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2025年7月 8日 (火)

宮本太郎編著『子どもが消えゆく国の転換』

C5448cd779cc4c0da32b2cd66f2a5620 宮本太郎編著『子どもが消えゆく国の転換』(勁草書房)をお送りいただきました。ありがとうございます。

https://www.keisoshobo.co.jp/book/b10135250.html

少子化にともなう人口の縮小、高齢化やジェンダー、就労構造の問題などから格差と分断が広がる社会の閉塞感を抜け出すためのビジョンをどう形づくっていくか。新たな生活保障のあり方はどうあるべきか。日本の未来をつくる方向を指し示す。

目次は次のとおりですが、

第1章 少子化社会の転換はなぜすすまないのか?
第2章 ケアリング・スキルの脱ジェンダー化戦略―ケア・ニーズを中心に据える社会に向けて
第3章 人口減少社会の雇用と賃金
第4章 日本の再分配政策の支持・選好
第5章 住宅保障における住宅セーフティネット法の役割―住宅確保における排除への法的な対応
第6章 少子化と苦悩する家族政策―フランスから考える家族と政治の関係
第7章 長期的社会変動と少子化

このうち、是非読む値打ちがあるのは、最後の第7章、筒井淳也さんによる「長期的社会変動と少子化」です。

これは、目の前の少子化対策であれこれ騒いでいる議論を、人類史的視座から見下ろすような感じです。そもそも、前近代社会では家族が最重要の経営・生産組織であり、結婚と生殖はその極めて重要な手段でした。近代企業が労働力確保のために労働者を採用するのと同じくらいの位置づけであったわけです。ところが近代化によって経営・生産組織が家族の外側の企業に移るとともに、結婚や生殖はビジネスライクに遂行すべきことではなくなってしまい、愛だの恋だのという不安定な情緒に委ねられるようになってしまいました。

それでも近代化後かなりの間は、社会的性別役割分業で、家族(=妻、母)は企業が担えない生殖機能を、企業活動を間接的に支えるために遂行する役割を担うことにより、間接的にビジネスライクでありえたのでしょうが(この時代に郷愁を覚えるのが近代的保守層と言うことになるのでしょう)、企業が彼女らを直接に企業の生産活動に活用するようになると、それすらも失われ、生殖活動に積極的関心を持つのは福祉国家だけと相成ったというわけです。

2025年7月 8日 (火) | 固定リンク

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コメント

家族(というより、親を筆頭とする親族?)の育児をする動機が減退したのであれば
保育所なり、何なりの社会的育児機能を強化するしかないのでは

産むのに躊躇をする大きな要因は、産んだら面倒を見なきゃいけないのが負担だから
だと思うけど。一部のフェミニストが言うような「父も面倒をみろ」じゃ、ますます
産まないでしょうね。「母も面倒見なくていい」「面倒は国がみる」が正解でしょう

投稿: 一日 | 2025年7月 8日 (火) 22時55分

> 生徒自身が探究した成果を自分の言葉で語れるかといった事柄
https://x.com/hahaguma/status/1945661963599810738

極めて官能的な事柄ですね。社員の平等を堅持したまま、
変化をしたのは「企業が彼女らを直接に企業の生産活動に
活用」だけね。抵抗を偽装した適応ですかね?

投稿: はい | 2025年7月17日 (木) 11時56分

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