子ども福祉弁護士の仕事
恩恵的福祉観から権利的福祉観へ
まず、第1章では、平湯真人のこれまでの活動を振り返り、読者自身の経験と結びつけて、子どもに関わる大人のあり方を考えてもらう。
次に、第2章では、千葉県の児童擁護施設「恩寵園」でおこった児童虐待事件について、当時入所児童として闘った方々と弁護団、支援者の座談会を収録。当時の子どもたちが大人をどう見ていたのか、生の声の中から子ども福祉について考えてもらう。
そして、第3章では、子ども福祉に関心を寄せる弁護士・研究者・児童擁護施設職員・民間支援者で構成される「施設内人権を考える会」の取組みから子どもたちの声をすくい上げようとする大人の姿勢を共有する。
最後に、第4章で、恩恵的養護観への逆戻りが懸念される今日の子ども福祉を取り巻く現状を踏まえた上で、我が国における子ども福祉の進んでいく方向を確認する。
第1章 子ども福祉弁護士へ
1.子ども時代の記憶
2.裁判官としての経験
3.子どもとともに悩む弁護士として
第2章 「恩寵園事件」から子どもの福祉を考える
1.「恩寵園事件」とはなんだったのか?
2.子どもたちの「恩寵園事件」――原告たちの座談会
3.助けてくれた大人がいた――「恩寵園児事件」原告・弁護団・支援者の座談会
4.子どもの発信を誰が受け止めるのか
第3章 子どものために大人は何をすべきか――「施設内人権を考える会」の活動から
1.「施設内人権を考える会」の成り立ち
2.「施設内人権を考える会」と私
3.人材を育てる施設運営
第4章 「子ども福祉弁護士」に求められるもの
1.子ども福祉における 子どもの権利保障の現在
2.「子ども福祉弁護士」の活躍を願って
コラム1 少年法改正の動きについて
コラム2 フォーラム「東京に避難してきた子どもたちを支える」参加報告
1.子ども時代の記憶
〝泥棒〟の記憶/両親の教え
2.裁判官としての経験
人を裁くことの怖さ/違憲判決の反動/差別を知り、考える/子ども福祉への思いの芽生え/裁判官を辞して
3.子どもとともに悩む弁護士として
子どもの権利委員会/児童相談所の協力弁護士・非常勤弁護士/カリヨン子どもセンター/アジアの売春防止運動/福祉小委員会/「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワーク/少年法改正/国会での発言
第2章 「恩寵園事件」から子どもの福祉を考える
1.「恩寵園事件」とはなんだったのか?......山田由紀子
はじめに/園児13人脱走事件/恩寵園での体罰・虐待・人権侵害/恩寵園の子どもたちを支える会の結成/住民訴訟の提起/住民訴訟の実質勝利/廃園阻止と損害賠償請求訴訟/園長とその二男の有罪判決/損害賠償請求訴訟判決/新園長を迎え改善された恩寵園
2.子どもたちの「恩寵園事件」― ―原告たちの座談会
「ここにいたら殺される」と思った/性的虐待もあった/闘いは法改正の魁になった/施設長は謝っていない
3.助けてくれた大人がいた― ―「恩寵園児事件」原告・弁護団・支援者の座談会
始まりは怒りだった/〝大人観〟の変遷/児童福祉関係職員の養成/法律家として闘いから学んだこと/大人たちはどう変 わったか/残された課題/後輩弁護士へのメッセージ/今、施設にいる子どもたちへ/〝ふつうの生活〟とは?/おわりに
4.子どもの発信を誰が受け止めるのか......平湯真人
施設内虐待の公表レベルが簡略過ぎる/求められる小規模化/「公益通報」扱いの徹底を
第3章 子どものために大人は何をすべきか――「施設内人権を考える会」の活動から
1.「施設内人権を考える会」の成り立ち......掛川亜季
社会の動きと会の展開/会のルール/会の意義/プラットフォーム/今後に向けて
2.「施設内人権を考える会」と私......関貴教
邂逅/衝撃/平湯弁護士/つないでいく
3.人材を育てる施設運営......黒田邦夫
はじめに/二つの運営形態/不安を放置すると不満となりやがて不信になる/くり返し行われる仕事は、仕組み化・パターン化・合理化する/手抜きをせずに段取りをとる/おわりに
第4章 「子ども福祉弁護士」に求められるもの
1.子ども福祉における 子どもの権利保障の現在......川松亮
はじめに/社会的養護における子どもの権利擁護/子ども虐待対応の進展/子どもの貧困問題への取組み/居場所のない若者への支援/おわりに
2.「子ども福祉弁護士」の活躍を願って......平湯真人
恩恵的福祉観への後退は許されない/社会的養護の子どもたちの人権/社会的養護の子どもたちと「充実したふつうの生活」/学校の想像力/子どもの貧困対策推進法と関係法令)/子ども食堂/児童憲章/おわりに―「子ども福祉弁護士」に込めた特別な思い
コラム1 少年法改正の動きについて
コラム2 フォーラム「東京に避難してきた子どもたちを支える」参加報告