スペイン語のよもやま話(2)

2025年10月 1日 (水) 投稿者: メディア社会コース

前回は、世界のスペイン語話者に関する人口統計の話をしました。では、日本に限定すると、どのくらいスペイン語を話す人がいるのでしょうか。総務省統計局のe-Stat(政府統計ポータルサイト)「在留外国人統計」(最新202412月集計)によると、スペイン語圏ではペルー出身者が最も多く、約49,200人です。そして、2位以下に、ボリビア(約6,800人)・スペイン(約4,100人)・メキシコ(約3,700人)・アルゼンチン(約3,500人)...が続きます。その他にも、数十〜数百人規模で日本在住者がいる国が多くあり、それらをすべて合算するとスペイン語話者はおよそ8万人に上るとされています。

なお、ペルー国籍の人が突出して多いですが、これは明治時代後期に行われた南米への移民政策が関係しています。この時期、日本ではブラジル(ポルトガル語圏)とペルーへの移住を推進していました。そして、その2世や3世が戦後豊かになった日本に出稼ぎにやってきて、その一部が定住してコミュニティーを形成していったとされています。ちなみに、中南米出身者のコミュニティーは北関東や東海地方に多く見られます。

さて、前回はエル・ニーニョ(El Niño)とラ・ニーニャ(La Niña)の話もしました。今回は、これに関連して、アメリカ西部の人気観光地であるロサンゼルスとラスベガスを取り上げます。皆さんは、この2都市をアルファベットで書けますか。それぞれ、Los AngelsLas Vegasですね。ここで、敢えて「アルファベットで書けますか」と尋ねました(「英語で書けますか」とは尋ねていません)。これは、実はこの綴りがスペイン語だからです。"los"(ロス)は男性名詞に付く定冠詞"el"の複数形で、"las"(ラス)は女性名詞に付く定冠詞"la"の複数形です。そして、angelsはスペイン語で「天使」を意味するangelの複数形で、vegasはスペイン語で「豊かで肥沃な大地」を意味するvegaの複数形です。この2都市が命名された時の街の姿を見てみたいですね。

アメリカの国土は、1776年の独立時は東部13州のみで小さかったのですが、1800年代にかなり拡張しました。ルイジアナをフランスから購入し、フロリダをスペインから割譲したのち、今のカリフォルニアや南西部の地域をメキシコとの戦争で勝ち取りました。ですので、今でもアメリカの南部や西部には、スペイン語に由来する地名が多いのです。

文責: メディア学部 松永

(2025年10月01日)

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