテストしてみたところ、無事電源が供給されアラームが鳴るのを確認した。本当は自動的にシャットダウンされるところまでやってみたかったのだが、時間がかかるしそのあと充電しなきゃいけないのでやめた。

さて、古いUPSは捨てなければならないが、バッテリーは自動車のバッテリーと同じ鉛蓄電池なので、簡単に処分ができない。CyberPowerは同じメーカーの同等品であれば送料のみで引き取ってくれるので引き取りを依頼した。

バッテリの引き取り:CyberPower
タグ :
#UPS
#無停電電源装置

前に嵯峨本『伊勢物語』に不可解な挿絵があるという話を書いた。

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その挿絵がこれ。男(在原業平?)が何やら書いているのだが、なぜか女装している。紙も白紙ではなく、わざわざ界線のようなものが書かれている。
isepic43
嵯峨本『伊勢物語』の挿絵は章段の最後か中に挿入されるので、場所からすると93段の挿絵なのだが、どう見ても内容にあっていない。そもそも、この章段は挿絵になりそうな話ではない。

とすると、章段の最初に入れるのは異例だが、次の94段はどうかということになる。
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絵の箇所と思われるのは次の部分である。
女がたに、絵描く人なりければ、描きにやれりけるを、今の男のものすとて、一日二日(ひとひふつか)おこせざりけり。かの男、「いとつらく、おのが聞こゆることをば、今まで給はねば、ことわりと思へど、なほ人をば恨みつべきものになむありける」とて、弄(ろう)じて詠みてやれりける。時は秋になんありける。(以下略)
挿絵のポイントは次の3点である。

  1. 前栽に萩やすすきらしきものが植わっており、屏風にも同じような絵が描いてあること。
  2. 男が女装していること。
  3. 男が書いている紙に界線のようなものがあること。
まず、1の萩やすすきは季節が秋であることを表しているのは明白である。引用文の最後に「時は秋になんありける。」ととって付けたように書かれているので季節はあっている。ちなみに前段は季節が明らかでない。

問題は2のなぜ女装をしているかである。ここで、「女がたに、絵描く人なりければ・・・」という文に注目したい。この文、通常は次のように解釈される。
(男は)女の方に、(その女は)絵を描く人だったので、(絵)描き(を依頼する手紙を女)に送ったのだが、今の男がいるというので、(女は)一日二日(返事を)送らなかった。
「女がたに」は「描きにやれりけるを」に続くというわけである。おそらくこの解釈でいいのだろうが、主語の省略が多くなってしまうので、初見でこう解釈することは難しい。

ところが、「女がた」を「女形」つまり「女の姿」と解釈すると内容はヘンだが比較的解釈しやすくなる。
(男は)女装して絵を描く人だったので、男は描くために女に(手紙を)送ったのだが、今の男がいるというので、(女は)一日二日(返事を)送らなかった。
女装して絵を描くというちょっとした変態行為の意味はさっぱり分からないが、文意としては通じやすいのではないだろうか。

ということは挿絵の男は手紙や歌などの文字を書いているのではなく、絵を描いているということになる。だとすれば、3の界線のある紙は絵を描くための紙を表現していると考えられるし、1の萩・すすきも、それをモデルにして描いていると考えられる。あるいは後ろの屏風も男が描いたと考えてもいいかもしれない。

「女形」という言葉は、江戸時代初期の寛永6年(1629)に女歌舞伎が禁止されてから出来た言葉らしい。嵯峨本伊勢物語の刊行は慶長13年(1608年)なので少々時代が早いが、「をんな」と「かた」の複合語だから、意味として理解できなくはないだろう。
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#伊勢物語
#嵯峨本
#挿絵

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