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380cdfa0e4e44917ba18293d575e6311 水町勇一郎『詳解労働法[第4版]』(東京大学出版会)をお送りいただきました。ありがとうございます。ますます分厚くなって、全1632ページです。
https://www.utp.or.jp/book/b10140193.html
働き方のルールを定めた労働法制のすべてが分かる概説書。法令や告示・通達など制度の枠組みを分かりやすく解説するとともに、裁判など実際の紛争事例を数多く採り上げ現在の基準を鮮やかに示す。外国人育成就労法の制定(2024年)や労働安全衛生法の改正(2025年)など法令の新たな動向や、事業場外みなし労働時間制の適用をめぐる判決(協同組合グローブ事件)や職種限定合意と配転命令の可否をめぐる判決(滋賀県社会福祉協議会事件)など近時の裁判例を踏まえた待望の改訂版。
こちらも、2019年、2021年、2023年、そして今年2025年と、極めて正確に2年刻みで大著を更新し続けていますね。
本書がいかに微に入り細を穿っているかを示すのが、わたくしが例のアダルトビデオ女優の労働者性の評釈で引用したはるか昔の最高裁判例(最一小判昭和29年3月11日刑集8巻3号240頁)が、29ページの「職業安定法上の『雇用関係』」という項でちゃんと取り上げられ、「ここでは『有形無形の経済的利益』を得て『肉体的、精神的な労務を供給』する関係を『雇用関係』と捉えており、厳密な意味での『使用』(労基法9条参照)が問われていない分、労基法上の労働者や労契法上の労働者(雇用契約上の労働者)よりも広い概念が採られているといえる」と論じられていることでしょう。この判例、菅野・山川の緑本にも載っていません。
アダルトビデオ女優の労働者性とアダルトビデオプロダクションの労働者供給事業該当性-アダルトビデオプロダクション労働者供給事件
2025年9月16日 (火) | 固定リンク
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