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2009年06月

投資詐欺のニュースをテレビで見ていて、そういえば投資教育ってのはどうなったんだろうと思った。

数年前、僕が勤めていた中学校では投資教育が行われていた。あのころは、投資教育の必要性が説かれており、ニュース番組でも取り上げられた。今はどうなのか分からないが、少なくともニュース番組で投資教育の話を聞くことはほとんどなくなった。株価が低迷すると鳴りをひそめるとはなさけない。

当時、立場上僕は関与していなかったのだが、生徒の話を聞くと、実際の株価をもとにした仮想取引をさせていたらしい。なにしろ、先生方の多くが投資の経験がないので、かなり苦労したようだ。

投資教育には賛成だ。ただし、ちゃんと〈投資〉を教えることができることが前提である。

僕が知っている例では、実際に東京証券取引所で取引されている銘柄をバーチャルで売買して、資金がいくら上がったとか下がったというものだった。もし、これが投資教育ならやめたほうがいいだろう。ギャンブラーを増やすだけである。

投資というのは、当座必要のないお金を運用して、必要のあるときのために増やすという行為が原則である。もし、現在マイナスになっていても、必要なときにプラスになっていればそれでいいのである。短期間で儲かった、損したなどというのは投資ではなく単なるギャンブルだ。

ある学校で配られたプリントには「NTTドコモ株は買えません」と書いてあった。おそらく、自分たちのよく知っている会社で、儲かりそうなところを選ぶと、みんなドコモ株を買ってしまうからだろう。

しかし、ドコモ株を扱っていない証券会社なんかない。なぜ禁止するのか分からない。これは、生徒も先生も株式投資を理解していない証拠である。これなら、生徒に身近な物を売買する、商品先物でもやらせたほうがまだましだ。

投資教育で株式のバーチャル取引をするなら、一年の入学時から始め、いつでも売買できるようにして、最低限卒業のときまでバーチャル運用するようでないと意味がない。一斉に株を買って、一定の期間運用して「はい、いくら儲かりました(損しました)」なんてのは授業でギャンブルを教えているようなものである。

投資というのは、やり方によっては、ギャンブルにもなるし、資産形成にもなる。その線引きは難しいが、短期で売買するとギャンブルになりやすいものだ。

学校の先生(にもいろいろいるが)は、比較的安定した職業だから、投資をしている人が少ない。だから、証券会社に投資教育を依頼するしかないのだろう。それにつけこんで証券会社がギャンブルを教えるのだから、いつぞやみたいに総理大臣から株屋よばわりされても文句はいえないな。
タグ :
#投資
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