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782_09 本日発行の『日本労働研究雑誌』2025年9月号は、「労働研究における教育」が特集ですが、書評欄では、中林真幸さんが拙著『賃金とは何か』を書評していただいています。
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2025/09/index.html
書評
濱口桂一郎 著『賃金とは何か─職務給の蹉跌と所属給の呪縛』
中林 真幸(東京大学教授)
詳細に内容を紹介いただいた上で、
・・・本書は法令、産官労のエリートが編集した報告、エリートのオーラルヒストリー、それらを整理した歴史叙述の解釈から成り立っており、それぞれの章において言及されている制度が、どの程度、実装されていたのかを実証するものではない。その意味では、似た問題意識を打ち出した岡崎・奥野(1993)等と同様、政策史ないしは政策思想史の議論である。しかし、それぞれの時代のそれぞれの立場のエリートに世界がどう見えていたかを再現すること、それ自体に意味があるので、この特徴は本書の価値を貶めるものではない。拙評ではその大所高所の議論に乗って三つほど、感想めいたことを書いてみたい。 ・・・
と、3つのことが書かれています。一つ目は戦時統制期における同業組合の協定賃金という超ミクロな話、二つ目は逆に超マクロに、ジョブ型とメンバーシップ型の人類史的な構図の話、三つ目は江戸時代以来の日本のホワイトカラーの働き方の話です。
81tj1p4qhol_sy466__20250825144201 多分、業界で普通に本書の書評を依頼されるような人ではそこまで話が及ばないような所まで話が上っていって、原著者自身にもリフレクティブでありました。
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