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Iiee 先週紹介していた韓国の「黄色い封筒法案」ですが、昨日成立したようです。
革新系のハンギョレ新聞は、「労働基本権がまともに行使できなかったせいで傾いた労使関係を正常化する第一歩」と賞賛し、
【社説】「黄色い封筒法」が国会で可決、労使関係の新たな枠組み作りが始まった
保守系の朝鮮日報は、強行採決だと非難していますが、
日曜日も立法暴走 韓国国会、共に民主主導で親労組「黄色い封筒法」強行採決
中身は記事からわかりますが、どこかに条文レベルで解説したのがないかと探したら、ちょうど今日付で、脇田滋さんが詳しい解説を書いていて、そこに条文がどうなったかも載っていました。
https://hatarakikata.net/20052/
(a)使用者(元請け)範囲の明確化・拡大(第2条2号)
- 【現行法】 使用者とは、事業主、事業の経営担当者又はその事業の勤労者に関する事項について事業主のために行動する者をいう。
- 【改正案】 使用者とは、事業主、事業の経営担当者又はその事業の勤労者に関する事項について事業主のために行動する者をいう。この場合、勤労契約締結の当事者でなくても勤労者の勤労条件に対して実質的で具体的に支配・決定できる地位にある者も使用者とみなす。
(d)損害賠償の制限(第3条·新設第3条の2)
- 【現行法】 使用者はこの法による団体交渉または争議行為によって損害を受けた場合に労働組合または勤労者に対してその賠償を請求することができない。
- 【改正案】
1 使用者は、この法による団体交渉又は争議行為その他の労働組合の活動により損害を受けた場合に、労働組合又は勤労者に対してその賠償を請求することができない。
2使用者の不法行為に対して労働組合または勤労者の利益を防衛するためにやむを得ず使用者に損害を加えた労働組合または勤労者は賠償する責任がない。
3 裁判所は団体交渉、争議行為、その他の労働組合の活動による損害賠償責任を認める場合、各損害の賠償義務者別に帰責事由と寄与度により個別的に責任範囲を定めなければならない。
4 身元保証法第6条にもかかわらず、身元保証人は団体交渉、争議行為、その他の労働組合の活動によって発生した損害に対しては賠償する責任がない。
第3条の2(責任の免除)使用者は、団体交渉または争議行為、その他の労働組合の活動による労働組合または勤労者の損害賠償など責任を免除することができる。
2025年8月25日 (月) | 固定リンク
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