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2024年10月

今月は衆議院議員選挙があった。結果はご存知の通りである。都知事選挙に続いて、この結果は全然読めていなかった。自公はなんだかんだいって過半数を取るだろうと思っていたし、立憲がこれほど議席を伸ばすとも思っていなかったし、なにより国民民主がここまで議席を増やすとも思っていなかった。いろいろ考えを改めなければないらないかもしれない。

個人的にも、今回の選挙はいつもと違う感じがした。一週間前になっても〈もうすぐ選挙感〉がなかったのだ。投票日直前になって気づいた。

松原仁氏がいないからだ。

僕の住んでいるところは、立憲民主の松原氏と自民の石原宏高氏が一騎打ちする選挙区だった。元都知事の息子というわりにイマイチ影が薄い石原氏に比べると、松原氏は目立っていた。

暮れと正月にはテーマソングをかけた宣伝カーを走らせ、自分が出馬する選挙はもちろんのこと、都議選や区議選など関係ない選挙にも応援で登場し、なぜか自分の名前を連呼する。商店街では通りがかりのおばちゃんを相手によく分からないゴマをする。ともかく存在感がすごかった。

トイレに入っているときに、頭上の換気扇からあのテーマソングが流れてきたときには、正直殺意がわいた。この曲、一度聞くとリピートされて頭の中でヘビーローテーションになるのだ。さすがすぎやまこういち作曲というだけのことはある。あまりオススメしないが、聞きたい奇特な方はこちらをどうぞ。

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しかし、松原氏は今回の選挙から区割り変更により、離党して隣の選挙区(26区)から出馬した。もう、あのテーマソングも聞こえないし、おばちゃんにゴマをする姿を見ることもなくなった。

いたらウザいが、いなきゃいないでなんだか寂しい。まさか松原仁ロスになるとは思ってもみなかった。

なお、松原氏は大差で当選した。

東寺観智院本『僧妙達蘇生注記』の電子テキストを公開しました。

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東寺観智院本『僧妙達蘇生注記』:やたナビTEXT

底本は東寺観智院本『三宝絵詞(三宝絵)』の中巻の末尾に入っているものです。『三宝絵詞』とは全く関係ない作品なので、ページを分けました。「妙達和尚の入定して蘇りたる記」がそのタイトルですが、続々群書類従第16部雑部の「僧妙達蘇生注記」の異本なのでこちらにタイトルを合わせました。いつもどおり、翻刻部分はパブリックドメインで、校訂本文部分はクリエイティブ・コモンズライセンス 表示 - 継承(CC BY-SA 4.0)で公開します。

内容は出羽国龍華寺の僧妙達が突然入定(死亡する)、冥界で閻魔大王に会って、亡くなった人が来世でどうしているかを聞き蘇生するという話です。形式的には、「しろまるしろまる(人名)は生前しろまるしろまるをしたため、現在しろまるしろまるに生まれ変わってどうなった」という話が続きます。

問題はこの人名で、妙達の檀越だった藤原忠平や、なぜか贔屓される平将門、将門を調伏した尊意増命など有名人も出てくるのですが、ほとんどは聞いたことない人ばかりです。カナで書かれていて表記が分からない人もかなりいます。

そんな中で個人的に気になったのは、いくえのよつねです。

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越前国にありし、いくえのよつねと云ひし者は、一生の間、人に物を取らせむと思ふ心深し。常に法師・尼を供養しき。法華経八部、大般若経二部、書き供養し、破れたる寺をつくろひき。この功徳によりて、けうしら国の第一の人となれり。
これだけの内容なのですが、『今昔物語集』17-47に国と名前が全く同じ人物がでてきます。

『今昔物語集』巻17第47話 生江世経仕吉祥天女得富語 第四十七
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しかし、共通点は越前国と名前だけで、内容は吉祥天女のご利益で生江世経が富貴を得たという話で、まったく関係ありません。しかもややこしいことに、『古本説話集』61『宇治拾遺物語』192に類話があり、こちらでは、越前国の伊良縁世恒(いらえのよつね)になっています。何か関連があるんだろうと思いますが、今のところ何も思いつきません。

正直言って面白い作品ではありませんが、奇書であることは間違いないでしょう。
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#僧妙達蘇生注記
#電子テキスト

現在、『三宝絵詞』の電子テキストを作成している。

東寺観智院本『三宝絵詞』:やたナビTEXT
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中巻まで完成したが、東寺観智院本の中巻には末尾に『三宝絵詞』とは全く関係ない『妙達和尚の入定して蘇りたる記』というのが付いている。『僧妙達蘇生注記』の異本だが、『三宝絵詞』はちょっとお休みして、別の作品として電子テキスト化することにした。

東寺観智院本『僧妙達蘇生注記』:やたナビTEXT
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内容は出羽国の龍華寺の僧妙達が突如死亡、七日後に復活して、冥界で見たこと、閻魔王から聞いたことをまとめたものである。閻魔王の話は、日本で亡くなった人がどういう理由で何に転生したかという話なのだが、およそ聞いたことない人ばかりである。最後の方に妙達のリクエストで藤原忠平、平将門などの有名人が出てくる。面白いかどうかは微妙だが、なかなかの奇書である。

出羽国の龍華寺とは、鶴岡市にある善寳寺のことで、昔、人面魚で有名になったお寺といえばわかる人もいるかもしれない。このお寺には以前に行ったことがあって、ちょっとしたご縁を感じる。

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タグ :
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#僧妙達蘇生注記
#三宝絵詞

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