スペイン語のよもやま話(1)
2025年9月29日 (月) 投稿者: メディア社会コース
皆さんは、スペイン語を話す人は世界にどのくらいいると思いますか。スペインはもちろんそれが母国語ですので、そこに住む5,000万人弱の人々はスペイン語話者です。また、長らくスペインに統治されていた中南米やカリブ海の多くの国々は、独立した現在でもスペイン語を公用語としています。これらの国々の人口を足し合わせると、4億5,000万人〜5億人に上ります。また、アメリカには、ヒスパニックやラティーノと呼ばれる中南米・カリブの国々にルーツを持つ人々が多く住んでおり、その数は6,000万人にもなると言われています。この他に、第三世界のアジアやアフリカ、あるいはスペイン以外のヨーロッパ諸国にも、交易などを通じてスペイン語を話す人は数多くいます。そうした人々も含めると、世界でのスペイン語話者は推計で約6億人になります。
この統計数は、中国語や英語の和者人口にこそ及びませんが、スペイン語が主要な言語として世界第3位の地位を占めていることを窺えさせます。また、この人口規模であるがゆえ、スペイン語は国際連合の公用語の一つになっています(※(注記) その他の公用語は英語・フランス語・中国語・ロシア語・アラビア語)。
さて、少し固い話になってしまったので最後に、意外と知られていない身近なスペイン語に接してもらいましょう。皆さんは、エルニーニョ(現象)という気象用語を聞いたことはありませんか。これは、南米ペルー沖の太平洋赤道中東域の海水温が比較的高くなる現象のことです。こういう気象状況にあるとき、日本は冷夏・暖冬になる傾向があるとされ、またその他にも世界各地に異常気象をもたらすとされています。このエルニーニョと対になっている現象にラニーニャがあります。こちらは太平洋赤道中東域の海水温が比較的低くなる現象のことで、この気象状況にあるときの日本は暑夏・寒冬になる傾向があるとされています。
このエルニーニョとラニーニャは、ともにスペイン語由来の言葉です。エルニーニョは"El Niño"と綴り、英語の"The boy"に当たります。スペイン語の名詞には男性・女性という二つの区分け属性があり、niñoは「男の子」ということで男性名詞です。そして、定冠詞(英語のthe)にも男性名詞用・女性名詞用があり、elは単数男性名詞に掛かります。ですので、読み方的には、気持ち「エル・ニーニョ」とするのが正しいのです。しかし、そもそもなぜ"エル・ニーニョ"(男の子)と呼ばれるのでしょう。これには諸説ありますが、本来寒流域であるペルー沖の海がクリスマスの時期に高温になることが稀にあり、さらにそれが異常気象をもたらすことから、地元の漁師がキリストの誕生に因んで「聖なる子」(幼子イエス・キリスト)と呼んだという説が有力とされています。ここまで理解すると、エルニーニョの真逆の気象現象であるラニーニャの解釈は簡単で、原語は単数女性名詞の定冠詞laを伴うスペイン語の"La Niña"(The girl/女の子)です。気持ち、冠詞と名詞を分けて「ラ・ニーニャ」と呼びましょう。
文責: メディア学部 松永
(2025年09月29日)
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