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空飛ぶゆうれい船を見た。

ずいぶん昔にテレビでやっていたのを見たんだけど、ガキだったので、どんなストーリーだったかすっかり忘れていた。ともかく、なんだかやたらと恐い映画だったのと、劇中に出てくるボアジュースのコマーシャルだけが妙に印象に残っていて、いまだにコーラを飲むとこの歌が脳裏にリフレインしてしまう。

どんな内容かはWikipediaの「空飛ぶゆうれい船」の項に書いてあるので、興味がある人は読んでほしい。ものすごく簡単に言っちゃうと、資本主義のネガティブな部分を描いた映画である。

見ていて最初に感じたのは、こんなにつっこみどころの多い映画だったかなぁということだ。あまりに都合よく話が進みすぎるのだ。しかし、これは仕方がないのかもしれない。この内容で1時間というのが短かすぎるのである。そもそも子ども向けのアニメだから、この都合よさというのは、子どもにとってはほとんど気にならないだろう。

この映画では、巨大資本(マスコミ・軍事産業などを持ち政府を意のままにあやつる)は、自らの利益のためなら、人の命などなんとも思わない、絶対的な悪として描かれる。ところが、その巨大資本も、ボアという謎の何か(実は巨大ハしろまるしろまるリであることが後に分かる)の手下だった。

ならば最後の敵はボアかというとそうではない。どくろ船長は「ボアをやっつけても、ボアを育てたやつをやっつけないとなんともならんのだよ」という。その後、主人公隼人は「ボアを育てたやつ」が、ボアジュース(中毒性のあるジュース)を競って買っていた自分たちであることに気付く。

このあたり、いろいろな解釈ができそうだが、僕は、コカコーラをモチーフにしたであろうボアジュースは豊かさの象徴で、それを無批判に享受していると、やがて自らを滅ぼすことになるというメッセージだと思った。

さて、「巨大資本が悪」というのは現代の子どもたちには、ちょっとピンとこないかもしれない。世の中が右傾化している現在、下手をすると左翼のタワゴトともうけとめられかねない。

だが、四大公害病の発生がこの時代だったことを考えると、当時の子どもたちにとっては、身近なことだったのではないだろうか。僕自身、ぶよぶよとした謎の物体が浮び、とんでもない悪臭を放つ川が身近にあったから、企業(さすがに巨大資本とは思わなかったけど)が悪だという見方は説得力があったし、今でも警戒している。

この映画、大人向けに2時間半ぐらいの実写で作ったらおもしろいんじゃないだろうか。いや、巨大資本には無理だな。
#DVDを貸してくださった二可さんに感謝します。

(追記) (追記ここまで)
タグ :
#空飛ぶゆうれい船
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#DVD

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