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「フットボールネーション」作者の大武ユキ氏注目は...サッカー漫画家独自の視線から日本代表に熱視線

[ 2022年11月21日 05:05 ]

軸の通った姿勢と通っていない姿勢(c)大武ユキ/小学館
Photo By 提供写真

サッカーW杯が開幕し、サッカー漫画の作者たちもカタールのピッチに熱視線を注いでいる。漫画誌ビッグコミックスペリオール(小学館)で、筋肉や体の使い方という独自の視点からサッカーを描く「フットボールネーション」の大武ユキ氏は、GK権田修一(33=清水)とMF遠藤航(29=シュツットガルト)に注目。まずは、1次リーグ突破を期待した。 (岩田 浩史)

日本サッカーの進化に必要なのは、技術や戦術の向上だけでなく、インナーマッスル主導の体の使い方――。「フットボールネーション」的目線から、大武氏は2人の選手に注目している。

1人目はGK権田だ。「元々良かった体の使い方が完成の域に達している」。6月の日本代表対ブラジル代表戦で自身が撮った写真から「付くべき筋肉が過不足なく付いて良い感じ。体幹がしっかりして、どんな場面でも軸が安定している。元々体の使い方を意識して向上させてきた選手。今凄く良い状態」と絶賛した。

学生時代から一眼レフで学生サッカーを中心に撮りまくり、「良い選手はフォトジェニック」が持論。今も1試合あたり1000〜3000枚撮る。GKは止まった場面が多いだけに「写真で見ると体つきの良い悪いが一目瞭然」。そんな中、権田は「オフ・ザ・ボールの姿勢も肩の力が抜け、脚の開き幅も良い。次の動きに移りやすそう。以前はもう少し開いていた」という。

捕球姿勢もフォトジェニック。「GKは攻め込まれた際など、カエルのように手がバラバラの格好悪い写真になりがち。でも彼は常に軸が通り美しい。一試合通して一枚も悪い写真がない」とした。

フィールド選手ではMF遠藤に注目。「若い頃から上半身が大きく分厚い、腹圧の高そうな体。ハンプティ・ダンプティ(英国の童謡「マザーグース」に登場する卵形のキャラクター)みたい。日本では珍しいタイプ」という。

作中では、海外の超一流選手は「上半身が分厚く胴体が丸い」と指摘。遠藤も「胸より腹がぽっこり膨らんで見えることもある」。その正体はインナーマッスルの横隔膜や腹横筋。これこそ対人に強い「デュエルキング」の証だ。これらが発達すると"腹圧"が高まり、脊椎が安定。体幹が強く、当たり負けしにくくなる。プレーも安定し正確さを増す。横隔膜は脚の動きに関わる腸腰筋などと重なり合い、上半身と下半身の連動に重要な役割を果たす。「遠藤選手も、格好悪い写真はほとんどない」という。

より良い体の使い方が、あらゆるプレーの質を向上させると描いてきた大武氏。連載開始当初に比べて「日本サッカーも多様なアプローチで強化され、体の使い方がうまい選手も増えた」という。今回の1次リーグは「ドイツに負け、コスタリカに勝ち、スペインに引き分けられたらラッキーと、なかなか厳しい組み合わせ。突破できたら素晴らしい」とエールを送った。

◇フットボールネーション 東京都の社会人3部リーグ「東京クルセイド」が天皇杯で、Jクラブ相手に勝ち上がる。主人公はボランチの沖千尋。現代サッカーにおいて、腿裏筋や腸腰筋などインナーマッスル主導の動きの重要性、体の動かし方というスポーツの根本を考える。運動科学総合研究所の高岡英夫氏が科学指導役で参加。岡崎慎司(シントトロイデン)、中村憲剛氏(元川崎F)ら選手、関係者のファン多数。最新の単行本17巻が今月30日発売。

◇大武 ユキ(おおたけ・ゆき)神奈川県出身。女子美大短大卒業後の1988年、大学サッカーを描いた「サッカーボーイ」でデビュー。09年から「フットボールネーション」を連載。「我らの流儀」などサッカー漫画を描く。

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