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歴史とは因果関係

2020年9月 3日 (木) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の数少ない必修の講義の一つに一年次前期「メディア学入門」があります。先日の最終回の授業では、メディアに関わる歴史を紹介しました。

この授業の中で、履修生から次のような質問がありました。遠隔授業でしたのでチャットを通しての質問です。

『歴史を調べるための勉強過程で、自国の歴史を歪曲したり、歴史の一部分を削除して勉強できない場合もありますが、この場合はどのような方法で勉強すれば正確な歴史を知ることができるのでしょうか。』

私が説明していたメディアに関する歴史とは直接関係はないですが、以下のように回答しました。

くろまるネットあるいは書物でいろいろ調べるしかない
くろまるその際、偏った考えだけにならないように注意する
くろまるいろいろ調べた結果で、この人の言うことは正しい、という人を増やしていく
くろまるその人は何が目的で言っているのか、我田引水になっていないか注意する
くろまる使っている言葉の定義まで考えて勉強する

その場で端的な回答が思い浮かばず、長い説明になりました。少し時間を置いて考え、より端的な回答が見つかりましたので、この場を借りて補足します。

くろまる正確な歴史を知るには、因果関係を把握することです。歴史が歪曲されたり一部分が削除されたりした場合、時間的空間的に周辺にある事実との矛盾が必ず生じます。

この「因果関係の把握」の勉強には一長一短があります。まず欠点ですが、勉強するのに手間と時間がかかることです。対象とする歴史的事象の前後の事実、あるいは同時期の別の場所での事実を知り、それらと照らし合わせるというのは手間のかかる作業です。周辺と言ってもかなり広範な調査が必要な場合もあります。

一方で長所ですが、周辺との矛盾が一つでも見つかれば、その対象事象は捏造あるいは歪曲された可能性が濃厚であると断定できる点です。もちろん、逆に周辺の事象の方が誤りだったという可能性もあるでしょう。ただ、そこまで調べができたら、別の情報源で別の周辺事象を調べるのに最初ほどの苦労はしないでしょう。別の周辺事象がわかれば、どちらが事実と違っているかは比較的容易に判明します。

元の質問にあった、削除により勉強できない場合、は一見して難しいです。しかし、どこかに残っている資料を見つけたとしたら、私はその資料が史実である可能性は高いと思います。都合の悪い「真実」だからこそ、時の権力者が消したと考えられるからです。

過度に宣伝されたこと、特に曖昧な言葉や感情に訴える言葉で伝えられたことは、怪しむべきことです。逆に、埋もれていたことというのは事実の可能性大です。さらに、「こんなのが埋もれていた」というのが出てきた場合は、先ほど述べた周辺との矛盾をチェックすれば捏造かどうか判定できます。

メディア学部 柿本正憲

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