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読書の秋である。

なんて思って、本屋に入って、なぜか買ってしまった東陽片岡『うすバカ二輪伝』。しょうがないから、今日はこれで書くことにする。

昭和30年代のファンタジーが西岸良平なら、40年代のファンタジーは東陽片岡できまりである。ありそうでない、ないようである昭和40年代を、畳の目一つ一つまで描き込む、執拗なまでの細かい描写をするのがこの作者の特徴である。

この『うすバカ二輪伝』は、その名の通り、オートバイをテーマにした51篇の短編漫画からなっている。やたらとオートバイ用語や車名がでてくるが、当時オートバイに乗っていた人はもちろん、そうでない人(僕もその一人だ)も十分楽しめる漫画である。

僕が大学生のころ、『GTロマン』という、いかにもバブル時代っぽい、こじゃれた自動車漫画が流行ったことがあった。ロマンというだけあって、実際の古い自動車が実によく描けていて、それでいてストーリーは非現実的な生活感のないものだった。

『うすバカ二輪伝』は『GTロマン』のまったく対極にある。オートバイの絵やパーツは、描き込まれてはいるがリアルとはいいがたい。だがストーリーはやたらとリアルで生活感が臭ってくるのである。

この「臭い」が、「匂い」でないところが東陽片岡の魅力である。僕は今「におい」のつもりで「臭い」と書いたが、「くさい」と読んでくれても一向にかまわない。すべてのコマから、絵を通して「臭い」を表現できるのは、この人をおいていない。

というわけで、僕としてはストロングバイだけど、本当に買って、想像したのと違っていても、責任はとりません。

あ、あとこれだけは言っておくけど、子どもは絶対に買ってはいけません
(追記) (追記ここまで)
タグ :
#本
#漫画
#東陽片岡
#うすバカ二輪伝

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