2008年02月28日
陽の子雨の子 豊島ミホ
陽の子雨の子
二日連続、豊島ミホさんの作品です。さてさて、この話は豊島ミホさんのブログより
二日連続、豊島ミホさんの作品です。さてさて、この話は豊島ミホさんのブログより
男子中学生の夕陽が、24歳のおねえさんにゆうわくされて......というトンデモ設定長編。との紹介です。で、一行目を読んだときに、きっとこの小説は山本文緒さんの「眠れるラプンツェル」みたいなんだろうって早合点していました。二行目の要素がふんだんにあって、全然違いました。先入観をもってしまってたことをひどく反省します。
でも「夢をかなえられなかった人はどう生きていけばいいか」っていう王道進路小説。
ほとんど書店で見かけないので、自分にとっては「かわいそうである故にかわいい子」である一冊。
物語の中では、19歳の「聡(さとし)」と24歳の「雪枝(ゆきえ)」が中学生の「夕陽(ゆうひ)」に対して大人として存在てるんだけど、僕(現在22歳)と年齢と違わないではないか。はたして、僕は大人なんだろうか?
神田川夕陽はなかなかカッコイイ男の子である。そして、ピュアだ。で、さらに言えば、ちょっと現実が、大人の事情が、見えちゃってる中学生。なんとなくだけど、自分が多少苦労していたとしても、やんなきゃいけない事をそつなくこなして、涼しい顔をしてそう感じ。というのも、19の「あの紙飛行機くもり空わって」を友達と歌いながら、テストを紙飛行機にして投げるのだ。が、
僕の鞄には一枚だけ答案が残されている。−−理科百点。カッコイイよ。しかも、英語と国語が9割を超えていて、数学が8割切ることから、文系科目が得意な男の子だと思う。そんな子が、苦手(と予想される)な理科で、満点でビタっと決めてくるところがニクイ。
この物語を通して、前に進もうと勇気を与えてもらえる。
間違いや、不幸や、行き違いや、どうしようもない悲しみはあって、僕らの世界にしとしとと溜まっていく。・・・中略・・・そして間違いなく、僕の身にもいつだって降り掛かり得るものなのだ。これから向かう未来に何があっても前に進むことが大切なんだと思える。苦しんでふさぎ込んだりすることも、それだって前に進んでるんだったら、いいんだよって。
でも、たぶん、僕らは単純につぶされてしまったりしない。
個人的には、「聡!働け!」と言いたいが、借家を管理するのも仕事だしね。
で!物語の最後で、二人では出かけにくいから4人でやるWデートで片方の女の子が休んで、結局好きな子と二人っきりっていうのは、読んでてニヤニヤしてしまうではないか!!
中学生は単にマセてるわけじゃない−−−見えないものが見えてきてるんだ。