◆だいやまーく 3. 阿武隈川の水害
阿武隈川の水害は、台風性降雨が大半を占め、大規模な水害はほとんど前線をともなうものである。阿武隈川流域の降雨特性は、昭和16年7月洪水のように全流域一様型の場合もあるが、一般に奥羽山系の東側に多い。昭和16年7月洪水では、福島上流平均2日雨量は241?o、岩沼上流平均2日雨量は228?oに達している。支川大滝根川では、既往の最高が昭和23年9月洪水では、三春ダム上流域平均2日雨量で176.9?oを記録している。
阿武隈川における主要洪水について、つぎのように追ってみた。
?@ 昭和16年7月洪水
台風は22日鳥島付近で北北東に進み、東京湾を通過し、東北地方を縦断したため大豪雨となり、とくに宮城、福島両県下では日雨量100?oを越え総雨量で白河331?o、郡山259?o、遠刈田277?oとなり、本支川の随所で破堤、溢水が生じ岩沼水位観測所では最高水位8.04mに達した。その被害は流出家屋16戸を含めた全被災家屋は延21,560戸におよんだ。
?A 昭和23年9月洪水
アイオン台風と前線との作用により宮城県から岩手県にかけて帯状に、記録を破る大豪雨をもたらした。総雨量は、白河で162?o、福島194?o、白石291?oとなり、その被害は、死者11名、流出家屋148戸を含め全被災家屋延8,627戸となった。第二次流量改定の原因となった。
?B 昭和33年9月洪水
27日台風22号が伊豆半島に上陸し、福島県中通り南部から浜通り中部を通って太平洋に抜けたため、阿武隈川流域は記録的な豪雨となり、特に、吾妻山系、阿武隈山地東側では300?oを越え、筆浦では時間雨量が45?oに達した。このため各水位観測所とも警戒水位を突破し岩沼で最高水位7.35mに達した。引き続き22号の襲来により暴風雨に見舞われ被害は一層おおきくなった。
?C 昭和41年6月洪水
27日から台風4号により梅雨前線が活発になり同夜半から降雨があり、28日夜半には台風が接近して大雨となった。降雨量は阿武隈山地で140?o前後、奥羽山系で100?o〜180?oであった。岩沼水位観測所の最高水位は、6.64mに達し、農作物に被害が大きかった。