安楽死を選ぶということ
こちらの記事です。
ドクター二名がALS患者を安楽死させたという事件についてですが、法的に言えば、これは殺人であることは紛れもない事実であり、もし仮に安楽死は殺人とは異なるという思想が世間的に是とされるのであれば、法整備をするほかありません。
安楽死というのは、基本的に尊厳死とは異なり、他者の能動的な行為が必要になります。要するに人工呼吸器などをつけずに自然に任せるというのが尊厳死であり、毒薬を注入するのが安楽死です。ただしALSの場合は呼吸ができなくなるので、その苦しみは想像を絶するものであり、人工呼吸器をつけないという選択が限りなく安楽死と接着してくるでしょう。それでも誰かの作為がないということで、尊厳死のほうがまだ命の問題としてはソフトだと思います。
この命の問題って、結局のところ、命より価値のあるとするのか、ないとするのかの思想によって二分されると思います。
例えば、最近終わった鬼滅の刃というマンガでは、鬼退治のマンガなんですが、わりと人が死にまくる作品です。かよわい人間は超常の力を持った鬼にはなかなか勝てないので、常に満身創痍。なので死ぬわけですけど、まあ武士道的な考え方で、誰かが死なないようにするために自分の命を投げ出すわけです。
記事内にある『生産性』という言い方ですが、これは非常に危うい言葉ですけれども、鬼滅の刃の鬼絶対殺すマン的な考え方とも共通する部分があって、ただ安全に生きているよりも、鬼を滅することに全力を尽くしているわけで、他者の役に立つことこそが価値として上位に来ると考えているわけです。
ただ生きているだけで価値があると考えるのではなく、他人の役にたって初めて自分の価値が生ずる。この思想を敷衍していくと全体主義的・優生主義となりかねないので、危ういです。
ですが、そういった考え方は結構昔から脈々と受け継がれてきたのではないかと思います。なぜなら、命には目的がないので。目的を設定しなければ、ただ漫然と生きるほかないので。
猫を飼えなかったエピソードも矜持の問題と捉えることができるしょうか。
特に生活保護を利用している場合は、「障害者」「介護を受けなくては生きられない」「生活保護」の3方向から尊厳をえぐられる可能性がある。林さんのブログやツイートからは、「過去の歩みや経験とともに、ありのままのその人」として尊重されていた気配は、あまり見当たらない。皆無ではないのだが、「たまには、そういう人もいる」という感じである。
ということで、尊厳の問題。
尊厳が命よりも価値が重いと捉えれば、安楽死は肯定されうることになります。
問題はその尊厳というのが、実際に本人の意思によるものなのかということです。社会的圧力、コントロールされたものであれば、その尊厳自体も虚構です。
他人のコントロール下で安楽死が遂行されるとすれば、それは殺人に他なりません。
「死ぬ自由」が本来意味するのは、死ぬこと以外の魅力的な選択肢が多数あり、実際に選べる状況があり、それでもなお「どうしても安楽死」という選択もあり得る状況だろう。しかし、現在の安楽死推進論が目指しているのは、選択肢を狭めて「死ぬしかない」という方向性に見える。
死ぬしかないの圧力が極限まで高まれば、「わたしには障害者を殺す権利がある」ですからね。生産性、矜持、誉、なんでもいいですが、ともかくただ漫然と生きているだけの人間には価値がないとするときに、そういう思想になりがち。それが国の制度としてシステマティックにおこなわれるようになると怖いですね。
ただ、逆に自分の意思であるとすれば、それをいや違う国の意思に惑わされているだけだと外野が騒ぐことこそが、逆にその人の死を穢すことにもなりかねない。
というわけで、非常に難しい問題です。
現段階におけるふたりの医師を殺人罪とすることは、法律上やむを得ないことですけれども、この問題の芯のところが解決することは、おそらく永久にないでしょう。
生きていることそのものに価値があるのかをこたえられる人はいままでいなかったのですから。
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