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羽生結弦 SP前日に4回転半8度アタック「上に行くためには絶対必要」、北京入り後初練習 静かなる出陣

[ 2022年2月8日 05:30 ]

8日の男子SPに向け、北京での初練習に臨む羽生(撮影・小海途 良幹)
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北京五輪フィギュアスケート男子で94年ぶり3連覇を狙う羽生結弦(27=ANA)が7日、会場の首都体育館に隣接するサブリンクで現地入り後初練習を行った。フリーで世界初成功を目指すクワッドアクセル(4回転半)をいきなり8本挑戦。過度に意気込むことはなく、冷静に準備を進めた。まずは8日の日本時間午後1時19分から始まるショートプログラム(SP)で、3大会連続の首位発進を狙う。

それがごく自然のように、超大技に挑み続けた。35分の公式練習で、羽生は4回転半に8本アタックした。フリー「天と地と」の曲かけでは転倒。3度、回転が抜けた。それでも、回転がわずかに足りない形で転倒していく惜しいジャンプもあった。まだ現地での初練習。「思い切ってやってない感じはある」と穏やかに言う。いつもの羽生であれば氷上でも取材でも感情を表に出すが、淡々とやるべきことをこなす、静かなる出陣だった。

昨年12月の全日本選手権で初めて4回転半を試合に組み込んだ。その時は自らを激しく鼓舞しながらの大技チャレンジ。あれから試行錯誤を重ね、飄々(ひょうひょう)と跳ぶジャンプには成長の跡があった。演技開始の位置から後ろに滑らず前に滑りだし、4回転半へのコースを変更。振り子のように振り向きざまだった踏み切りも、長い助走で高さを出した。「どうしても達成したい目標。自分自身がこの五輪で上に行くためには絶対に必要」。冷静に語る中に決意があった。

頂への道筋は過去2大会とは異なる。これまでは既に成功させたジャンプをこだわりの振り付けと合わせていく作業。「しっかり降りてきたジャンプを出し切れば勝てるみたいな感覚でやってた」。だが、今回は4回転半の世界初成功が金への必須条件と捉える。「まだ成長しなくてはいけないところがある状態での試合」。逃げはしない。あくまで挑戦し続けることが、五輪王者の真骨頂だ。

長年、指導を受けるブライアン・オーサー・コーチはリンクサイドに立たない意向を固めている。「彼自身が僕のルーティンを今回、大切にしてくれた」。リモートで指導は受ける存在には変わりがないが、コロナ禍でカナダ・トロントには戻らずに国内で4回転半の練習を進めてきた。自らが信じるアプローチを最後まで貫く。

大技に挑むフリーの前に、8日のSPで「序奏とロンド・カプリチオーソ」を舞う。「ショートにも凄く愛情を持って、できることを一つずつ積み重ねたい」。過剰に意気込むことはない。五輪を知り尽くした王者は、自然体で勝負の時を待つ。

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