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阪神・佐藤輝 独自理論「縦回転打法」を初激白 来季も継続し、30発&V奪回を目指す

[ 2024年12月8日 05:15 ]

阪神・佐藤輝
Photo By スポニチ

阪神・佐藤輝明内野手(25)がスポニチに自身の打撃理論を初激白した。「縦回転打法」という独自理論を今季、初めて実践。理想のスイングと位置付けて、今後も継続することを宣言した。球団の日本選手で30本塁打を放ったのは、2007年に31本塁打を打った金本知憲が最後。球団創設90周年となる来季に向けて打法を昇華させ、大台到達と2年ぶりのV奪回を目指す。

佐藤輝の目には、はっきりと完成形が見えているようだ。「縦回転」という独自理論で挑んだ初めてのシーズン。スイングの完成度を「今年一年ではつかみ切れなかった」と反省を含みながら、その目は生き生きとしていた。まるで、挑戦を楽しむかのように、だ。

「(取り組みの成果は)試合でしか分からない。目的地は変わっていない。そこにたどり着くまでの方法はいろいろある。スイングをしっかりものにしたい」

目指す打ち方は来季も同じだと宣言した。今季の自己最高打率・268も、プロ4年目で初めて20本を下回った16本塁打も、ほんの過程に過ぎないのだ。

佐藤輝が目指す「縦回転スイング」とは何か。日本に根付く、両肩と地面を平行に回すスイングを「横回転」とすると、それと発想が全く異なる「縦回転」は左右の脇腹を交互に伸び縮みさせて打つ。上半身の動きを例えるなら、横回転はヘリコプターの「プロペラ」、縦回転は「やじろべえ」だ。この「縦回転」の実現には「側屈(そっくつ)が大事」だと虎の主砲は強調する。

「側屈」とは、脇腹縮めるようにして右、左に上半身を曲げる動き。左打ちの佐藤輝の場合、トップをつくる際、投手寄りの右脇腹を縮める。インパクトにかけては、逆に反対側の左脇腹を収縮。右に傾けたものを左に傾けてスイングしてパワーを生む理論だ。コースや高さによって側屈の角度や方向を変え、それに合うバットの軌道を研究。「体の回転の方向と手の向きが一緒じゃないと強い打球にならない」。シーズンを通じて、トライアンドエラーを繰り返した。

実は佐藤輝は背骨が柔らかい。側屈だけでなく、背中を丸める動きも柔軟性に富む。「胸郭(胸回り)はけっこう可動域が広いと思う。子どもの頃からですね。股関節は硬いですけど」。天性のしなやかさが、類いまれな飛距離を生み出している可能性がある。

昨年まで言語化できなかった打撃理論を今は説明できる。その意味で、国内の外部コーチと取り組んできたスイングが「縦回転」だと認識したのは、今季が初めてだった。理解度が深まれば、進歩も加速する。球団創設90周年を迎える来季。理想のスイングが完成すれば自身初の30本塁打と優勝に近づく。(倉世古 洋平)

しろまる...「縦回転」は、近年日本に浸透する「縦振り」とは異なる。佐藤輝は「ちまたでは縦振りがはやっていますけど、自分は縦回転」と訴えた。縦振りは、クリケットのように地面に対してバットを縦に使う。ボトムハンド(引き手)の肘を曲げて開ける場合もある。ゴルフのように前傾姿勢を保つため、肩を平行に回すと、バットを上から振り下ろしてもアッパースイングに見えやすいのも大きな特徴だ。バットの軌道は縦振りも縦回転も似ているものの、「肩を回転させたら軸が傾いていても横回転」と語り、体を左右に傾ける動きで打つ「縦回転」とは、似て非なるものだとした。

しろまる...阪神選手のシーズン30本塁打以上はこれまで14人が32度記録。来季佐藤輝が到達すれば10年のブラゼル47本以来、日本選手では07年金本知憲の31本以来。生え抜き選手に限れば、85年の掛布雅之40本と岡田彰布35本以来になる。

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