疎遠なようで身近な摩訶不思議な60進法
2020年1月24日 (金) 投稿者: メディア社会コース
10進法(10進体系)の話が続きましたので、今回はこれまた身近な60進法について雑多な話をしたいと思います。いまの世の中では10進法が主流ですが、1分=60秒、1時間=60分、1日=24時間(12×ばつ2)、1月≒30日(60/2)1年=12月=365日(≒30×ばつ12)のように、時の長さを捉える際に60やその子分ともいうべき12という数がしばしば使われます。実は、12も意外と身近な存在で、星座や干支は12種で構成されていますし、ダースは12個を繰り上げた単位ですね。
この60進法は、古代メソポタミア文明にその起源を遡ります。メソポタミアが紀元前3000年頃に栄華を迎えた世界四大文明の一つであることはご存知のことと思います。いまのイラクのチグリス河とユーフラテス河に挟まれた地域に興隆した文明です。この黎明期を支えたのはシュメール人で、この民族が60進法を考案したというのが定説です。
当時のシュメール人にとって、ほぼ定期的に起きる自然現象(昼夜の入れ替わり、潮の満ち引き、など)や天体現象(月の満ち欠け、黄道上の星座の巡回、など)は、それが短期であれ中長期であれ、時間感覚を誘因する相対指標となっていました。その際、60は現象の変化を細かく整理するのに非常に都合のよい数だったのです。というのも、この数がその特性として、1、2、3、4、5、6、10、12、15、20、30、60という多くの約数をもっていたからです。約数が多いということは、分割にバリエーションが生まれるということですので、時間を細分表現するのに便利であるという先人の知恵があったものと思われます。そして、この知恵はやがて、時を表す絶対指標の日時計とよばれる文明の利器を誕生させました。
ちなみに、この日時計の話とも大いに関係があるのですが、小学校で円の1周を360°と習います。この360という数は、暦との関連が古くから指摘されています。月の干満のサイクルを塑望周期と言いますが、これは約30日で、それが1年に12回観察されるという経験知から、まずは1年のサイクルを概算で360日と考えるようになりました。そして、同じ一巡りとしての円の1周に360°が採用されるようになったと言われています。日めくり的に円周上を1°ずつ歩むと、1年間でおおよそ元の位置に戻るという道理です。当時としては、Witに飛んだ(機転の利いた)発想ですね。
以上
文責: メディア学部 松永 信介
(2020年01月14日)
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