« 日経MIXのhistory会議 | トップページ | 政治家もメディアも解雇規制を誤解している-問題は法ではなく雇用システム@『中央公論』2024年12月号 »
日本大学文理学部社会学科の『社会学論叢』誌に、立道信吾さんが「恋人関係は大学生の就職活動にどのような影響を与えるか」という論文を書いています。
データや分析手法は飛ばして,結論だけ見ますと、
学外の恋人がいる場合は,選考の全ての段階で、学内の恋人がいる場合は、ESによる選考より上の選考段階の全てで選考上有利な効果が見られた。恋人の存在が何らかの形で,選考を有利にする状況を作り出していると考えることができる。
とのことです。
も少し細かく見ると、
1学内の恋人がいる場合には,筆記試験を突破して面接に進む段階で、2学外の恋人がいる場合は、通常は数次にわたって行われる面接を突破して最終面接に進む段階で、選考上有利な結果が見られた。恋人が学内外のどちらにいるかの違いで,効果の現れ方が一部異なる結果となっていることは、何らかの意味がある可能性がある。
なぜこういうことになるのかについては、
学内の恋人同士の場合は、相手の欠点を指摘したり、欠点の補正に対する動機づけを行いやすいため、筆記試験を通過するパフォーマンスが向上するのである。しかし、この点はマイナスに作用する場合もある。同じ立場にいるために、欠点が見えにくくなったり、異なった視点からの観察ができなくなる可能性があるからだ。
・・・面接選考では、学生の視点を超えた,社会人の視点からの評価が行われる。学外の恋人が仮に社会人であった場合は、こうした社会人の視点からの面接選考へのアドバイスが可能となる。これが面接の結果に学外の恋人が影響を与えるメカニズムである。
と分析しています。
そうだろうな、というのと、ほんまかいな、というのが入り交じった読後感ですが、いずれにしても目の付け所のユニークな面白い研究です。
2025年9月11日 (木) | 固定リンク
« 日経MIXのhistory会議 | トップページ | 政治家もメディアも解雇規制を誤解している-問題は法ではなく雇用システム@『中央公論』2024年12月号 »
« 日経MIXのhistory会議 | トップページ | 政治家もメディアも解雇規制を誤解している-問題は法ではなく雇用システム@『中央公論』2024年12月号 »
>恋人の存在が何らかの形で,選考を有利にする状況を作り出していると考えることができる。
調査方法がわからないので全くの私の感想ですが、
恋人がいるから選考が有利になる
のではなく
元々いろいろな能力(積極性, コミュニケーション能力等)が優れている人は
恋人もできるし、選考も有利になる
という事ではないかと思います。
今は恋人のいない大学生も多いそうです。恋人がいるという事は、その人には恋人がその人を選んだ理由があったという事だと思います。学外の恋人がいるという事は、恋人は学内の人ではなく学外の人を選んだという事なので、学内の人よりもさらに優れた点があったという事だと思います。
投稿: Alberich | 2025年9月19日 (金) 21時12分