浅き川も深く渡れ 2024年07月22日 21:36 狂ったように暑い蔵前の裏道を歩いて、会社の帰り道に蔵前神社の前を通る。春には桜が咲くし、春以外の季節にも、神社には猫がいるから、猫を見るために通る。たまに、神社の本殿の手すりのところに猫がハマっていて、そこにいていいのだろうかとも思うが、可愛いから、 ...
約10年ぶりに読んでみて気づいたこと/村上春樹『風の歌を聴け』(講談社文庫、1982) 2024年07月17日 19:00 昔は本の本扉に読み終わった日付を付ける習慣があった。いつの間にかその習慣は無くなったが、学生時代や、仕事を始めてからもしばらくの間は、読み終わった日付、時には場所を書いたりしていた。 私が持っている講談社文庫版の『風の歌を聴け』の本扉には、書名 ...
流刑地にて/松下隆志『ロシア文学の怪物たち』(書肆侃侃房、2024年) 2024年07月15日 10:01 子供の熱が下がらない。この三連休、断続的に悩まされている。頓服の解熱剤を飲んで、少し熱が下がったと安心して、またしばらくするとぐったりしている。ふだん元気であちこち転げ回っているのに、クッションや私たちの体に頭をもたせてくる。笑顔も少なく、元気がない ...
自分らしさの檻の中でもがいているなら/平野啓一郎『私とは何かーー「個人」から「分人」へ』(講談社現代新書、2012年) 2024年07月11日 22:24 「分人」という概念を、本書で平野啓一郎が提唱している。人間は一つの一貫した存在ではなく、人や状況によって別の顔を持つ。そうした二面性や多面性は「八方美人」や、「表裏がある」というような言い方で、これまでは否定されてきた。「本当の自分」があり、「嘘の自 ...
おじさんなんだかわからない/pha『パーティが終わって、中年が始まる』(幻冬舎、2024年) 2024年07月08日 23:11 「コミュ障」という嘲笑的な表現は好きじゃないけれど、最近、自分が人とのコミュニケーションが苦手だなと思うことが多い。たぶん昔から苦手なのだろうが、若い頃は、それを気合いでカバーして、周りとコミュニケーションをとるように頑張っていた。なんとか真っ当な ...
譲り渡せないもの/小沼純一『リフレクションズ』(彩流社、2024年) 2024年07月03日 22:38 子供を保育園に抱っこして連れて行ってからいつもの坂道を降りて、コンビニで新聞と本を買った。ホッと一息つく足取りはいつも少し軽い。いつもコンビニなどで新刊を見かける度に買う『ブルージャイアント』というジャズの漫画だ。帰宅してポストを開けると、『リフレク ...