NICOGRAPH2020での研究発表:映像作品の時系列可視化
2021年1月 4日 (月) 投稿者: メディア技術コース
助教の戀津です。
渡辺先生や大淵先生に続き私もNICOGRAPH2020での研究発表の紹介です。
「時間転移を伴う映像作品における時系列構成の可視化手法の提案 」というタイトルで、小﨑悠平さんにショートの口頭発表形式で発表していただきました。
この研究は、今年度前期に開講した先端メディア学「コンテンツビジュアライゼーション」の一環で行った分析作業をまとめたものです。
先端メディア学の成果なので、先日の千種先生の記事と同様、学部二年生による学会発表です。もちろん本人にとっては初の経験ですが、大変立派に行ってくれました。
映像作品は、作品中の世界での出来事を必ずしも発生した順に描写するとは限りません。
よくある例で言えば、回想の形で過去の情報を描写することがあります。
ミステリーなどでは冒頭に事件の一部を描写し、最後に犯人が分かった後で検証のように犯人の行動込みで事件を描写したりします。
これは、作品の再生時間終盤で作中世界での初めの方に起きた出来事を描写している例と言えます。
また、作品の内容的にタイムトラベル等を扱っている場合、そもそも主人公の居る時間が前後に移動することがあります。
この場合、作品の再生時間と作中世界での時間の順序が入れ替わり、作品によっては複雑な変化をし物語の理解を難しくします。
このような、時間の移動を伴う作品について、再生時間と作中世界での時間の入れ替わり具合や関係、いわゆる時系列を可視化できないかという事で分析を始めました。
ここでは、タイムトラベルものとして著名な映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズについて、パートI〜IIIまでを通しにして可視化した結果を紹介します。
左から右に向かって進み、上段が再生時間順、下段が作品中での起きた順になるようにして並べ替えをしています。
時間移動が起きた時にブロックを区切り、各ブロックは上段下段で同じものについて線で結んでいます。
再生時間開始から終了までを赤から青でグラデーションをつけて色分けすることで、再生順と起こった順の差が大きいほど区切りが見えやすいようにしています。
これに加え、以前の記事で紹介したように、主人公が時間移動をする場合には「主人公の体験した順」が存在します。
主人公が時間移動する限りは再生順と変わらないですが、可視化の際に考慮が必要になりますね。
また、時間移動をした場合歴史の改変が発生し、世界線(これもまた定義が難しい言葉です)の変更が起きたりします。
世界線の移動を、さらに下段方向に展開することで図示してみました。
一応、作中での起きた順を示しつつ、世界線の変更を示すことはできました。
しかし、試行錯誤の一環でとりあえず可視化しましたが、これについてはもう少し改善したいところです。
また進展があり次第報告します。
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