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東京都の人口は,昭和11年600万人,現在では1 235万人と増加した。東京都の水道は,多摩川だけではなく相模川,荒川,利根川の水が供給されるようになった。安定的な水管理が行われている。この水管理の一環として水道水源林の育成が行われてきた。
森林には水源涵養,土砂流出防止,土砂崩壊防止などの公益的機能を有するが,東京都水道局水源管理事務所編・発行『水道水源林100年史』(平成14年)によれば,多摩川上流域の水源林を購入し,林業経営に当たっていることが記されている。それは,森と川と海を生態的,環境的な面から一体と捉え「よりよい水環境の思想」を実践されている。まさしく,小河内ダムは,「緑のダム」と「人工のダム」が相互に補完し合っているといえないだろうか。このことは特筆に値することだ。