「上らせない」より「上らせる」工夫を探す
2025年8月 8日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース
2025 本当に今年は猛暑です。
特任准教授の安原です。
昨日のエスカレーターのアイデアの回答例はどれもユニークな視点を持っていて、おもしろいと感じました。私たちの回りには、「正解のない問題」が数多く存在します。そんなとき、単に感覚に頼るのではなく、「アフォーダンス」という視点や発想の道具を持つことで、人の行動を促す形、デザインとは何かを考える手がかりになります。
では、次にヒトが「上る」ことを思いつかない、「歩き」たくならないエスカレーターとはどういうものだろう?と考えてみましょう。
実際、「乗りたくない」と感じるエスカレーターは存在します。その一つは上り、下りの距離が長いエスカレーターです。東京都心にある、深い地下から見上げるくらい長いエスカレーターは、日頃から登山で鍛えている人ならともかく、多くの人にとっては歩いて上ることは避けたくなる存在です。
そしてまた、単純に幅が狭いエスカレーターもそうかもしれません。物理的にすれ違えないほど狭ければ、混雑しているときに「歩く」ことを防止できますが、この狭さという点がヒトの効率的な移動を阻害してしまいます。狭いエスカレーターしかない狭い駅のホームでは常に長い人の列ができていますから、通勤時間帯の混雑したホームでの事故を誘発する原因となるでしょう。
結局のところ、エスカレーターは深度のある場所での移動には適していても、必ずしも万能ではありません。人の身体的感覚に沿った「上れる」と感じる距離や設計を超えるとき、従来の「階段」と併用することが望ましいと思います。
では、ヒトが自ら進んで上りたくなる「階段」とは、どのようなものでしょうか。
有名なものは「Fun Theory」として紹介されたピアノを模した音の出る階段があります。各ステップを踏むと音が鳴るため、ヒトは音とともにリズミカルにたのしく「上る」体験が得られます。インタラクティブ性がヒトの行動を変容させる良い例です。
今なら、「上ると「ポイント」が貯まる階段!」、という健康アプリの活用などがすぐに思い浮かびます。今までは可視化されなかった個々人の日常生活の活動を「定量化」することがスマホの普及によって容易になりました。すでに万歩計でポイントが貯まるサービスなどがありますから、同じように駅の店舗で貯めたポイントが使える施策をすれば、「階段」を使うヒトも増えて、個人の健康だけでなく、ひいてはホームでの安全にも寄与できるかも、とメディアコンテンツ研究への可能性が膨らみます。
しかし、毎日これだけ暑いと「階段」を上るのも少し身体には危険なことかもしれませんので、みなさんくれぐれもご自愛を。
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