消えていくゲームを未来に残すために
2025年5月23日 (金) 投稿者: メディア技術コース
こんにちは。メディア学部 技術コースの羽田です。
今日は「ゲームの保存」をテーマに、私たちの研究についてご紹介します。
メディア学部では、ゲームに関連した多彩な研究が行われています。私の研究室でも、プレイヤーがゲーム中に感じる「臨場感」を高めるための試みとして、ジャンプや落下の場面に風を当てる装置の開発などを行ってきました。こうした取り組みは、VR(仮想現実)を活用した研究ともつながっており、広い意味で「ゲームの技術開発」に貢献しています。
みなさんには、どんなゲームの思い出があるでしょうか?
私たち世代には、ファミコンやプレイステーションといった家庭用ゲーム機、ゲームボーイのような携帯ゲーム機で遊んだ記憶がある方も多いかと思います。一方、最近の高校生にとっては、スマートフォンやPCで遊ぶゲームのほうが身近かもしれません。特にスマートフォン向けのゲームは、世界中で多くの人に親しまれています。
しかし、こうしたスマホやPC向けのオンラインゲームには大きな課題があります。
ゲームのデータがサーバ側に保存されているため、サービスの提供が終了すると、たとえ端末にアプリが残っていても、プレイできなくなってしまうのです。
過去にも同様の問題がありました。今ではあまり知られていませんが、20年ほど前にはiモードなどのフィーチャーフォン(いわゆる「ガラケー」)向けに、Mixi、GREE、モバゲーといったプラットフォームが数多くのゲームを提供していました。これらのゲームの多くは現在プレイする手段がなく、当時の様子を振り返ることも難しくなっています。
このような「消えゆくゲーム」を、どのようにして後世に残していけるのか。私たちの研究室では、こうした問題に取り組んでいます。
その第一歩として、「プレイ動画の保存」を試みています。
YouTubeなどにはたくさんのゲーム実況動画がありますが、それらは多くの場合、エンターテインメント性が重視されており、ゲームの世界観や操作性を記録する目的では撮影されていません。
私たちは、「ゲームを後世に伝える」ことを目的に、どのような視点や操作を映像として残せば、ゲームの本質が伝わるのかを検討しながら、記録動画を制作しています。最終的には、記録すべき映像の要素を体系化し、保存に適した撮影手法を提案することを目指しています。
現在広く楽しまれているオンラインゲームは、カセットやディスクのように「モノ」として残すことができません。だからこそ、文化としてのゲームを未来へ継承するためには、今のうちに「記録」しておくことが必要なのです。
ゲームの研究というと、「ゲームを作る」「分析する」といった側面に注目されがちですが、「ゲームを残す」という視点もまた、非常に重要で、面白いテーマです。今後は、ゲームセンターでしか体験できない大型筐体ゲームや、体感型ゲームの保存についても研究を広げていきたいと考えています。
このテーマに関心を持った方は、ぜひ今後の情報にもご注目ください。
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