2021年7月

7月18日(日)オープンキャンパス開催報告

2021年7月31日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

皆さん、こんにちは!

7月18日(日)に八王子キャンパスで開催されたオープンキャンパスのご報告です。

6月オープンキャンパスはオンラインのみでしたが、今回は「来場型」と「オンライン型」の両方での開催となり、当日キャンパス内では午前[10:00〜12:00]と午後[13:00〜15:00]の2部制でそれぞれ下記のイベントが行われました。

にじゅうまる「メディア学部説明+コース紹介」:10:00〜10:30【片柳研究所棟 大ホール】
13:00〜13:30【片柳研究所棟 E402教室】

にじゅうまる 研究室公開【研究棟C】:10:30〜12:00/13:30〜15:00

来場型につきましては事前申込の定員制のため、来場を希望されながら参加が叶わなかった方々も多くいらっしゃったことと思います。本日の開催報告では、当日の会場の様子や雰囲気を少しでも感じていただけるよう、写真を織り交ぜながら各イベントをご紹介いたします。

にじゅうまる「メディア学部説明+コース紹介」((注記)午前のみオンライン配信も実施)
大淵学部長によるメディア学部の概要説明と、「コンテンツ」「技術」「社会」の3コースの教員による各コースでの学び・研究の紹介です。メディア学部の全体像とともに、学部の柱となっている3つのコースの特色をご説明しました。大きなポイントは、3コースはそれぞれ独立したものではなく、相互に有機的に関連・連携・融合していることです。この点は各コースの紹介で強調されていたので、メディア学部の大きな特徴としてご理解いただけたかと思います。

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説明開始前に感染防止対策をお伝えしました 大淵学部長による「学部説明」が始まりました

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メディア学と各コースについての説明です 続いては三上教授によるコンテンツコースの紹介です

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「技術」「社会」コースとの融合も特徴です 次は羽田教授による技術コースの紹介です

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ベン図で技術コースの位置付けが示されています 最後は榊教授による社会コースの紹介です


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ここでも他のコースとの融合が示されました 午後の「学部説明」「コース紹介」は大教室で

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皆さん真剣に耳を傾けていました 午前同様、感染防止のため席を空けています

にじゅうまる 研究室公開【研究棟C】
「学部説明+コース紹介」のあとは、メディア学部の本拠地である研究棟Cの見学です。片柳研究所棟から研究棟Cに向かうルートを、(1)研究棟Cに直行 (2)主要な建物を外から見学するキャンパスツアーに参加しながら移動 (3)メディア学部でのゲームや映像制作の拠点である片柳研究所棟4階のCTC(コンテンツ・テクノロジー・センター)を経由して移動、の3通り用意し、ご希望に合わせてそれぞれのグループで研究棟Cに足を運んでいただきました。当日、研究棟Cでは2階から5階にかけて11の研究室を公開し、各研究室内で教員や学生が説明を行いました。11の研究室の内訳は、こちらのブログ記事をご覧ください。

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順路は5階から順に2階に下りる一方通行です 研究紹介の映像を観ていただいています

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学生が制作した研究ポスターを用いた説明です 入室の上限はスタッフを合わせて10名以内です

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紹介映像とともに教員が解説する研究室もありました 技術コース紹介を行った羽田先生の研究室です


4階では、教員による「個別相談」と、入試課による「入試相談」のコーナーも設けられ、多くの方々が相談や質問に訪れていました。

当日はこのほか「オンライン型」のイベントとして、以下の2つのオンラインLIVEイベントが開かれました。どちらも学生が主体となって取り組んでいる活動で、これらのイベントからもメディア学部の特色を感じ取っていただけたかと思います。

にじゅうまる メディア学部ライブ「THIS IS intebro」:14:00〜15:00
にじゅうまる TGS出展予定ゲームのバーチャル展示:16:00〜17:00

今後の八王子キャンパスでのオープンキャンパスは、8月8日(日)と8月22日(日)の2回開催します。どうぞお楽しみに!


(メディア学部 伊藤謙一郎)

第6回シナリオ執筆未習熟者の作品に共通して発生する欠点(あな)

2021年7月30日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

今回も「シナリオ執筆未習熟者の作品に共通して発生する欠点」として、定期的に私が何度も遭遇してきた「シナリオの欠点(あな)」について書いていこうと思います。今回取り上げるトピックは・・・

「明確な結末を決めずに書き始めたシナリオの欠点(あな)」です。

シナリオは、基本的に映画、ドラマ、アニメなど、映像コンテンツの設計図として書かれる文章です。
そして、設計図であるがゆえに、どう始まり、どう終わり、全部視聴するにはどのくらい時間がかかる作品なのか、分かるように書かねばなりません。
特にTVドラマ、TVアニメなら60分、30分など放送枠が決まっているので、短すぎても長すぎても問題になります。

シナリオ執筆未習熟者にはそういった時間の計算ができずに「書きたいことを全部シナリオに盛り込もうとする」傾向が見受けられます。

作品に盛り込みたいアイディアがたくさんあるのは良いことですし、それを意欲的に取り入れようとする姿勢も素晴らしいです。

しかし、前述したように、シナリオは決められた時間内に収まる内容が求められますし、
あれもこれも全部入れたいからどのくらい時間がかかる作品になるかわからない、では設計図にならないのです。

シナリオ執筆未習熟者は未習熟であるがゆえに、シナリオに組み込むアイディアや情報の取捨選択と優先順位の判断が、うまく出来なかったりします。

特にありがちなのは、勢いよく書き始め、練りに練った独自の設定を持つ舞台設定について書き始め、さらにシナリオライター渾身の思い入れのあるキャラクターを登場させ、その魅力を説明するシーンを記述し・・・それだけでかなりの時間を費やしてしまって「なにも話が進まない」というパターンです。

これも繰り返しになりますが、シナリオは設計図であるがゆえに、どう始まり、どう終わりが訪れるのか、示す必要があるので、延々と「始まり」に関する情報だけを提供するわけにはいかないのです。たくさんのアイディア、こだわりの登場人物は、作品の核となる大事な要素ですが、それだけを語って「終わり」にはなりません。

では、こういったシナリオ執筆未習熟者の陥りやすい問題には、どう対処すべきでしょうか。

それは、実は単純なことで「まず結末(終わり)を明確に決めて、それから発端(はじまり)について書く」ことです。

シナリオ執筆未習熟者の多くは、不思議なくらい共通して「始まり」から書こうとします。書きたいところから書いていく、ということが悪いわけではないですし、心境的にもいち早く自分のアイディアを表現したいという気持ちに共感する部分はあるのですが、その気持ちが強すぎると、取捨選択と優先順位の判断を鈍らせます。

そこで「結末(終わり)から書く」という手順を踏むことで、結末(終わり)を迎えるために優先すべき情報が何なのか、優先順位をつけて情報の取捨選択ができるようになるでしょう。

さいごに・・・

この「シナリオの欠点(あな)」に関する記事は、基本的にシナリオ執筆未習熟者に多く見受けられる欠点(あな)として取り上げていますが、実を言うと今回の内容は、シナリオ執筆未習熟者だけでなく、かなりのシナリオ執筆熟練者であっても発生させやすい欠点(あな)だったりします。自分が経験を積んでいるがゆえに、自分が思いついたアイディアは全て適切に組み込めている、と思い込んでしまうからです。

シナリオライターには常に柔軟な思考と客観的な視点で、映像コンテンツの完成イメージをもって、執筆することが求められます。意欲的に取り組む作品であればあるほど、気をつけたいものです。

第5回シナリオ執筆未習熟者の作品に共通して発生する欠点(あな)

2021年7月29日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

今回も「シナリオ執筆未習熟者の作品に共通して発生する欠点」として、定期的に私が何度も遭遇してきた「シナリオの欠点(あな)」について書いていこうと思います。今回取り上げるトピックは・・・

「サプライズを狙おうとして発生するシナリオの欠点(あな)」

一般的に、シナリオライターが完全オリジナルのシナリオを書く機会というのは意外と少ないのですが、プロデューサーやプランナーが、シナリオライターを兼任していて、新企画の立案用にゼロからオリジナルのシナリオを書くことはよくあります。

厳密にはシナリオというより「あらすじ」「プロット」「シノプシス」などと呼ばれる、おおまかなストーリーをまとめた程度の文章を作成する感じですが、企画の内容を検討する際はそのあたりをひっくるめてシナリオ、として扱うわけです。

完全オリジナルですから、原作小説や原作漫画を前提とした内容ではありませんし、当然まだ誰も知らない内容になりますが、そのオリジナル作品の内容を書き起こす際に、シナリオ執筆未習熟者がよくやりがちなことがあります。

「サプライズの内容を書かない(隠す・教えない)」

これをやってしまう人は、ほぼ間違いなく「新たに立案する作品において結末で大きな秘密や衝撃の事実を明かすつもり」の人です。

謎の人物の正体や、作中でなかなか明かされない秘密など、それらが判明したときに驚愕してほしい、意外な事実を知って喜んでほしい、との思いからそうするようですが、それをやるのは企画の立案上、基本的にNGです。

どんな意図であろうと、結末が不明で全貌がわからない作品では、何も判断ができませんし、何も決定することができません。

「あっと驚くサプライズ要素で観客を楽しませたい」という意図は悪くないですが、作り手側はその内容が本当に観客を楽しませるものかどうかの判断を、念入りに検討した上でくださねばならなりません。

そもそもアイディア自体、シナリオライターが「サプライズ要素として機能して、観客を喜ばせることができる」と勝手に思い込んでいるだけの可能性もあります。シナリオライターだけで判断することは大変危険なのです。

以前、私は「シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その8」で、映画「シックスセンス」を取り上げ、こんな一節を書きました。

http://blog.media.teu.ac.jp/2020/12/post-6edc3c.html

『「シックスセンス」は、1999年の公開当時、監督のM・ナイト・シャマランと主演のブルース・ウィリスの連名で「この映画にはある秘密があります。まだ映画を見ていない人には、決して話さないで下さい」と前置きされたことが話題となり、その「秘密」を確かめようとする観客たちによって大ヒットした映画です』

ここで述べている秘密とは「ずっと作中に登場してきた主人公は、実はすでに死亡している」というものであり、その事実が明かされたときの驚きと衝撃が、「シックスセンス」を観客に楽しんでもらう上で重要であることは、企画の段階でも示されていたと思います。

そして、そのアイディアが間違いなく、効果的に機能する、と判断されたから予算も人員も投入が決まったわけで、その秘密が明かされないまま制作にGOサインが出るなんてことは、まずなかったでしょう。

もしかすると、企画段階で全貌と重要なアイディアを明かしてしまっては、誰かにそれらの構想を奪われてしまうかもしれない、という恐れがあって、「隠そう」と思うに至ることがあるかもれませんが、それは守秘義務など、契約上の問題なので話が別です。

観客として映画を観ていた際に、サプライズ要素で喜びと感動を覚えた経験から、
作り手側になったときに、自らもそういうギミックをシナリオに組み込みたい、という構想を持つ人は少なくありません。

しかし、本当にそれを実現したいと思うのなら、その意図があることはもちろん、その実現タイミングは詳らかにして、
かつての自分と同じような喜びと感動が得られるかどうかを、客観的に判断してもらうことが大事です。

シナリオはネタバレ全開かつサプライズ隠しも無しで書きましょう。

シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その25

2021年7月28日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。
今回も「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介します。
今回紹介するのはこの映画です。
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『オブリビオン(2013)』
【監督】
ジョセフ・コシンスキー
【脚本】
ジョセフ・コシンスキー
カール・ガイダシェク
マイケル・アーント
【参考URL】
https://movies.yahoo.co.jp/movie/344646/
【あらすじ】
西暦2077年。人類は60年前、スカヴと呼ばれる異星人の襲来を受け、核兵器の使用によってこれを撃退するも、地球を荒廃させてしまい、土星への移住計画実行を余儀なくされていた。この状況において、ジャックとビクトリアは、地球の高度上空基地から、地球の資源回収施設を監視、警備する任務を与えられた、地球でたった二人だけの人類である。
残る任務期間が2週間を切り、本拠地の宇宙ステーション「テット」に帰還が間近となったある日のこと、ジャックは監視対象の施設と、自動警備機器ドローンの異常を感知し、現地へ向かった。ジャックはスカヴの残党が活動を活発化していることを懸念していたが、予想は的中。トラブルの解消には成功するものの、スカヴ残党に調査用のバイクを奪われてしまう。
さらにその後日、今度は資源回収施設で爆発事故が発生、ジャックは直ちに急行した。事故の原因は、所属不明の宇宙船による墜落。奇跡的に、乗っていた乗組員の何名かは生存していたが、駆けつけてきたドローンがこれに反応、ジャックが庇った女性ジュリア以外を皆殺しにしてしまった。
ジャックは、基地へジュリアを連れ帰り、意識が戻ったところで素性を確認すると、なんと彼女は60年前にコールドスリープしたNASAの宇宙探査員だった。しかし、それ以外は宇宙船に残されたフライトレコーダーを確認するしかなかった。そこでジュリアと共に再度落下地点へむかい、レコーダーを回収したジャックだったが、待ち受けていたスカヴ残党によってふたりとも囚われてしまった。
気を失っていたジャックが目をさますと、そこにいたのは異星人ではなく、自分と同じ人間たちだった。その人間たちのリーダー、マルコムによって禁止区域へ向かうことを条件にジュリアとともに開放されたジャックは、目的地で驚愕する。なんとそこにいたのは、自分と姿かたちが全く一緒のジャックだった。
自分が「テット」によって作られ、派遣されたクローンの一人でしかない、と気づいたジャックは、マルコムの元に戻る。そしてマルコムから、60年前に襲来したのは異星人ではなく謎の物体「テット」であり、現在も宇宙ステーションから地球を支配している、という真実を知らされる。
全てを知ったジャックは、ジュリアの正体を報告し、その身柄を連行する、という名目で宇宙ステーションへ向かった。厳しい警戒をくぐり抜け、テット中枢部に進んだジャックは、ジュリアを収めているというカプセルを開放する。
しかし、中に乗せていたのはジュリアではなく、超高威力爆弾を抱えたマルコムだった。慌てふためくテットのコアコンピューターを前に、ジャックとマルコムは爆弾を起動。テットもろとも宇宙ステーションの破壊に成功し、地球を救ったのだった。
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「オブリビオン」は2013年に公開された、アメリカのSF作品です。近未来を舞台に、しかしながら荒廃して人類が住みにくくなった世界を描いた、いわゆるポストアポカリプス作品でもあります。
この作品でシナリオライターとしてどこに注目すべきか、といえばポストアポカリプスものならではの「いかに作中で最大の秘密を解き明かしているか」という点です。
この記事では毎度冒頭に、結末までネタバレ前回であらすじを載せているので、それを読んでからこの映画を見ても、あっと驚くようなことはないと思いますが、普通に映画館でまったくの初見であれば、きっと驚くであろうポイントがいくつかあります。
1つ目は、主人公のジャックがクローンとして生み出された存在であり、まったく同じクローンが地球の各地にいるという秘密です。作中で主人公として活動するジャックには「Tech49」というコードネームがあり、物語中盤には「Tech52」のコードネームを持つジャックも出てきます。同じ画面内にふたりのトム・クルーズがいる様は、なかなかインパクトのある構図です。
2つ目は、人類を救うために動いていると思ったら、人類を滅ぼした元凶の手先として自分たちは動いていた、という秘密です。地球から移住するための資源回収が仕事といってもいい主人公は、冒頭からその任務のために危険に身をさらしていくわけですが、それも全ては人類が生き残るためだと思えば納得できるものの、実はその集められた資源は、すべて人類の敵に送られていた、と判明したときの衝撃は小さくないでしょう。
観客として見る分には、こういった秘密は、基本的に作品を見進めることでしか、明らかになっていきません。しかし、造り手側としては、当たり前ですが、作中にどんな秘密があって、それがいつ、どこで明らかになるのか、わかった上で作っています。
「シナリオライターを目指すなら」という趣旨で映画を観るということは、観客側の視点と、造り手側の視点の両方を理解した上で観る、ということです。
このブログの記事を読んだあとでは「わざわざ秘密の分かっている作品を見たくないなぁ」という気になるかもしれませんが、それはあくまで観客としての視点でしかありません。むしろ「秘密はわかっているのだから、客観的かつ冷静に、タイミングを分析できるぞ」と考えて観る、くらいの姿勢がシナリオライターを目指す人には求められます。
とはいえ、全ての秘密を伝えきってしまうのも寂しいので、この記事では取り上げていない秘密も残してあるので、是非「オブリビオン」を見て頂きたいと思います。

2021年度前期専門演習(空間インタラクティブコンテンツ)作品の紹介

2021年7月27日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

こんにちは。コンテンツコースの椿です。

専門演習(空間インタラクティブコンテンツ)では,プロジェクションマッピングやハンドジェスチャを使った作品を制作します。今期の作品の中から2つを紹介します。

1つ目は,ハンドジェスチャを認識するLeapMotionという機器を使った作品です。

[画像:Img1]

紅葉が塊から舞っていくCGです。手の動きで塊を揺らして移動させたり,色を変化させたりすることができます。インタラクティブ性による面白さもありますが,何より美しいです。

2つ目は,白い立方体に投影したプロジェクションマッピングです。

[画像:Img2]

コーナーに投影した三角錐が割れて,破片が回転し,再度集まるシーンです。このような,投影物の3D形状に映像を合わせた後に,形状から外れていくのを見ていると,一瞬不思議な感じがすることがあります。これもプロジェクションマッピングの面白さの1つだと思います。

卒業研究「プロダクトデザイン」2021年3月卒の皆さんのポスター紹介 その3

2021年7月26日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

梅雨明け後、猛烈な暑さになりました。マスク着用が少しつらい状況が続いていますが、今年度の4年生も元気に活動しています。726日には、全員無事に卒研前期の中間発表を終えました。

さて、今回は古井さんと中尾さんのポスター紹介です。20213月卒の卒研生のポスター紹介の最終回です。

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古井さんは、本が好きで、電子媒体が普及する中、世の中には紙媒体の本好きな人が相変わらず多いことを指摘しました。調査の結果、本の良さとして、厚さの触感や読み進んだ量感に価値を感じる人が多いことが分かり、ブックストッパーのニーズに着目しました。このことを踏まえ、携行できる譜面台をモチーフとした分厚い辞書などにも使える折り畳み式のブックストッパーをデザイン提案しました。

中尾さんは、コロナ禍のなか、身の回りにも自炊する人が増えていることを指摘しました。調査の結果、主に若者の意見として、自炊の場合、揚げ物の油処理などの点で調理器具としてはオイルポットに不満が多いことに着目しました。問題解決として、多くの若者にとっては製品のコスパは重要であるも重視し、現行品の使い捨てフィルターの代用としてコーヒーフィルターを使うオイルポットをデザイン提案しました。

コロナ禍はまだ続いていますが、春に卒業なさった皆さん、まずは健康第一でね。

メディア学部 萩原祐志

感染症までの数理 (7・最終回)

2021年7月25日 (日) 投稿者: メディア社会コース

感染の研究に関しても、現在では、利用できるならば AI は当たり前になっていると思います。

AI はデータの一定の特徴(パターン)を探し出し、グループ分けするのが基本です。

感染を含む医学研究の方面では、症状から病気やその原因を探すという使われ方をしてきました。
グループ分けそのものなので、AI の得意分野です。

今回のような、感染の予測は少し異なるので、工夫が必要です。

ひとつの方法は、感染者の時間経過に沿ったデータ(時系列データといいます)を、その方向(増減)と増減幅をグループとみなして、どのグループの次は、どのグループが来るかという分類をします。

そして、直近の時系列データのグループから、次のデータがどのグループに入るのかを予測するということをおこなうのです。

また、昨日、述べたモデルの拡張に AI を使うと、たとえば、パラメータの個数や値を正確に決めるのが容易になります。
その他にも、モデルの区画を AI に決めさせるという拡張もおこなえます。

ただし、AI を使うにも、アイデアは必要になります。

今回のパンデミックを克服するのにも新しい発想が必要になると思います。

ぜひ、わたしたちと一緒に研究し、アイデアを出してください。メディア学部でお待ちしています。

(メディア学部 小林克正)

感染症までの数理 (6)

2021年7月24日 (土) 投稿者: メディア社会コース

ふつうの、つまり一般の感染症は、感染してから発症するまでには時間があります。潜伏期間です。

きのう述べた SIR モデルにはこれがありませんでした。

そこで、SIR モデルに潜伏期間を取り入れるために、感染していない状態 S と感染 I(実際は発症あるいは有症状)の間に暴露という区画を入れます。
暴露とは、ウィルスや細菌にさらされるという意味です。Exposed なので E と表します。

そういうわけで、SIR に潜伏期間を取り入れたものを SEIR モデルと呼びます。

感染していない人が、暴露し、潜伏期間を経て、発症し、やがて回復するので、ひとりの人は、S、E、I、R の順に区画を移ります。

現在、日本を含めて、これを用いて、感染症を調べることがよくおこなわれています。

ただ、これでは、今回のパンデミックとはズレがあると考えられるため、さまざまな拡張が考えられています。

例えば、アジアの研究者の中には、隔離、入院といった区画を取り入れたモデルを考えている人たちがいます。また、アフリカの研究者の中には、ウィルスの変異を取り入れたモデルを考えている人たちもいます。

これらは、モデルを現実に近づけるために区画を増やすという拡張です。

それ以外にも、モデルの拡張は考えられます。

明日に続きます。

(メディア学部 小林克正)

感染症までの数理 (5)

2021年7月23日 (金) 投稿者: メディア社会コース

感染というのは、ウィルスや細菌が人間のからだに入り、増殖することで起きます。

一方、人体には、それに対抗する免疫がありますから、その増殖を抑え、絶やすことで、やがて回復します。

それだけでなく、ウィルスや細菌の種類にもよりますが、回復した人は、獲得免疫ができて、感染しなくなります。

これは、ごく簡単ですが、感染の経過を表しています。

そこで、感染していない人、感染している人、回復した人の3つに分けて、それぞれの人数の時間変化と関係をモデルにします。

これは疫学の区画モデルという種類に入り、 SIR モデルと呼ばれています。

S は感染していない人の数で、感染する可能性があるという意味の Susceptible、I は感染している人の数で、その意味の Infected、R は回復者の数で、回復したという意味の Recovered から来ています。

ひとりの人は S、I、R の順で区画を移っていきます。

このモデルは、きのう述べた PP モデルと少し似ています。S が被食者、I が捕食者に対応しています。
感染していない人 S が減っていき、感染している人 I が増えていく部分で、PP モデルと似た動きをします。
ただし、それ以外は、挙動がまったく違います。PP では周期的に動きます。SIR モデルでは、S、I、R の合計は常に一定なので、感染していない人数 S は減少していき、感染している人数 I は途中でピークに達したあと、減っていき、時間が経つと、回復した人 R だけになっていきます。

こうして、感染のモデルができあがると、これにデータを与えて、パラメータ(補助になる変数)を算定し、それによって、再現、予測をすることができるということになります。

SIR モデルは単純ですが、条件が合えば実際の感染症の流行を再現できることが知られています。

しかし、ふつうの感染症に対しては、もう少し工夫が必要です。
どのような工夫がされてきたのかは、明日に続きます。

(メディア学部 小林克正)

感染症までの数理 (4)

2021年7月22日 (木) 投稿者: メディア社会コース

人口に関するモデルをつくるのは、人口論という分野です。
19世紀、マルサスという経済学者が記した、この題名の著書がこの分野の始まりとされています。

マルサスは、人口は倍々に増えていくと考えました。指数的増加といい、上限がありません。これは、おととい見たネズミ算そのものです。

しかし、すぐに反論が出て、そんなに制限なしに増えるはずがない、頭打ちがあるだろうということになりました。

こうした中、数学者のフェアフルストは、ロジスティックという、増加にはブレーキがかかっていく仕組みを考えたモデルを作りました。マルサスのモデルに改良を加えたものと見なせます。

現在、人口論も含めて広い分野で、このロジスティックのモデルがよく用いられます。
実際、一定量のえさがある閉鎖的な環境で、これをもとに1種類の生物が増えていく様子は、このロジスティックのモデルによく当てはまります。
微生物や昆虫などで繰り返し確かめられています。
ひとつの国の人口なども、このモデルを適用することがおこなわれます。

ただし、驚くべきことですが、世界人口は、このロジスティックのモデルより、マルサスによる指数的増加のほうがよく当てはまるとされます。
それどころか、単なる指数的増加よりも増えているのです。
きのう引用した世界人口のデータも、頭打ちやブレーキがないだけでなく,1年あたり 1.00003 倍から直近では 1.00158 倍の増加になっています。
増加のスピードが速まっているのです。しかもこれが2000年以上続いています。

このように世界は人口爆発とよばれる状況になっています。
少子高齢化による人口減が問題となっている日本では考えられないことですが。

生物のモデルに戻ると、生物の個体数は、現実には2種類以上の生物が関係してきますから、それを考慮したモデルに拡張されています。

PP モデルという、捕食者(「食う側」)と、被食者(「食われる側」)の2種類の生物の個体数の関係を表したモデルが基本になっています。
研究者の名前からロトカ・ヴォルテラ型とよばれます。
興味深いのは、捕食者が強くなりすぎると双方が減ってしまう、つまり捕食者自身も減ってしまうので、そういうことがないようにブレーキがはたらくということです。
このため、いずれの種類の生物も周期的に増減を繰り返します。
最初、分析に用いられた、海域の2種類の魚によく当てはまり、それ以降、多くの分析に用いられてきました。

今年の大発生で話題になった、17年ゼミの周期も似たような考えで説明できます。
この種類のセミは各世代が17年も地下で幼虫として生活してから地上に出てくるのです。
17というのは幼虫である期間の年数としては比較的大きいうえに、素数です。
このため、小さい周期や約数がたくさんある素数でない場合に比べて、他のセミと競合する回数が減り、鳥などの天敵の大発生する周期とも重なりにくいというわけです。

こうした生物のモデルは、感染のモデルにも関係しています。

どう関係するかは明日に続きます。

(メディア学部 小林克正)

感染症までの数理 (3)

2021年7月21日 (水) 投稿者: メディア社会コース

人間の数、つまり人口に対してモデルをつくるには、まず、人口を数えなければなりません。

正確に人口のデータを取れるのかということになりますが、とくに世界人口となると、これが意外にむずかしいのです。

よく言われるのは、出生記録の問題です。

現代では、各国の政府は、行政サービスや税金などの観点から、出生記録を残そうとしますが、少し前まではそうではありませんでした。

日本は戸籍制度があり、生まれた人は原則的に記録されましたが、戸籍というのは、家族制度のもとでの記録なので、国や地域によっては、そもそもそういう考え方がありません。

そこで、ヨーロッパでは、キリスト教カトリックの教会台帳で、洗礼の記録を調べることで人口を調べることもおこなわれました。生まれると原則、洗礼を受けるからです。

現代でも、紛争下にある国や地域では、正確な出生記録は望めません。そもそも国や政府が機能していない場所もあるからです。過去の記録はなおさらです。

こうしたことを含めて、結局、世界人口は、実際の記録ではなく、推計とならざるをえないのです。

それでも、第2次世界大戦以降は、かなり信憑(しんぴょう)性のある推計が得られています。

たとえば、国連経済社会局による、世界人口推計では、西暦元年は3億人、西暦1000年は3億1千万人、1500年は5億人、1800年は9億7800万人、1900年は16億5千万人とざっくりしていますが、1950年は25億3509万3千人、1970年は36億9867万6千人、1990年は52億9487万9千人、2000年は61億2412万3千人、2010年は69億655万8千人などと詳細になっています。

いずれにしても、このようなデータが得られれば、それをもとにモデルをつくれます。

どのようなモデルになるのかは、明日に続きます。

(メディア学部 小林克正)

感染症までの数理 (2)

2021年7月20日 (火) 投稿者: メディア社会コース

さっそく、昨日の、ネズミの数です。

なんと全部で、276億8257万4402匹となります。わかりにくいのですが、1か月ごとに総数が7倍になっているのです。

これは、昨年7月、このブログに書いたように、ここにも7が、ということでもあります。

古代から知られていたようですが,同じ数を何回も掛けていくと、思いがけなく大きくなるのに驚いたことでしょう。

似たような考えで、ウサギ算とでも言えることが、中世にイタリアで書かれました。

ウサギの1つがいがいる。1か月後にオスとメスの子を1羽ずつ産む。さらに1か月後、生まれた子はつがいになり、もとの1つがいとともに、それぞれが、やはりつがいになる2羽の子を産む。これを繰り返すと、つがいの数はどう増えるか。

これは、1、1、2、3、5、8 と増えていき、前のふたつを足したものが次のものになっているという関係になっています。これがフィボナッチ数列とよぶものであることを知っているかもしれませんが、上のウサギ算を書き残したのがフィボナッチです。この数列はフィボナッチを現代にいたるまで有名にしましたが、このような数列自体は、当時すでに知られていました。

ネズミ算もウサギ算も現実的ではないので、役に立たないと思うかもしれません。

しかし、実際の生物でも、増殖の基本は細胞分裂で、1回の分裂で細胞が2倍になるのが普通なので、ネズミ算の増え方を2倍に変えれば、少なくとも単細胞生物には適用できるはずです。

富栄養状態という栄養が十分にある状態だと乳酸菌などの単細胞生物が、そのような増え方をするのはよく知られています。

では、多細胞生物、高等とよばれる生物には使えないのでしょうか。

直接、生物個体ではありませんが、フィボナッチ数列のような増え方は、植物の器官などにはよく見られます。枝や葉や種の集まりの構造そのものにそうした並びが見られます。

ある種の昆虫の親子関係や人間の染色体をさかのぼっていったときにもフィボナッチ数列があらわれるという研究もあります。

こうして、生物についてもネズミ算やウサギ算が使える場合があると、わかりましたが、人間に対してはどうなのでしょうか。

明日に続きます。

(メディア学部 小林克正)

感染症までの数理 (1)

2021年7月19日 (月) 投稿者: メディア社会コース

いま感染者の数は大変、気になります。

感染者数の予測ができれば、われわれの行動や生活にも役立つでしょう。

予測は、感染のモデルを作って求めます。

こうしたモデルを作るのは、医学・生物学や疫学などの関連分野と思うかもしれませんが、
数理的にも扱います。

これからしばらくの間、生物から感染者まで、どんな考え方で扱ってきたのか、数理的な枠組みでたどっていきたいと思います。

なお、今回のパンデミックに関して、直接のモデル化や予測はしません。抽象的なモデルを具体化するには、正しいデータが必要ですが、今、それは一般には手に入らないのが大きな理由です。

さて、日本で、生物の個体数に関する計算と言えば、ネズミ算でしょう。

塵劫記という江戸時代の本にある、次の計算が始まりと考えられます。

ネズミの夫婦が1月に12匹の子を産む。2月に親と合わせて7夫婦になり、1夫婦12匹を産むと、全部で98匹。これが繰り返されると12月の終わりには...

何匹になるかは、明日に続きます。

(メディア学部 小林克正)

応用例の暗記は危険

2021年7月18日 (日) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の教員の中で私自身は技術寄りです。CG技術をずっと研究し応用ソフトを開発してきたプログラマー出身です。そのため技術の原理を紹介して説明するような講義をすることが多いです。「CG数理の基礎」や「3次元コンピュータグラフィックス論」といった講義を担当しています。

手法を説明した際に、応用例が何かを学生から質問されることがあります。技術者の立場でわかる範囲で回答しますが、これが拡大解釈されて「しろまるしろまる法はしろいしかくしろいしかくの場面で使われる」というパターンで暗記する人がいることにときどき気づきます。それでよい場合もありますが、そのようなパターン暗記に頼ることは一般には危険です。

暗記してしまうと、いつしか「しろいしかくしろいしかくの場面では必ずしろまるしろまる法を使う」という憶え方になってしまいます。これら2つの文言は似ていても意味が違うことは明らかです。そして後者では実践の際に間違う可能性があります。やってみたけどうまく行かずやり直しで時間が無駄にかかったりします。

料理の例で考えてみましょう。

「フライパンで炒め物をするときは油をひく」を暗記してしまうと、脂肪たっぷりの豚バラ肉を炒めるときにも油を使ってしまい、ベタベタのしつこい料理になってしまいます。

油をひく主な理由は、食材が熱い金属にくっついて焦げ付くのを防ぐことです。その原理を知っていれば豚バラ炒めでは油は不要かごく少量という正しい対応ができます。金属を覆いよく滑る素材で表面加工したフライパンなら、多くの食材で油不要という判断もできます。

講義の話に戻ります。

私の講義は多くの技術的手法を紹介しますので、なるべく理解を定着しやすいように条件反射的な憶え方で説明することもたまにあります。でも上記のような間違いを起こしにくい場合に限定しています。「『垂直』と来たら『内積ゼロ』」はよくやる説明です。これは暗記してよいパターンです。

あと、数少ない条件反射パターン例は「フォトンマッピング法」と来たら「集光模様(コースティック)」というやつです。正確にはフォトンマッピングの上位概念である「大域照明(間接光による相互反射も計算する手法。グローバルイルミネーション)」なら集光模様は可能でそういう説明もしますが、メディア学部の学生にとってはこの条件反射パターンで大きく間違うことはないです。図はフォトンマッピング法で描画した集光模様の例(右下の透明球の下の床に集まった光)です。3年次の学生のプログラムです。

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例外の方ばかり示しましたが、逆にいうと、これ以外の場合での条件反射パターンは危険だと思っています。ですので私の講義の範囲では、「内積ゼロ」と「集光模様」以外ではこの手はほとんど使いません。

技術の手法やアルゴリズムは、そもそもの目的や原理をしっかり押さえておくことが大事です。使い分けや応用例を暗記しておかなくても、原理がわかっていれば実践の場面で適切な手法を使うことができます。もちろんある程度実践を通じた活用経験があるのは望ましいですが。

実践の場面で「あれが使えるのでは」というのを引き出すノウハウは難しいのですが、少し感覚的な説明をします。原理の理解が深ければ、そして「なるほど」という納得の喜びがあれば、脳内にその手法の抽象イメージが定着します。ある実践場面に直面したときその場面の目標の抽象イメージが似ていれば、適切な手法が引き出せます。

具体例を暗記するよりも、抽象イメージを脳内に定着させましょう。特に問題解決のできる技術者を志向する人は。

メディア学部 柿本正憲

オンラインポスターセッションシステムTeleAgoraの使い方〜参加者編〜

2021年7月17日 (土) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。

昨日 一昨日に引き続き、TeleAgora(テレアゴラ)についての紹介です。
今日は参加者として利用する場合の見方を説明します。

昨日の主催者編で書きましたが、発表会への参加はあらかじめ主催者による参加登録が必要です。
参加登録がされていれば、ログインしたトップページに「参加している研究発表会」欄が表示されるため、その中の表示したい発表会をクリックすることでセッション会場へ移動します。

会場内では、各発表のタイトルと著者、サムネイルがずらっと並んでいるような表示をしています。
(実は画面サイズに応じたレスポンシブデザインをしているので、スマホからも閲覧できるようにしています)
芸術科学フォーラムの時の状況を例示します。研究発表のため、ポスター本体にはモザイク処理をしています。

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ポスター下部に、ディスカッションに参加するためのボタンと現在発表者とディスカッションをしている人数を表示しています。
ボタンを押すことで発表者の待機しているGoogleMeetなどのビデオチャットサービスにアクセスし、人数アイコンが追加されます。

現実のポスターセッションでは、発表者と話している、あるいはその話を聞いている参加者が見えるため「混んでいる」発表がすぐにわかります。
オンラインでのポスターセッションで、発表者の数だけルームを用意しただけだとこの様子がわからないので、「混んでいるから後でまた来よう」という判断ができなくなります。
TeleAgoraではディスカッション中の人数を一覧ページに表示することで、これを解決しています。

ページ内をスクロールしてサムネイルを眺めながら、気になる研究があればタイトルまたはサムネイルをクリックすることで詳細表示になります。
詳細表示ではサムネイルではない大きなポスター画像と、ビデオチャット/Googleドライブへのリンク、コメント欄が表示されます。

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ポスターを眺め、ビデオチャットへのリンクから発表者とディスカッションしたり、ディスカッションはせずともコメントを残していくことができます。
ポスターセッションでは混んでいると話せないまま終わってしまうこともありますが、コメントを残していけるのはオンラインならではのメリットですね。

さっきは書きませんでしたが、ポスター一覧の中にお気に入りボタンもあります。
投票機能はこのような形で実装しているので、一通り気になる発表を聞いた後に一覧画面から気に入ったポスターを選んで投票していくことができます。

実際のポスターセッションの様子をなるべく踏襲しながら、オンラインでのWebアプリケーションシステムである利点も取り入れて開発しました。
ポスターセッションで発表する方、主催する方、参加する方それぞれにとって役立てれば幸いです。

7月18日(日)オープンキャンパス(メディア学部)「研究室公開」の一部変更のお知らせ

2021年7月16日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

7月のオープンキャンパスは、八王子キャンパス、蒲田キャンパスともに「来場型」と「オンライン型」の両方で開催します。

東京工科大学オープンキャンパス公式Webページ
https://jyuken.teu.ac.jp/jyuken/index.html


7月18日(日)に八王子キャンパスで開催される「来場型」のイベントとして、メディア学部は「研究室公開」を行いますが、新型コロナウイルスの感染拡大防止と緊急事態宣言の再発出を踏まえ、公開する研究室を以下の11研究室に変更することとなりました。

<メディアコンテンツコース>
【1】次世代ブロードキャスト研究室(佐々木):次世代の映像配信をお届け!
【2】プロダクトデザイン(萩原):卒業研究「プロダクトデザイン」の紹介
【3】次世代コンテンツ研究室(椿):次世代コンテンツの研究紹介
【4】exSD(伊藤(彰)):サウンドメディアデザイン

<メディア技術コース>
×ばつヒューマン(大淵):音の研究紹介
【6】AED-LAB(羽田):五感とバーチャルリアリティ

<メディア社会コース>
【7】経済経営調査研究(榊):経済経営の調査研究
【8】ソーシャル・デザインプロジェクト(飯沼):国際教育開発とソーシャルデザイン
【9】ビジネス・プランニング(小林):予測とプランニング
【10】相互行為とメディア(山崎):相互行為って何?
【11】聴覚障害支援メディア研究室(吉岡):SDGsとメディア


当初、公開予定だった研究室の見学を楽しみにされていた方にはご期待に沿えず、お詫び申し上げます。来場される方々の安全・安心を確保しつつ、当学部の魅力を実際に感じていただける有意義な機会とするための対応として、ご理解いただきたく存じます。

「来場型」イベントは定員に達したため参加受付は終了していますが、ライブ配信による以下の「オンライン型」イベント((注記)18日(日)のみ実施)は、16日(金)時点で参加受付中です。お早めにお申し込みください。

にじゅうまる「メディア学部説明+コース紹介」:午前の部(10:00〜10:30)のみ (注記)午後の部(13:00〜13:30)の配信はありません
にじゅうまるメディア学部ライブ「THIS IS intebro」:14:00〜15:00
にじゅうまるTGS出展予定ゲームのバーチャル展示:16:00〜17:00


そのほか、7月15日(木)〜21日(水)の期間は、学部紹介や研究紹介の「バーチャルオープンキャンパス」も開催しています。こちらもぜひご覧ください。


(メディア学部 伊藤 謙一郎)

オンラインポスターセッションシステムTeleAgoraの使い方〜主催者編〜

2021年7月16日 (金) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。

昨日に引き続き、オンラインポスターセッションシステムTeleAgora(テレアゴラ) の紹介です。
今回は主催者向けにどういうことができるかの説明します。

昨日の記事でも書いた通り、TeleAgoraは基本的に実際のポスターセッションを踏襲する形で開発しています。
ポスターセッションを開催するにあたり必要な内容を機能に落とし込んでいます。具体的には次の各事項です。

  • 発表会の基本情報登録
  • セッション・ポスター情報登録
  • 参加者管理
  • 投票管理

主催している発表会があると、ログインしたトップページに管理画面へのリンクが表示されます。
この中から設定を行いたい発表会をクリックすることで、管理画面へ移動します。

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管理画面ではまずは基本情報が入力できます。
発表会名や主催組織、スケジュールなどを入力します。hsl形式でテーマカラーを指定すれば、全体のデザインに反映されます。

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セッション・ポスター情報登録機能は、実際の学会等でのプログラム検討や会場にパネル・イーゼルなどを配置するといったことに相当します。
プログラムの検討のため、あらかじめ発表者を募集し研究タイトル等を集めていると思います。
セッションやポスターについて必要な数だけ枠を作成し、そこへ情報を入力していく形で開発しました。
情報の入力は改行区切りのテキストデータからできるようにしているので、エクセルなどのスプレッドシートソフトで管理している情報から簡単に転記できるようになっています。
ここで発表者として登録されたユーザーのトップ画面に、昨日の記事で紹介した入力欄が表示されるようになっています。

参加者管理は、実際の学会では事前の参加登録と会場受付での名札配布などに相当します。
研究発表会の性質上、不特定多数の部外者が見に来てしまっては困ると思いますので、発表会にアクセス可能なユーザーを登録します。
参加者のメールアドレスをあらかじめ収集し、ポスター同様改行区切りテキストで入力可能です。
ユーザーの種別として「参加者」「発表者」「審査員」「管理者」を用意しています。これらの用途は次に説明します。

最後に投票機能です。各ポスターについて、参加者に投票をお願いすることができます。
上で紹介したユーザー種別ごとに、投票可能な票数を指定することができます。参加者は一人1票、発表者は投票権なし、審査員は一人5票など、細かく指定できます。
発表会の性質や方針によってさまざまな運用ができますので、活用してみてください。

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全ての機能を説明できたわけではないですが、おおよそのできることをご紹介しました。
現在のところ発表会の新規作成機能は公開していないので、TeleAgoraを利用したポスターセッションの開催を検討したい方は問い合わせ先メールアドレス宛にご連絡ください。

対面で集まっての実際のポスターセッションはまだしばらくは困難と思います。
その間でもTeleAgoraを通してポスターセッションによる研究の発展ができれば幸いです。

オンラインポスターセッションシステムTeleAgoraの使い方〜発表者編〜

2021年7月15日 (木) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。
今日は私の開発・公開しているオンラインポスターセッションシステムのTeleAgora(テレアゴラ)
について、使い方の紹介をします。

今日は発表者側の使い方、明日は発表会主催者としての使い方の説明をします。
発表者としては、今年三月に行われた芸術科学フォーラムに発表した際のものを例にします。

TeleAgoraはオンラインでポスターセッションをするためのシステムです。発表者は(当然ながら)ポスター発表ができます。
ポスターセッションは、自身の研究をA1などの大きなサイズに印刷し、発表会場に貼り出します。そしてポスターの前に立ち、見に来た方と研究のディスカッションをするのが主な流れです。

TeleAgoraでは基本的に現実のポスターセッションを踏襲し、ポスターを貼り出して参加者とディスカッションできるようにしています。
ユーザー作成をしてログインすると、通常は参加している発表会のリンクが出ますが、発表会で発表する予定の方はトップ画面の一番下に次のような欄が現れます。

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この図の場合は、映像表現・芸術科学フォーラム2021で私が発表者として登録されているのでこのように出てきています。
他にも発表予定のものがあれば、その件数だけ発表会名と発表タイトルが表示されます。
この発表会名と発表タイトルが表示されている部分をクリックすると、詳細な情報入力欄が表示されます。

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入力欄には、サムネイル画像URLとポスター画像URL、ビデオチャットURL、共有フォルダURLがあります。
(発表会申し込み時に確定済みでなければ、タイトルと著者もここで入力します。)

自身の研究内容をポスター形式でまとめて、画像ファイルとしてGoogleドライブ上の自身のフォルダに保存します。
そしてその画像の共有用リンクを作成し、TeleAgoraの上記の欄に入力する事で「ポスターを会場に貼る」ことになります。
ポスターセッション会場では各発表者の指定したサムネイル画像が並び、興味を持った方がクリックするとポスター本体が表示される形です。
発表後はこの欄の入力内容を消すことで、「ポスターを剥がして帰る」こともできます。

オンラインでブラウザ上にたくさんのポスターを並べて貼るため、各ポスターの画像は小さく表示されてしまいます。
ポスター画像そのものをサムネイルにすると小さくて読めないため、サムネイルは別途用意できるようにしています。
重要なワードや結論だけドーンと大きく載せたり、ロゴやわかりやすい成果画像があればそれだけ見せるのもよいかもしれません。
上の発表例でも、成果部分のアップをサムネイル画像に指定しています。

ビデオチャットURLにはGoogleMeetなどのルームURLを入力することで、ポスターに興味を持ってくれた方がディスカッションしたい際にアクセスできるようにします。
セッションの時間中はそのビデオ会議システムにログインしておくことで、「ポスターの前に立っている」ことに相当します。

共有フォルダURLには、GoogleドライブのURLなどを入れておくことでポスター画像以外にも見せたいものを参加者に提供できます。
動画やデモ用プログラムを置いておくなど、活用方法はさまざまです。ご自身の発表内容に合わせて工夫してみてください。

今日はポスターセッション発表者の視点での紹介でした。
明日は発表会を主催する側向けの機能を紹介します。

「語り」の音声データ

2021年7月14日 (水) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

先日、オンラインで開催された「音学シンポジウム2021」で、当研究室所属の大学院生の大石光流さんが「東京工科大感情語りコーパス(TUT Emotional Story-telling Corpus; TESC)の作成と基礎的分析」というタイトルで発表しました。この学会は、音声・音楽・言語など音にまつわるいろんな研究が集まるとても興味深い学会なのですが、6月というタイミングがうちの研究室のスケジュールと相性が悪く、なかなか発表の機会がありませんでした。今回、大石さんが春休みにいろいろと研究をがんばってくれたので、研究室からはじめての発表が実現しました。

データを使った声の研究は各地で活発に行われていますが、声と言っても実に様々です。声のデータを集めて機械学習を行うというアプローチは、1980年代ぐらいから行われていましたが、最初は原稿を与えられての読み上げ発話が中心で、そのあとは講演調の自然発話や、人と人との対話なども研究されるようになってきました。そんな中で、目の前にいる相手に向かって、感情を込めて語りかけるという行為を「語り」と呼び、他の話し方とは区別して分析してみようというのが、今回の発表の主題です。

今回の発表は、議論を目的とした発展途上の成果を発表する「ディスカッションポスター」として行いました。まだまだ立ち上げたばかりの研究ですが、今後はしっかりとした成果を発表していきたいと思っています。

CHI勉強会 2021

2021年7月13日 (火) 投稿者: メディア技術コース

こんにちは.メディア学部の加藤です.

今日は 2021年6月26日に開催された,CHI勉強会2021について紹介します.

CHI勉強会は,Human-Computer Interaction(HCI)の研究分野における最重要国際会議である CHI Conferenceにて発表された論文を一日で網羅しよう,という勉強会です.

先日のメディア学部のブログでも紹介しましたが,今年 5月に開催された CHI'21は 747本の Full paperが発表されました.
しかしながら 747本もの論文をひとりですべて読むのは非常に労力が必要ですし,時間もかかります.
そこで勉強会参加者で分担し,1論文あたり 30秒で紹介していくことで,効率よく全体を把握したり,自分の興味のある論文を確認しよう!という目的で開催されています.

メディア学部からは,太田研究室の 2名の大学院生が参加しており,合計 12本の論文を紹介してきました.
(加藤は勉強会の幹事団のひとりとして携わっています.)
発表会当日の動画は YouTube上に上がっており,発表で使用されたスライドもアップロードされています.
https://sigchi.jp/seminar/chi2021/

当日参加できなかった人でも,これらを見返すことでも非常に勉強になりますので,
HCIの研究分野に興味のある方は,是非見てみると良いでしょう .

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プロジェクト演習「IoTプロトタイピング演習」の紹介

2021年7月12日 (月) 投稿者: メディア技術コース

皆さんこんにちは。メディア学部の寺澤です。

今日は私と演習講師の瀬高昌弘先生が担当しているプロジェクト演習「IoTプロトタイピング演習」の紹介をしたいと思います。このテーマでは今学期はプロジェクト演習I/III/Vの履修者が一緒に受講しています。初めて受講する1年生もすでに以前の学期で受講している上級生もいますが、少人数なので、それぞれのレベルに応じた課題設定を行い演習を行っています。

今学期は4月に対面で授業をスタートしましたが、5月の連休前の最後の授業で機材や部品等を持ち帰ってもらい、連休後からオンラインに切り替えました。6月末の対面授業再開後も受講者の希望も確認してオンランを継続しています。今回は履修者の3年生の野際君が取り組んでいる課題について紹介します。これは各自が定める最終課題に向けた練習的な位置づけのもので、6月23日に発表会を行いました。

野際君が取り組んだのはAWS(Amazon Web Services)に用意されているいくつかのサービスを利用して、カメラ画像の中から人物を認識するというものです。AWSの教育機関向けのプログラムAWS Educateを利用しています。

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野際君はほかの演習授業でAWSの仮想マシンを使った経験はありますが、AWSのサービスを使ったプログラミングを行うのはほぼ初めてのようです。JavaScriptでCodePenという環境で書いています。

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この演習ではGoogle Meetを使って、各自の作業画面を共有しながらオンラインで進めています。少人数であればプログラミングとこのような形態のオンライン授業は相性が良いようです。

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最後の画像が実行した結果です。ちょっとわかりにくいですが、右の画像には画像より一回り小さい赤い線の枠があり、人物を認識しています。

野際君はこれまでmicro:bitobnizRaspberry Piを用いた制作を行ってきているので、今回はソフトウェアのサービスに挑戦しました。他の受講生は今学期はmicro:bitやobnizでセンサーを用いたサービスの実現を演習しています。最終発表会で面白いものができたら、また紹介したいと思います。

(メディア学部 寺澤卓也)

第4回シナリオ執筆未習熟者の作品に共通して発生する欠点(あな)

2021年7月11日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

今回も「シナリオ執筆未習熟者の作品に共通して発生する欠点」として、定期的に私が何度も遭遇してきた「シナリオの欠点(あな)」について書いていこうと思います。今回取り上げるトピックは・・・

「必然性のない巻き込まれ型主人公によるシナリオの欠点(あな)」

シナリオ執筆の課題にとりくむ東京工科大学メディア学部の学生の中には、ライトノベル用のシナリオを書きたい、という人が少なからずいます。

中学、高校時代にライトノベルと出会い、特に気に入ったタイトルこそ、それぞれ違いますが、メジャーなタイトルはそこそこ読破しているようで、アニメ化している作品であれば、おおまかなストーリーや特徴的な設定などは、把握しているようです。

しかしながら、そういった知識があるがゆえに、新規の作品としてシナリオを執筆するときに発生しやすい問題があります。
それはストーリーの冒頭部で、こんな導入で始まるパターンです。

--

平凡な高校生の主人公は、たまたまコンビニへ買い物へ行った帰り道、
傷つき倒れた美少女ヒロインと遭遇する。

主人公はお人好しの性格であるがゆえに放っておくこともできず、
身動きの取れないヒロインを抱きかかえて帰宅する。

目を覚ましたヒロインが謎の組織によって追われる身であることを知った主人公は、
正義感の強さから、主人公はヒロインを救うべく戦うことを決意する・・・"

--

実際にライトノベルとして執筆する過程では、地の文で説明されるのかもしれませんが、あらすじとしてこれだけを示された場合、主人公の考え方や行動に「共感する」ことができず、作品に関心を持つことができません。

確かに、ライトノベルの導入としては「定番」なのかもしれませんが、常識的に考えて、高校生という人生経験も浅い年齢の人間が、気を失うほどの傷を負った人間と突然遭遇して、「お人好しな性格だから」という理由だけで、自宅に連れて帰るものでしょうか?他にできることはなかったのでしょうか?救急車を呼ぶ、という発想なかったのでしょうか?

・・・などなど、色々な疑問が湧いてきます。

こういった展開は、既存のライトノベル作品のいくつかに共通する、いわゆる「ボーイミーツガール」と呼ばれるジャンルの作品を想定して執筆された作品である、と示す上では効果的ですが、受け手に様々な疑問や違和感を抱かせてしまう時点で、致命的なシナリオの欠点(あな)と言わざるを得ません。

私は「シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その24」で
以下のように触れました。

『"巻き込まれ型の主人公"というのは一見、とても簡単に作れそうに見えるアイディアです。今回の作品「コラテラル」において、主人公は単なる一般市民であり、殺人などの犯罪からは基本的に無縁の存在です。そんな立場の人間が、非日常な出来事にさらされるという機会をつくる上で「巻き込まれた」という事故的な関連付けは、有無を言わせぬきっかけとして、分かりやすいものがあります。

しかし「巻き込まれた」というシチュエーションは、あくまで受動的なものなので、どうしても本人が行動する上でのモチベーションに繋げづらいところがあります。現実の生活で、文字通り「事故に巻き込まれた」として、自身がその巻き込まれた事件を自ら解決に乗り出そうとする人は殆どいません。

視聴者も、基本的にはそういった感覚を持って映画を見ていますし、作中に自分を投影もしくは共感する対象として主人公を認識します。それゆえに「巻き込まれただけだが、どうしても事件に付き合わねばならない」と思わせるには、かなり強い理由と動機が求められます。』

さまざまなライトノベルを読んできているだけ合って、その後の展開における多種多様な設定や世界観などには、眼を見張るオリジナリティがあるのですが、導入部に問題があっては、そこを理解してもらうまで読んでもらうことができません。

冒頭部がシナリオの欠点(あな)にならないよう、気をつけたいものですね。

シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その24

2021年7月10日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。
今回も「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介します。
今回紹介するのはこの映画です。
--
『コラテラル(2004)』
【監督】
マイケル・マン
【脚本】
スチュアート・ビーティー
【参考URL】
https://movies.yahoo.co.jp/movie/320267/
【あらすじ】
タクシードライバーのマックスは、ある日、敏腕女性検事のアニーを客としてロサンゼルスのビルに送り届けることになった。マックスは、道すがらアニーの仕事の愚痴を聞き、励ましたことを喜ばれ、アニーから連絡先の書かれた名刺もらう。気を良くしたマックスのタクシーに、アニーと入れ替えで次の客がやってきた。
その客ヴィンセントは、時間にうるさいビジネスマン風の男だったが、マックスはやはりより良いルートで目的地に彼を送り届けた。すると、ヴィンセントは気を良くしたのか、そのまま今晩タクシーを貸し切って5箇所を回ってほしい、と提案してきた。貸し切りは禁止されていたが、600ドルの報酬は破格で、マックスはこれを引き受けた。
最初の目的地にヴィンセントを送り届けたマックスは裏手の路地で待つことになったが、しばらくすると、アパート上階の窓から死体がタクシー目掛けて落ちてきた。そしてすぐさまそれを追ってきたヴィンセントは、自分が殺し屋であることを告げ、協力せねばマックスも殺すことになる、と脅してきた。
やむを得ず運転を続けることになったマックスは、ふたり目、さんにん目のターゲットをヴィンセントが殺していく合間に逃亡や抵抗を試みたが、ことごとくヴィンセントに阻止されてしまい、うまくいかない。そんな矢先、タクシー会社から、マックスが見舞いにこないことを気にした母親が何度も電話をかけてくる、と連絡が入った。ヴィンセントは、日課を破ると怪しまれる、という理由からマックスとともに病院へ向かった。
病室でマックスの母親が、ヴィンセントとぎこちない会話を交わしたすきをついて、マックスは、ヴィンセントが持っていたブリーフケースを強奪して逃走する。すぐに追いつかれてしまうものの、自マックスはブリーフケースを高速道路に投げ捨て、粉砕した。
残る二人のターゲット情報を失ったヴィンセントは、依頼主から再度情報を得るため、自分に成り代わってデータを受け取ってくるよう命令してきた。従わなければ母親を殺し、失敗すればマックス自身を殺すと脅され、マックスはやむを得ずこれに従い、依頼人のフェリックスから決死の思いでデータを再入手した。
4人目のターゲットがいる韓国マフィアのナイトクラブへ向かったマックスとヴィンセントだったが、すでにふたりの乗ったタクシーは地元警察とFBIによってマークされており、ナイトクラブには包囲網がしかれつつあった。しかし、それでもヴィンセントは薄暗い室内とごった返す客たちに紛れてターゲットを撃ち殺すことに成功する。
残るターゲットはあとひとり。だが、マックスはもはや心身ともに限界だった。5人目のターゲットのもとへ向かう途中でマックスはヴィンセントと口論になり、タクシーを暴走させると、ヴィンセントに銃を突きつけられてもアクセルを踏み続け、車を横転させる事故を起こした。
ヴィンセントはその場から姿をくらまし、マックスは事故処理にきた警官に逮捕されようとしたが、ヴィンセントが残した5人目のターゲット情報が目に入ってしまう。それはヴィンセントを乗せる前に、自分の仕事ぶりを評価して、名刺をくれた女性検事のアニーだった。マックスは考えを一転。ヴィンセントの残した銃をその場から奪い、アニーのいるオフィスへ向かった。
マックスは充電の切れかけた携帯電話からアニーへ電話をかけ、危機を伝えるも、事情を理解してもらう前に電話は切れ、ヴィンセントの魔の手が迫る。それでも諦めないマックスはなんとかアニーと合流し、地下鉄から脱出を試みた。しかし、ヴィンセントはおそろしい嗅覚で地下鉄車内にまで追跡してきたため、マックスは覚悟を決めて対峙、機先を制してヴィンセントに致命傷を与え、アニーとともに窮地を脱したのだった。
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「コラテラル」は2004年に公開されたアメリカの映画で、"息もつかせぬ展開にダイナミックなアクション"(フィルムコメント誌)、"A knockout!(強烈な素晴らしさ!)"(ニューズウィーク誌)と評される、スリリングなサスペンス作品です。トム・クルーズが、悪役を演じていることでも話題になった作品です。
では、この作品でシナリオライターとしてどこに注目すべきか、といえば「巻き込まれ型の主人公を活かしている」という点です。
トム・クルーズが悪役で出演していることを前述しましたが、各種メディアでも正面パッケージに採用されている率が高いのもトム・クルーズが演じる殺し屋のヴィンセントなのですが、あらすじを読んでいただけばわかるように、この映画シナリオにおける主人公は、タクシードライバーのマックスです。
ハリウッドにおけるシナリオ理論の一つに"その作品全体を通して解決する中心的な問題「セントラルクエスチョン」を設定する"というものがあります。多くの場合、その問題は主人公の目指す達成目標であり、推理モノなら「犯人を捕まえる」、恋愛モノなら「意中の相手と結ばれる」、バトルモノだったら「戦いに勝利する」など、が該当します。
コラテラルにおける、主人公の目的は「生き残ること」であり、その目的の障害となる存在、すなわち敵は、殺し屋のヴィンセントです。ヴィンセントに殺されずに生き残ることができるか、を視聴者は見定めるべく、映画のラストを見ることになる、といっても過言ではありません。
「巻き込まれ型の主人公」というのは一見、とても簡単に作れそうに見えるアイディアです。今回の作品「コラテラル」において、主人公は単なる一般市民であり、殺人などの犯罪からは基本的に無縁の存在です。そんな立場の人間が、非日常な出来事にさらされるという機会をつくる上で「巻き込まれた」という事故的な関連付けは、有無を言わせぬきっかけとして、分かりやすいものがあります。
しかし「巻き込まれた」というシチュエーションは、あくまで受動的なものなので、どうしても本人が行動する上でのモチベーションに繋げづらいところがあります。現実の生活で、文字通り「事故に巻き込まれた」として、自身がその巻き込まれた事件を自ら解決に乗り出そうとする人は殆どいません。
視聴者も、基本的にはそういった感覚を持って映画を見ていますし、作中に自分を投影もしくは共感する対象として主人公を認識します。それゆえに「巻き込まれただけだが、どうしても事件に付き合わねばならない」と思わせるには、かなり強い理由と動機が求められます。
作中のストーリーは5人のターゲットを殺害する殺し屋に付き合う形で進むわけですが、視聴者というものはあたりまえに贅沢なもので、一人目よりも二人目、二人目よりも三人目、という具合に、後半になるほど過酷なシチュエーションを乗り切ることを求めてきます。「巻き込まれている」というシチュエーションについても同様に期待のハードルは上がっていきます。
その点で「コラテラル」の主人公マックスは、最初から最後まで殺し屋ヴィンセントのターゲット殺害に巻き込まれ、対応を求められ続ける理由が常に明確で、しかしながら常に「殺されるかもしれない」と思わせてくる緊張感を途切れさせないシナリオになっています。
最初から最後まで飽きさせないことは、シナリオライターに求められるスキルの一つです。ぜひ一度見ていただきたいと思います。

データを視覚で分析(専門演習:コンピュータビジュアリゼーション)

2021年7月 9日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

2年次後期、3年次前期の必修科目であるメディア専門演習I, IIでは様々な演習が行われています。
今日はその中の1つである、コンピュータビジュアリゼーションで行った課題を紹介します。

本演習では、様々なデータをコンピュータ内で画像に変換し、解析をする可視化の演習を行っています。
コンピュータビジュアリゼーションは、実際の物理空間の情報を保持した科学技術データを扱うサイエンティフィックビジュアリゼーションと、実際の物理空間には関係なく、様々なデータを取り扱う情報可視化に大きく分類できます。
今日は、サイエンティフィックビジュアリゼーションの例を紹介します。

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上の4つの画像は、頭部のCT(Computed Tomography)データを可視化したものです。
いずれの画像も、数値(ここではCT値)を色に変換して画像を作成する疑似カラーコーディングという方法を用いています。
全く同じデータを用いていますが、どのように値を色に変換するのかによって、得られる画像はこのように大きく変わります。
今回紹介した画像は、脳梁部分が分かりやすくなるように色付け方が工夫されていますが、場合によってはその領域が分かりにくくなってしまう可能性があります。
そのため可視化では、必要な情報を見失わない、また、誤解をさせないような画像を作成するように気を付ける必要があります。

(文責:竹島)

ProToolsがやってきた!

2021年7月 8日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

こんにちは!
伊藤彰教 @ exSDプロジェクトです

わたしたちのプロジェクトはまだ立ち上がったばかり。サウンドデザイン研究室にも関わらず、音響業界標準の先進的なツールが全て揃ったと言える状況ではありません...。

「これはまずい。」

ということで数年がかりで計画し、ようやく業界の音楽・音響スタジオで利用されているAvid社のProToolsを導入するに至りました!

ソフトウエアだけなら無料でも試せるProToolsですが、本格的な制作技術を学ぶため、そして研究レヴェルで使えるようにするには、高性能な音響処理ボードが必要になります。PCでゲームを楽しんでいるみなさんなら「グラフィック・カードというのを追加しないと3DCGグリグリのゲームがカクカクになってしまう」ということはよく知っていると思いますが、サウンドの世界でもそのようなことがあります。ということでまずはサウンドボードを組み込みました。

Img_2607

実はこれで終わりではありません。PCには標準で小さなマイクやスピーカ、イヤフォンジャックが付いていますが、それでは音の仕事はできません。そこで高価なマイクやスピーカを接続できるオーディオ・インタフェース(ビデオリンク)とも繋ぎます。

Img_2624

近年「イマーシブ・オーディオ」などと呼ばれる立体・空間音響を処理しつつ、映像やゲームに音付けするには、PC本体もパワフルである必要があります。技術適格として代表的なものがDolby Atomosです。これらにも対応できるようにします。このためチーズカッターで有名(?)な以下に接続して動作を確認します。

Cheesecutter

設営テストを繰り返して聴取環境や機材セッティングを進めます。

Setting_immersive

これらの作業には頼もしい大学院生や学部生が積極的に動いてくれており、先端的なサウンド制作だけでなく、ハードウエア・ソフトウエアの保守・運用なども実践的に学び、研究することが出来ます。まだ導入したばかりですので、私を含めて研究室メンバーが、これから本格的に制作手法や技術開発に取り組むことになりますが、本当に楽しみです😃

在校生のみなさん、高校生のみなさんにも、「exSDプロジェクトに参加してもらえたら、こうした環境で学び、研究することができます」とようやく言える環境が近づいてきました。共にこの環境を育てていけるみなさんを、exSDではお待ちしています♪

マイナビニュースに渡邉賢悟先生の活躍が掲載

2021年7月 7日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

こんにちは!
伊藤彰教です。
本日はプロジェクト演習「クリエイティブ・アプリケーション」についての情報です。

先日、メディア学部1期生であり、クリエイティブ・アプリケーションで産学連携教育を実施しておられる渡邊賢悟先生が大手ITサイト「engadget」に掲載された件を書きましたが、続報です。

その後、さらに多数のメディアに取り上げていただけたこともあり、メディア学部の公式トピックス内にも紹介エリアが誕生しました!

Mstopicscreapp

マイナビニュースのほか、Yahooニュースなどにも取り上げられており、メディア学部卒業生が社会で活躍するインパクトの大きさがうかがえます。渡邊賢悟先生が開発されているアプリやツール群は、社会で非常に高く評価されているだけでなく、それらの知見を惜しみなくつぎ込んだ教育用ツールまで開発され、メディア学部のプロジェクト演習で公式教材として正式に利用させて頂いております。

渡邊先生によると「今回のWWDCの発表の中に、最新のアプリ開発の新しい潮流がみられるが、この教材はその流れにうまく乗れたもの」とのことで、産業界に深く根差した知見と深い洞察力に学生は接することができています。

メディア学部で学んだことで未来を切り拓いている先輩がいます。在校生のみなさんや高校生のみなさんが、こうした先輩に直接学び、社会に羽ばたいてくれることが好循環を生むことでしょう。ぜひ多くの方に学んでいただきたいと思います♪

全国からありがとうございます♪

2021年7月 6日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

こんにちは!
exSDプロジェクトの伊藤彰教です。

メディア学部は開学からまだ20年余り、伊藤彰教研究室「exSD」プロジェクトはオープンしてからまる3年しか経過していない研究室です。学部も研究室も決して伝統あるところではないですが、それでも興味をもって学生さんが集まってくれるのは大学として本当にありがたいことです。

先日、新しく研究室に所属する学生さんも決まり、簡単な顔合わせをしたところ、驚くほど多くの地域から東京・八王子に集まってくれていることを知りました。

「そういえば、わずか3年とはいえ、今まで伊藤彰教研究室にはどれくらいの人が集まってくれているんだろう...」

ということが気になってマップを作ってみました。

Exsd21_jpmap

北海道・青森・新潟・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・静岡・ 岐阜・滋賀・三重・大阪・兵庫・愛媛

本当に多くの地域から、サウンドデザインを学び、研究するために集まってくれていることが実感できます。研究室が独立する前の数年間を含めると、お付き合いのあった学生さんではさらに長野・山梨・鳥取から集まってくれました。研究室運営教員としては大変にありがたいです。

サウンドデザイン研究室、メディア学部、東京工科大学はまだまだ「ひよっこ」ではありますが、それでもこれだけ広くから集まってもらっていると思うと、これからも頑張らないといけませんね。

全国の高校生のみなさん。音や音楽に興味が少しでもあるようなら、ぜひ東京工科大学メディア学部を選択肢に入れてもらえるとうれしいです。exSDプロジェクトがみなさんをお待ちしています♪

第3回シナリオ執筆未習熟者の作品に共通して発生する欠点(あな)

2021年7月 5日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

今回も「シナリオ執筆未習熟者の作品に共通して発生する欠点」として、定期的に私が何度も遭遇してきた「シナリオの欠点(あな)」について書いていこうと思います。今回取り上げるトピックは・・・

「ストーリーの発端と結末が因果関係でつながっていないシナリオの欠点(あな)」

シナリオ執筆を始めるきっかけは人それぞれだと思いますが、とにかく何か1作品書かねばならなくなったら、自分の好きなジャンルや好きな作品を参考にして書く人は多いのではないでしょうか。実際、東京工科大学メディア学部の学生に、シナリオ制作の課題を出すと、その傾向はあります。流行の観点でいうなら、一時期「現代・学園・異能モノ」のシナリオを書く学生が多くいました。おそらく影響を受けたであろう作品もふくめて、とてもわかり易かったです。

どんなシナリオであれ1作品を完成させるためには、体力的にも精神的にもエネルギーが必要になります。自分が好む題材を選んで執筆することは大事です。しかしながら、シナリオ執筆未習熟者には、自身が好む題材やテーマを全部盛り込もうとしすぎて何を見せたいのか、何を伝えたいのかよくわからなくなってしまいがちです。

その典型のひとつが「ストーリーの発端と結末が因果関係でつながっていないシナリオ」です。「現代・学園・異能モノ」を書いてくる人が多かった時期がある、と前述しましたがこの頃の作品にはそれがとても顕著でした。一例を挙げるなら・・・

【発端】事故によって超能力に目覚めた少年が
【展開】少年の超能力を利用しようとする敵たちと戦い
【結末】最愛の少女と結ばれる話

こんなストーリーのシナリオです。一見何もおかしくはなさそうなのですが、致命的な欠点(あな)があります。

ざっくり解説しますと、発端と展開部分において主人公の超能力をめぐって戦っていたのに、結末でその戦いがどうなったのかを書かず、突然少女と結ばれて終わるストーリーになっており、発端と結末の因果関係が分かりません。「超能力と少女は関係あるの?」「戦いと少女は関係あるの?」など、因果関係が明確でないと疑問がたくさん浮かんできてしまいます。

こういったストーリーを書いてきた学生に、もう少し作品について確認してみると、「自分の考えたオリジナルの能力を出したい」「オリジナルの能力を駆使して戦うシーンを作りたい」「大活躍する主人公には素敵なパートナーと幸せになって欲しい」など、とても意欲的なのですが、その全てを作品に組み込もうとして失敗していることがわかります。

シナリオは映画やTVなど、時間制限のあるコンテンツのために書かれるものなので、伝えることの出来るテーマやメッセージの情報量に限界があります。それゆえに優先順位を明確にして「何を最も伝えたいのか」を判断し、シナリオに記述する必要が出てきます。そして発端と結末の因果関係を結びつけることは、そのシナリオにおける最優先の情報を明確にするために必須の部分です。

シナリオ執筆に習熟してくると、この優先順位を的確に見定めることができるようになり、発端と結末の因果関係がきちんと結びついた「メインストーリー」を構築した上で、それ以外のテーマを「サブストーリー」として組み込むことができるようになります。


以前、私は「シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その21」で、映画「トップガン」を取り上げ、あらすじにこんな一節を書きました。

http://blog.media.teu.ac.jp/2021/05/post-11b179.html

『度重なる危険な操縦や命令違反が許されるはずもなく、グース共々、エリートパイロット養成校「トップガン」行きを命じられてしまう。「トップガン」に配属となっても一向に態度を改める気のないマーヴェリックは、初日から先輩エース・パイロットのアイスマンを挑発し、歓迎パーティ会場で見かけた初対面の女性、チャーリーを熱烈に口説くなど、やりたい放題。』

ここに少しだけ記述したチャーリーという女性は、恋仲になった主人公マーヴェリックが自暴自棄になったことで距離をおきますが、ラストシーンではパイロットとして復活を遂げた主人公のもとに戻ってきます。

そのラストシーンだけを見てしまうと、まるで「素敵なパートナーと幸せになった」ことが結末のように見えなくもないですが、「トップガン」という映画を恋愛ジャンルの作品として認識する人はあまりいないでしょう。あくまでメインストーリーは「若きパイロットが数々の失敗と挫折を乗り越えての成長を遂げる物語」であって、恋愛を成就させるに至った部分はサブストーリーです。

優れた作品のシナリオほど、メインストーリーの発端と結末の因果関係を明確にしつつ、複数のサブストーリーを巧みに絡ませてくるので、シナリオ執筆未習熟者が、思いついた構想は全部盛り込んでしまえばいい、と錯覚してしまうのも無理はありません。まして渾身のアイディアであれば、そうしたくなる気持ちも理解できますが、それがシナリオの欠点(あな)にならないよう、気をつけたいですね。

戦時中の音楽2)

2021年7月 4日 (日) 投稿者: メディア社会コース

イギリスの戦時中の音楽が、リラックスしたものがあったということは、実はミシガン大学の教授が言ったことだった。チャーチルがこのような音楽は戦争という緊張から人をリラックスさせる効果があるとしたそうである。確かにNoel Gayの曲を聴いていると、つらい現実を忘れてしまいそうである。

現代の我々は、現実の緊張となんとかしてむきあわなければなない。しかし自分の好きな自分の緊張の逃し方を選び取ることが出来る。それは、様々なデジタルテクノロジーのおかげでもある。

では、どのようにしたら何を使えば、人がリラックスるのか、それもまたメディア学部のなかで研究して明らかにしたい課題の一つであるかもしれない。

戦時中の音楽1)

2021年7月 3日 (土) 投稿者: メディア社会コース

日本の戦時中の音楽は、勇ましいとともにもの悲しく聞こえます。しかし、イギリスは戦時中に、どちらかと言えばのんびりした音楽がはやったらしい。前に紹介したオックスフォードの時間を旅行する歴史学者たちを描いたコニー・ウィルスのSFでは、主人公たちは第二次世界大戦中のイギリスに生きる羽目になる。そこで、主人公の1人はレビューのようなものに参加する。

本を読んでいてなんでこの物資に困窮しいつになったら終わるのか分からない戦争のなかでレビュー!?よく分からないなと思っていたところ、戦時中に心を和ますあるいは緊張を緩和させるために、意図的にそのような音楽をはやらせたのだと言う。私はどの音楽を聴いてそれが分かったのかは、戦時中の音楽2)で話したいと思う。

戦時中の雑誌

2021年7月 2日 (金) 投稿者: メディア社会コース

第二次世界大戦は今から76年も前だそうである。

戦時中の女性の雑誌の比較を熱心で研究されている大学がある。そこで、描かれている女性は、日本では銃後の守りとして必死に耐え抜く、あるいは協力する女性が書かれている。それに比べてアメリカで発行されていた Ladies' Home Journal は、同じくらい戦争に参加しているが、女性は口紅をつけ微笑みを浮かべている。関心のある方は、是非画像を検索するか本を買って欲しいと思う。

表象研究というのは、このような表象の現れ方などを研究するものであるが、戦時中のアメリカの雑誌と日本の雑誌での女性の表情や化粧の違いは、この時代を生きた曾祖母たち、そして曾祖父たちを思うと、私は悲しくなることがある。

山崎 晶子

降らずとも雨の用意 2)

2021年7月 1日 (木) 投稿者: メディア社会コース

2008年に、先生がしみじみおっしゃった変わった取り合わせの本のもう一冊は、『H5N1型ウィルス襲来』という本だった。今でも手元にあるそれは、2020年に感染症が流行の兆しを見せてからワイドショーに出続けられた女性の教授が記したものだった。

今でも、この本に書いてある新型インフルエンザは恐ろしい。例えば、「スペイン風邪が弱毒性だったのに、日本国内で45万人が亡くなった」けれども、鳥インフルエンザは強毒性。。。あの頃はただ恐ろしかったのが、今は現実が恐ろしいという違いがあるけれども怖さにはかわりはない。

実は、この本を読んで、私が実践していたのは、手洗いだった。指とその股を洗わなければならない、時計は外さなければならない、このことを現在の状況になる前に知ることが出来たのは、降らずとも雨の用意のそのものだった。

学問も同じ傾向がある。大昔のことで今のことには関係ないと一瞬思っても-例えば私も多くの学生と同じように、なんで教養科目など大学に来てとらなければならないのだと思っていた-その考え方を今に応用することが出来る。それは知恵でもあり、人類の財産なのだと思う今日この頃である。

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