「東京都を中心とする水需要の急増に伴い、治水と利水を一貫とした国土総合開発の必要性から昭和36年水資源開発促進法が制定され、翌37年利根川水系水資源開発基本計画が成立、ついで昭和40年6月29日「利根川水系水資源基本計画の一部変更」により、草木ダム(当時は、神戸ダム、のちに地元要望により昭和43年6月18日現在の名称に変更さる)が追加され、事業主体も建設省より水資源開発公団へ移行したものである。」
「ダムは堤高140mの重力式で、堤体コンクリート量は132万m3に及ぶもので、その打設方式には苦心が払われ、ケーブルクレーンとトレッスル、ジブクレーンの併用方式が採用された。また止水工事、堤体基礎地盤改良、断層処理等は特に慎重に施工を行い、グラウト用ボーリングの延長は91,000mに及んでいる。さらに、草木ダム建設の技術的特徴について、水資源協会編『水を拓く−ダム・堰・湖沼開発の技術史』(水資源開発公団・平成14年)では、具体的に次の5つを掲げている。
ダムの建設された渡良瀬川の上流には鉱毒で問題となった足尾銅山がある。これから流出する銅イオン等の処置については特に留意され、選択取水設備、水質監視装置等特殊な工夫が払われている。」