Last Lecture
2025年9月26日 (金) 投稿者: メディア技術コース
メディア学部の渡辺です。みなさんこんにちは。
現在メディア学部ではカリキュラムの改訂が進んでいます。2025年現在、2年次生が新カリキュラムでの授業に移行しており、従来のカリキュラムは現在の3年次生が最後となります。そのため、まったく新しい授業が誕生する一方で、これまで教えてきた内容が終わってしまうこともあります。
メディア学部での非常な重要な科目として「メディア専門演習」というものがあり、これはメディア学部のほとんどの教員が専門的な演習を少人数で実施するというものです。メディア専門演習は従来カリキュラムが前後期のセメスター、つまり14週で実施されていたのに対し、新カリキュラムではクォーター、つまり7週で実施されることとなったので、大幅な内容変更を余儀なくされました。そのため、私がこれまで実施してきた「リアルタイム3DCGプログラミング」も内容を変更しています。この改訂に伴い、長年教えてきた「プロシージャルモデリング」、日本語では「形状自動生成」となりますが、この内容を教えるのは先学期が最後となりました。
「プロシージャルモデリング」というのは、プログラムによるアルゴリズムによって立体形状を作成する理論のことで、「数理造形」と呼ばれることもあります。この内容にはとても思い入れがあります。メディア学部は1999年に創設され、私は創設時からメディア学部教員を務めていますが、当時同じくメディア学部の教員に渕上季代絵先生という方がいらっしゃいました。渕上先生は数理造形の専門家で、日本図学会賞など高く評価されておりました。渕上先生はご自身の専門演習で数理造形を教えたいので、私に手伝ってほしいという依頼をうけ、共同で進めていたのですが、2004年にくも膜下出血により逝去されました。本当に突然のことで驚いたのですが、既に渕上先生の専門演習や卒業研究に配属されていた学生の面倒も私の方で見ることになり、悲しんでばかりもいられませんでした。
当時の渕上先生は螺旋に関する研究を進めており、専門演習でも螺旋をプログラムで自動生成することを演習の目標に設定していました。ただ、実際のところ螺旋って結構数学的には大変なんですよね。メディア学部は様々な入試形態で入学する学生がおり、必ずしも数学が得意な学生ばかりではありません。螺旋の自動生成を実現するために必要な数学とプログラムの素養はそれなりに高く、渕上先生もなかなかにヘビーな課題を設定するなと当時も思ったものでした。
そんな渕上先生の志を継承する思いで、私は自分の専門演習にこの螺旋の自動生成を課題に盛り込みました。この課題は私の出題する課題の中でも最高峰であり、毎学期この課題は多くて4,5人、ときには誰も完成することができない学期もあるくらいの課題でした。
今回のカリキュラム改訂で、この数理造形の内容はどうしても削らざるを得ず、2025年前期での教育が最後となってしまいました。その終了を記念するとともに、改めて渕上先生を偲ぶ気持ちも込めて、本記事をもってこの授業内容を弔いたいと思います。
とはいえ、また別の機会で教えられるときが来るかもしれませんが。
プログラムによる螺旋形状自動生成
(メディア学部教授 渡辺大地)
「授業紹介」カテゴリの記事
- トップレベルの論文を読み込む「CG技術特論」(大学院授業紹介)(2019年03月13日)
- 大学院授業:プロシージャルアニメーション特論の紹介(2019年03月08日)
- 専門演習「空間インタラクティブコンテンツ」2018後期(3)(2019年02月22日)
- タンジブルインタラクションデザイン最終発表(2019年02月13日)
- 専門演習「空間インタラクティブコンテンツ」2018後期(2)(2019年02月12日)
RECENT ENTRY最新の投稿
- メディア学部の情報はこちら
- メディアコンテンツコースの情報はこちら
- メディア技術コースの情報はこちら
- メディア社会コースの情報はこちら
- 入試情報はこちら
- 資料請求はこちら(大学案内、募集要項等)
- 東京工科大学の情報はこちら