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海未「穂乃果のパンツを盗もうと思います」
パンツを盗んだ海未はいなかったんだな
チノ「ココアさん、何作ってるんですか」 ココア「ティッピーパンだよ!」
チノちゃんをパンにすればチノパンだね。
うーん...?w もう一捻り欲しかったな、ありきたりすぎw
エレン「今日はおでんだろ」ミカサ「いいえ焼き鳥」
ワイはおでんをオカズに飯が食える
(注記)現パロです←これ 進撃の巨人でやる必要なくね?w
原作ではエレンが先に死んだ
まゆ「まゆは今日からクール属性になります!」
このスレから10年近くの時を経て、ドミナントガシャでしぶりんはCuに、まゆはPaに、幸子はCoになったという
兎娘「あー世界中の犬と猫が絶滅しねぇかなぁ」兎弟「えぇ...」
うさぎと鶏を同時に庭で飼育した事有る うさぎは手間かかる上気障が荒く最終的には鶏殺害した
チノちゃん「大変です!変態に囲まれてしまいました!」
2018年のごちうさ安価SSなのに人少ないな。
>>1 二期の3年後、3期の2年前だからな
シャロ「6億円が当たったわ!」
二億ならこうならなかった
クロエ「このフトドキモノ」???「それってあなたの感想ですよね?」
???「うっせ!富士山みてぇな口しやがってよぉ!」
【ミリマスSS】 コロちゃんとコロッケ屋さん
三文字でホラーになるの、凄くない?
鞠莉「なんでウチの彼女連中はお◯ぱいが好きなのかしら」千歌「ねぇ」梨子「ねぇ」
果林「何か問題でもあるのかしら?彼女っていうか普通の仲良し同士のスキンシップよね?」 エマ「友達の胸を吸って甘えたりオムツを交換させるのは普通じゃないんだよ」

2013年09月

1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月29日(日) 21:25:04.96 :0YW93UB50

苗木「気にならない? 霧切さん」

霧切「別に」

苗木「だってさ、風紀委員だよ風紀委員!? 霧切さんの前の学校に風紀委員なんていた?」

霧切「いなかったけど」

苗木「それが普通なんだよ! 普通の学校には風紀委員なんて存在しないんだ!」

霧切「そうかもしれないわね」

苗木「いや、そもそも風紀委員なんて実在が疑われるよ。フィクションだけの存在なんじゃないかな?」

霧切「確かに学園が舞台の創作には3割ぐらいの確率で風紀委員が出て来るけど」

苗木「うん、やっぱりそうだよ。そうに違いない!」

霧切「............」


2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月29日(日) 21:26:11.48 :nuirjB2i0
探偵と幸運やら希望もうさんくせーだろ


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ダンガンロンパ SS ☆その他 23
1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013年09月30日(月) 12:03:07.38 :0MtPlUu/o

菜々「...ご、ごめんなさい」

モバP「...」

菜々「...」

モバP「...」

菜々「...や」

モバP「...」

菜々「やっちゃった☆」テヘペロ

モバP「...」

菜々「...」

モバP「...」

菜々「...ごめんなさい」



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モバマス SS ☆コメディ 23
1: だいやまーくhhWakiPNok:2013年09月24日(火) 14:43:42.30 :2Um0e+g50

並木芽衣子「私が総合司会の旅番組、その名も『芽衣子の 選べる☆トラベル』。みんなに現地レポをしてもらうからね」

若林智香「ひゃっほーう☆」

まゆ「地方ロケですかぁ、楽しみですねぇ」

土屋亜子「タダで旅行に行けて、美味しいもの食べられるなんて......フヒヒ」

川島瑞樹「外ロケなら、任せて欲しいわ」

奈緒「島根と鳥取かあ、あんまりピンとこないな」

神崎蘭子「幻の大地へ、我は赴かん」(訳:島根と鳥取ってどこにありましたっけ?)



2: だいやまーくhhWakiPNok:2013年09月24日(火) 14:57:00.54 :2Um0e+g50



並木芽衣子(22)



佐久間まゆ(16)



土屋亜子(15)



川島瑞樹(28)



神谷奈緒(17)



神埼蘭子(14)



若林智香(17)


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モバマス SS ☆その他 31
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月28日(土) 19:00:50.32 :GKcmx+lzO

P「今までお世話になりました」

小鳥「ほ、本気ですか?」

春香「わたしをトップアイドルにしてくれる約束はどうなるんですか!!」

律子「なんの相談もなく・・・突然そんなこと言われてはいそーですかと言うと思いますか!?」

美希「絶対ダメなの!!」

小鳥「理由は!理由はなんなんですか!」

P「けじめです。事務所にいながらアイドルと結婚は出来ませんから」

伊織「はぁぁぁ!?本気で言ってるの!?」

P「もう社長に退職願いは出した。だから、結婚して下さいあずささん」

あずさ「えっ、嫌です」

P「えっ」

あずさ「えっ?」


6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月28日(土) 19:02:59.76 :HFlSP9o40
わろたwwww


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アイマス SS ☆コメディ 42
384: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 01:57:13.37 :wAwMmLgqo



・・・・・・


――間に合わなかった。

Pは心の中でそう呟いて、途方に暮れた。

まさか、恋慕の情を、想いとして留めておくのではなく、明確な言葉で発するとは。

迂闊であった。


385: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 01:59:42.23 :wAwMmLgqo

凛が少なからず自分に想いを抱いていることは判っていた。

凛は、弁えている子だ。

凛は、彼女自身の立場をしっかり認識している子だ。

アイドルが、プロデューサーに恋をしても、叶うことはないと判っている子だ。

だから、ロマンチックな誕生日を演出することで、少しでも報いてやれればと思っていた。

よもや、はっきりと告白してくるとは。

全く予想だにしなかった事態になってしまった。

――俺は、プロデューサー失格だ。


386: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:01:39.60 :wAwMmLgqo


「いいか、凛」

凛の両肩にそっと手を置く。

「お前が好きなのは、"プロデューサー"なんだよ。"俺"じゃない」

Pは首を振って、そう告げた。しかし凛は諦めない。

「確かに、最初に『いいな』と思ったのは"プロデューサーとしての"あなただったかもしれないよ。
でもそんなのは、ただのきっかけでしかない。
プロデューサーとしての存在の向こう側にある、『Pさん』に惚れるきっかけでしかなかったの」


387: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:02:35.11 :wAwMmLgqo

Pは苦しそうに眼を閉じた。

「お前は、わかってたんだろ? あの歌の意味を」

「うん、あの歌詞に込められた裏の意味は、読んだ瞬間にわかったよ」

プリントアウトした紙を見せた瞬間の、凛の顔の強張り。
歌詞の意味に気付いたこと、それをきちんとPは看破していた。

「それでも、私は、プロデューサーの核を成すPさんが好き。
私を変えてくれた、私を輝かせてくれたPさんが好き。
アイドルの立場を取るかPさんへの想いを取るか迷ったよ。でもやっぱり、あなたが欲しいの」


388: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:03:27.11 :wAwMmLgqo

すっ、と立ち上がり、姿勢を正す。

右手を心臓に重ね、芯のはっきりした声で云った。


――あなたの前では、渋谷凛という"女"でありたい――


Pも立ち上がったが、こちらは片手で頭を抱えている。

何も答えられず、まさに苦悶の表情だった。


389: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:04:30.12 :wAwMmLgqo

凛が畳み掛ける。

「あなたに抱き締めてほしいの。
あなたに抱いてほしいの。
あなたになら滅茶苦茶にされてもいいの。
あなたが好きなの......」

Pは、自分の認識誤りに漸く気付いた。

あどけない、初心な子だと思っていた少女は、いつの間にか、男を相手に、抱いてほしいと云えるまでになっていた。

よもや、凛の口からそのような台詞が出てこようとは。

少女は、いつしか、オンナに変わっていたのだ。

凛は、一息置いてから、真っ直ぐに射抜く視線で続けた。

「あなたが望むなら、アイドルを捨ててもいい!」


390: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:06:13.29 :wAwMmLgqo


その言葉に、Pは即座に反応し、これまでとは全く違う、強い勢いと力で両肩を掴んだ。

凛は思わず、びくっ、と身体を縮こめる。

「凛、それだけは絶対に云うな。
今の言葉はつまり、これまでのお前の存在や、お前が歯を食いしばって昇ってきた軌跡を、全否定することだ。
それは渋谷凛のプロデューサーとして、許可できない」

「ぁ......ご、ごめん......なさい。考えなしに、云い過ぎた......」

Pは深く息をつき、

「少し時間をおこう」

お互い頭を冷やして、じっくり考える必要がある、と続けた。


391: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:07:54.21 :wAwMmLgqo

その"頭を冷やせ"という台詞に、凛が泣きそうな顔をして問い掛ける。

「プロデューサーは、私のこと嫌いなの!? 私が本気で云ってるわけじゃないと思ってるの!?」

Pはあまりの苦しさに呻いた。

「そうじゃない。そうじゃなくて、俺は首を縦にも横にも振れないんだよ」

凛はひるまず、プロデューサーとしてではなくPさんとしての言葉を聞きたいの、と云う。

しかしPはその問い掛けには答えず、

「......しばらく、お前のことは鈷に任せよう。
結論を急いじゃいけない」


392: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:09:03.93 :wAwMmLgqo

凛の瞳は絶望に揺れた。

身体が小刻みに震えている。

「そん......な......」

その眼に耐え切れず、Pは付け加える。

「誤解のないように云っておくが、少なくとも、俺はお前を嫌ってなどいない。
むしろ――いや、これは云っては駄目だな。ひとまず、そのことはわかってくれ」

凛は、その言葉に、少しだけ、安堵の色を見せた。

その言葉さえあれば、という表情であった。


393: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:10:02.47 :wAwMmLgqo

「これは極めてセンシティブな問題なんだ。
俺とお前の想いだけで『はいそうですか、じゃあどうぞ』となる世界じゃない。
そのことはわかるだろう」

「うん......」

「軟着陸させなければいけない。
そのためには時を置かなければならないんだ。
いいな?」

その視線には大きな力が込められていて、凛もこれには頷かざるを得なかった。

「......わかっ、た......」


二人の周りには、夜景が、時が止まったかのように、変わらぬ光を輝かせていた。


394: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:11:40.31 :wAwMmLgqo



・・・・・・・・・・・・


会議室にて、Pに第一課全員の面倒を看ろと告げられた鈷は、いきなりのことに相当混乱した。

「卵同士で、二人三脚ゆっくり上がっていくのが良かったのでは......?」

不思議そうに訊いてくる。

「確かにそう云ったな、あれは嘘だ」

「僕、崖から落とされるんです?」

どうやら鈷も、某ボディビル知事のドンパチ映画を知っているらしい。


395: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:12:40.61 :wAwMmLgqo

「冗談だよ。......ちょっとした転換が必要になってな」

近々、第一課を専属して看ることが出来なくなるであろうこと、
鈷には早めにこの部署を背負えるようになってほしいこと、
そして、第一課全員、特に凛の仕事ぶりを見ることで、大きく吸収できるものがあるはずだ、と云うことを説明した。

「それに一箇月半ほどプロデューサーやって、そろそろコツも掴んできた頃だろう?」

と訊くと、鈷はなるほど、と頷く。

「少々急な転換だから、まだ引き継ぎ書類をあまり作れていないんだが、とりあえず今日のところは、
取引先の名刺や簡単な情報をそのバインダーにまとめてある。活用してくれ」

「ありがとうございます。しかし、果たして僕に継げるのでしょうか......」


396: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:13:57.87 :wAwMmLgqo

考え込む鈷に、Pは努めて明るく

「なに、そこまでシリアスに考えなくても良い。訊いてくれれば何でも答える。
いざと云うときには銅や鏷も手を差し伸べてくれるだろう。頑張ってくれ」

「......はい!」

「手始めに、11月下旬発売、つまりマスターアップは10月末となる、凛の三曲目をどうするか構想を練ってくれ」

鈷にとって初めての、プロデューサーらしい作業だ。しかも事務所で一番のアイドルが出す新曲に関する大役。
鈷は身を引き締める。

「わかりました。数日のうちには、方針を決めたいと思います」

「宜しく頼む。あと、俺のことは事務所の戦略に関わるので、必要なこと以外は話さないようにしてくれ。
アイドルたちに、鈷が担当になるのは何故かと訊かれたら、『Pが多忙になるから』とだけ伝えればいい――」


397: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:15:22.46 :wAwMmLgqo


――それが十日前、凛の誕生日の翌日の出来事であった。

ここしばらく、凛には鈷が副プロデューサーとして付き、お盆期間中の特番ラッシュで現場へ直行直帰の日々が続いている。

今日の仕事は、久しぶりに午前中で収録が終わった。

ちょうどよく、新曲の打ち合わせがあるから、と電話で鈷に告げられたので、事務所へやってきたのだが。

「おつかれさまで...... あれ?」

第一課エリアへ足を踏み入れると、Pの姿はなかった。

なにゆえか、凛は微かな違和感を憶えた。


398: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:16:12.80 :wAwMmLgqo

しかしその正体を考える前に、ミーティングルームから出てきた鈷が、凛を視認して迎える。

「おー、おつかれさま、凛ちゃん」

「副プロ、おつかれさま。......プロデューサーは他の子の引率中?」

入口から事務スペースを窺っていた凛が、ミーティングルームの方へ身体を開いて訊ねた。

その言葉に、鈷は少々面食らう。

「え? 何を云っているんだ? Pプロデューサーは昨夜発ったじゃないか」


399: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:17:42.96 :wAwMmLgqo

「......へ?」

凛の手から、鞄がぽとりと床へ落ちる。

ファンには見せられないほど間抜けな、ぽかんとした顔で、凛は鈷を見た。

次第に「何云ってんだこいつ?」と眉根を寄せる顔となっていく。

鈷も、同じような顔になっている。

「副プロ、ちょっと話が見えないんだけど。プロデューサーが昨日、何をしたって?」

「いや、だから、昨日の夜、羽田を発ったんだよ。数時間ほど前にロサンゼルスへ着いてるはず――」


400: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:19:28.90 :wAwMmLgqo

言葉を云い終わるか終わらないかの早さで、凛が鈷の襟元を掴む。

「私、聞いてないよ。これっぽっちも知らない」

「ちょ、ちょ、ちょっと。昨日凛ちゃんは撮影で出突っ張りだったし、出発は深夜の便だったし、
見送りをしたのは社長とプロデューサー陣だけだったから――」

「それにしたって何の話も聞いてないのはおかしいでしょ」

「てっきり、凛ちゃんにはPさんから直接話が行ってるものだと――」

「だから知らないんだって! ロスまで何しに行ったの! そもそもなんでプロデューサーの作業場が、あんな綺麗さっぱりになってるの!?」

鈷の言葉が終わるのを待たずして次々と問い詰め寄る。

そう、凛が感じた違和の正体。

"Pに関する、あらゆる気配がなくなっている"


401: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:20:43.35 :wAwMmLgqo

そしてそれを証明する、鈷の言葉。

「Pさんはハリウッドへ移籍していったんだよ。向こうの――」

凛はついに耐え切れなくなり、掴んだ襟を激しく揺する。

鈷は話している途中だったので、危うく舌を噛みそうになるところだった。

「どういうことなの!? 一体、なんで!?」

「そ、そんなに揺すらないでくれえええ!」

鈷の頭部は、放っておけば鞭打ちになりそうな動きをしていた。

丁度通り掛かったちひろが、後ろから止めに入る。

「り、凛ちゃん、どうしたの!? 落ち着いて!」

「これで落ち着いてなんかいられないよ!」

襟を掴んだまま、ちひろへ振り返って叫ぶ。


402: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:21:43.42 :wAwMmLgqo

いよいよ穏やかならぬ空気を察知して、事務スペースのソファに座っていた奈緒と加蓮が何事かと、焦った顔で姿を現した。

「なんで!? どうして!? 厭ッ!!」

プロデューサーが忽然と消えた――

その事実に凛は異常なほど狼狽し、鈷の襟から離した両手で頭を抱え、一種の錯乱状態に陥っていた。

「おい凛、どうしたんだ凛!」
「ちょっと、凛、凛ってば!」

「厭! 私、プロデューサーがいないと何も出来ないの!!」

凛は、奈緒たちの呼びかけにも応えることなく、取り乱して叫び続けた。

「厭っ! 厭ぁっ! 厭ぁぁっ!!」


403: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:22:45.66 :wAwMmLgqo



――パシン!




404: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:23:43.31 :wAwMmLgqo

軽い破裂音と、その後に拡がる静寂。

凛の横顔を、奈緒が平手打ちしていた。

「ぁ......な、お......?」

床に崩れ落ちた凛が、頬を抑えながら、奈緒を見上げ、眼を見開いたまま荒い呼吸をした。

奈緒が床に膝をつけて云う。

「すまん、大事な商売道具の顔を叩いちまって。でも、ひとまず落ち着かねえと。何があったのかは知らないけどさ。......な?」

「..................ご......めん......」


405: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:24:50.53 :wAwMmLgqo

ちひろが凛の傍にしゃがみ、肩をそっと抱いた。

「凛ちゃん、ひとまず、ソファに行きましょう?」

加蓮も、ちひろの反対側に屈んだ。

「ねえ凛、大丈夫?」

凛は何も声に出さず、青白い顔で、こくりと小さく頷いた。

ちひろたちに支えられてゆっくり立ち上がり、ふらふらとソファへ向かう。


406: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:26:36.33 :wAwMmLgqo


凛を座らせてから、ちひろは戻っていった。両隣に座る奈緒と加蓮は心配そうに凛を窺っている。


「それで......プロデューサーは、なんでアメリカなんかに......」

凛が、自らの身体を抱き締め、微かに震えながら訊ねた。

対面のソファに座った鈷は、こめかみに指を当てる。

「社長から聞いた話では、知り合いの大物プロデューサーに師事させるため、らしいが、細かい部分まではわからない。
空港では、たっぷり腕を磨け! って云って送り出してたけど」


407: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:27:42.35 :wAwMmLgqo

CGプロ内部にレコード会社と同等の機能を持たせようと云う計画は、極めて秘密裡であった。

社長とPの他には銅と鏷、そしてちひろしか知らない。

鈷には、奈緒と加蓮を除く、Pと関係が深かった第一課のアイドルたちを率いていくのに
邪魔となる情報を与えない方が良いとの判断で、計画の細かい部分までは公開されなかった。

銅たちは、それでは流石に第一課のアイドルたちが可哀想なんじゃないか、と社長に掛け合ったが、
「P君がアメリカに行くとなれば、それ以降の彼女たちは、P君が手掛けるアイドルではなく
鈷君が手掛けるそれになるのだ」と云われては、頷くしかなかった。


「――で、プロデューサーがアメリカへ行ってしまった以上、これからは、私を含めて
第一課のアイドル全員を、副プロが担当していく、ってことだね......?」

「うん、そうなるね」


408: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:28:52.20 :wAwMmLgqo

凛の弱々しい疑問に、鈷は全く否定することなく答えた。

そして、その言葉は、凛の中の疑念をはっきりとさせる効果もあった。



――私は......プロデューサーに......捨てられたんだ......



少し離れた休憩室から、テレビの音が洩れている。

どのような運命の悪戯か、芸能番組で凛の新曲が流されているようだ。


409:>>321を聴きながらどうぞ だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:31:56.20 :wAwMmLgqo


――

Hey, good girl
With your head in the clouds
I bet you I can tell you
What you’re thinkin' about
You'll see a good boy
Gonna give you the world
But he’s gonna leave you cryin'
With your heart in the dirt
ねえ 優等生ちゃん
夢みたいなことを考えているのね
断言するわ
あんたは何でもしてもらえる
良い男に出会ったと思ってるみたいだけど
きっとそいつに突き落とされて
泣かされるわよ


410:>>321を聴きながらどうぞ だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:34:07.22 :wAwMmLgqo


His lips are drippin' honey
But he’ll sting you like a bee
So lock up all your love
And go and throw away the key
あいつの唇は甘い蜜を滴らせてる
だけど蜂のようにあんたを刺すわ
だから自分の恋心に戸締まりしなさい
そして開けられないように鍵を捨てることね

Hey, good girl
Get out while you can
I know you think you got a good man
ねえ 優等生ちゃん
手遅れになる前に逃げなさい
あんたは良い男を捕まえたと思ってるんでしょうけど



411:>>321を聴きながらどうぞ だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:34:57.79 :wAwMmLgqo


Why, why you gotta be so blind?
Won’t you open up your eyes?
It’s just a matter of time 'til you find
He’s no good, girl
No good for you
You better get to gettin' on your goodbye shoes and go, go, go...
Better listen to me
He’s low, low, low...
ねえ、なんで気付かないのよ
なんで目を閉じてるのよ
じきに認めざるを得ないときがくるわ
あいつは良い人なんかじゃない
あんたのためにならない
別れなさいって
私の話を聞いた方が身のためよ
あいつは悪い男なんだから――



412: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:36:00.34 :wAwMmLgqo


洩れる音を聴きながら、凛の顔は、青白いを通り越して土気色にまでなっていた。

流石にこの様子には鈷も見かねて、

「うーん、今日は、その状態じゃ打ち合わせは無理だね。
凛ちゃんは明日も朝から仕事だから、今日は早めに上がって休んだ方がよさそうだ。
奈緒と加蓮もさっきレッスンをこなしたところだ、寮へ一緒に帰るといい」

凛は、何も口に出せず、ただ首をゆっくりと縦に一往復させるのが精一杯だった。

鈷は、その魂を抜かれたかのような反応に、苦慮した。

聞かされてはいたけれど、これはどうしたもんか――


413: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:41:05.73 :wAwMmLgqo


――

前夜、東京国際空港。

「海外へ飛ぶのに羽田から発てるなんて、便利になったな」

Pは誰に同意を求めるでもない独り言を、感歎と共に漏らした。

「まったくだ。私も昔はよく海外出張をしたもんだが、毎度々々あんな辺鄙でアクセスの悪い成田へ行くのが億劫でねえ」

はっはっは、と社長が笑った。


414: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:42:05.65 :wAwMmLgqo


Pは既に国際線Eカウンターで搭乗手続きを済ませ、ターミナル四階の江戸小路にある庭園カフェにいる。

見送りにきた社長らと共に、出国までの時間を調整している最中だ。

「折角の門出なのに年寄りや男どもばかりの見送りですまんねえ! せめてちひろ君でも呼んでくるべきだったかねはっはっは!」

社長は、そうは思ってなさそうな口調で謝った。

「いえ、こうして社長にお見送り頂けるだけで充分ですよ」

Pがコーヒーを啜ると、鏷もコーヒーを片手に足を組んでPへ問う。

「おい、第一課の全員とは云わんが、せめて凛ちゃんには伝えてこなくてよかったのかよ?」

今回の件は、Pは第一課の誰にも話していなかった。

「この任務の性格上、あまり表立って云えないしな。隠密行動する忍者の気分だよ」

銅が頬に手を置いて息を吐く。

「それにしたってねェ、凛ちゃんがこのことを知った時の反応を想像すると、ちょっと胸が痛むわ」


415: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:43:27.60 :wAwMmLgqo

鏷もそれに頷く。

「そうだな、せめて一年で戻ってくる、とかくらいは云ってあげてもよさそうなもんだが」

「そりゃ社長曰く一年が目安だが、先のことはわからないからな。数箇月で帰ってくるかもしれないし、数年かかるかもしれない」

目を閉じて云うPに、鏷は身を乗り出した。

「俺もフォローはするけどよ、凛ちゃんは明らかにお前に懐いてたから、果たして云うことを聞いてくれるかどうか」

「......凛は真面目で強い子だ。きっと、わかってくれるさ」

そこへ、カウンターで軽食を頼んでいた鈷が戻ってきた。

「どうぞ。皆さんでつまみましょう」

「お、サンクス」

早速、鏷がひょいとつまんで口へ運んだ。


416: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:45:13.69 :wAwMmLgqo

その横で、Pは鈷へ向き直る。

「いよいよお前が第一課のプロデューサーだ。急な話だったがよくついてきてくれたな」

「いえ、......身が引き締まります」

「俺がこうやって急に発つことで、鈷がPを追い出した、などとあらぬ噂を立てられるかも知れない。
そんな雑音は気にせずに、アイドルたちが惑わされないようにだけ気をつけて、思うままやってくれ」

「はい」

鈷は真剣な顔で頷いた。社長たちは、Pと鈷を黙って見ている。


417: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:46:14.11 :wAwMmLgqo

「最初のうちは第一課のアイドルたち、特に凛が動揺するかも知れない」

"鈷はあくまでPの補佐だ"と認識してきた者たち、特に凛にとって、翌日から急に鈷がプロデューサーとなれば、当惑するであろう。

それは、容易に予想がつく。

「この十日、あいつに付いていて判ったと思うが、一見無愛想でも根は真剣だし、皆のことを考えてくれてる。
まずは、凛の思う通りに行動させてみて欲しい。その上で適切なタイミングにサポートしてやってくれ」

「わかりました」

「あいつは俺の大切なアイドルだ。プロデュース生活の半身とも云っていい。本来なら俺がきちんと面倒を看なければいけないんだが――」

階下の出発フロアを行き交う人の流れに目線を移し、しばらく眺めたのち、眼を瞑って続ける。

――俺は、あいつのためにも行かなければならない



418: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:47:00.45 :wAwMmLgqo


その後、しばらく歓談して、いよいよ時刻。

「よし、そろそろだな。P君、向こうでたっぷり腕を磨きたまえ!」

「はい、社長。ありがとうございます」

そして出国ゲートへ向かう際、Pは最後に鈷へ告げた。

「もし......もし凛が壊れそうになったら、奈緒や加蓮と組ませてみるといいかも知れん」

「奈緒と加蓮、ですか」

「ああ。あの三人は馬が合う。凛は責任感がとてもあるし、強いリーダーシップを発揮するはずだ」

そう云って鈷の肩を叩き、保安検査場へと消えていった。


419: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:48:01.37 :wAwMmLgqo


――

「それにしたって急に渡米なんてねー。鈷さんだけで第一課大丈夫なの?」

大江戸線の車内で、加蓮がワクドナルドのシェイクを吸いながらぼやいた。

「鈷さんは、Pさんが遺してくれた引き継ぎデータがあるから、
しばらくは今までと変わらず問題なく進められる、と云ってたけどな?
だから、当面は大丈夫なんじゃないかとは思う」

「ふーん、ま、それでも鈷さん大変そうだし、アタシらも少し自立意識を持つべきかもね」


420: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:49:07.40 :wAwMmLgqo

凛はほぼ上の空で、隣の二人の会話を聞き流していた。

奈緒の云う通り、クールアイドル全員のプロデュース方針表や固定済みスケジュールが引き継ぎ書類として用意されているので、
それに沿ってアイドルを動かしたり、各方面との折衝を進めておけば、しばらく、おおよそ晩秋までは何もせずとも進められるようにはなっていた。

その間に鈷が各アイドルに付き、プロデュース技術を吸収することに力を割けば、冬以降は鈷でもほぼ問題なく第一課の運用が可能となる目算だ。

イレギュラーな大トラブルが出ない限り、CGプロの業務としては、問題はあまりない。

――只一つ、凛の状態を除いては。

その日、凛は、どのようにして部屋へ戻ったのか、記憶がなかった。


421: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:50:22.76 :wAwMmLgqo



・・・・・・・・・・・・


それからおよそ三週間が経ち、凛の新曲が発売となった。

前評判や注目度の高さから、予想通りの好調なスタートで、
並み居るアイドルや歌手たちを押しのけ、オリコソで初登場一位を軽々と達成した。
音楽番組やバラエティ等でも引っ張りだこだ。

しかし、ここ数週間の凛の仕事は、決して褒められたものではなかった。

勿論、真面目な凛だ、ファンに応える全力投球で仕事と向き合っているのだが、
空回りしたり、ほつれたり、小さなミスが重なっていった。
演技力に定評ある凛が、ドラマの撮影で珍しく二度もリテイクを受けたりした。

鈷のディレクター時代のつてや、銅や鏷の助力ででフォローはされていたので、大きな問題にはなっていなかったが、
テレビ局の監督や、スタジオのレコーディングエンジニア、撮影所のカメラマン、共演する役者等に
『渋谷凛に一体何があったのだ』と首を傾げさせるには充分すぎる、調子の狂いであった。


422: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:51:49.38 :wAwMmLgqo

そしてそれは、パパラッチにとって格好の的となる。

ワイドショーは、視聴者の気を引くために、あることないことを垂れ流した。

それが凛の耳に入り、表向きは気丈に振舞っても、見えない疲労が内心に蓄積されていく。

強烈なフラストレーションに曝されるわずか18歳の少女の身体は、様々な不調を来した。
事務所に所属した初期の頃以来、久しぶりにレッスン中に吐いてしまったし、生理も止まってしまった。

主にマスコミが先陣を切る、凛への、肯定的な視線と否定的な視線、そして好奇の目。
それらが複雑に絡み合い、世間はさらに凛に注目するようになった。
休みたがっている凛の身体にとって、実に皮肉なことだ。

不眠と過眠が反復し、持久力も低下した。しかしその状態でも、身体に鞭を打って歌声を届け、激しい踊りを舞った。
それが更に身体を傷めていく。好ましくないスパイラルだった。


423: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:53:29.65 :wAwMmLgqo


先日の会議では、11月に出す凛の新曲は、バラードでいくことに決まった。

これまで元気な曲しか演ってこなかった凛にとって、それは一種の新境地であったが、
その実、あまりの憔悴ぶりに、激しい歌や踊りは避けた方がよいという判断であった。

積極的な戦略に基づく、ギャップで攻める姿勢ではなく、消極的な採用理由。
しかも、当初は今まで通りの路線で行くことがほぼ決まっていた中でのどんでん返しだった。

凛自身、それには忸怩たる思いがあったが、これが今の自分を映している鏡なのだ。

逆に考えなければならない。逆境を活かさねばならない。

凛はせめて、作詞は自分で行ないたいと申し出た。


424: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:54:40.10 :wAwMmLgqo


――

ふと、身じろいで意識が覚醒すると、凛は事務スペースのソファにもたれ掛かっていた。
どうやら、歌詞を考えているうちに、うつらうつらとしてしまったらしい。

「あぁ、ごめん、起こしちゃったか?」

霞む目を擦ると、正面には奈緒と加蓮が座っていた。

「ん、二人とも......来てたんだ」

意識にもやが掛かった状態でゆっくり言を紡いだ。その凛の声に、加蓮がすぐさま反応する。

「ねー凛、相当疲れてんじゃないの? 折角の綺麗な髪がダメージ受けてるし、肌も荒れてるよ?」

「疲れてないと云えば嘘になるけど......休んでるヒマはないから......」

その言葉とは裏腹に、相当な疲労・消耗している様子が在り在りと視えた。


426: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 02:59:23.54 :wAwMmLgqo

「そうは云ってもなあ、きちんと休まないと、むしろ効率はどんどん低下していくんだぞ?」

「うん、気をつけては......いるんだけどね」

軽く"伸び"をして凛は云った。
ふぅ、と息をついた後、テーブル上のノートとにらめっこを再開する。

「そーいえばそれ、何やってんの?」

加蓮が覗き込むようにして見ると、凛は少し顔を挙げて、

「新曲の歌詞をね、考えてるんだ」

「お? 凛が作詞してんのか?」
「へー、見ても大丈夫なら見せて!」


427: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 03:00:32.59 :wAwMmLgqo

凛はノートを180度廻して、二人の方へ寄せた。


誰かが わたしを呼ぶ 声が 聞こえて
甘い 夢の途中 ぼんやり 目覚めた

恋は どこから やってくるの?
窓を 開けたら 不思議な夜明け――


そこには、途中まで書き上げた詞が、試行錯誤の筆跡と共に記されていた。


428: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 03:01:45.75 :wAwMmLgqo

「へー、綺麗で甘い、いい詞じゃん」
「うおお、なんかすげえ切なそうな歌詞だな」

二人は口々に感想を述べる。

「そうだね、甘く切なく、したいから」

少し遠くを見て凛がそう云うと、奈緒がぎょっとしたように声を出した。

「お、おい凛、なんで泣いてるんだよ?」

奈緒の言葉に、加蓮も気付き、同様に驚いた顔をする。

「......え? 泣いてる? 私が?」


429: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 03:02:45.82 :wAwMmLgqo

凛は不思議そうに訊いてから頬を触ると、両目から、泪がこぼれていた。

そんな意識など微塵もなかったのに。

「おかしいな。自分では泣いてるつもりは全くないんだけど」

「ねえ凛、こないだの件といい、ちょっと診てもらった方がいいんじゃない?」

加蓮がそう云って、自らと凛の額に手を当て、「熱はなさそうだけどさ」と付け加えた。

凛は少し困惑した顔で、大丈夫だよ、と告げるが、説得力は皆無であった。


430: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 03:03:40.05 :wAwMmLgqo


そこへ鈷がやってきて、ソファに腰掛ける。

「流石にここ数週間といい、最近の凛ちゃんは、ちょっとあぶなっかしい感じがするね。
この分だと、道路を上の空で歩いてたら車に轢かれた、なんてことも現実に起こり得そうだから怖いな」

不穏なことを云うが、それを否定できないのが辛い。

「そこで、だ。三人の相性が良さそうだから、新たにユニットを組んで動いてもらいたいんだ」

「ユニット? 私すでにニュージェネレーションを組んでるのに?」

それは云うまでもないことだった。
現在のところCGプロ唯一であり、パイオニアであるユニット、ニュージェネレーション。鈷がそれを知らないわけはない。


431: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 03:05:40.26 :wAwMmLgqo

「そう。ニュージェネレーションとはもう一つ別の、第一課の中で完結できるユニットを、お前たち、りんなおかれん三人で組んでほしい。
ユニット化させれば一度に多人数を扱いやすく出来るし、何よりも、最近の凛ちゃんの痛ましさを見ていると、
無理矢理にでも看る奴が必要そうだと思ったからね」

「なんだよそれ、あたしのこと云ってんのか?」

"無理矢理"との言葉に、心外だと云うような顔をした奈緒へ、鈷は苦笑する。

「奈緒も加蓮もだよ。二人はひよっこなのに、もう凛ちゃんと気の置けない仲になってる」

「でも、その論理だと別にニュージェネレーションでもいいんじゃないの?」

凛が訊ねると、鈷は、近頃卯月ちゃんや未央ちゃんのソロが増えてきたからね、と答えた。


432: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 03:06:54.36 :wAwMmLgqo

確かに、最近は凛も卯月も未央も、一人で動くことが多い。
それは、それぞれがクール、キュート、パッションと云う別分野にいるため、普段の仕事があまり被らないことに起因する。

その上、卯月と未央のソロ活動そのものも軌道に乗ってきたため、ニュージェネレーションとして絡むことが少なくなっていた。

現在、ニュージェネレーションが集まるのは週に一回、ラジオのレギュラー番組だけである。

三人とも売れっ子である以上、致し方のないことであった。

「だから、凛ちゃんのお守りと云う意味では、奈緒と加蓮はドンピシャの位置に居るわけさ」

同じ第一課で、歳も近くて、既に仲が良くて。
同じ課なので寮も同じ。だから仕事へ直行直帰するときも一緒に行動できる。

ユニットを組むには最適だろう? そう云って鈷は緩く笑った。


433: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 03:08:16.24 :wAwMmLgqo

しかし加蓮は不安そうだ。

「てゆーかさ、アタシたちが凛と組むなんて、大丈夫なの? 云うなればウチのトップと最新参を組ませるってことでしょ?」

「バーターと云ってな、業界ではよくあることだよ。それに、僕はさっき『ひよっこ』と云ったけど、それは凛ちゃんと比べればの話。
二人とも地力の良さがある。たった二箇月強で早くもランクD一歩手前まで上がって来てるんだからね。自信を持っていい」

その言葉に、加蓮と奈緒は、おそるおそるながらも安堵の息をついた。

「丁度いま三人揃っていることだし、ユニット名をここで決めちゃおうか。
仮称として使ってる『りんなおかれん』ってのは名前を呼んでるのかユニット名を示しているのか、声だけじゃ判別しづらいからね」


434: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 03:09:19.77 :wAwMmLgqo

鈷の提案で、早速命名会議が開かれた。――しかし会議と云うよりは、ただの雑談に近い。

「sCOOL GIRLってのはどうだい?」
「それあたしたちが学校卒業したらどうすんだよ」
「しかもユニットなのに単数形でいいの?」
「ぐっ......じゃあ何か案を出してくれよー」
「フレッシュネスガールズとかラッキーネイルとか」
「どっちもハンバーガー絡みかよ」
「アタシは一応考えてるのに奈緒は突っ込むことしか出来ないワケ?」
「うるせーな!」

鈷、奈緒、加蓮がああでもないこうでもないと侃々諤々たる意見をひたすら述べ合う中、凛がぽつりと漏らす。


435: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 03:10:19.95 :wAwMmLgqo

「トライアドプリムス......とか」

三人の議論がぴたりと止んだ。

「なにそれ? 聞き慣れない言葉だけど」

「トライアルプリズム?」

「奈緒ー、それは流石に難聴の域じゃない?」

「うっせーな!」


436: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 03:11:45.65 :wAwMmLgqo

加蓮と奈緒がコントのようなやり取りをする中、凛が続ける。

「Triad Primsだよ。直訳すれば"取り澄ました三和音"だけど、実際には『おすまし三人組』ってところ」

「おすまし三人組、か」

鈷が顎に手を掛けて思案し始めた。

「奈緒も加蓮も、印象はクールビューティ。実際喋ると、明るいながらも結構冷静で頭が切れるなと思うし。
私は、この通り――無愛想だし。このイメージは、すぐさまブレることはないだろうな、って」

「え、あたしってそんなイメージか?」

凛の解説に、奈緒が少し照れたような表情で問うた。


437: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 03:12:48.04 :wAwMmLgqo

「勿論、奈緒にも加蓮にも快活な面はあるよ。ただ、パッと見た時の第一印象は、やっぱりクールだからね。
既にCGにはCo・Cu・Paを束ねたニュージェネレーションがあるから、"第一課―クール―の"三人、
――っていうイメージを名前でも出した方がいいと思って」

「なるほど。三人の印象を上手くまとめあげて、かつ長期的にも使えるってわけだな。......うん、僕はこれでいいと思う」

鈷が目配せで奈緒と加蓮に問う。

「そうだな、深く考えられてるみたいだ。あたしもこれでいい」

「アタシもいいよ。なんかかっこいーし」


438: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 03:13:58.46 :wAwMmLgqo

鈷は両手で膝を叩いた。

「よし、満場一致で決定だ。意外とすんなり決まったな。もっと苦労するかと思った」

「つーか鈷さんは話を振ってくるのが唐突すぎんだよ」

鈷は面目ないといいながら頭を掻いた。そして懲りずに唐突な話を切り出す。

「新ユニット、トライアドプリムス。これ来月半ばのライブバトルで初お披露目といくから、そのつもりでレッスンに励んでくれ」

「ちょ、おいマジかよ!」

「ちょっと、あと一箇月しかないじゃん! アタシまだまだ体力追い付かないよ!?」

奈緒と加蓮がテーブルに身を乗り出して大きな声で抗弁した。


439: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 03:15:03.55 :wAwMmLgqo

無理もない。

ソロと違い、複数人ではダンスの注意の払い方など根幹的な部分にも手入れが必要となる。

特に加蓮は、所属当初よりはスタミナがついて輝けるようになったものの、まだ激しい動きはできない。

それなのに、たった一月後にユニットデビュー、しかもその現場がライブバトルとは。

「大丈夫、凛ちゃんも一緒だし、三人でやっていけば一箇月でもかなり成長できるさ」

と、鈷は根拠のない自信を見せて胸を張る。

凛は、そんなやりとりをする三人を見て、云い様のない焦燥感に見舞われた。


440: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 03:16:06.61 :wAwMmLgqo

――これは......私が先輩としても上位ランクとしても、ユニットをしゃんと引っ張って行かなきゃ......

弱音を吐いている暇などない。

弱みを見せている暇などない。

嘘で塗り固めてでも、精神を強く持たなければならない。

身体に鞭打ってでも、先へと走り抜けなければならない。

私は――負けてはならない。



441: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 03:17:19.61 :wAwMmLgqo


ソファに浅く座り直して、疑問をぶつけた。

「ねえ、来月のライブバトルで演るとしても、曲はどうするの? まさかカバーというわけにもいかないでしょ?」

「そうだね、書き下ろしをPプロデューサー......いや、今はPさんと云った方がいいか――にお願いしてる」

凛はPの名前が出ると、一瞬、胸に苦しさを憶えた。

「プロデューサー......に?」

「うん、正直制作にそこまで時間は取れないので、作編曲家や作詞家とやり取りする時間も惜しい。
Pさんなら一人で完パケまで持って行けちゃうから」


442: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 03:18:31.87 :wAwMmLgqo

凛は心の苦さを無理矢理に封印し、目を閉じた。

「副プロが曲書けば?」

「僕は無理だよ。......あと一応今は僕が第一課のプロデューサーなんだけどなぁ......」

頭をぽりぽりと掻きながら鈷がぼやく。それでも凛はきっぱりと、

「別に『鈷さんなんかプロデューサーじゃない』なんて云うつもりは全くないんだ。
でも、私がプロデューサーと呼ぶのはPさんだけ。ごめんね、『副プロ』って云うのはただの呼称だと思ってよ」

「......りょーかい。ま、そう云ってくれるだけでも助かるよ」

鈷は肩を上下に振ってから、曲はたぶん一週間弱ほどで送られてくるはずだ、と説明した。

「初めて組むユニットとしては、その一週間が惜しいね」

「そこは仕方ないさ。その間、奈緒と加蓮はメディアへの露出を増やしていこう。
凛ちゃんは、今月は撮影やキャンペーンガールの仕事がびっしり入ってるからそっちに注力して貰うとして......」

鈷は腕を組んで、今後の予定を告げていった。


444: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 03:51:41.41 :wAwMmLgqo



・・・・・・・・・・・・


仕事と単独レッスンの合間にトライアドプリムスのトレーニングを挟みつつ、三週間が過ぎた。

凛は、トライアドプリムスでレッスンする時なら、比較的スムーズにこなせていた。

Pが凛たちのために書き下ろしてくれた曲だという事実がモチベーションを支えていたこと、

内容が奈緒・加蓮に合わせたレベルであること、そして何よりも彼女の強い責任感によるものであろう。

しかし、こと単独レッスンに於いては、その反動からか、壊滅的と云える惨状であった。


445: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 03:52:49.39 :wAwMmLgqo

以前踏めたステップが辿れない、以前出せた音域が届かない、以前取れた音階が大きくずれる。

必死に取り返そうとして、更に力んで上手くいかなくなる。

厳しい指導が特徴の麗すら、あまりの酷さに心配するほど。

「スランプと云うものは誰にでもある。今は焦らず我慢の刻だ」――いっそ、怒られた方がまだマシだと、自らの惨めさに、陰で独り泣いた。

仕事の内容も、音楽番組ではなくトークやバラエティ主体、
またNTTドコデモの新型iPhoneプロモーションなどと云った、身体を酷使しない方向へシフトされていた。

鈷の顔に、焦りの色が見え始めている。


446: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 03:54:30.91 :wAwMmLgqo


そんな十月上旬、ラジオ局以外で久しぶりにニュージェネレーションの仕事があった。

ファッション誌Eighteenの特集に、モデルとして載るそうだ。

「局以外でニュージェネレーションが集まるのって久しぶりだよね〜!」

銅に送られやってきた、勝手知ったる提携フォトスタジオ。

控室にて、未央がわくわくとした様子で云った。

スタジオ内では、銅とEighteen担当者が最終の詰めを行なっている。

「うん! しかもファッション誌に載るのは初めてだから頑張らないとね!」

卯月も未央同様に、興奮を抑え切れない勢いで答える。

雑誌にグラビアで載ることはこれまでにもあったが、ファッション誌にモデルとして出るのは初めてであった。


447: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 03:55:28.31 :wAwMmLgqo

対照的に、物静かな凛。未央が覗き込んで問うた。

「しぶりん、どした? 元気ないぞー?」

目線だけ未央に向け、しゅんとしながら答える。

「ん......身体の状態があまり芳しくない時に限って、ファッション誌の撮影なんて、しかもみんな読んでるEighteenなんて......タイミング悪いな」

「逆に考えればいいよ〜、グラビアみたいに水着じゃなくてよかったーって!」

未央の云うことも尤もだが......

凛は、未央の考え方を羨ましく思いながら、そうだね、と弱々しく微笑んだ。


448: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 03:56:25.27 :wAwMmLgqo


――渋谷凛さんヘアメイク入りまーす!

スタジオアシスタントに促され、化粧鏡の前に腰を下ろした途端、担当が苦い声を出した。

「渋谷さん、ちょっとお肌の状態が荒れちゃってるわね。以前は下地クリームだけでも充分なくらいだったのに」

「はい、最近身体の酷使が続いてしまって......」

「駄目よ、身体は労らないと。一番の資本なんだから。
――今日のメイクプランは変更ね。カバーファンデとコンシーラーをつけておきましょう」


449: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 03:57:30.05 :wAwMmLgqo

髪を留め、目を閉じて、メイクさんの為すが儘。

縦横無尽に動き回る指が、凛の顔に魔法をかけていく。

よしOK、との声で目を開けると、そこには別人のように輝いた凛がいた。

「すごい......あれだけ酷い状態だったのに......」

「ま、メイクの腕の見せ所ね。一応カバーはこれで大丈夫だけど、やっぱり大事なのは元のお肌の状態を良くすることよ。
化粧で補うことに慣れると、どんどん肌は荒れていっちゃうからね。あまり無理はしないように」

「......はい」

凛は哀しい顔で答えた。


450: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 03:58:58.78 :wAwMmLgqo


ストロボが、リズムよく凛の身体を何度も照らす。

秋コーデに身を包んだ彼女は、カメラマンやEighteen担当者の指示で様々な動きをとっていた。

「凛ちゃん、今日はちょっと顔硬いよー? もっと力を抜こうー」

案の定......と云うべきか、凛の調子は悪い。

そのこと自体は凛も重々承知しているのだが、どこがどのように悪く、どうすれば改善させられるのかがわからない。

上手くいかない時は、往々にして全てが悪く見えてしまい、どこから手を付ければよいのか判断できなくなるものだ。

カメラマンに云われれば云われるほど意識してしまう泥沼。

頭の中は既に真っ白で、必死に何とかしようと藻掻くが、上手くいかない。


451: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 04:00:00.03 :wAwMmLgqo

ついにシャッターの音が止まってしまった。

カメラマンが困惑した顔で、ファインダーから顔を離す。

凛はぎゅっと眼を瞑って、頭を小刻みに横へ振った。

「すみません」

短く嘆息しながら謝罪を述べる。

レフ板の向こうでは、銅がEighteen担当者に何やら耳打ちをしており、

さらにその奥では卯月と未央が不安そうな顔で凛の方を見ている。

「凛ちゃん、こっちおいで。ちょっと休憩しましょ。卯月、先に撮って頂きな」

耳打ちを終えた銅が、手招きして凛を呼び戻した。入れ替わりに、卯月が「はいっ!」と答えながらレンズの前に立つ。


452: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月24日(火) 04:01:27.83 :wAwMmLgqo

「......申し訳ありません」

銅の許へ歩むや否や、凛は苦々しい表情で詫びた。

「うーん、鈷から状態を聞いてはいたのだけれど......。今日の凛ちゃんを見てる限りじゃ、無理矢理笑わせるのはよくないね。
コーデを変更してビューティにしよう。アンニュイな雰囲気的にもそちらの方が合いそうだ。......如何でしょう?」

凛の様子を心配そうに見てから、最後にEighteen担当者を振り返って銅は提案した。

「そうですね、今回の渋谷さんソロは寒色押しで行きましょう。秋コーデのセオリーには反しますが、それもまた一興です。
今の衣装は、ニュージェネ三人集合の際に使います。デュオやトリオでは統一感を出したいので」

「すみません、わざわざ、ありがとうございます」

凛は言葉少なに頭を下げる。他に何を云ったところで、ただの言い訳にしかならないからだ。

「ま、トラブルをチャンスに変えるのが、アタシたちの仕事さ」

そう云って笑う銅の許へ、順調に撮影を終えた卯月が「凛ちゃん、大丈夫?」と駆け寄ってくる。

凛は卯月へ、ゆっくりと、力なく頷いた。

――渋谷凛さん島村卯月さん衣装チェンジ入りまーす! 渋谷さんI12 O8 B4、島村さんI7 O15 B11で――


読む →
モバマス SS ☆シリアス・ドラマ 15
2:以下、新鯖からお送りいたします:2013年09月14日(土) 23:57:47.22 :jhWkmBz3o




PERSONAL DATA

渋谷凛 RIN SHIBUYA

AGE
――17 years old
BIRTHDAY
――10 Aug.
HEIGHT
――166cm
WEIGHT
――45kg
VITAL STATISTICS
――82-57-83


IDOL RANK
――B:super idol





3:以下、新鯖からお送りいたします:2013年09月14日(土) 23:58:31.83 :jhWkmBz3o

――彼女は、落ち着いた美声と佇まいを持っていた。

――彼女は、類稀なる美貌とオーラを持っていた。

――彼女は、すらりと伸びた脚、絹のように輝く長い黒髪を持っていた。

――彼女は、女としての武器が特定部分に偏っていない、バランスの良いプロポーションを持っていた。

――彼女は、輝く世界に魔法をかける素質と、努力の才能を持っていた。


彼女は――まさにアイドルとなる運命を背負って生を授けられた人間のようだった。


4: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月15日(日) 00:00:18.40 :dTdgwxAZo




・・・・・・・・・・・・


2013年 三月某日



振り返らず前を向くよ――――

凛の目の前で蒼いサイリウムがたくさん揺れている。彼女の刻み付けるビートに乗って、規則的に、統率的に。


ラストのサビを歌い上げ、縦ノリの曲はアウトロへ。彼女の身体が一段と躍動し、最後の輝きを放つ。
Never say never、彼女のデビュー作は、アンコールとして応えた曲だった。

"諦めるなんて言わない"――最後の曲としてなんと相応しいことだろう。
シンセリードが入ってくれば、もうじき全てのプログラムは終わりだ。




5: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月15日(日) 00:02:17.75 :dTdgwxAZo

曲がFadd9のオケヒで締められると同時に、その場を支配していた偶像は右に半身の構えでポーズを決め、
自身を照らす正面のスポットライトに向けて左手のマイクを突き出した。

地鳴りのように沸き上がる歓声。横浜アリーナを埋め尽くす観衆が、
ステージの上に立つ華奢な少女へ、最大の拍手を贈った。


――しーぶーりん!

――しーぶーりん!


偶像を呼ぶ声が聞こえる。

偶像を讃える声が聞こえる。



6: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月15日(日) 00:03:44.57 :dTdgwxAZo

「みんな! 今日は私のためにありがとう!」

全身から汗が噴き出ていた。それこそが壮快だ。
額や頬をつたうもの、顎の先からしたたり落ちるもの。白い腕の表面へ珠のように浮かび、光を乱反射しているもの。
全て、彼女が放散させた意力の形態―カタチ―だから。

全身が悲鳴を上げていた。それさえも心地よい。
首筋を流れる汗に張り付いた髪、激しく上下する胸と肩。蒼いブーツに隠されたところで、密かに痙攣する脚。
全て、彼女が全力で駆け抜けた証左―アカシ―だから。


凛が発する、有らむ限りの感謝を示した叫びに、観客はより一層の歓声を返した。
その喝采に見送られながら、彼女は少しだけ名残惜しそうに舞台の上手へと下がっていった。


7: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月15日(日) 00:05:46.82 :dTdgwxAZo



・・・・・・・・・・・・


「よぉし、よし! 凛、最高だったぞ!」

無事役目を勤め上げ、
上手袖へ戻ってきた少女を一番最初に迎えたのは、他でもない凛の担当プロデューサー、Pだった。

ガッツポーズをした腕をぶんぶんと上下させ、まるで我がことのように喜ぶその姿を見て、凛は苦笑した。
「プロデューサー、はしゃぎすぎだよ」

しかしPは意に介さない。
「二人三脚でやってきたアイドルがソロで横浜アリーナ3DAYSを埋めて成功させたんだぞ、嬉しくないわけがないだろう」


そう、今をときめくアイドル業界、破竹の勢いで進撃する渋谷凛の横浜アリーナ単独ライブ、今日はその千秋楽。

デビューから僅か二年しか経っていない若偶像が、三日間で延べ四万人を動員したこの公演は
大成功と云って差し支えなかった。



8: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月15日(日) 00:07:23.71 :dTdgwxAZo

「特にお前は事務所が初めて抱えた......いや、俺が初めて担当したアイドルだからな、感慨もひとしおだ」

Pは黒いレース手套がはめられた凛の手を取って、同じく上下に振る。
激しいダンスで上気した彼女の頬が、さらに赤くなるように見えた。

「ちょ、ちょっとプロデューサー、終わったばかりなんだから落ち着かせてってば」

「あ、すまんすまん。つい、な」

「んもう、どっちが保護者なんだかわからないじゃない」

軽く非難するように見えて、しかし満更でもなさそうな言い種ではあった。

「はは、面目ない。ほら、タオルとOS-1だ」

水色のクロスと経口補水液を寄越しながら破顔するPにつられて、凛も笑顔になる。
ほっと、安堵の色も混じっているように見え、そこにはクールなBランクアイドルの面影はなく、あるのは年相応の少女のあどけない顔。


9: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月15日(日) 00:08:51.33 :dTdgwxAZo

Pは額の辺りの汗を拭っている彼女に訊ねた。

「凛、今日のステージから見た客席はどうだった?」

「うん、今日は特に一体感があったと思う。みんなどうやったらそこまで揃うの? っていうくらいサイリウムの動きも相の手も同じだったし」

「まったくだ、俺もアイドルファンの人たちの団結力には目を見張るものがあるよ」

「ふふっ、そうだね。......ねえ、プロデューサー、この三日間、お客さんみんな楽しんでくれたかな?」

タオルで今度は首の周りを拭きながら、凛は視線だけPに向けて訊ねた。

「そりゃあお前、今も止まないあの歓声を聞けば答えは火を見るより明らかだろ?」

そう言いながらPは袖から観客席の方に親指を向ける。
凛が退場してからというもの、会場の熱気は鎮まることがなかった。


――しぶりーん! ブヒブヒィイイイィィイ!!

――凛ちゃああああん! サイッコオオオオオオ!!


センター席では熱心なファンが、公式ライブタオルを振り回しながら凛に声援を送り続けている。


10: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月15日(日) 00:09:45.15 :dTdgwxAZo

彼女はそれを裏からちらりと眺めながら、
あ、あれはローンソで限定販売された私のタオルホルダーじゃん
などと細かいところに気付く。


それは、終わった・成功した実感が湧いてきたこと、
心に多少の余裕が生まれたことの顕れであろう。

私はやり切ったんだ。胸の辺りから、ゆっくりと、しかし確実に、達成感が全身へと拡がっていく。
知らず知らずのうちに、笑みが零れていくのを禁じ得ない。


Pの方を振り返った彼女の顔は、晴れ晴れとしたスマイルに満ち溢れていた。

「さ、控室へ戻ろうか」
そう促され、凛はPの横に並んで、控室に続く廊下へと消えていった。


18: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 03:31:03.73 :Csght9Kio



・・・・・・・・・・・・


「お〜しぶりん! さっすが、最高だったよぉ〜♪」

「凛ちゃん! よかったよー! 私、もう感動しちゃった!」

控室へ戻ると、同じ事務所のアイドル仲間、本田未央と島村卯月が凛を出迎えた。
二人は興奮冷めやらぬ様子で、

「凛ちゃん、こんな大きな会場を埋め尽くすなんて本当にすごいよ!」

「ホントホント! 横アリのキャパでも、三日分を一瞬で完売にしちゃうんだもんね〜。
この三人の中では、しぶりんがずっと先に走って行っちゃって、
同世代の置いてかれる側としては淋しいですなぁ、しまむーさんよ」

目を輝かせる卯月と、大袈裟に肩を落とす未央。
勿論、未央の仕草はあくまでも冗談なのだが、

「わ、私は未央のことも卯月のことも置いていく気はないよ、ね?」

凛は二人の手をはっしと掴み、それぞれの目を真っ直ぐと見て言った。

「あっはっは、マジメだねぇ〜しぶりん。冗談だよ冗談♪ わかってるくせに〜」

そう言って未央は空いている方の手で凛の肩を叩きながら笑う。卯月も柔和な笑みを浮かべている。
そもそもこの三人は同期。今更気兼ねなど必要ない間柄なのだ。



19: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 03:31:49.47 :Csght9Kio

「そりゃわかってるけどさ......。でも、私だけじゃここまで到底来られなかったよ」

「おっ、しぶりんの恒例、Pさんへのオノロケが早速くるか〜?」

「ちょ、ちょっと未央、そんなんじゃないってば!」

「凛ちゃん、もっと素直になってもいいんだよ?」

「ちょっと! 卯月まで〜〜! もう......」

凛は形のよい眉を少しだけ上げた。しかしそれはすぐに戻り、二人の手を改めて取り直す。


20: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 03:32:27.82 :Csght9Kio

「......二人のおかげ、なんだよ? 切磋琢磨してゆける環境に私を置いてくれた。二人がいなければ、私もここにいない」

「しぶりん......」
「凛ちゃん......」

凛は眼を閉じて、ゆっくりと、反芻するように言葉を続けた。

「きっと私は、巡り合わせが多少良かっただけ。未央も、卯月も、すぐ、この会場を溢れさせるくらいになる。私はそう確信してる」

二人とも、凛がユニットを組んでいる相手だ。

そのユニット『ニュージェネレーション』は、名の通り"新世代"アイドルトリオとして活躍している、CGプロ事務所のパイオニア。

勿論、それぞれがソロとしても活動していることは云うまでもない。

ただし単独で横浜アリーナ3DAYS公演をこなせるのは、現時点のCGプロ所属アイドルでは凛のみであった。

凛の言葉のように、未央や卯月がこの箱を埋められるようになるのはそう遠くないのだが、それはまた別の話――――



21: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 03:33:06.31 :Csght9Kio

言い終えて眼を開けた凛は、照れ隠しなのか、不自然にハキハキとした言い回しで言葉を遺す。

「じゃあ私はシャワー浴びてくる。二人の相手はプロデューサー、よろしくね」

そして彼女は、Pの返答も待たずシャワー室へと小走りで向かっていった。
おそらくその顔は、朱が差しているに違いない。


22: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 03:33:59.69 :Csght9Kio


「......しぶりん、ずっと先を走ってるけど、常にニュージェネのことも考えてくれてるんだよね」

「そうだね未央ちゃん。凛ちゃんはいつもニュージェネレーション......ううん、それだけじゃない、事務所の後輩たちのことを考えてる。すごいよね」

凛の背中に目をやりながら、二人はぽつりと、そう漏らした。

卯月は、あはは、と苦笑いしながら付け足す。

「本来なら私がリーダーとして頑張らないといけないんだけど、凛ちゃんに引っ張ってもらって、ラクしちゃってるかもなぁ」

一般論として、ユニットの中で誰かが一つ頭抜ければ、大抵は嫉妬の嵐が襲うものだが、
この三人にはそういった兆候は全く見られなかった。

麗しき女同士の友情――いや、その程度の言葉では生温いかもしれない。

彼女たちは、芸能界と云う戦場で命を預け合った戦友同士なのだ。


23: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 03:34:38.77 :Csght9Kio

Pは、そんな彼女たちの絆を、一種の羨望を以て眺めていた。

「凛の言う通り、あいつが成長できたのは君たちのおかげだ。三人を組ませて正解だったよ」

そう声をかけると二人は、意外、という顔をしながらPを振り返った。

「でも、凛ちゃんの原動力の一番はPプロデューサーさんでしょう?」
「だよねー、しぶりんってPさんが絡む事案だと瞬発力すごいもん」

......女の子はよく見ている。

プロデューサーという立場の人間からすれば、その言葉を首肯するわけにはいかないのだが。

「まあ百歩譲って仮にそうだとしてもだ、一人で背負うにしては重すぎるものをあいつは担ごうとしている。
なのに何故潰れないかと云えば、それは卯月ちゃん、未央ちゃん、君たちがさりげなくサポートしてくれているからだよ」

女の子がこちらをよく見ているのと同様、プロデューサーも彼女たちのことをよく見ているつもりだ。

二人は、Pのその言葉に、僅かだがピクッと反応した。バレてたか、と眼が語っている。


24: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 03:35:17.09 :Csght9Kio

アイドルたちを輝かせるために、芸能界の裏の黒い部分はPたちスタッフが受け持つ。

その点ではアイドルたちは気兼ねなく活動できるのだが、芸能界と云うのは、光り輝く白い部分だけでも、相当な重圧があるものだ。

凛のBランクの現状ですらこうなのだから、世の中のAランクアイドルたちはどんな世界を見、どんな重さに耐えているのだろう。

「これからは、凛だけでなく、卯月ちゃんと未央ちゃんにも、輝く重圧がかかってくると思う。
そのときは、きっと、三人で助け合って歩んでくれよ」

Pの言外に、"より一層覚悟しろ"と感じるものがあったのだろう、彼女らは力強く頷いた。

「島村卯月、もっと頑張らなきゃ!」
「不肖、本田未央も頑張りますぞぉ〜♪」

強い意思の込められた笑顔。
さすがアイドル、こういう顔が"様"になる。



25: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 03:36:08.06 :Csght9Kio


ニュージェネレーションの二人に気合が充填されたところで、
ノックの音と共に迎えの馬車――と形容するには些かむさ苦しいが――がやってきた。

「それじゃあアタシらももっと仕事を獲ってこんとねェ、鏷プロデューサーさん」
「まったくだ、Pにばかり美味しい思いをさせてたまるかよな、銅プロデューサーさん」

それぞれ、卯月を担当する、矢鱈とムチムチでガタイのよい『銅―あかがね―プロデューサー』と
未央を担当する、黒スーツにスキンヘッドにサングラスという出で立ちの『鏷―あらがね―プロデューサー』だ。

このタイミングの良さ......扉の外で待ち構えてやがったな。Pは内心で苦笑いした。


26: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 03:37:04.06 :Csght9Kio

CGプロの企画制作部には三つの部署があり、

クールを担当する第一課、
キュートを担当する第二課、
パッションを担当する第三課――

となっている。Pを含めたこの三人はそれぞれの部署のプロデューサーというわけだ。


27: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 03:37:45.13 :Csght9Kio


「お姫様がた、お迎えの馬車ですよ」

肩を竦めながらPが卯月と未央に促すと、

「どっちかっていうと"ソッチ系"のシークレットサービスみたいだけどね〜♪」

未央が、けたけたと笑いながら担当、鏷の許へ歩んでいった。

鏷は、未央に彼女の鞄を渡しながら言ってくる。

「見てたよ、P。凛ちゃんサイッコーだったな。あそこまで一体感を覚えるライブはなかなかない」

彼にしては珍しい、手放しの賞賛だった。

「そりゃそうだ、俺の秘密兵器だからな」

Pが腕を組んで応えると、鏷も未央の肩を抱き寄せながら

「秘密兵器っぷりで言ったらウチの未央も負けてねーけどな」

と、ニカッと笑って言った。その隣では未央が顔を赤くしてもじもじしていた。

......わかりやすい、とPは思った。


28: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 03:38:26.68 :Csght9Kio

他方、銅はマイペースに手帖を捲りながら卯月の身支度を整えている。

「ほい卯月、そろそろスタジオに向かう時間だ。行くよ」

「はい! 卯月、今日の収録も頑張ります!」

「んじゃアタシらは先に出てるわ、Pはこのあと直帰か?」

銅がドアノブに手をかけながら問う。

「いや、ボックス席へ社長の様子を見に行ってから事務所に戻るよ」


29: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 03:39:03.62 :Csght9Kio

今回のライブは半ば社運を賭けたものだった。この規模を開催するのは初めての経験だったのである。
来賓も多いし、当然、社長は顔を出してきている。

総指揮者としてPは挨拶へ行かねばなるまい。事務所での残務処理もある。

銅、鏷両プロデューサーは、その答えに頷きながら出て行った。

去り際、卯月と未央が手を振ってきたので右手を軽く挙げて返す。


――パタン。

ドアの静かに閉まる音と同時に、静寂が訪れた。
空調の微かな音だけが耳に届いてくる。
今回のライブ光景を反芻したいところだが、まだやることは山積だ。

Pは凛に書き置きを残してから控室を出た。


30: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 03:40:03.30 :Csght9Kio



・・・・・・・・・・・・


「いやぁ〜P君、今日のライブはよかったよォ〜! ティンときた!」

ボックス席につながる通路へ通りかかると、社長と来賓が退場してくるところに出くわした。

そしてPの存在を認めるや否や、真っ黒いシルエットの人物が笑いながら握手をしてくる。

765プロの高木社長だ。
所属アイドルの全員がAランクと云う化け物じみた事務所。

特に、天海春香、如月千早、星井美希と云った面々は、
テレビを点ければどんな時間でもどこかしらの局に映っていると言っても過言ではないほどである。

それをたった二人のプロデューサーで廻していると云うのだから恐れ入る話だ。


31: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 03:40:38.79 :Csght9Kio

Pも一人で同じくらいのアイドルを抱えてはいるが、それはFからBまでまちまちだ。
十人以上がAランクの職場の多忙さを想像すると、他人事ながら、それだけで頭が痛くなった。

「君のところの社長に是非ともP君と渋谷君を欲しいと常々言っているんだがねェ〜〜!」

リップサービスなのか本気なのかよくわからないテンションで、高木は言う。

その後ろでは、うちの社長が顔を引きつらせていた。

「ははは......光栄です」

こめかみに一筋の汗を垂らしながらPは高木へと頭を下げた。



32: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 03:41:51.63 :Csght9Kio

「フンッ! その程度で浮かれていては近いうちに足元を掬われるぞ」

高圧的な声が、さらに後ろの方から聞こえてきた。

高木と同じく真っ黒いシルエットの人物、業界最大手の961プロ、黒井社長だ。

まさか961プロの社長が、新興事務所であるCGプロのライブの招待に応じるとは、
開催直前に知らされたときのPは腰が抜けそうになったものだ。

どうも、うちの社長はかつてプロデューサー時代、
黒井と高木――当時は共にプロデューサーであったが――と懇意にしていたらしい。

「君ィ、確かにイイ線は行っているかも知れんね。だがまだまだケツの青さが抜けとらんな」


34: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 03:42:27.87 :Csght9Kio

黒井は自らの額をとんとんと叩きながら続ける。

「彼女の素材としてのポテンシャルは評価しよう。
だが961プロではあんなものは候補生クラス。貴様の魅せ方もまだまだなっとらん。
まあ、我、が、社、で、徹底的に鍛え上げればジュピターにも比肩しうる存在になるかもしれんがね!
ハァーハッハッハッ!」

端から見れば散々な言い草だったが――
961のジュピターは765のナムコエンジェルと並び、男性アイドルのトップに君臨しているグループだ。

これは黒井なりに、発破をかけてくれているのだろう。

黒井は765プロに対しては悪辣な部分もあるが、
本心ではアイドル業界全体の底上げを願っていると聞いたことがある。

「......ご指導ご鞭撻、宜しくお願い申し上げます」

Pは、深く頭を下げた。


35: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 03:43:14.08 :Csght9Kio



・・・・・・・・・・・・


凛はひとり、シャワー室で汗を流していた。

ぬるめの湯が、艶やかな髪から、ふくよかな双丘、そして白い大腿と、火照った全身を撫でてゆく。

耳に入るのは、優しい水音のみ。
しかし彼女の頭の中には、ステージ去り際の歓声が、ずっと、こだましていた。


これまで、同じようなキャパシティの会場で演ったことは何度もある。

しかし、三日間ぶっ通しで行なうと云うのは初めての経験であった。


36: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 03:43:47.92 :Csght9Kio

観客動員数のプレッシャーもさることながら、
数日に渡ってライブパフォーマンスをするのは、体力を保てるのか不安に思ってもいた。

でも、プロデューサーは、お前なら出来る、と常に支えてくれた。

あの人がそう言ってくれると、

いつの間にか自分もやれる気になってしまっている。

不思議なものだ。

「プロデューサー、私、あなたの期待に応えられたかな......」



37: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 03:44:22.51 :Csght9Kio


私は、偶像。

あの人が"渋谷凛"を形作り、

私は"渋谷凛"という存在を表現し、

観客はそんな私に熱狂する。


存在を表現すると云うのは、実に――楽しい。


眼を瞑ると、たくさんのファンが応援してくれた、先ほどの光景が浮かぶ。

揺れるサイリウム、飛び交う声援、観客と共に踊る振り付け。

数万もの人が、一点に、私に、視線を送る。

ああ......いまでもゾクゾクするよ。



38: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 03:44:59.01 :Csght9Kio


人間には誰しも、自己顕示欲と云うものがある。

ねえ、もっと私を見て?

ねえ、もっと私を聞いて?

ねえ、もっと私を――感じて?

この快感、クセになる。


......でも、ヒトが見る私は、渋谷凛というアイドル。

ただの、偶像。

ただの、容れ物。

さて、それは本当の私?



39: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 03:45:27.48 :Csght9Kio


ただの容れ物だとはいえ、大勢が見てくれるのは嬉しいこと。

頑張れば頑張るだけ、ニュージェネレーションの露出も増えるし、未央たちの手助けにもなる。


だけど、いつも偶像を演じていると、時には疲れてしまう。

偶像を解き放ちたい、そう思う刻が、確かにある。

そんな刻、決まってあの人は支えてくれる。

そんな刻、あの人がとても頼もしく見える。


40: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 03:46:15.08 :Csght9Kio


勿論、あの人はプロデューサーで、私はアイドル。

この仄かな憧れを、これ以上昇華させるわけにはいかない。

でも......そっと、心の中に持つことくらいなら、赦されてもいいでしょう?

アイドルである以上、結ばれることはない。

しかし、アイドルになったからこそ、あの人と出会えたのだ。


そう、それでいい。
今は――それでいい。




41: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 03:46:46.34 :Csght9Kio

凛はこれまでに何度も繰り返してきた自問と自答を終えると、ふぅ、と軽く一息吐き、シャワーを止めた。

あまり長居をしてはいけない。撤収の準備は間もなく始まる。

彼女は手早く身なりを整え、シャワー室を後にした。


42: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 03:47:13.14 :Csght9Kio



・・・・・・・・・・・・


控室でPの書き置きを読んだ凛は、Pを捜して裏廊下を歩いていた。

階段を上がると、遠くに人影、そして微かにあの人の話し声が聞こえる。

彼は、あそこにいるのだろう。そう思って少し歩を早めると、

――あんなものは候補生クラス。
貴様の魅せ方もまだまだなっとらん――

Pとは違う声。
声自体は爽やかなタイプなのに、その声が紡ぐ爽やかではない言葉が聞こえてしまった。

この特徴的な声、どこかで......


43: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 03:47:55.79 :Csght9Kio

......ああ、業界最大手の961プロ、その社長じゃない。

凛は立ち止まって、唇を噛んだ。

この世界では批判や誹謗など日常茶飯事。
それでも自分の耳ではっきり聞くと、心にぐさりと来るものがあった。

ゴシップ記事のようなただの文字情報と、実際に人から発せられる生の声では、全然違うのだ。

特に業界の大物の発言とあらば、一笑に付すことはできない。

それに、自分のことよりも、プロデューサーを悪く言われたのが、想像以上にショックだった。

プロデューサーはとても頑張ってくれているのに。


44: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 03:48:29.98 :Csght9Kio

......いや、ショックを受けている暇などない。これを成長の糧としなければならないのだ。

961ほどの大手からすれば、まだまだ私はひよっこ。

凛は自分にそう言い聞かせ、彼ら来賓の前で偶像を演じるため、さらに歩を進めた。


45: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 03:49:11.51 :Csght9Kio



・・・・・・


Pと共に控室へ戻った凛は、心なしか不機嫌のように見えた。

ついさっき、来賓に挨拶を済ませたときとはだいぶ違う。

――皆様、この度は私のコンサートにご足労くださいまして、ありがとうございました――

――若輩者にも拘わらず、おかげさまで公演は無事成功裡に終えることが出来ました。皆様のご支援に深く感謝申し上げます――

澄ました笑顔でこんなことを言っていたのに。
もし控室へ戻ってくるこの数分の間で機嫌を悪くしたのでなければ、猫かぶりが巧いものだ。

Pはそんなことを思いながら彼女に尋ねた。

「どうした? 機嫌が悪そうじゃないか」

「うん、ちょっとね」

凛は椅子の上で、器用に体育座りをしながら視線を動かしている。


46: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 03:49:50.51 :Csght9Kio

「俺が何かヘマやらかしたか? 気を損ねたなら謝るが」

「ううん、違うよ。そうじゃない」

その言葉とは裏腹に、唇はへの字に曲がっていた。

出会った頃のようで懐かしいな......
Pはおよそ二年前の凛に思いを馳せ、入口近くに立ったまま腕を組んで、次の言葉を待った。

彼女は意を決したように口を開く。

「......何て言うのかな......さっきさ、黒井社長の話が聞こえちゃって」

Pは、あぁ......あれか、と小さく漏らしてから凛に訊ねた。

「......こき下ろされてムカついたか?」

「むかついた、って言うよりは......」

凛は体育座りをしたまま床に視線を落とす。


47: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 03:50:19.99 :Csght9Kio

しばらくの後、Pの方に顔を向けて続けた。

「......私がどうこう云われるのは構わないよ。自分自身まだまだだって自覚しているし。
......でも、プロデューサーのことを悪く云われたのが......悔しくて......」

凛は拳をぐっと握ってから立ち上がって、Pの許へと近づく。

「ごめんね、私が未熟なせいで......プロデューサーの腕を悪く言われちゃって」

そう、ぽつりと、呟いた。

そんな凛の肩に、Pは優しく手を乗せて、微笑んだ。

「凛、少し誤解している節がありそうだ」

「誤解......って?」

凛は訝りながら、Pの顔を仰ぎ見た。

「俺は、あれは黒井社長なりの発破だと思ってる」

「......あんな意地悪な言い方なのに?」


48: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 03:51:01.64 :Csght9Kio

「そう。黒井社長もああ見えて根は悪い人じゃないよ。
むしろ誰よりもアイドル業界のことを考えてるからこそ、厳しい言葉を浴びせるのさ」

凛は目を閉じて、Pの言葉を消化する。

「アイドル業界に......誰よりも......本気......」

「黒井社長にああ言われるということは、逆に俺たちは期待されていると捉えることもできるのさ」

「期待......されてる......」

凛はゆっくり目を開けて、微かに笑った。
業界最大手の社長に期待されている――そう聞いて何も思わないほど感情の乏しい凛ではない。

「つまり、立ち止まっている暇はないってことだね」

「そうさ、トップアイドルになるまでな」

トップアイドル――その言葉を出した刹那、凛の瞳孔の奥に力が宿る。

「プロデューサー、私、全力で、駆け抜けてみせるから」

Pはその碧い瞳に、吸い込まれていきそうな感触を覚えた。



――これからも隣で私のこと、見ててね――



55: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 21:17:54.04 :Csght9Kio



・・・・・・・・・・・・


四月、新学期の季節。

横浜アリーナでのコンサートを無事終えた凛は、音楽雑誌の事後インタビューなど残務を終えて久々の休みを貰っていた。

たったの数日のみではあるが、年明けからずっとライブの準備に勤しんでいたから......およそ三箇月振りか。

高校三年生になった凛は、だからといって劇的に何かが変わるわけでもない日常を過ごしている。

普通の学生生活に於ける新年度特有のクラス替えは、
凛の通っている、芸能科のクラスがひとつしかない学校には、およそ関係のない出来事であったし、
強いて挙げるとすれば、先輩がいなくなって、自分たちが最高学年になったと云うくらいのものであった。

それでも、大きな規模の興行をこなした直後だけあって、先日昼休みに校庭のテラスで昼食をしていたときは、
ライブを見に来ていた同級生や後輩からもてはやされ、多少こそばゆい思いをした。


56: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 21:21:45.71 :Csght9Kio


一般的には、高三ともなると、否が応でも進路のことを考えなければならない時期だ。

当然今は、このままアイドルでトップを目指すというのが目標。それはデビュー以来変わっていない。

でも......
ふと、二年前を思い返して、もし自分がアイドルになっていなかったら、と〈IF〉に思い巡らす。

ふつーに通学路を歩いて、
ふつーにJK生活を満喫して、
ふつーに憂鬱な考査を消化して、
ふつーに部活とかやって、
ふつーに街で遊んで、
ふつーに受験勉強して。

......たぶん、実家の手伝いに活かせるよう、一橋大の商学部あたりを目指していたんじゃないかな。


57: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 21:28:57.89 :Csght9Kio

そんな他愛もない、パラレルワールドの自分を想像して、凛は惜春に少しだけ胸が締め付けられる感覚を持った。

私に、普通の青春時代は存在しない。

その代わり、私には、アイドルとしての眩い青春時代が存在する。

どちらの方がいいとか、どちらの方が優れているとか、そんなのを云うつもりはないけれど。

私が味わったことのない、普通の青春時代を過ごしている人を、ふと、羨ましく思うときがある。

勿論、そんな"普通"を過ごしている人は、アイドル生活を羨望したり夢想したりするのだろう。

本当に、人間って、ないものねだりをする生き物だ。



58: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 21:32:21.84 :Csght9Kio


............なぜこのような一種哲学的なことを考えているのか。

凛の待ち人がこないからであった。

現在、日曜日の昼前。
オフが重なった未央と渋谷へ遊びにいこうと云う話に、先日なったのだが。

――寝坊でもしたのかな。

駅に着いた時点で一度電話を入れた際は、呼び出し音が十回ほど鳴った後、留守電に切り替わってしまった。

電車に乗っていて取れないのかと判断し、メールを入れておいたものの......

ハチ公前の『アオガエル』に寄り掛かりながら左手首を見ると、既に約束の時刻から15分が過ぎている。


59: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 21:37:19.62 :Csght9Kio


これ以上ここにいるのは好ましくないな――

凛は時計の長針を見ながら、心の中で呟いた。

一応、変装はしている。

髪をアップに結ったり、アイドル仲間の上条春菜からもらった伊達眼鏡をかけたり、瀬名詩織に薦められた帽子を被ったり。

ただ流石にこの場に留まったままでは、見破られるのも時間の問題だろう。

大抵の人は、街の雑踏の中で"まさに今"、"まさにすぐそこ"に、芸能人がいるとは思わないもの。

一瞬気付かれそうになっても「まさか、ね」で終わってしまう。

だから多少の街歩き程度なら、そこまで神経質になる必要はない。

しかし、待ち合わせなど、動かず一箇所に留まっていると、気付かれる可能性は飛躍的に高まる。

そしてそのとき独り、かつ何もしていない状態でいると、十中八九、声を掛けられる。

現に、ハチ公像の隣に立っている中高生らしき女の子が、ちらちらとこっちを窺っている様子だ。

......場所を移さないと。

そう判断した瞬間、凛のiPhoneに着信があった。

未央からだ。ひとまず歩きながら話そう。


60: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 21:40:39.99 :Csght9Kio

「――もしもし未央? どうしたの、もう15分待ってるよ。寝坊?」

『ごめーんしぶりん! 寝坊もそうなんだけど、いま鏷プロデューサーからの電話で起こされて、緊急の仕事が入っちゃった!』

「うわ、急なヘルプか」

『うん、第三課―パッション―で他に空いてる子がいないらしくて、今からブーブーエスに行かなきゃ〜〜あわわ』

「まあ、それじゃ仕方ないね。けど......起き抜けでしょ? そんな状態で局行って大丈夫なの?」

『鏷プロデューサーが車を廻してくれるから、その中で何とかするよ〜〜うわうわメイクどうしよー』

目が蚊取線香のように渦巻いて、デフォルメされた汗が飛んでいる光景が容易に想像できそうな雰囲気だ。
声の向こうからは、バタバタと駆け回る足音が聞こえてくる。

「それじゃこっちのことは気にしないで、準備と仕事に専念して」

『ありがとーしぶりん、ごめんね、この埋め合わせは今度するからぁー!』

そう言い残して電話は切れた。


61: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 21:43:43.57 :Csght9Kio

急遽仕事がブッキングされることはままあるし、自分もよくそれで友達に迷惑をかけている。

だから今回の未央のドタキャンについて怒ることはない。
寝坊も......まあ一つの可能性として頭の片隅にはあったので、これもあまり気にしない。

未央らしいといえばらしいし、ね。


......さて、どうしよう。

オフの日に出かけるときは、たいてい誰かしらと一緒だった。
独り街中へ出るのは久しぶりだから、調子が少し狂う。

アイドル一人でぶらぶら、っていうのは避けるべきだし......
今日は帰った方がいいかな。



62: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 21:47:41.31 :Csght9Kio

――でもせっかく渋谷へ来たんだし、楽器屋でベースの新しい弦を買いたいな。

デビューシングルを出した際、ベースに興味が湧いた私を見て、プロデューサーがコンコードと云うベースを譲ってくれた。

第三課の木村夏樹にその話をしたら目を丸くしていたっけ。

ロックに詳しい彼女曰く「かなりイイモノ」だそうなので、大切に使っている。

今では、そこそこ上達したと思う。夏樹とセッションすることもあるよ。


――あーあとマルキューを覗いたり、アップルストアにも行きたいな......

うーん、マルキューあたりは独りで行くと万一バレたときに少し面倒かも......


そんなことを考えながら、楽器屋のある西口の方へ向かおうと、井の頭線下の横断歩道に差し掛かったとき。

青信号を渡ってきた女性が、凛の目の前で「どんがらがっしゃーん!」と派手に転んだ。

つまづくようなものは何一つないのに見事な転倒っぷりで、身につけていたハンチング帽と黒縁眼鏡が、凛の足元へ飛んでくる。


63: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 21:49:30.66 :Csght9Kio


「......大丈夫ですか?」

凛はそれらを拾うと、転けた人を覗き込んで尋ねた。

その人は、いたた......また転んじゃった......今日二回目だよ......、とつぶやきながら立ち上がり、凛の差し出したものを受け取る。

「すみません、ありがとうございます」

その人が顔を挙げた瞬間、凛の片眉がぴくっと上がった。

業界人は勿論のこと、一般の人間でも知らぬ者はいないであろう人物だったからだ。

「天海......春香さん?」

今をときめく24歳のAランクアイドルその人は、あちゃーという顔を見せた。


64: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 21:51:37.54 :Csght9Kio



・・・・・・・・・・・・


「これからは転んでも解けないような変装が必要ですね......」

春香はソイラテを一口飲んでから、たはは......と苦笑した。

ここは桜丘にあるカフェ。

近傍には大学やオフィスビルがあるため、渋谷駅から玉川通りを一本隔てただけなのに、静かで落ち着ける場所となっている。

さきほど転倒した際の衝撃で彼女の眼鏡が曲がってしまったので、凛は伊達眼鏡を貸すと申し出た。

凛は髪型を変えて帽子も被っているから、眼鏡を外しても、"まだ"、なんとかなる。

そうしたら、もののついでと云うことでお茶に誘われたのだ。



65: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 21:54:25.20 :Csght9Kio

凛は茉莉花茶で喉を濡らしてから問う。

「あの......天海さんほどの人が、どこの馬の骨だか知れない人間とお茶しちゃって大丈夫なんですか?」

それを聞いた春香は目尻を下げながら、

「そりゃあ、一般の方と二人きりでお茶するのは避けますけど、同業の方なら特に問題ありませんし」

「えっ?」

凛は素っ頓狂な声を上げた。
その様子を見た春香は、不思議そうな顔をしながら「あなた、渋谷凛さんでしょう?」と笑った。

まさか。

まさか八年もの間Aランクを独走している天海春香が、新興の私を知っているなんて。


66: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 21:57:34.49 :Csght9Kio

「そんな驚かないでくださいよ。CGプロさんの方々はそれなりに存じてますから」

「そうだったんですか......」

「......さすがに全員は無理ですけど」

「......私でも把握し切れていませんのでそれは仕方ないと思います」

凛は瞼を閉じ、こめかみを抑えながら正直に言った。

春香は口元に手を当ててくつくつと笑っている。

「でもまさかトップアイドルたる天海さんが私なんかのことをご存知なんて、とにかくびっくりで......」

「そんなに謙遜なさらないで。渋谷さんはいま最も勢いあるアイドルとして有名なんですから」

「きょ、恐縮です......」

凛は顔を少し赤らめて、寄り目のようにして手許のカップへとフォーカスを落とした。


67: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 21:59:12.03 :Csght9Kio

「あと、私のことは天海じゃなくて春香、って呼んでください」

「えっ、そ、それは」

動揺して反射的に視線を上げた凛に、春香はウインクして「その方が慣れてますから」と人差し指を立てながら言った。

「......わかりました、春香さん。私のことも凛と呼んでください」

そして、カップを口元へ近づけながら、春香の様子を窺うように言葉を付け足す。

「あと......こそばゆいので、可能でしたら普通に話して頂ければ......」

「おっけー。それじゃ凛ちゃんで! ふ〜、他所往きの言葉は疲れちゃうから助かったよー」

春香は安堵の表情でそう漏らした。

それは、生っすか!?サンデーでよく見る、自然体の彼女であった。


68: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 22:03:28.55 :Csght9Kio

「でもごめんね、わざわざ眼鏡を貸してもらっちゃって。
私、眼鏡かけないとすぐバレちゃうから、転んで眼鏡が壊れたとき正直ちょっと焦ったんだ」

春香は、凛が貸した眼鏡の縁を、くいくいと動かしながら感謝した。

「早いうちに今度そちらの事務所まで返しに往くね」

凛はあわてて両手を振りながら答えた。

「あ、いえいえお構いなく。見ての通り伊達ですし、それにうちにはメガキch......」

コホン、と一度咳払いし、

「眼鏡をたくさん抱えている、妙に詳しい者がおりますので」

「あはは、面白い子がいるんだね」

「ズレにくかったり、壊れにくかったり、変装用眼鏡の選ぶコツを訊いておきますね」

「あ、それ助かるー。私さっきみたいに転んでばかりだから、眼鏡すぐ取れちゃうんだ」

私の変装には眼鏡が必須なのにねと言葉を付け足し、春香は首をやや傾げながら右手で自らの後頭部を叩いた。


69: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 22:05:54.94 :Csght9Kio

「私は髪型を変えて帽子を被れば眼鏡がなくてもまだなんとかなりますけど、
春香さんくらいの髪の長さだと中々そういうわけにはいきませんよね」

「そうなんだよー。
うーやっぱり髪の長い子って、それだけでも判別要素になるよね。
千早ちゃんや美希も髪をアップにすると雰囲気だいぶ変わるしー......」

ソファの背もたれに体重を預けながら春香は独り言つ。

その言葉で、凛はふと気付いた。

「逆に言えば......春香さんは今の私を見て、よく渋谷凛だとすぐにわかりましたね?」

さっき一般の人とは喫茶しないと云っていた。
つまり凛をお茶に誘った時点で春香は気付いていたはずだ。


70: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 22:08:36.45 :Csght9Kio

「あーそれは、プロデューサーさん、
......あ、うちの赤羽根プロデューサーね――が凛ちゃんのバレンタインのSRを持ってるところを見たからだね」

「えっ、あれって市井には出ていないはずじゃ......」

予期せぬ返答に、凛は軽く狼狽えた。
あのカードは、事務一帯を取り持つ千川ちひろが、内部向けの特典として用意したものだったからだ。

「ああうん、一般には出回ってないけど、業界の人間なら、ね。
あれには765―うち―からも何人か参加しているし」

そういえばそうだった。
当時、CGプロの企画に765プロが乗ったと話題になっていたっけ。

「特にバレンタインの凛ちゃんSRは、プロデューサー職の人はこぞって狙ってたみたい。死屍累々だったんだよ?」

赤羽根さん、一箇月もやし生活だったしねー、と、しれっと恐ろしいことを春香は言った。

自分の影響力って、予想以上に拡がっているのかも知れない......
凛は茉莉花の香りを鼻にくすぐらせながら思った。


71: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 22:11:41.99 :Csght9Kio


その後、他愛のない話を色々お喋りして、短針がそろそろ真上を向こうかという頃。

二人のカップはほぼ同時に空となり、お茶会はこれにてお開き。

早朝に収録のあった春香は、これから二時間かけて帰るそうだ。

売れっ子になってもそれは変えてないと言う。

そのガッツに凛は舌を巻いた。

凛の実家は東京西部にある花屋。毎日通えない距離ではない。

しかし、――人が殺到して商売にならなくなるのを避けようとした意図があるとはいえ――
凛自身は、笹塚にある、通学・通勤に便利なCGプロの第一女子寮へ入っている。

春香のような始発列車での長時間通勤は、到底真似できないものであった。


72: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 22:14:09.80 :Csght9Kio


二人、ピークを過ぎた桜の花弁が舞う坂道を、駅へと向かって下りていく。

「今日は楽しかった。他の事務所の子とお話しする機会って中々ないからさ」

「はい、私も先輩にたくさん伺えて楽しかったです」

先輩と云う言葉がくすぐったかったのか、春香は少し照れた風を見せた。

「凛ちゃんさえよければ、また、お茶しようね」

「はい、喜んで」

「あっそうだ忘れてた! 凛ちゃんアドレス交換しよう!」

両手をぱん、と拍手―たた―いてから出された春香の提案。それは凛にとって願ってもないことだった。

「ありがとうございます。是非、お願いします」

よもや天海春香とホットラインを築けるとは、連絡先を交換するのにこれほどドキドキすることが、かつてあっただろうか。


73: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 22:17:03.15 :Csght9Kio

染井吉野の樹の下、二人はiPhone同士をbumpすると――

harukakka@i.hardhage.jp

「春......閣下......?」

「そうそう、ファンの人たちからそういうネタがあるって教わってね、面白いからアドレスにしちゃった」

『てへぺろ』と云う形容がよく似合う仕草で春香は語る。

なんと貪欲な取り入れ方。

こう云う姿勢が私にも必要なのだろうか......考え込みながら歩いていると、玉川通りにすぐ着いてしまった。

春香は駅へ、凛は近くにあるベース専門店へ。通りを渡る歩道橋のたもとで二人は別れる。

「いつでも気軽に連絡してね、それじゃ!」


75:以下、新鯖からお送りいたします:2013年09月16日(月) 22:22:22.94 :TSdTryz3o
ハード禿wwwwww


74: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 22:20:01.71 :Csght9Kio

春香は、頭を軽く下げて見送る凛にひらひらと手を振りながら、雑踏へ紛れていった。

その後ろ姿を眺める。

テレビの中とまったく変わらない天海春香。

その裏表のなさが、彼女をトップアイドルたらしめているのかも知れない。

アイドル天海春香としての味――

凛は、ヒントを垣間見た気がした。

しかし......それをただトレースすればよいのかと云われれば、答は違うだろう。

「私自身の味って......なんだろう......」

この二年間、プロデューサーに導かれるまま我武者羅に走ってきて、考えもしなかったこと。

凛の心の中に、未知の謎が芽生えようとしていた。


76: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 22:24:28.53 :Csght9Kio



・・・・・・・・・・・・


「おはようございまーす」

フロストガラスの扉を開けながら挨拶をすると、ちょうど千川ちひろがコピー用紙を持って通り掛かるところだった。

「あらおはよう、凛ちゃん。今日はオフのはずじゃなかった?」

「うん、そうなんだけど足が自然とこっちに向いちゃって......」

あの後、別れた場所すぐそばの店でベースの弦を買ったものの、手持ち無沙汰になってしまって、
結局、通い慣れた事務所へとやってきたのだ。

「あらあら。ワーカホリックなプロデューサーさんが伝染ったかしら」

そう笑いながら、ちひろはコピー機へと歩いていった。

「プロデューサーさんは休憩室にいるわ」

「あ、ありがとう、ちひろさん」

凛が訊いてもいないのに、ちひろは背中越しにPの居場所を宣った。

なんだかまるで私がプロデューサーへ逢いに来たみたいじゃない。

凛はつんつんと心の中で微かな抵抗をしたが、

「......あながち外れてはいないけれど」

その抵抗はあっさり霧散した。



77: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 22:28:43.79 :Csght9Kio

休憩室に入ると、果たしてPはそこにいた。

入口に背を向け、アコースティックギターを抱えてTommy EmmanuelのLuttrellを爪弾きながら。

斜向かいでは、凛と同じ第一課―クール―に所属する高峯のあが、
それを聴きつつ何故か科学雑誌――それもアンドロイド特集――のページを捲っている。

ふと凛の存在を認めたのあだったが、凛が片目を閉じて唇の前に人差し指を立てたので、そのまま雑誌に目を通し続けてくれた。

心なしか、普段感情を表に出さない、下を向いた彼女の口角が上がっているように見える。

「また新曲に詰まったの、プロデューサー?」

凛が気配を出さないようにして後ろから声をかけると、当のギター奏者は驚きのあまり座ったままの体勢で飛び上がった。

「うおっ!? ......凛か、おはよう。びっくりさせるなよ」

心臓に手を当てながらPは声の主を振り返る。

「おはよ。ギターに没頭しすぎて勝手に驚いただけでしょ」

くすっと多少意地悪く笑いながら、凛はPを回り込んで対面のカウチにすとんと腰を下ろした。


78: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 22:32:09.96 :Csght9Kio

「今度のお前の新曲をどんな方向にしようか考えていたんだけどな、今日はあまり"降りて"こないから気分転換していたのさ」

Pはプロデューサーという立場上、売り出し方、音楽の方向性、予算・進行管理、つまり凛の全てを管轄する。

――いや、凛だけでなくクールアイドルの全てと云うべきか。

CGプロの他課のプロデューサー、銅や鏷と違い、Pは音のラフスケッチを描いてそれを作曲家/編曲家に渡すことが多い。

低予算の場合は、昔取った何とやら、と云いつつ自ら曲を書いてしまうこともある。

だからインスピレーションが湧かないときは、こうやって適当に楽器を鳴らしているのだ。

それはギターだったりベースだったり、はたまたウーリーであったりドラムであったり。

そうすると、不意にアイデアやフレーズが浮かんでくるのだそうだ。
結構よくあることなのだとか。

凛がベースに興味を持ったのも、そんなPを間近で見ていたからであった。

第三課の夏樹が度々「うちの鏷プロデューサーと交換してくれよ」とからかうように言ってくる。

あながち冗談に聞こえないから性質が悪い。


79: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 22:34:09.64 :Csght9Kio


そこへ安部菜々がひょっこりと顔を出した。第二課―キュート―に所属しているアイドル。

......の大御所。

その昭和生まれは、私服の凛を見て、至極真っ当な疑問をぶつけてきた。

「あれー? 凛ちゃん、今日はお休みじゃありませんでしたっけ? なんで事務所へ?」

「あー、うん。プロデューサーに逢いたくなったから」

彼女の問いに凛が真顔で回答すると、当のPは「???」と心底不思議そうな目をしてきた。

ま、思った通りの反応だけどね。

菜々は口を大きく開けて「キャハっ! ダイタンですね凛ちゃん!」と笑みを浮かべているのに。

曲がりなりにもアイドルにあんなこと言われたんなら、もう少し照れたり喜んだりしてくれてもいいと思うんだけどな。

......まあ菜々ほどの反応はしなくてもいいけど。


80: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 22:36:54.41 :Csght9Kio

「冗談だよ。今日は未央と渋谷を街ブラする予定だったんだけど、あの子、急に仕事入っちゃったからさ」

帽子を脱いで、アップにした髪を解きながら答えると、その黒い絹糸の上を、照明の白い反射光が流れていった。

Pは合点がいったようで、「そういえば鏷がだいぶ焦ってたな朝」と
スケジュールの書かれた電子黒板を横目に見ながら言った。

「そうね......他所の部署とはいえ......少々心配になるくらいだったわ」

のあも頷く。

「そんなに大変だったんだ? 結局あれ以降、未央から連絡ないし、大丈夫だったのかな......」

「まあ連絡がないってことは大丈夫なんだろうよ、きっと」

確かに、問題があれば何らかの報せがきているはず。
それがないなら、順調と云うことだ。


81: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 22:39:32.65 :Csght9Kio

凛は話を続けた。

「それで、ベース弦を手に入れたらやることがなくなったから来ちゃった」

「ん、弦? あのコンコードの? どれにしたんだ?」

凛は楽器屋の黒い袋から、買ったばかりのブラックナイロン弦を取り出してPに渡した。

「お、LA BELLA 760Nじゃないか。凛もこれにしたのか」

「うん、こないだプロデューサーが渋くて好きって言ってたでしょ。だから試してみようと思って」

Pが以前、編曲家とオールドスクールな出音が気に入っていると云う話をしていた際、その言葉を凛は憶えていたのだ。

この弦でスラップすると、アタック音が独特の触感になって心地よいのだとか。

「まだ三連プルさえ巧くいかないひよっこだけどね」

最近までツーフィンガーしかやっておらず、スラップを始めて間もない雛鳥な私。

だけど、新しい音の世界を見るのは楽しみだ。

凛がそう言って目を輝かせるとPも笑みを浮かべた。


82: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 22:41:29.70 :Csght9Kio

「凛はリズム感がいいからスラップはすぐに上達するさ」

「音感じゃなくてリズム感? 確かにテンポを保つのは重要だけどリズム感ってそんなに関係なくない?」

顎に人差し指を添えながら首を傾げると、Pはチッチッと手を振った。

「大アリさ。スラップベースは打楽器ともいえるからな」

打音の強弱リズムのつけ方ひとつ取っても、奏者によるセンスがモロに出る。

その点、ダンスのセンスとリズム感に定評ある凛なら飲み込みは早いだろう、とPは力説した。

「ふーん、まあ今度個人レッスンでもしてよ、プロデューサー」

凛は前屈みになり、Pを下から覗き込むようにして云った。

「時間が合えば、な」


83: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 22:43:40.45 :Csght9Kio

Pがすっくと立ち上がり、ギターをスタンドに戻しつつ答えると、それまで寡黙であったのあが口を開いた。

「Pの......"個人授業(My Tutor)"......? 羨ましいわね......」

「おいのあ、言葉に何やら厭らしいニュアンスを感じるんだが」

「ふふ......Pは......厭らしいと感じたのね......? 一体何にかしら......」

言葉だけ聞けばPをからかっているようにしか思えないが、当ののあは科学雑誌から一時も目を離さずに話している。

「のあさんいつも通りだね」

凛が半ば呆れるように言っても、のあは動じない。

「さぁ......私の言葉に意味があるか、それとも気まぐれなのか......其処に意味を見出すのはP、貴方次第よ」


84: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 22:45:16.98 :Csght9Kio

「善処するよ」

Pは観念したかのように両手を軽く挙げて、降参のポーズを取った。

そのまま凛へ向き直り、弦の入ったパッケージを顔の横でひらひらと振った。

「ま、こいつなら、ジャズ、RnB、ソウル、フュージョンによく合う......
渋さはピカイチだが、その良さが判るには、凛はまだ少し早いかもしれんな」

少しだけ苦笑気味にそう漏らす。

「むっ、ちょっと、私を子供扱いする気?」

凛が口を尖らせると、Pは「滅相もございません」と首を振った。

絶対子供扱いだよね、それ。


85: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 22:46:40.89 :Csght9Kio

「まあいづれにしろ、感触がスチールとは少し違うから最初は戸惑うかもしれん。
わからなかったら訊きにくればいい」

言葉の後半でPは表情を緩め、凛に弦を返した。

――おちゃらけた雰囲気からの、この包容力ある笑み。
ほら、プロデューサー、そういうのが女の子キラーなんだよ?

「......うん、ありがと」

凛は弦の入った袋で口元を軽く覆い、心の中の言葉は噯にも出さず、感謝のみ述べた。


86: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 22:48:22.61 :Csght9Kio

そこへ菜々が、ぬっと顔を突き出して問う。

「凛ちゃんがベース弾くのは知ってましたけど、フュージョンやるんですか?」

「え、ううん、別にフュージョンって決まってるわけじゃない......けれど......」

「フュージョン演りませんか!?」

菜々の目はどこか憧れに光っているようにみえる。

「え、ま、まあ......シンデレラガールズのみんなでバンドみたいなことをやってみたい......とは思うけど......」

それを聞いたPは「シンデレラガールズバンドか......アリだな......」と考え込み始めた。

いつでもどこでもそのモードに入るんだから......と凛が思っていると、菜々が鼻息粗く迫ってきた。


87: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 22:49:52.98 :Csght9Kio

「やりましょう、カシオペアやりましょう! ナナ頑張ってキーボード覚えますから――
ギターは夏樹ちゃんや李衣菜ちゃん呼んで、ドラムは......伊吹ちゃんあたり出来そうだから引っ張ってきて、カシオペアイドル演りましょう!
ナナ、ずーっと司会屋実ポジションやってみたかったんです!」

菜々のあまりの勢いに凛は思わずたじろぐ。

「な、菜々......カシオペアって......なに? 星座のこと......じゃないんだよね?」

「凛ちゃん! 知らないんですか! カシオペアを! 知らないんですか!!」

菜々はその甲高い声で詰め寄った。

菜々の目は憧れに光っているのではなかった。猛禽類のそれなのだということに凛は気づいてしまった。

「80年代に一世を風靡したフュージョンバンドですよ! 野呂一生のチョッパーギター! 櫻井哲夫のグルーブ満ち溢れるベース!
司会屋もとい向谷実のKX88から紡がれるコードの魔術! 神保彰のド安定なリズム隊と華麗なタムさばき......!
当時ナナがどハマリするくらい凄かったんですから!」

「と、当時ハマッた......?」

凛は半歩ほど後退って冷や汗を垂らしながら思わず言葉を漏らした。


88: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 22:51:06.69 :Csght9Kio

すると血気で紅かった菜々の顔は瞬時に青くなり、「と、ととと当時のビデオを見たんです!」と弁明したが、

「だからってなんでそんな詳しいメンバー構成や向谷実の通り名まで知ってるんですかねぇ菜々さん」

Pがやれやれといった様相で菜々に問い掛ける。

「な、なんで他の子は呼び捨てやちゃん付けなのにナナにはさん付けのうえ敬語で話すんですかPプロデューサー!!
85年伝説の国技館ライブをベータにダビングしてテープが擦り切れるほど見たからですよ!」

「あ、その映像俺も欲しいですね」

その言葉に菜々は笑みを輝かせたが、そこへPは間髪入れずに突っ込んだ。

「でも菜々さん、今や一般家庭でテープデッキがあるかどうかすら怪しいというのにベータってのは――ちょっと」

「ハッ! ウ、ウ、ウサミン星ではベータがVHSに勝ったので現役なんです! キャハっ!」

「うわぁ......」

Pはさすがに目尻の痙攣を抑えきれなかった。
銅はどうやってこれを捌いているのか心底不思議になる。


89: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 22:52:14.68 :Csght9Kio

その様子を見ていた凛は、Pが引くなんてよっぽどなんだろうなと諦観した。

相変わらず科学雑誌へ目を落としているのあに、声を小さく抑えて訊ねる。

「ねぇ、のあさん、ベータ......ってなに?」

「たしか......昔の......ビデオテープの規格ね......」

「ビデオテープって、一種類だけじゃなかったんだ......」

ぽつりと呟くと、のあはその独言を拾って話を続ける。

「そうね、今で云うSDカードとメモリースティックの違い......
みたいなものかしら......私も詳しくは......知らないのだけど」


90: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 22:53:13.62 :Csght9Kio

凛は少し考え込んだのち、眉をひそめて再度問う。

「......のあさんですら、知らないものなの?」

ついにのあは雑誌から目を離して凛の方を向いた。

「流石に......私もバブルは未経験よ?」

そういえばそうだった。

妙に落ち着いた趣を持っているとはいえ、のあは丁度バブル経済が崩壊し始めた時期に産まれたはずだった。

――しかしどうしてか凛がそのことを信じられないのは、どこか心の奥底で、のあが実は人間じゃないのでは、と思っているからなのかもしれない。


91: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 22:54:15.74 :Csght9Kio


なにやらベースの話題から始まったドタバタに小さな溜め息を吐くことしばし。

奇妙なやり取りをする間に弦をバッグの中へしまっていた凛は、立ち上がってPの横までいくと、彼の左肘を引き寄せた。

「まあガールズバンドのことはひとまず置いとこうよ。これ以上菜々......さんに突っ込みを入れても仕方ないし」

「凛ちゃんもしれっと非道いこと言いますね!?」

凛は菜々のささやかな異議申し立てを華麗にやり過ごして、Pの肘をさらに引っ張る。

「ねえプロデューサー、お昼まだでしょ? 私おなか空いちゃった。ご飯どこか連れてって」

「ん? なんだ凛お前まだ食ってないの? ......じゃあそこらへんのイタ飯にでも往くか。
のあや菜々......さんはどうする?」


92: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 22:55:15.10 :Csght9Kio

「ちょっと、P......こう云う刻にそんな野暮なことを訊くものかしら? ねぇ......菜々"さん"?」

のあは意味深な視線を菜々へ向けた。そんなのあに、菜々は脂汗を流しながら同調する。

「あ、あはは......そうですね、ナナはお腹空いてませんから、凛ちゃんと二人で食べてくればいいと思いますよ〜......」

「? そうか。じゃあ出るか、凛」

「うん、いこ、プロデューサー」

帽子を頭に載せ、心なしか凛の声は弾んでいる。その片手はPの腕を掴んだままだ。

そして、パタンと扉が閉まる音と共に訪れる静寂。

休憩室には、必要以上に疲れた様子の菜々と、無表情で雑誌を読み進めるのあが残されたのだった。


93: だいやまーくSHIBURINzgLf:2013年09月16日(月) 23:01:14.12 :Csght9Kio
ふう、ちょっと小休憩します
息抜きに作中で挙げた曲貼っておきますね

Tommy Emmanuel "Luttrell"
[フレーム]


菜々さんがベータのテープを擦り切るほど見た、カシオペア85年国技館ライブの様子
Casiopea - Looking Up
[フレーム]

Casiopea - Galactic Funk
[フレーム]


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モバマス SS ☆シリアス・ドラマ 10
2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013年09月29日(日) 23:31:38.84 :ZFPWDG/Lo


モバP「ちひろさん、杏、こっちに来てま......っと......」

杏「ZZZ......」

きらり「ZZZ......」

ちひろ「あ、プロデューサー」

モバP「珍しいですね、きらりも寝てるって」

ちひろ「さっきまでは起きてたんですけどね」

きらり「うい......?」

モバP「ああ、すまん、きらり。起こしちまったか」

きらり「ふみゅ、今、何時かにぃ?」

時計を確認して、きらりは大欠伸。


3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013年09月29日(日) 23:32:13.94 :ZFPWDG/Lo


モバP「あー、スケジュールは......うん、無理に起こすことはないか」

ちひろ「大丈夫なんですか?」

モバP「杏のほうは無理に起こすと色々面倒くさいですからね」

きらり「最近は杏ちゃんが頑張ってゆから、ギリギリまで寝かせておいてあげたいって、Pちゃん言ってるにぃ」

モバP「そうは、言ってない」

きらり「お顔に書いてゆよ?」

ちひろ「ふふっ」

モバP「......参ったな」

きらり「今日の杏ちゃんは、本気で疲れてゆから、うるさいはメッ☆だよ」

ちひろ「......あ、いつものぬいぐるみが床に落ちてますね」


5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013年09月29日(日) 23:32:41.51 :ZFPWDG/Lo


モバP「それでわかるのか?」

きらり「杏ちゃんの大事なお友達を抱っこできにゃいくらい、疲れてゆにぃ」

モバP「なるほどな」

ちひろ「ずいぶんとくたびれてますよね、そのうさぎぬいぐるみ」

モバP「そういや、初めて事務所に来たときから......いや、初めてこいつにあったときから肌身離さずだよなぁ」

きらり「うさぎ......」

ちひろ「?」

モバP「?」

きらり「?」

何故か顔を見合わせる三人。



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モバマス SS ☆ほのぼの・しんみり 24
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月29日(日) 18:45:29.88 :FYdo3irZ0

自転車に乗りながら球場の外を走っていた俺は

球場の外でランニングしていた斎藤とぶつかり

気が付くと、俺達の身体は入れ替わっていた

俺は元の身体に戻る方法を探しつつ

斎藤の身体を借り日ハムのメンバーとしてシーズンを戦う事になったのだが...


11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月29日(日) 18:52:06.00 :FYdo3irZ0

栗山「交流戦に突入して今日からは甲子園で阪神戦だ」

黒木「藤浪投手にいきなり斎藤をぶつけるんですね」

栗山「ああ、今の斎藤なら何とか対抗できるだろう」

黒木「大谷と藤浪の対戦だけでもファンは歓喜しますからね」

栗山「うむ」


―甲子園―

藤浪「斎藤さん、よろしくお願いします」

試合前、藤浪が今日先発の俺に挨拶をしてきた

斎藤「ああ、こちらこそ」

斎藤(田中)は軽く会釈をして大嶋とのキャッチボールを再開

大嶋「やっぱ生で見るとすげぇ身長高いっすね!」

斎藤「大谷が193?で藤浪は確かに197cmぐらいだしな」

大嶋「あんなに身長が高い投手なんて日本にそういないですよ!」


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その他 SS ☆冒険・バトル 13
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月29日(日) 08:36:30.91 :o+pcAzHY0

―第501統合戦闘航空団基地 個室トイレ―

エイラ『それでな、サーニャが放ったロケット弾がネウロイに命中したんだ。すごいだろ?』

芳佳「はい。やっぱりサーニャちゃんはすごいですね」

エイラ『だろ? だろ? 宮藤は分かってるなぁ』

芳佳「エイラさーん。そろそろ私出ますけどー」

エイラ『え? そうなのか? ちょっと待ってくれぇ』

芳佳「先に手を洗って外で待ってますねー」

エイラ『待ってって、みやふじぃー。――ん? なんだこれ? お尻......ビデ......?』

芳佳「エイラさーん。待ってますか――」

エイラ『ウワァァアァァァァア!!!!!! みやふじぃ!!! たすけてくれぇぇぇ!!! みずが!! みずがぁぁぁ!!! かおにぃぃ!!!』

芳佳「エイラさん!? どうしたんですか!?」


2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月29日(日) 08:40:57.02 :o+pcAzHY0

エイラ「宮藤ぃ!!」ガチャ

芳佳「エイラさん!! ビショビショじゃないですか!! 何があったんですか!?」

エイラ「うぇぇぇ......最悪だぁ......。いきなり、トイレから温かい水が......ピューって......」

芳佳「どういうことですか?」

エイラ「とりあえず見てくれ......まだ出てるから......」

芳佳「あ......。ホントだぁ......。なんですか、あれ......」

エイラ「私が聞きたいぐらいだぁ!!」

芳佳「とりあえず着替えてきたほうがいいですよ、エイラさん」

エイラ「そうだな。そうする......」

芳佳「あ、これどうやって止めるんですか!? このままじゃトイレが水浸しになりますよ!?」

エイラ「そんなの私が知るわけないだろ」

芳佳「あ、そうですよね」

エイラ「あぁぁ......トイレの水をかけられたぁぁ......」

芳佳「と、とにかくとめないと」


4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月29日(日) 08:46:30.86 :o+pcAzHY0

芳佳「うーん......。止め方が全然わからない......」

芳佳「とりあえず、バケツで受け止めて......」

美緒「宮藤。今、エイラの叫び声が聞こえたのだが、何があったんだ?」

芳佳「あ、坂本さん。みてください。トイレが水芸始めちゃって」

美緒「水芸? おぉ。中々立派だな。はっはっはっはっは」

芳佳「笑い事じゃないですよぉ。この所為でエイラさんが濡れちゃって、大変なんですから」

美緒「だが、どうしてこんなことに?」

芳佳「わかりません。坂本さんも知らないんですか?」

美緒「うーむ......」

芳佳「ああ、バケツが一杯になっちゃう」

美緒「この便器の傍にある装置はなんだ?」

芳佳「え?」

美緒「これだ」ピッ

芳佳「あ。水がとまりましたね」

美緒「なるほど。これがスイッチになっているのか」


6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月29日(日) 08:50:46.96 :/SdniGaWi
もっさん頼りになるな


7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月29日(日) 08:52:35.25 :aH507XnA0
さすがもっさん


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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013年09月29日(日) 21:06:21.07 :eDS15cVko


愛海「...」

モバP「正確には俺とちひろさんも、だがな」

モバP「...確かに、主にちひろさんが金に目がくらんだ事は認めよう」

愛海「...」

モバP「黒井社長の胸なんざ揉むのはさぞかし辛かった事だろう」

凛「...?」

モバP「ジュピターさんもお前の事をとても心配してくれていた」

モバP「本当に、すまなかった」

愛海「あ、いえ...」



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モバマス SS ☆コメディ 25
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月28日(土) 21:35:34.72 :Csr83BUZ0

苗木「やったぁ!! これでもう夜の絶望におびえることもなくなった!! ありがとう、不二咲さん!」

不二咲「使い方の説明をした方が良いかな?」

苗木「えっと......自慰の回数が見えるんだよね?」

不二咲「正確には『最近72時間の自慰絶頂回数』が分かるんだ。
何度自慰を行っていても絶頂を迎えなければ回数は0になっちゃうけど......」

苗木「つまり実際は数字より多いかもしれないんだね! なんだか希望がビンビンだよ!!」

不二咲「くれ悪ね」

苗木「モチロンさ!!」

―――
―――

苗木「さて、まずは誰に使おうかな」

>>14


14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月28日(土) 21:36:15.59 :FviGmjuk0
ちーたん


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ダンガンロンパ SS ☆コメディ 13
1:以下、新鯖からお送りいたします:2013年09月19日(木) 19:16:57.39 :jOc5Vl820
・モバマスSSです。
・地の文アリ。
・トライガン、トライガン・マキシマムのセリフパロがあります。


2:以下、新鯖からお送りいたします:2013年09月19日(木) 19:18:20.74 :jOc5Vl820




不思議な少女に出会った

懐にづかづかと入ってきたかと思えば

ただただ好きな事をまくしたてた

伝えようと、伝わろうと、必死だった


俺はそういうのにも慣れていたが

だが彼女の中では、どうだったのだろう





3:以下、新鯖からお送りいたします:2013年09月19日(木) 19:19:20.34 :jOc5Vl820


その日は、あいにくの雨だった。
しとしとと、やむ気配のない小雨が残暑の気候と合わさって、絡みつく様な空気を作りだしていた。

「早いとこ帰ろう......どうにもじめじめして、クーラーが恋しいや......」

昼食を食べに外に出ていたアイドル事務所のプロデューサーが、勤め先に戻るために足早に駆けてゆく。
道すがらのコンビニで買ったジュース類が、ビニール袋の中で揺れてガサガサと音がなった。

「......ん?」

ふと、彼は気になる声を聞いて立ち止まる。
声の出所は、商店街アーケードの片隅で、ギターの弾き語りをしている少女だった。

軽くウェーブのかかった髪の毛に、ふわふわとした白い服。
確か、ヒッピーと呼ばれた人達が身に纏っていた服に似ている――そんな風に思いながら、彼はその歌声の方に向かっていった。



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モバマス SS ☆シリアス・ドラマ 10
1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013年09月24日(火) 22:18:49.65 :w54b4XQZ0

江ノ島「ねえ、苗木。絶望した?」

苗木「ゴア・マガラ始めってだったなら仕方ないよ。支給品とってきていいからね」ピコピコ

江ノ島「うん」ピコピコ

江ノ島「あ」デーン

江ノ島「ねえ、苗木。絶望した?」

苗木「今のは運がなかったとしか言いようがないし、仕方ないよ。もし苦手だったら、採集してていいからね」ピコピコ

江ノ島「うん」ピコピコ

江ノ島(あ......ピッケルが一回で)



2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013年09月24日(火) 22:27:01.60 :w54b4XQZ0

苗木「ふう、終わった。剥ぎ取りきていいよ」ピコピコ

江ノ島「うん」ピコピコ

苗木「あれ、この不在連絡票、いつの?」

江ノ島「今日帰ったら入ってて、あ」

PM9:00

江ノ島「ねえ、苗木。絶望した?」

苗木「僕も確認してなかったし、仕方ないよ、次あったら言ってね」

江ノ島「うん」ピコピコ

江ノ島(あ......全部剥ぎ取りできなかった)


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1:以下、新鯖からお送りいたします:2013年09月03日(火) 23:21:54.66 :a9mZ+IYjO

男「いや、ボクら生徒会の集まりで文化祭の打ち合わせしてるんですよ?」

女「そんなことは百も承知だよ。
けれど、今日は夏休み返上して学校に来てるのに会長である私と書記のキミしかいないんだよ?」

男「まあそれはそうですけど。
だからこそ少しでも打ち合わせをきっちりやっておいて次の議会で話がスムーズに進行するようにするべきなんじゃ」

女「家族旅行だの、塾だの、まあそりゃみんな忙しいのはわかるんだけどさ」

男「先輩だって今年、大学受験でしょ?
生徒会にウツツをぬかしてていいんですか?」

女「まあ高校生活最後の思い出作りなんだし、ハリキってもバチは当たらないと思うよ」

男「だったらその思い出作りのために話し合いをがんばりましょうよ」

女「それとこれとはべつなの」



2:以下、新鯖からお送りいたします:2013年09月03日(火) 23:30:25.74 :a9mZ+IYjO

男「えー」

女「いいじゃん。なんせまだ午前中だよー?
私とふたりっきりでコワイ話しできるなんて嬉しくないの?」

男「いやその、なんていうかですね......」

男(オレとしては先輩とふたりっきりなのはかなり嬉しいことだ。
だけど、どうせならまだ十時過ぎなんだし昼までに会議を終わらせてメシ食いに行くなりなんなりしたいんだけどなあ)

女「もしかしてコイバナのほうがしたいとか?」

男「なんでいきなりそういう話になるんですかね。
顧問の......なんか名前忘れちゃいましたけど、先生がこの状況を見たらボクら怒られますよ?」

女「それなら大丈夫だよ。今日は先生も生徒会のほうじゃなくて部活のほうに行ってるらしいから。
私たちのジャマをする人はいないよ?」

男「......」

女「ね? いいでしょ? コワイ話させてよー」




4:以下、新鯖からお送りいたします:2013年09月03日(火) 23:39:18.48 :a9mZ+IYjO

男(イヤだと言っても、意地でも先輩は話そうとしてきそうだなあ)

女「もしかしてホラー苦手なの?」

男「んー、たぶんそんなことはないと思うんですけどね。
ホンコワぐらいじゃビビりませんよ、たぶん」

女「ふーん。まあ安心してよ。私の話は幽霊が出てくる話ばっかじゃないからさ」

男(なんだろ。今の言い方、まるで話がひとつじゃ終わらなさそうな感じなんだけど)

女「ほんとに大丈夫? 夜中に『うぇーん先輩コワくてねれませーん』とかならない?」

男「なりませんって。ていうか話早くしてくれないと帰りますよ?」

女「あーごめんごめん。おねがいだから帰らないでね」

男「じょーだんですよ。それで? どんな話を聞かせてくれるんですか?」




女「最初の話はね。ある女子大生が素敵なバイトをする話なの」


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男・女 SS ☆怖い話・欝 9
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月29日(日) 00:53:16.53 :ZYVrVtqZ0

P「胸の大きさが真逆になるスイッチ?」

小鳥「はい、らしいですよ」

P「なんだこの怪しげなスイッチは......」

小鳥「社長が買って来たものですからねぇー。私は知りません」


20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月29日(日) 00:58:59.73 :ZYVrVtqZ0

P「押してみたい......ような気もする」

小鳥「辞めて下さいよ、私の胸が小さくなったらどうするんですか?」

P「事務員だから別にいいじゃないですか。写真集出すわけじゃあるまいし」

小鳥「婚期ですよ!こ・ん・き!胸が小さくなって、今よりモテなくなったらどうするんですかー」

P「ど、どうするって......」

小鳥「結婚して下さいよ!胸が小さくなったら結婚!それくらい責任取ってくれるなら押してくれて構いません」


22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月29日(日) 01:03:38.74 :KApqgGmM0
小鳥さん怖い


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アイマス SS ☆コメディ 62
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月28日(土) 00:52:43.76 :I3vFFmWX0

苗木「こ、こんなコロシアイなんて、無理だよ、どうしよう......怖い」

苗木「お母さんもお父さんも妹も、みんな......みんなぁ......怖いよぉ......」

コンコン

苗木「だ、誰か来た......怖い」

ギィ

苗木「あの、訪問販売はお断りしてて......」

舞園「私です、苗木君」

苗木「舞園さぁん! よ、良かったぁぁぁ! さあ入ってよ!」

舞園「え、え?」

苗木「早くっ! 早くぅっ!」


3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月28日(土) 00:58:33.53 :I3vFFmWX0

舞園「あのですね苗木君」

苗木「わかってる! わかってるよ舞園さん! 舞園さんも怖いもんねそうだよね!」

舞園「......そ、そうなんです、それで」苗木「怖いから一緒に寝よっ! ねっ! ねっ!」

舞園「いえあの」

苗木「ボクも怖かったんだぁ、でも二人だから安心だねっ!」

舞園「私は部屋の交換を」

苗木「怖いから早く寝て現実逃避しよう!」

舞園「苗木君、少し話を......」

苗木「お話なら寝ながら聞くよ! さあボクは入口に近い方で寝るから先に入って!」

舞園「ちょっ、ちょっと苗木君待って下さいってば!」

苗木「待てない寝たい怖い!」


7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月28日(土) 01:05:42.48 :I3vFFmWX0

苗木「んぅ......むにゃ......」

舞園「今のうちに、移動しましょう、別の人の部屋に......」

きゅっ

舞園「苗木君の手......まあ放してくれますよね?」

きゅうう

苗木「やだぁ......一緒に寝るのぉ......」

舞園「......」

苗木「放しちゃやだぁ......んぅ、すぅ......」

舞園「ね、寝言、なんでしょうか?」

舞園「......放せないじゃないですか」


11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月28日(土) 01:10:30.60 :I3vFFmWX0

ゆさゆさ

舞園「んん......あれ?」

苗木「起きて、起きて舞園さん、ボクお腹空いたから一緒にご飯食べようよぉ」

ゆさゆさ

舞園「ん、わかりました、ですから少し待っていて下さい」

苗木「うんっ!」

きゅっ

舞園「......その、支度をしたいので手は放して下さい」

苗木「やだ」


13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月28日(土) 01:12:34.60 :zHeVztII0
揺るぎない意思を感じる「やだ」


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ダンガンロンパ SS ☆いちゃコメ 20
1:@:2013年09月18日(水) 07:16:28.14 :KeluYL/40
このスレで安価をするのは、最初で最後、この1回きりです。どうぞご協力ください。


ー・-・-・-



>>5

・美少女となったPはどうする? あるいは、どうなる?

・なるべく簡潔に一言で、「〜する。」「〜った。」というふうにお願いします。

・不適切な書き込み(「ksk」など)は安価下とします。


5:以下、新鯖からお送りいたします:2013年09月18日(水) 08:01:45.24 :SNXO7jWLo
ピヨに相談


7:@:2013年09月21日(土) 00:37:47.23 :X/SeOlyx0






『......』

「もしもし、プロデューサーさんですか? もう始業時間なんですけど、どうしたんですか?」

『......音無さん』

「あら? どちら様ですか? それ、プロデューサーさんの携帯からかけてるんですよね?」

『あの、今から言うことは真実です。とても信じられないようなことですが、起きている事実をそのまま報告しているだけです』

「もしかして、プロデューサーさんが事故に遭ったとかそういうことですか!?」

『そうであれば、どれだけ良かったことか......』

「はい?」

『繰り返しますが、これは嘘でも冗談でもありません。疑いようのない事実であり、どうか音無さんには信じてほしいんです』

「......いったい、プロデューサーさんに何があったんですか?」

『女になっちゃいました』

「......は?」

『朝起きたら、体が高校生くらいの美少女になっていたんです。それで、どうしたらいいものかと思って、音無さんに相談を......』

「プロデューサーさんにお伝えください。ふざけてないで、早く出社してください、と」

『あ、ちょっと待っ』







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アイマス SS ☆その他 32
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月27日(金) 23:39:12.32 :7haDMZta0

田中 22勝0敗1Sでシーズンを終える

「マーくんメジャー挑戦か!?」

「メジャーで既に多くの球団が視察」

田中「...色々あったシーズンだったな」

マー君は球場の周りを自転車で走っていた

携帯をいじながら乗っていたため前方をちゃんと確認することが出来ず

ドンッ

田中「いたっ...!」

斎藤「うっ」

球場の外を走っていた斎藤祐樹とぶつかった


8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月27日(金) 23:40:40.33 :0pnBptoS0
何このラブコメ漫画の冒頭みたいな展開


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その他 SS ☆冒険・バトル 34
1: だいやまーくyIMyWm13ls:2013年09月28日(土) 20:39:41.81 :EXbYEVtOo

お昼を過ぎて太陽が少し傾く時間帯。
私と雪美ちゃんはお仕事の帰りに公園に寄り道をしていた。

『みゃぁ』

私の目の前には真っ黒な毛にキョロっとした目の黒猫が一匹。
ベンチに座ったまま、膝の上にペロを乗せる雪美ちゃん。
綺麗に手入れされた毛並みに小さな手が触れる。

「......裕美は...猫...にがて...?」

そしてもう一人、腰を降ろして黒猫の頭を撫でる女の子。

「あはは、ペロも知らない人にペタペタ触られちゃったら疲れちゃうから...」

「......大丈夫...私の...お友達だから...」

雪美ちゃんは少し首を傾けてペロの背中を撫でながら呟く。

「...ペロ......ごー...」

すると、不思議なことに丸まっていた黒猫はすっくと立ち上がり私の膝の上に滑り込む。



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モバマス SS ☆ほのぼの・しんみり 6

1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013年09月25日(水) 13:09:36.18 :yFOnK56a0
元ネタは『けいおん!』とアメコミ『ウォッチメン』です。

以前、スレ立てさせて頂いたのですが、続きが書けずにスレを
落としてしまいました。申し訳ありません。
今回は、既に完成させていますので、完結まで一気に投下させて
頂きます。

クロス、未来設定、死ねた、鬱、グロ、キャラ崩壊がありますので、
平気な方のみお読み下さい。
序章+全七章の構成となっております。
また、時間の流れは原作の2007年4月入学、2010年3月卒業や、
各キャラクターの誕生日等を参考にしております。

それでは、どうぞ。


2:律「うぉっちめん!」:2013年09月25日(水) 13:13:29.31 :yFOnK56a0

I hear always the admonishment of my friends.
私は我が友の忠告を常に聞く

"Bolt her in, and constrain her!"
「彼女に閂を掛け、拘束せよ!」

But who will watch the watchmen?
しかし、誰が見張りを見張るのか?

The wife arranges accordingly, and begins with them.
妻は手筈を整えて、彼らと事を始める



2022年10月11日、深夜。
唯は酔っていた。
自身の酒の強さを過信していた訳ではないのだが、それでも二十代の頃のような飲み方は、
今の身体には荷が重すぎた。
マンションのエントランスでは都合四回転びかけ、エレベーターに入っても"15"のボタンを
押すのに難儀し、そして今、鍵がなかなか鍵穴に入らない。
耳障りな金属音が続いた後、ようやく玄関のドアが開いた。

唯「ただいまぁ」

低く呟いても返事は返って来ない。
十二畳のワンルームで借主を待つ者は真っ暗闇だけだった。

唯「あぁあぁ、かぁみさぁまおねぇがいぃ、いちどだぁけぇのみらくぅるぅたいむ、くぅだぁさいぃ」

音程も抑揚も無い低い歌声を口から漏らしながら、唯は靴を乱暴に脱ぎ捨て、壁にもたれ掛かり
ながら灯りのスイッチを探る。
たっぷり時間を掛けて壁がまさぐられた後、蛍光灯の光が映し出した光景は――

唯「な、何これ......?」

――足の踏み場も無い程に荒らされた室内。
タンスや物入れの引き出しはすべて引き出されて中身と共に床に転がり、ベッドからは掛け布団も
敷きマットも引っぺがされている。クローゼットは開け放たれ、然程洒落てもいない服が
やはり床に散乱していた。

唯「ひどい...... まさか......」

室内の惨状が唯の脳内に蹴りを入れるも、鈍った頭は容易に行動を指示してくれない。
それでも何とか携帯電話を取り出し、震える指でボタンを押し始める。
その時、唯の背後で、黒い影がガタリと音を立てた。

唯「誰!?」

ドアの陰から表れたのは全身黒ずくめの人間。顔も帽子と布のようなもので覆われており、
正体がわからない。
侵入者は素早く唯に近づくと、彼女の頬をしたたかに殴りつけた。

唯「ぎゃっ!」

凄まじい力だった。
部屋の中央にいた筈の唯が、大きく吹き飛ばされ、窓ガラスを破ってバルコニーに転がり
出てしまった程だ。

唯「う...... うぅ......」

顔面の痛みと脳の揺れが、酒の酔いと相まって、唯の意識を遮断させようとしていた。
だが、侵入者はそんな事は我関せずと、彼女の胸倉を掴んで、横たわる身体を強引に立ち上がらせる。
そして、立ち上がるだけでは終わらず、そのまま唯の身体は高々と持ち上げられた。
侵入者は唯を担ぎながら、ゆっくりとバルコニーの手すりの方へ近づいていく。
意図は明白だ。

唯「やめて...... お願い......」

綺麗な街の灯りが見える。
瞬間、世界は反転し、今度は星の明かりが唯の眼に映った。
後はただ急速に星空が遠くなっていく。

鈍い音。一瞬遅れて響き渡る、有象無象の悲鳴。


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けいおん! SS ☆気狂い 36
1: だいやまーく40t.IUZ/Q2:2013年09月28日(土) 16:13:20.70 :m6RXfEF3o


Piano Bar Unamela



カランコロン

マスター「いらっしゃいませ」

亜美「うわー。やっぱこのお店、フンイキいいよねー」

真美「オトナの空間! ッて感じですなー」

P「おい、あんまり騒ぐんじゃないぞ!」

亜美「ではではー。サッソク、カウンターのマスターに突撃だー」

真美「おー!」

P「って、言ってるそばから......」



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アイマス SS ☆ほのぼの・しんみり 19

1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013年09月28日(土) 15:27:30.11 :HZf2LLTo0

【ある日、事務所】

昼下がりの事務所で仕事をしていると、今朝オーディションに向かった春香が帰ってきた。

春香「ただいま......」

P「おかえり......春香?どうした?」

帰るなりソファに荷物を置き、自分も腰を下ろす春香。
いつもなら『プロデューサーさん!合格ですよ!合格っ!』と言ってくるのだけど
それが無いという事はつまり、オーディションに落ちた......という事なのだろうか。

P「もしかして......落ちちゃったのか?」

春香「はい......すみません......」

P「謝る事はないさ。また頑張ればいいじゃないか」

春香「そう、ですね......」

やはり、春香の様子はおかしい。
こんなに歯切れの悪い春香は初めてだ。
少しミスをしたって、それこそいつもなら『はいっ!次こそ合格しちゃいますよー!』なんて言うところなのに。
一体どうしたというのだろう。



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アイマス SS ☆怖い話・欝 19
1: だいやまーく0Qglq3B3Ok:2013年09月07日(土) 00:26:10.03 :kVbPUU7P0
幽遊白書とレベルEのクロスオーバーです。

前提として、レベルEの事件発生順序を掲載順とは少し変えています。
(原作で時系列が明確化されていない話のみ)
また、幽遊白書の螢子ちゃんは既に教師(小学校教諭)になっており、幽遊白書(原作)の最終話のシーンは5年前の出来事。
つまり、煙鬼が魔界の初代大統領になったのも5年前、したがって既に2回目の魔界トーナメントが開催されおり、現在の大統領は黄泉ということにしておいてください。

つまらない説明をごちゃごちゃと申し訳ないです。
よろしくお願いします。


2: だいやまーく0Qglq3B3Ok:2013年09月07日(土) 00:27:44.70 :kVbPUU7P0

螢子「転校生の修羅くんよ。みんな仲良くしてあげてね」
修羅「修羅です。よろしく」
児童たち「よろしくー!」


3: だいやまーく0Qglq3B3Ok:2013年09月07日(土) 00:29:46.31 :kVbPUU7P0

(休み時間)

清水「三学期のこんな時期に転校生なんて珍しいな」

黛「何か事情があるのかもしれないですね」

赤川「声をかけてみようよ!」

百池「そうだね。今も机に一人でいるし」

横田「でもアイツ......ただ者じゃねーって感じがするな」

清水「ああ......それは俺も思った」

赤川「なんだい、その言い方。転校生を仲間外れにする気かい? それとも声をかけるのを怖がってるのかい? 二人ともビビリだなあ」フフン

清水「あ? 誰もそんなこと言ってねェだろーが」ギロリ

赤川「ひぃ!」

横田「オメーにビビリとか言われたくねーよ!」ギロリ

赤川「うわ〜ん(泣)」

百池「わ〜!! 委員長! 泣かなくていいから!」

赤川「ふえぇぇ。うっうっ。僕は......僕は......ただ......」

黛「逆切れして教室でリルボムとかは、誤魔化しきれないのでやめてくださいね」


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その他 SS ☆その他 3
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月27日(金) 22:26:11.68 :pOJZpjWgP

-響のマンション-

チュンチュン...

響「んーー、今日もいい天気!!」

響「.さて、と」

響「おーいみんなー、朝ごはんの時間だぞー」


\へへっわうわうっぢゅぃっぎゃおおんっ/


響「はいはい、慌てなくてもちゃんとみんな分あるってば」

コト...

響「よーし..."待て"!」


2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月27日(金) 22:27:08.43 :pOJZpjWgP

ハム蔵達「............」ジリジリ

響「...まだだぞ...まだ........."ヨシ"!」

ハム蔵達「っ!」バッ


ムシャムシャ グァフグァフ


響「へへっ、じゃあみんな。自分仕事に行ってくるからな!」

響「今日もいい子にしてるんだぞー」


ガチャッ


タタタタ...


4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月27日(金) 22:29:56.50 :pOJZpjWgP

........


...タタタタ


ガチャッ


響「ってあれ?」

響「今、ねこ吉がいなかったような...」

響「.......」

響「みんな!集合!点呼とるぞー!」


\へへっわうわうっぢゅぃっぎゃおおおんっ/


響「ハム蔵、いぬ美、ぶた太、ワニ子、シマ男...」

響「モモ次郎、オウ助、へび香、うさ江...やっぱり」


響「ねこ吉がいない...!」


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アイマス SS ☆その他 23
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月27日(金) 22:05:03.62 :mUT3H8NT0

魔王「外に出たい」

側近「ダメです」

魔王「えー」

側近「ほっぺた膨らませてもダメです。怪我でもしたらどうするんですか?」

魔王「大丈夫だよ私魔王だから!」

側近「魔王さまは魔王なんですから回復呪文なんて使えませんよ」

魔王「知り合いの魔王はベホマズン使えるって言ってた」

側近「よそはよそ、うちはうちです!」

魔王「ぶーぶー!」


2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月27日(金) 22:05:59.87 :mUT3H8NT0

側近「魔王さまは魔王城でじっとしていてください。仕事は私たちが全部やりますから」

魔王「でも暇なんだけど......」

側近「では勇者の資料としてこれを」

魔王「何これ?どらごんくえすと?」

側近「この前魔王様の先輩が来て置いて行ったじゃないですか」

魔王「あー、奴が置いて行ったのか。うさんくさいなー」

側近「それでも世間知らずな魔王さまにはいい刺激だと思いますよ」

魔王「さりげなくひどくない?」


4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月27日(金) 22:09:42.49 :mUT3H8NT0

魔王「仕方ないからやってみよ」ピコピコ

魔王「うわぁワールドマップ広すぎワロタ」

魔王「いいなー勇者はこんなにたくさん出歩けて」

魔王「私と違って仲間もたくさんできるし......」

魔王「魔王じゃなくて勇者に生まれたかったな」

魔王「あ、そうだ。いいこと考えた」


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ファンタジー SS ☆その他 6

1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月28日(土) 00:16:54.09 :CL0f+YVB0

貴音「買い物を終えた時」

『五百円以上のお買いもので福引券プレゼント!!』

貴音「......福引券を頂きました」

貴音「早速引きに行きましょう」
:
貴音「こちらを」スッ

貴音「ちなみに一等は......、なんと!! 高級霜降和牛ですか!!」

貴音「ふふふ、わたくしの秘めたる力を見せる時が来たようですね」

貴音「いざ霜降!!」ガラガラ






ポトッ

貴音「はっ!!」


2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月28日(土) 00:18:31.90 :CL0f+YVB0

貴音「白っ......!!」

貴音「いったい白は何等で」

『白 残念賞 チョロQ』

貴音「」






貴音「」


3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月28日(土) 00:19:07.60 :CL0f+YVB0

貴音「くすん」

貴音「......帰りましょう」トボトボ





カランカラン

「えーっ!? 高級しもふり和牛!? まさかそんな、うっうー......」

「おい、この子気ぃ失ったぞ!!」

「救急車ー!!」


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アイマス SS ☆コメディ 31
1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013年09月24日(火) 00:05:24.84 :X6chgc1P0

小日向美穂 趣味:日向ぼっこ

美穂「うーん......」

P「ん? どったの、難しい顔して」

美穂「あっ、プロデューサー。その、少し考え事をしていまして」

P「進路のこととか? そういや受験生だったもんね」

美穂「そ、それも忘れちゃダメなんですけど! 実は新しい趣味を作ろうかなって思ってまして」

P「趣味?」



2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013年09月24日(火) 00:05:57.50 :X6chgc1P0

美穂「はいっ、私の趣味って日向ぼっこじゃないですか」

P「そうだね。小日向さんらしくて良いと思うけど?」

美穂「そうなんですけど......、光合成しているだけのアイドル生活ってどうなんだろうって少し思って」

P「こ、光合成?」

美穂「他のみんなって色々な趣味を持っていますよね? それが個性になっている人もいますし......」

P「野球観戦とかキノコ栽培とか色々いるっちゃいるけど、十分個性だと思うよ。小日向さんの日向ぼっこも」


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モバマス SS ☆コメディ 8
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月25日(水) 22:42:30.46 :XPg3DVKe0

尭深「は、はい!今年は」

照「...そう」

尭深「宮永先輩は...?」

照「私は、毎年、寮に残る」

尭深「そうなんですか...」

照「うん」

尭深「......」

照「......」ペラッ

尭深「......」

照「......」ペラッ


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咲 SS ☆ほのぼの・しんみり 4
1: だいやまーくaHZi9fzbc.:2013年09月27日(金) 17:52:16.68 :3g4qXoTDO


P「なんだいまの」

さくら「効果音でぇす!」

P「効果音か」

さくら「はぁい!」

P「さくらは元気だなぁ」

さくら「えっへへー!」

P「まあ今日は事務所でお留守番なんだけどね」

さくら「しょーん......」

P「なんだいまの」

さくら「効果音でぇす...」

P(しょ?)



村松さくら(15)





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モバマス SS ☆ほのぼの・しんみり 8
1: だいやまーくi1nFxWy4JY:2013年09月26日(木) 15:14:41.95 :3hkxXxSA0

苗木「たえちゃん遊ぼ」

セレス「セレスと呼んでください」

苗木「たえちゃんぐうかわ」

セレス「セレスティア・ルーデンベルクです。たえちゃんじゃありません」

苗木「たえちゃん可愛いよたえちゃん」

セレス「......」

苗木「あ、赤くなってる。かわいい」





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ダンガンロンパ SS ☆その他 20
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月27日(金) 01:04:24.63 :Sl+Jk7710

由比ヶ浜「頑張って作ったんだよ......?」

由比ヶ浜「後で感想聞かせてね」

八幡「お、おう......」

八幡「もぐもぐ......痛っ」グシャ

八幡(うわ、カッターの刃じゃねーか。てか血が止まらん)ボタボタ

八幡「これは......そういう意味なんだろうな」


由比ヶ浜「ゆきのんに手伝ってもらっちゃったー」

由比ヶ浜「おいしくできたかなー」


5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月27日(金) 01:06:39.70 :QC7H2o0x0
流石雪ノ下雪乃汚い


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1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月27日(金) 08:49:49.07 :nydc1Sfl0

澪(かつて、私たちのバンド『放課後ティータイム』は熱狂的ブームを巻き起こした)

澪(その結果、行きすぎたファンによる無差別なペロ行為があとをたたず、政府は対策を余儀なくされた)

澪「そうして施行されたのが、対ペロリスト特措法・・・」

澪「これによって、表面的には事態は沈静化した」

澪「・・・けいおんブームも今は昔、か」


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けいおん! SS ☆その他 26
1: だいやまーくJiax/7r6DNu8:2013年09月22日(日) 23:56:25.02 :Ztf5wEQto


魔物娘「わ、私はそんな......」フルフル

男「え、あ? ゴメンゴメン」

魔物娘「えっ?」

男「いや、この森に最近人を襲うモンスターが出たらしいんだけどさ、それで聞きたいことが―」

魔物娘「わ、私じゃない」フルフル

男「うん、そうだよね。ちょっと聞きたいことがあって、声をかけてみたんだけど、驚かせてしまったみたいだ、悪かった」ペコリ

魔物娘(こ、この人間私のこと嫌じゃないのかな......)



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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013年09月23日(月) 11:18:04.26 :/BrFXFSvo

春香「............」

千早「と嫁、千早」ドヤッ

春香「千早ちゃん?」

千早「なに?」

春香「いつ、誰のお嫁さんになったの?」

千早「春香?それはなんのジョークかしら?Pの嫁に決まってるじゃない」ドヤァァ

春香「............」イラッ

千早「千早はPさんの嫁、はっきりわかんだね」

春香(私、我慢できるかな......いつか、千早ちゃんをぶっ叩きそう......)


――――――――
お久しぶりです。
トリ忘れたのでトリはついてないです。すいません。

Pとあまとうは兄弟設定です。
改めてよろしくお願いします。


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アイマス SS ☆コメディ 20
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月26日(木) 22:28:03.53 :NeiLBFIZ0

P「いおりん可愛すぎ警報が発令されました!付近の方は今すぐ避難してください!」

伊織「な、何よ、何なのよ!?」

P「みんな危険だ下がれぇええ!!」

春香「は、はいっ!」

P「勢力の範囲はいおりんを中心とした、いおりんを視認できる範囲!!!」

P「超巨大な勢力を保って事務所内を蹂躙しています!!」

伊織「もー...何なのよぉ...」プクー

P「立っているのもやっとという状態ですっ...!」クラクラ


3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月26日(木) 22:33:24.28 :NeiLBFIZ0

伊織「バッカみたい...オレンジジュース飲もう...」スタスタ


P「いおりん765号ですが、給湯室に向かったようです!」

小鳥「こちらスタジオ(社長室)です。現地の様子はどうでしょうか?」

P「あそこには分断され孤立した雪歩が取り残されています!」

P「早速様子をレポートして参りたいと思います!待ってろ雪歩!」




伊織「うるさいったらありゃしないわ...あ、オレンジジュースがないじゃない」

雪歩「あはは、お茶淹れようか?」

伊織「お願いするわ」


5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月26日(木) 22:38:23.08 :NeiLBFIZ0

P「雪歩ーーーーーーーーー!!うわぁ給湯室は豪雨、強風に見舞われています!!にひひっの嵐!!」ガチャッ

伊織「!?」

雪歩「ひゃああああああああ!!」カシャーン!!

P「熱ううううううううううううう!!!??」




雪歩「ご、ごめんなさいぃ...火傷させてしまって」フーフー

P「あはは...俺が急に飛び出したせいだから、気にしないで雪歩」

P「くっ...それにしても最大勢力を思い知ったぜ!いおりんに近づくことさえ困難だとは!」

雪歩「?」フーフー

P「あ、雪歩もっとフーフーして、もっと」ハァハァ


6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月26日(木) 22:43:11.99 :NeiLBFIZ0

社長室



小鳥「今年に入って765回目の事務所上陸となりました」

P「発生するたびに最大勢力を増しています...プロデューサーに対する被害は甚大です」

P「いおりんにメロメロな状態から復興出来る気がしません」

小鳥「(メロメロ感情の)氾濫の恐れもありますよね?」

P「濁流が全てを押し流そうとしています。決壊、そして氾濫も時間の問題でしょうね」

小鳥「プロデューサーさんは何とか持ちこたえているようですが...」

小鳥「各地では既に氾濫したとの情報もあるようです」

P「すぐに取材に行っていまいります!」


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アイマス SS ☆いちゃコメ 17
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月26日(木) 21:37:18.09 :pBYhf4qk0
(注記)一年時のクラスで書いています


7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月26日(木) 21:39:24.93 :pBYhf4qk0

〜教室〜

陽子「おっはよー!」

忍「おはようございます!」

綾「陽子、今日はテンション高いわね」

陽子「昨日でテスト終わったから、気持ちが晴れ晴れしてるんだよ」

アリス「その気持ちすごい分かるよー」

カレン「昨日は家でたーっぷり遊んだデス!」

陽子「ずっと勉強した後、我慢してた分遊ぶのってすごい気分が晴れるよね」


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きんいろモザイク SS ☆いちゃコメ 6
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月26日(木) 13:58:40.68 :QZ+chUoG0

女「美少女ちゃんおはよー!」

美少女「あっ、おはよ!」

お前ら「......」

女「私、今日は数学で当てられる日だ〜。美少女ちゃん予習やってきた?」

美少女「うん、やってきたよ」

お前ら「......」

女「ほんと!? ちょっと見せてほしいな〜、......なんて」

美少女「ふふ、いいよ」

お前ら「......」

女「ありがとう美少女ちゃん! ぎゅー!」

美少女「きゃっ! ちょっと女ちゃん! ......もう、ふふっ」

お前ら「......」


3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月26日(木) 13:59:58.89 :47rBrf2C0
お前らが無視されてるんじゃん


5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月26日(木) 14:01:20.48 :0NXLVJjD0
無視っていうかいないもの


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その他 SS ☆シリアス・ドラマ 21
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月25日(水) 14:22:08.19 :HzI5RapC0

欧州 第501統合戦闘航空団基地 食堂

芳佳「バルクホルンさん、今日でしたっけ。クリスさんのお見舞いに行くの」

バルクホルン「あ、ああ。そうだ」

芳佳「折角ですからゆっくりしてきてくださいね」

バルクホルン「そうさせてもらうつもりだ」

ミーナ「ふふっ。宮藤さんのおかげで、トゥルーデも定期的に顔を見に行くようになったのよ? 少し前までは全然行こうとしなかったのに」

芳佳「どうして私のおかげなんですか?」

バルクホルン「こ、こら、ミーナ。余計なことはいうな。それよりも、車を出してくれ」

ミーナ「はいはい。それじゃ、宮藤さん。ごちそうさま」

芳佳「はいっ。気をつけてくださいね」

美緒「――ミーナ、ここにいたのか。たった今、上層部から緊急招集がかかった。すぐに出発する準備をしろ」

ミーナ「え?」

バルクホルン「......」


3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月25日(水) 14:28:17.91 :HzI5RapC0

美緒「どうせ下らないことを聞かされるだけだろうが......って、どうした?」

ミーナ「あ......えーと......」

バルクホルン「行ってきてくれ、ミーナ」

ミーナ「でも、トゥルーデ......」

バルクホルン「気にするな。ハルトマンに運転を頼むことにする」

芳佳「あ、あの。ハルトマンさんは昨日あった夜間戦闘でまだ寝てるんじゃ......」

バルクホルン「叩き起こすから問題はない」

ミーナ「トゥルーデ。流石に可哀相よ」

バルクホルン「だが!!」

美緒「ああ。そうか。見舞いに行く日だったか。すまない、バルクホルン」

バルクホルン「少佐の所為ではない」

芳佳「そうだ。シャーリーさんに頼んでみましょうよ。シャーリーさん、運転上手いんですよね。確か」

バルクホルン「シャ、シャーリーか......うーん......。奴に頼むぐらいなら、ストライカーを使って......」

ミーナ「流石にストライカーユニットの使用は許可できないわよ。素直に頼んでみたら?」


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2: だいやまーくkBqQfBrAQE:2013年09月23日(月) 22:24:49.43 :VZZhFbqX0


2013年7月22日20:15 765プロ事務所



美希真雪歩「お疲れ様ー!(です!)(ですー!)」バタン

千早「春香、私たちもそろそろ帰らない?電車、時間かかるでしょ?」

春香「そうだね。千早ちゃん、駅まで一緒に帰ろうよ!」

千早「ええ、いいわよ。あと律子、そろそろ帰ったら?最近遅くまでここにいる気がするけど」




3: だいやまーくkBqQfBrAQE:2013年09月23日(月) 22:29:31.57 :VZZhFbqX0


律子「ありがと千早。でも、もう少し残ってる仕事を終わらせておきたいのよ」

P「でも律子、今日中に終わらせる仕事は終わったんだろ?」

P「千早も言ってるとおり、最近帰りが遅いんだから、今日ぐらい早く帰って休んだらどうだ?」

千早「こうプロデューサーも言っているし、言葉に甘えてみたら?」

千早「それに・・・」チラッ

P「・・・!」コクン

律子「?・・・う〜ん、そうですね・・・ではお言葉に甘えさせていただきます!」




4: だいやまーくkBqQfBrAQE:2013年09月23日(月) 22:37:46.94 :VZZhFbqX0


律子「プロデューサーはまだ帰らないのですか?」

P「あ、ああ。まだ今日やっとかないといけないとこが終わってなくてな。それに、音無さんとあずささんがまだ帰って来てないし・・・」

律子「プロデューサーだって最近ずっと遅くまでいるんですから、体壊さないように気を付けで下さいよ?」

P「分かってるよ。俺は昨日オフでちゃんとゆっくり休んだから大丈夫だよ」

律子「それもそうでしたね。春香、千早、私も一緒に帰っていいかしら?」

春香千早「もちろんです!!」「ええ、もちろん」

律子「んじゃあちょっと待ってねー、すぐ片づけるから」ガサゴソ




5: だいやまーくkBqQfBrAQE:2013年09月23日(月) 22:44:14.87 :VZZhFbqX0


律子「よし。春香、千早、行こっか」

春香「はーい!じゃあプロデューサーさん、お疲れ様です!!」ガチャ

律子「プロデューサー、私も失礼しますね。明日も早いんですから早く終わらせて下さいよ!!」

P「ああ、お疲れ!春香、律子、明日も頑張ろうな」




6: だいやまーくkBqQfBrAQE:2013年09月23日(月) 22:51:23.19 :VZZhFbqX0


千早「ではプロデューサー、失礼します。」

千早「あと・・・(ニヤリ)」グッ

P「!・・・お疲れ様、千早(ニヤリ)」グッ

パタン



P「・・・フフッ」

P「よし、みんな帰ったな」ピッピッ

Prrrrrrr...

P「あー、俺だ。そろそろ、例のアレお願い。場所は・・・」





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アイマス SS ☆コメディ 40
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月26日(木) 00:38:29.70 :1Bb0u1xx0

光彦「日頃の恨みを晴らす時が来た」

歩美「どうしたの光彦君?気持ち悪い顔して」

光彦「今日こそはコナン君に復讐しようとおもうんですよ」

歩美「えー!」


4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月26日(木) 00:41:59.65 :1Bb0u1xx0

光彦「そうだ! 歩美ちゃん達も手伝ってくださいよ」

歩美「えー やだなー」

光彦「そこをなんとか!」

歩美「どうする?哀ちゃん?」

哀「コショコショ」

歩美「あ、そっかー!! 哀ちゃん頭良い!!」

光彦「灰原さん、何か思いついたんですか?」

哀「ええ だから、拷問は私たちに任せて、あなたは隣で見物してなさい」

光彦「おお!! コナン君の苦しむ顔をノンビリ見るのもいいかもしれませんね!」


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その他 SS ☆糞SS 8

1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月26日(木) 00:46:18.48 :MGr2X2OI0

春香「知らないんですか、プロデューサーさん?」

千早「『ファンのハートはがっちりゲット』が信条の」

春香「表の顔は、今をときめくアイドル集団」

千早「しかして裏の顔は、社会に巣くうゴミの掃除屋」

春香「そう。私が、天海春香!」

千早「私が、如月千早!」

春香「瞬間視聴率(ほぼ)100%のアイドル屋」

春香「IDOLM@STERS(アイドルマスターズ)とは私達のことです!」

P「............」

春香「............」

千早「............」

P「............」

春香「...あの、コメントとか無いんですか?」

P「...ごめん、どう反応していいかわからなかった」


5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月26日(木) 00:53:46.35 :MGr2X2OI0

P「『奪還屋』に『黒猫』に『新宿の種馬』...、よくもまあこんなに揃えたもんですね、音無さん?」

小鳥「そりゃもう。資料は必要だろうと思いまして」

小鳥「765プロのアイドルみんなを主役にしたドラマ企画、その内容は裏稼業もの」

P「番組制作ディレクターと酒の席で盛り上がっちゃった結果、いわゆる『もしもシリーズ』のノリで行こう、なんて決まっちゃったんですよね」

P「...色んな漫画とかゲームとかからのパクり、アレンジ、オリジナル満載で」

P「普通ならあり得ないはずの展開ですよね、ほんと」

小鳥「アイドルが普段と違うことをやるというのは前にもありましたしね」

P「『ゼノグラシア』ですか」

春香「あれは名前だけが同じで性格が違ったんですよね」

P「そう。だから今回は名前も性格も普段のそれと同じで行ってみるんだとか」

千早「正直、これが成功するかなんて半信半疑ですけれど」

小鳥「とか言う割には結構ノリノリだったわよ、千早ちゃん?」

千早「あ、あれは音無さんや春香がやれと言ったから...!」


7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月26日(木) 01:01:52.29 :MGr2X2OI0

P「普段はアイドル、裏では依頼を請け負うスイーパー。で、その武器は異能力」

春香「バトルものですよ、バトルもの!」

P「いやはや、よくもまあこんな企画が通ったもんだ。酒の勢いというものは恐ろしい」

春香「設定とかの案は、いくらかはこっちで考えていいというのも凄い話ですよね」

春香「...だからでしょうか、小鳥さんのあの張り切り様は」

P「アイドルだけじゃなく、俺や音無さんまで出演が決まったというのも凄い話だ」

P「こんなことを聞くのは今更だけど、2人は嫌じゃなかったのか? ほとんど音無さんの妄想に付き合ってるようなもんだぞ?」

春香「私は全然OKですよ! 面白そうじゃないですか!」

千早「まあ、私もたまには、こういうのに参加してもいいかと...」

P「...そう言ってくれるとこっちも助かるよ」

小鳥「というわけでこれが第1話の案なんですけど」

P「仕事早いなオイ...」


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アイマス SS ☆シリアス・ドラマ 12
1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013年09月24日(火) 22:29:18.89 :PMBw+KjyP

P「別に誕生日でも無いんだけどどうした?」

小梅「この間...お買い物してたら...Pさんに似合いそうなの、あ、あったから...その、迷惑だった?」

P「いやいやそんな訳ないって、せっかく小梅が買ってくれたんだからさ、ちょっと驚いただけ」

小梅「...よ、良かったです」




2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013年09月24日(火) 22:35:08.79 :PMBw+KjyP


小梅「...もし気に入らなかったらごめんね?」

P「んな訳あるかっての、もう今の時点で嬉しさMAXなんだから」

小梅「うん...」

P「ところで何を買ってくれたんだ?」

小梅「あ.........あ、当てて、みて、」
スッ

P「おっそういうの好きだぞ、やってやろうぞ」
ガサゴソ

小梅「...............」

P「ふんふん、これは...んんん...」

P「(小物かと思ったが結構大きい...いや、違う、真ん中は開いていて巻いて収納されていて......この感じ)」

P「(これは...ベルトだな!少し細身だけどこの長さと革っぽい感触、違いない)」

P「(後は細かい装飾が結構あって派手な感じがするが、小梅の趣味だろう)」

小梅「..................」
ドキドキ



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モバマス SS ☆コメディ 10
1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013年08月02日(金) 13:02:52.12 :wXnczTMDO


-11月下旬、東京都765プロ事務所



P「えーと、君が電話をくれた土御門くんかな?」

土御門「ええ、はじめましてですにゃー」

P「学園都市で年度末に765プロのオールスターライブをしてほしいって話だったね?」

土御門「ええ。学園都市の学生たちで1年間のシメに大がかりなイベントをしよう、ってのが目的ですたい。
学生の街ですんで学生が中心になって動いてます。そんで俺が交渉人として伺いに参ったわけですにゃー」

亜美「なになに!? 亜美たち学園都市に行けるの!?」

真美「しかもみんなでライブ!? やるしかないっしょ兄ちゃん!」

P「コラ、亜美、真美。どっから沸いて出た」






2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013年08月02日(金) 13:04:47.22 :wXnczTMDO


土御門「おおー! 双海姉妹! 会えるなんて感激だにゃー!」

亜美「亜美たちのコト知ってるの!?」

土御門「当然だぜぃ! 765プロのアイドルはIA大賞に全員ノミネートされてるからにゃー! 知らん方がモグリぜよ」

真美「んっふっふ〜。真美たちもゆ→め→になったものですなあ」

土御門「あっ、あとでサインもらってもいいですか? 俺765の中でもお二人の大ファンなんですたい!」

亜美「んっふっふ〜。ういやつよのう。それなら特別に亜美の直筆サインを......」

律子「コラ亜美! 無闇にサインしないの! 真美もよ!」

真美「えー! はるばる学園都市から来てくれたんだからいいっしょー」

律子「ダーメ! 土御門くんだっけ? 詳しいお話を聞きたいから会議室の方に来てくれる?」

土御門「了解ですにゃー。その前に御手洗いをお借りしてもいいですかい?」

P「ああ、そっち行って右手側だよ。会議室はあっちだから。何かあったらそこでパソコン作業してる音無さんに聞いてくれ」

小鳥「はーい、私ですよー」カタカタ

土御門「了解ですたい。キャリーバッグは置いてきますぜよ」

律子「ええ。私たちは先に会議室にいるから」





3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013年08月02日(金) 13:05:53.78 :wXnczTMDO


-会議室



律子「プロデューサー殿。この話蹴りましょう」

P「え?」

律子「だってなんですかアレ!! 金髪グラサンで学ランの下にアロハシャツ!! オマケにめちゃくちゃな敬語!!」

P「あー、まあそれはたしかにな」

律子「『ますぜよ』ってなんですか『ますぜよ』って!! はじめて聞きましたよ!!
765のアイドル全員っていうから私もプロデューサーも時間割いてんのに、あんなナメ腐ったヤツ寄越すなんてフザけてます!!」

P「どうどう、落ち着け落ち着け。向こうもまだ学生なんだから」

律子「だからこそです! ああいったヤツには社会の厳しさをビシッと教えてやんないと!」

P「ああ、その点は俺も賛成だ。だが、仕事を蹴るのはまた別の話だろ?
学園都市に行くのもいい経験になるだろうし、みんなでライブなら春香とかも喜ぶだろ」

律子「それは、そうかもしれませんけど」

P「なら、とにもかくにも話くらい聞こう。大人の器の大きさってヤツを見せればいいさ」

律子「......いいでしょう。ただし、納得のいく交渉内容じゃなかったらすぐに蹴りますから」

P「ある程度は大目に見てやれよ? まだ伊織や美希と1つしか変わらないくらいの子なんだから」

律子「えーえー、当然ですとも。大人ですから」フン

P(あ、ダメだこりゃ)





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とある SS ☆その他 9
1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013年09月25日(水) 21:53:33.93 :wxCDWJJUo

凜「どうしたのプロデューサー?」

P「どうしたのって、まずお前ら誰だよ」

菜緒「ひどいなあ、なんなんだよ」

花蓮「あなたの担当アイドルの三人だよ、忘れたの?」

P「いや、忘れたとかそんなんじゃなくてだな」

P「(一体これはどういうことだ?)」

P「(俺の担当アイドルはどこに行ったんだ?)」

P「(そして凛、奈緒、加連によく似ているこの三人は、どこから来たんだ?)」



2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013年09月25日(水) 21:55:29.73 :XLbWWnsZ0
その発想は無かった


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モバマス SS ☆コメディ 37
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月25日(水) 18:44:02.53 :CRLCVflDi

〜幼馴染の部屋〜

男「おっぱい当たってるぞ」

幼馴染「当ててんのよ。おっきいでしょ」ミニュムニュ

男「俺のちんこに手が当たってるぞ」

幼馴染「握ってんのよ、気持ちいい?」コシュコシュ

男「......何がしたいんだ」

幼馴染「ほら、私達ってさ...もう10数年の付き合いでしょ?だからさ」

幼馴染「そろそろしようよ、セックス」

男「嫌だよ」

幼馴染「!?」

男「急に呼び出してそれかよ、俺だって暇じゃ無いんだ...じゃあな」ガチャ

幼馴染「あっ!ま、待っ バタン

幼馴染「て.........」


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男・女 SS ☆糞SS 21
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月25日(水) 18:51:11.46 :ahFf/v9x0

千早「一瞬だけ姿を見たけれど、あれはもしかして......>>5かしら?」


5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月25日(水) 18:52:06.97 :7FZoOMgC0
やよい


9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月25日(水) 18:59:27.38 :ahFf/v9x0

千早「高槻さんかしら?確か実家に家族で住んでいるはずでは...」ブツブツ

お隣

P「お、やよい。買い物に行ってくれてたのか?」

やよい「はい!今日の夕ご飯はもやし炒めです!」

P「ありがとうな、やよい。毎週ご飯を作りに来てくれて」

やよい「プロデューサーのためなら私頑張っちゃいます!!」

P「やよいはいい子だなぁ」

やよい「うっうーハイ、ターッチ!」


11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月25日(水) 19:00:57.10 :7FZoOMgC0
ζ*'ヮ')ζ<うっうー!


12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月25日(水) 19:05:58.93 :ahFf/v9x0

P「やよいのエプロン姿は可愛いなぁ」

やよい「プロデューサー///いまは料理中です」プンスコ

P「ごめんごめん。でもキスだけなら...」

やよい「あとでしてあげますから、お預けです!!」

P(お姉さんぶるやよい、超かわいい)

@千早宅
千早「はぁ...見間違えだったのかしら...とりあえず春香にメールで聞いてみましょうか」

春香『見間違いだと思うよ』

千早「春香の言うとおりね。あの高槻さんがこんな時間に実家を留守にするわけないわ」

千早「そうと決まれば歌の練習よ!今日も壁に向かって練習!」

@P宅
『あおいぃぃ〜とりぃぃぃ〜もぉししあぁわぁせぇぇぇ〜』

P「また始まったか」

やよい「毎晩ですか?」

P「あぁ、お隣さんは千早の熱心なファンみたいだ。千早のプロデューサーながらよく毎晩飽きないものだと思うよ...事情が複雑なだけに注意できないんだよ」

やよい「すごい音量で聞いていますね」


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アイマス SS ☆その他 11
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月16日(月) 16:54:57.13 :AAbHvbVh0

真美「えーっ、どこどこー?やだなー」

P「ほら、その内もものところ」

真美「えっ?見えないよー」

P「かゆくないのか?」

真美「なんかそう言われるとかゆくなってきちゃうよー」

P「しょうがない、俺が薬塗ってやるから、ほら足開いて」

真美「エッチ!」

P「いやいや、何考えてるんだよ、立ったまま少し足を広げてくれればいいんだって」

真美「あっ......ご、ごめん......///」

真美「これでいい?///」

P「あぁ、えーっと......ここだな」スリスリ

真美「な、なんか兄ちゃんの指えっちぃよぅ」


3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月16日(月) 16:55:37.02 :t2JAJlcK0
ほう


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アイマス SS ☆いちゃコメ 15
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月23日(月) 21:13:30.22 :FQxgLVHj0

和「......」

咲「未だに役も点数計算もうろ覚えで牌効率なんてまったくわからないでしょ?」

和「......」

咲「日頃から買い出しとか掃除とか雑用ばかりやらされてるくせしてさ」

和「......」

咲「そのくせ何かと和ちゃんとか優希ちゃんには口出しするし? 染谷先輩や部長にはいつも注意されてるし?」

和「......」

咲「実際、京ちゃん自身、自分には向いてないって自覚してると思うんだよなぁ」

和「......」

咲「はぁ......。 早く辞めないかなぁ......」

和「......」


和「本音は?」

咲「退部して傷心の京ちゃんを追いかけて後ろから強く抱きしめてあげたいです」

和「はぁ」


2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月23日(月) 21:15:55.85 :Qyy1XjEt0
ほほう


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咲 SS ☆いちゃコメ 22
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月19日(木) 19:48:49.21 :8SyM5qG00

忍「それっ」

ブンッ

アリス「ひゃっ! もう死の! どうして急にナイフを振り回すの!?」

忍「だって、アリスが『死のぉ〜』って言ったんじゃないですか」

アリス「え? た、たしかにそう言ったけど......。それがどうしたの、死の?」

忍「はい! 死にましょう!」

ブンッ

アリス「いやぁー!」

ドテン

アリス「な、な、なんでこんな......お、おちついて......死のぉ......」

忍「落ち着いていないのはアリスの方です」


2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013年09月19日(木) 19:49:20.99 :qnjxukMk0
その発想はなかった


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きんいろモザイク SS ☆気狂い 8
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