時津風部屋の力士リンチ死亡事件は、角界と一般人との意識の違いに驚いた人も多いんじゃないだろうか。
北の湖理事長の「尊い命が失われたし、協会の名誉も大きく傷つけた。(解雇は)やむを得ないだろう」という言葉も、「協会の名誉」だの「やむを得ない」だの、どこか常識に外れた印象をうける。
だいたい、脱走した力士をリンチするという時点ですでに常識に外れている。常識で考えたら、イヤになって脱走したのだから、リンチされたら余計逃げたくなるだろう。チャンスを見つけて、次はもっと遠くに逃げようと思うのが関の山だ。
こういう不可解なことが起こるのは、角界がこの世と違う異界だからである。
一般の人間が、異界へ入るのはそれほど難しいことではないが、出てくるときは、身体の欠損をともなったり、場合によっては命を失ったりするものである。
たとえば、竜宮城へいった浦島太郎は、帰ってきて爺さんになってしまう。瘤取り爺さんは、異界の鬼に瘤を取られる(または付けられる)。こういう例は説話にはいくらでもあって、現代でも、ヤクザの指ツメとか、刺青とかに残っている。
おそらく、角界という異界にいる人たちにとっては、時太山はたまたま死んでしまっただけで、逃亡者をリンチし身体を欠損することは、彼らの観念として当然のことだったのだろう。
表に出てしまった以上、「あれは異界のことだから」ではすまされないが、これからは、相撲はスポーツなどではなく、異界で行われている何かだと認識するよりない。特に入門しようとする人は、力士になるということは、人間ではなくなることだと思うぐらいの覚悟がなければいけない。
時太山は逃げると決めたら、全力でどこまでも逃げるべきだった。黄泉国から逃げたイザナキのように。17歳の少年にそれを望むのは酷な話だが。 (追記) (追記ここまで)
北の湖理事長の「尊い命が失われたし、協会の名誉も大きく傷つけた。(解雇は)やむを得ないだろう」という言葉も、「協会の名誉」だの「やむを得ない」だの、どこか常識に外れた印象をうける。
だいたい、脱走した力士をリンチするという時点ですでに常識に外れている。常識で考えたら、イヤになって脱走したのだから、リンチされたら余計逃げたくなるだろう。チャンスを見つけて、次はもっと遠くに逃げようと思うのが関の山だ。
こういう不可解なことが起こるのは、角界がこの世と違う異界だからである。
一般の人間が、異界へ入るのはそれほど難しいことではないが、出てくるときは、身体の欠損をともなったり、場合によっては命を失ったりするものである。
たとえば、竜宮城へいった浦島太郎は、帰ってきて爺さんになってしまう。瘤取り爺さんは、異界の鬼に瘤を取られる(または付けられる)。こういう例は説話にはいくらでもあって、現代でも、ヤクザの指ツメとか、刺青とかに残っている。
おそらく、角界という異界にいる人たちにとっては、時太山はたまたま死んでしまっただけで、逃亡者をリンチし身体を欠損することは、彼らの観念として当然のことだったのだろう。
表に出てしまった以上、「あれは異界のことだから」ではすまされないが、これからは、相撲はスポーツなどではなく、異界で行われている何かだと認識するよりない。特に入門しようとする人は、力士になるということは、人間ではなくなることだと思うぐらいの覚悟がなければいけない。
時太山は逃げると決めたら、全力でどこまでも逃げるべきだった。黄泉国から逃げたイザナキのように。17歳の少年にそれを望むのは酷な話だが。 (追記) (追記ここまで)
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