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ページID:107578更新日:2023年1月21日
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水素エネルギーは、水素が燃焼などの化学反応を起こした際に発生するエネルギーを指します。水素はさまざまな資源から製造できることに加え、燃焼反応において、二酸化炭素などの温室効果ガスを排出しないことで注目されています。
しかし、水素エネルギーはまだ普及が進んでおらず、どのような場面で利用できるか分からない人も多いのではないでしょうか。この記事では、水素エネルギーの基本情報に加え、利用分野や活用の意義などを詳しく解説します。
水素エネルギーとは、水素を燃やしたり他の元素と組み合わせたりした際に発生するエネルギーのことです。水素エネルギー技術の概要は下記のとおりとなります。
【水素エネルギー技術の概要】
水素製造技術 | 水素を他のエネルギーから製造する過程。国内での製造に加え、海外で製造した水素を輸入する計画もある。 |
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水素貯蔵・輸送技術 | 製造した水素の輸送・貯蔵する技術の確立・向上を目指している。現在は圧縮水素・液化水素で供給中。 |
水素供給・利用技術 | 燃料電池自動車や定置用燃料電池の利活用が進んでおり、将来的には水素による発電も期待される。 |
水素(原子番号1番・元素記号H)自体は可燃性で炎は無色、気体としては地球上でもっとも軽く無味無臭です。さまざまな資源から製造できることも特徴の1つです。
出典:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「NEDO水素エネルギー白書 第6章:水素エネルギー技術」
水素は製造元となる資源や生成方法により特徴が異なります。下記は、現在実用化の目処が立っている水素の製造技術です。
【代表的な水素の製造技術】
副生水素 | ソーダ産業や製鉄所などの副産物として生成される水素。経済的なこともあり、導入に至っているものも多い。 | |
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化石燃料改質 | CO2(二酸化炭素)の排出はあるが、比較的安価かつ大規模な生産が可能。技術的に確立しており、実用化段階にある。 | |
水電解 | 火力 | 改質ほどではないが、比較的安価かつ大規模な生産が可能で実用化段階に至っている。CO2の排出はあり。 |
再エネ | CO2を排出しない。技術的には確立しているが、再エネの種類によって出力に変動があり、比較的高価。 |
出典:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「NEDO水素エネルギー白書 第6章:水素エネルギー技術」
上記以外にも、バイオマス・熱分解・光触媒などの技術を用いた製造方法も研究開発されています。また、水素は生成方法の違いにより下記の3色に分類されます。
【生成方法による名称の違い】
出典:一般財団法人 新エネルギー財団「グレー水素、ブルー水素、グリーン水素」
水素エネルギーは未だ研究・開発段階にある分野も多いものの、幅広い活用が期待されているエネルギーです。下記は、現在推進されている水素エネルギー活用の代表的な例です。
燃料電池自動車(FCV)・燃料電池バス |
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燃料電池自動車(FCV)・燃料電池バスは、ガソリンや軽油の代わりに水素を搭載し、空気中の酸素と反応させる燃料電池により生成される電力を動力にする。走行時には水しか排出しないため、現行の自動車と置き換えが進めば温室効果ガス排出削減が大いに期待できる。また、災害時の電源車としても有望。 |
家庭用燃料電池(エネファーム) |
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都市ガスやLPガスから取り出した水素を空気中の酸素と反応させ、発電するシステム。発電から利用までの経路が短いため送電ロスが減り、また発電時に発生する熱も給湯に利用することでエネルギーの有効活用が可能となる。国産の業務用・産業用燃料電池も実用化されている。 |
水素発電 |
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火力発電に使用する天然ガスと水素を混焼させると、排出されるCO2量の削減が可能となる。他の燃料ガスとの混焼や水素のみでの発電、太陽光発電との組み合わせなども含め、従来の発電所に成り代わる水素発電所の運用も実証実験中。 |
上記以外にも、水素ステーションの設置やポータブル燃料電池の開発など、複数のプロジェクトが進みつつあります。
出典:経済産業省 資源エネルギー庁「「水素エネルギー」は何がどのようにすごいのか?」
出典:経済産業省 資源エネルギー庁「2020年、水素エネルギーのいま〜少しずつ見えてきた「水素社会」の姿」
出典:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「NEDO水素エネルギー白書 第6章:水素エネルギー技術」
水素エネルギーは利用時にCO2を排出しないことから、脱炭素社会に向けた取り組みの1つとして期待されています。また水素はさまざまな資源から生成できるため、石油と比べて世界情勢の影響を受けにくく安定して調達できる可能性が高いことも、次世代エネルギーとして注目されている理由です。
ここでは、水素をエネルギー源として活用する意義を4つの観点から解説します。
水素は酸素と反応させても排出されるのは水だけのため、エネルギーとして利用する際に地球温暖化の一因とされるCO2を排出しません。
そのため、CO2の排出量が問題となっている化石燃料と比べて、環境への負荷が少ないエネルギーと言えるでしょう。水素エネルギーシステムの活用が広がれば、日本全体の排出するCO2量の削減対策にも大いに貢献できます。
水素は、水はもとより石油・天然ガスなどの化石燃料や木くず・生ごみなどのバイオマスなどからも製造が可能です。地域で豊富な資源や余剰の資源をもとに水素を作り利用できれば、水素に関連した事業に地元の企業が参画しやすくなります。
また日本は世界有数の水素関連技術を要しており、水素関連の特許や燃料電池の市場で大きなシェアを獲得できる力があります。クリアすべき課題は多々あるものの、技術開発や法の整備が進めば地域の産業競争力向上が期待できるでしょう。
水素エネルギーは、主に水素と酸素の化学反応によって生じます。製造した水素はタンクなどへ貯めておくことができ、酸素は空気があれば利用できます。そのため、余剰電力を水素に変換して貯蔵し、不足したときに取り出して再び発電するといった使い方が可能です。
また、太陽光や風力のように発電量が天候に大きく左右されません。燃料電池自動車などに水素が充填されていれば、災害時の非常用電源としても使えます。停電に対応した燃料電池システムなら、ガスや水道を使える状況であれば電力供給が途絶えても水素を生成して電力と給湯を補うことが可能です。
燃料電池による発電では、電気エネルギーだけでなく熱エネルギーも発生します。この熱を回収して給湯・暖房に利用することで、光熱費を軽減することが可能です。
同時に、熱エネルギーを生成するための電力が不要となるため、発電所が消費する石油や天然ガスといった一次エネルギーの使用量やCO2排出量削減にもつながります。
環境問題に寄与しつつもエネルギー供給・調達コストを低減できる水素エネルギーには、下記のような課題もあります。
【水素エネルギーの課題】
世界各国が脱炭素に向けて動いている今、我が国日本でも水素社会実現に向けて多くの議論を交わし、さまざまな取り組みを進めています。
出典:経済産業省 資源エネルギー庁「「水素エネルギー」は何がどのようにすごいのか?」
出典:経済産業省 資源エネルギー庁「今後の水素政策の課題と対応の方向性 中間整理(案)」
山梨県では、カーボンニュートラルの実現に向けて水素エネルギーの開発・活用の取り組みを続けてきました。
例えば、不安定な再生可能エネルギーから水素を製造し、工場やスーパーで利用する実証事業です。これまでエネルギーの供給源として依存していた化石燃料由来から、再生可能エネルギー由来によるグリーン水素を使用した間接電化への移行を始めています。
また、山梨県が将来的に目指すのは、水素・燃料電池関連産業の集積・振興です。現在は県内に研究開発拠点が集積している強みを生かし、今後の成長が期待される水素・燃料電池関連分野の地域産業振興・育成や、企業の誘致を積極的に行っています。
出典:経済産業省 資源エネルギー庁「カーボンニュートラルの実現へ!山梨県における水素エネルギー社会の実践とYHCによるエネルギー需要転換への挑戦」
水素エネルギーは、幅広い活用が期待されており、燃料電池自動車や家庭用燃料電池、水素発電などの利用が推進されています。水素エネルギーを活用する意義には、環境負荷の軽減や産業の活性化、災害への備え、エネルギーセキュリティの向上などが挙げられます。
比較的新しい技術であるため、課題も少なからず存在しますが、水素社会実現のためにさまざまな取り組みが行われている状況です。山梨県でも地域資源を使ったクリーンエネルギー活用や、水素・燃料電池関連産業の集積・振興に向けた取り組みを今後も推進してまいります。