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こちらの記事になるのですが、
有料老人ホームのサービス内容や利用料の報告・公表が義務化されるそうです。
老人福祉法(昭和38年法律第133号)第29条
(新設)9 有料老人ホームの設置者は、当該有料老人ホームに係る有料老人ホーム情報(有料老人ホームにおいて供与をする介護等の内容及び有料老人ホームの運営状況に関する情報であって、有料老人ホームに入居しようとする者が有料老人ホームの選択を適切に行うために必要なものとして厚生労働省令で定めるものをいう。)を、厚生労働省令で定めるところにより、当該有料老人ホームの所在地の都道府県知事に対して報告しなければならない【平成30年4月1日施行】
(新設)10 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の規定により報告された事項を公表しなければならない。【平成30年4月1日施行】
実はいままで義務じゃなかった報告と公表
有料老人ホームについては、そもそも届出制ということもあり、届出というのは行政がいいですよというまでもなく、「いまから有料老人ホーム始めるから」と一方的に届出ればいいわけです。
よく行政手続き法上の観念の違いで問われたりするのが『届出』と『許可』の違いです。
許可とは一般的に禁止されているのを許可するということで、行政が許可したりしなかったりする権限があるわけです。訪問介護事業所を開設したいと考えたときは、指定『許可』をいただかなければならないので、原理的には行政は許可しないという権限を有することになります。
他方で、届出はそういう権限がないので、届出が到達したら、原理的には行政が差し止めることはできません。
したがって、
有料老人ホームの情報を報告したり公表したりすることも、制度的な整合性の観点からいえば、指導レベルだったわけですね。
具体的にいえば、各設置届を届け出る先のホームページに置いてある『指導指針』を元に、報告してくださいと任意の行動を求めていたわけです。
行政指導と言うのは、法的な義務がないところに任意の行動を依頼することを指しますから、相手方である我々が嫌だと思えばそれでよかったし、任意の行動をとらなかったことで不利益を課してはいけないので、なんの不利益もなかったわけですね。
届出て指導に従っている施設にとっては、今までと変わらない
実をいうと、今回義務化された『報告』と『公表』ですが、普通に設置届を出している施設にとってはあたりまえに提出してました。
だいたい一年に一回ぐらいのペースで、よく提出を求められたのが【重要事項説明書】です。
あるいは県によっては、特殊な情報公開用紙みたいなのがあって、それに書き入れて郵送で送ればよかったんです。
重要事項説明書については、有料老人ホームの入居者と施設がとりかわす契約の『重要事項』を説明したものなので、およそ、上で述べられている報告事項とかぶっているんですね。
だから、届出をしている施設にとってみれば、やってること自体は前と何も変わらないことになります。
提出期限についても各県・市町村が実情に応じて決めてよいとされているので、行政と連絡調整が密であるならば、いきなり罰則などが課されることもないでしょう。
報告義務違反の罰則は?
これは
前にもブログで述べたことがあるのですが、
老人福祉法に業務停止命令が新設されました。
老人福祉法(昭和38年法律第133号)第29条
(新設)14 都道府県知事は、有料老人ホームの設置者がこの法律その他老人の福祉に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれに基づく命令又はこれらに基づく処分に違反した場合であって、入居者の保護のため特に必要があると認めるときは、当該設置者に対して、その事業の制限又は停止を命ずることができる。
したがって、報告義務違反がたび重なれば、場合によっては業務停止命令もありうるということになります。
制度的に妙なのは、有料老人ホームは届出制を維持しつつ、その具体的な行為については法的義務が伴うことです。
無届施設についてはそもそも総量規制をかけたせいで増えた
無届の有料老人ホームというのは、無届の住宅型有料老人ホームという意味を含んでいます。
というのも特養や介護付き有料と言うのは、行政からお墨付きをもらわないとそのように名乗れないわけです。したがって、住宅型有料老人ホームこそが、届出るか届出ないかの分水嶺に立たされていることになります。
ここで有料老人ホームとして届け出ることによるメリットは行政から有料老人ホームとして名乗っていいよというお墨付きをいただけることです。
他方デメリットについては、いろいろたくさんあります。人員配置を24時間の帯でひとりは置けとか、面積は個室じゃないとダメ、ひとりあたり18m2以上無いとダメとか、スプリンクラー設置しろとか、果ては県によっては1人あたり食堂面積3m2以上確保しろとか、いろいろ言われるわけです。
で、今までは明確な罰則というのはなかったわけですね。
あったのは改善命令だけで、改善しましたと報告して、おざなりな対応をしても許されてきた。
なにしろ、有料老人ホームには現に住んでいる人がいるわけですから、行政もいきなり運営を停止されても困るという事情もあったわけです。
いわば、制度的な間隙を縫うようにして登場したのが住宅型有料老人ホームなわけです。
さて、そんなわけで無届の施設がじわりじわりと増えてきたという事情があるのですが、今回の報告・公表の義務は無届施設にメスをいれる結果になるのかもしれません。
不適合施設を排除するものではないが、無届施設の環境をあぶりだす効果はありそう
先にも述べたとおり、有料老人ホームは届出制なので、届け出ればその運営を差し止められることはありません。一部屋の面積が9m2しかない施設でも届ければ、部分的な不適合とされるだけで明確な罰則規定はありませんでした。今回の業務停止命令は、もしかすると適用される可能性があるわけですから、建築の段階で図面協議に入り、面積9m2ですということになったときに業務停止しますよということになりかねません。
しかしどうなんでしょうね。いわば時代の要請で出現したのが住宅型有料老人ホームなわけですから、行政としても9m2だろうがなんだろうが、高齢者が住む施設が無いと困るという事態に陥っているわけです。だって特養は死ぬほど待機待ちなわけですし、民間に期待するほかないんですよね。在宅で介護というのを声高に主張しているのもその一環だと思います。
だから、場合によっては行政は、しぶしぶという態度は崩さないでしょうが、9m2の有料老人ホームを作るということにうなずかざるをえない状況といえます。
したがって、今回の『報告』の義務化については、行政の考えれる劣悪な環境を広く知らしめることによって、そういった施設を把握し、淘汰していくことを目標にしているのかもしれません。
公表と一体的な制度なのもそれが理由でしょう。
無届が届出たほうが得だと思える制度を
結局のところ有料老人ホームの縛りが多すぎるのが無届施設の出現した原因だといえますので、行政が有料老人ホームの一定の水準というものを要請するのであれば、縛り『デメリット』に対するなんらかのカウンターが必要となるのではないでしょうか。
一番考えやすいのは補助金のような制度です。
たとえば、行政は有料老人ホームは火災の危険があって、逃げ遅れる可能性が高いからスプリンクラーをつけるように指導するわけですが、そのように指導するのであれば、スプリンクラー代を補助金としてだしてほしいということです。
そのときに届け出たら、補助金出すよという話であれば届出るのではないかということですね。
むずかしそうなのが、もしかすると行政にとっては民間の施設とかどうでもよくて、特養とか介護付きあたりくらいまでを防衛ラインとして想定しており、住宅型有料は企業努力でどうにかしろと思っている節があるところです。
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