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ページID:107577更新日:2023年1月21日
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カーボンニュートラルとは、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量と植林・森林管理などによる吸収量を差し引きゼロとなった状態を指します。地球温暖化による気候変動などを受け、各国でカーボンニュートラルを目指す動きが広まっています。気候変動のリスクは大きく、住民や事業者といったあらゆる主体がこの問題に取り組んでいかなければ、私たちの社会経済活動や地域社会等に、大きな影響を及ぼすでしょう。
この記事では、カーボンニュートラルの基礎知識に加え、取り組みの例を詳しく解説します。日本国内や山梨県における事例にも触れるため、ぜひ参考にしてください。
カーボンニュートラルとは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」と「吸収量」のバランスを整え、合計がゼロになった状態を指します。温室効果ガスを全く出さないという意味ではなく、人為的な温室効果ガス排出量から、森林や植林など吸収源に吸収される量を差し引いてゼロにする取り組みです。
二酸化炭素排出量実質ゼロを目指すことを「ゼロカーボン」「脱炭素」「ネットゼロ」と表現することもあり、同じ意味合いで使われています。
カーボンニュートラルの取り組みが活発になった背景には、2015年のパリ協定があります。パリ協定では、地球温暖化対策として「世界の平均気温上昇を産業革命以前と比べて2°Cより十分低く保ち、1.5°Cに抑える努力をする」という世界共通の目標が表明されました。
パリ協定以降、各国が合意した削減目標の達成に向けて「2050年ゼロカーボン」を掲げ、2050年までの脱炭素社会を目指した取組が進められています。
地球温暖化による気候変動を考えると、国際的にカーボンニュートラル実現に取り組む必要性が理解できます。世界平均気温は、産業革命以降上昇を続け、2020年度時点で約1.09°Cの上昇値がみられます。このまま上がり続けると、さまざまな悪影響が及ぶでしょう。
気候変動が引き起こす事象として、以下があげられます。
地球温暖化によるリスクを減らすには、温室効果ガスの排出を抑え、気温上昇を食い止める取り組みが必要です。このまま何もしなければ、地球環境はますます損なわれていくでしょう。カーボンニュートラルは、地球の未来のために必要性の高い取り組みと言えます。
カーボンニュートラルに向けた環境施策は、世界的に行われています。気候変動は世界中で影響があり、パリ協定は196の国と地域によって採択されました。世界各国がエネルギー政策を推し進めています。
以下では、カーボンニュートラルにつながる取り組みの中から、3つを紹介します。
温室効果ガスの排出削減には、まずエネルギー消費を減らす、省エネルギー(以下、「省エネ」)に向けた取組が欠かせません。
エネルギーの使用を控えるだけでなく、省エネ家電をはじめとした、エネルギー効率の高い設備・機器製品の導入によって、無理なく快適に省エネを進めることができます。その他にも、より省エネを進めていくためには、断熱性能の高い住宅・建築物の普及なども重要です。
例えば、国では、住宅の断熱化や高効率給湯器の導入促進に向けた補助金を設けることで、住宅省エネ化の支援の強化を行っています。
発電時に温室効果ガスが排出されない再生可能エネルギー導入の拡大は、カーボンニュートラルの鍵となる重要な取り組みです。2020年の時点では、国内のエネルギー利用のうち、太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスの利用は全体の19.8%にすぎず、再生可能エネルギーの普及促進を目指した取組が欠かせません。
例えば、大分県日田市のモリショウグループが取り組んでいるのは、地域の林業家から購入した木質チップを燃料としたバイオマス発電の導入です。発電された電気は市内に供給され、エネルギーの地産地消を実現しています。
再生可能エネルギーの普及促進を通じた分散型エネルギー社会の実現によって、「非常時のエネルギー供給の確保」や「エネルギーの効率的活用」、「地域活性化」等の意義があると考えられています。
分散型エネルギーリソース(DER)とは、一般家庭や企業に設置された太陽光発電システムによる電力など、エネルギーの需要家付近に設置されるエネルギー設備(発電設備、蓄電設備等)のことです。各地に分散する分散型エネルギーソースを束ねて利活用することによって、電力の安定供給の確保や再生可能エネルギーの有効活用につながることが期待されています。
分散型エネルギーリソースの活用が広まると、再生可能エネルギーの安定供給と導入拡大を助け、カーボンニュートラルの実現につなげていくことができます。
日本も2050年までのカーボンニュートラルを目標に掲げ、実現に向けて取り組んでいます。温室効果ガス排出量削減は、国家単位だけではなく、個人や企業も積極的に向き合っていくべき取り組みです。再生可能エネルギーの積極的な導入等によって、先行的に脱炭素に取り組んでいる地域もあります。
ここでは、個人または地域による主な取り組みとして、3つを紹介します。
ゼロカーボンアクション30とは、国民一人ひとりに、できることから、脱炭素に向けて取り組んでもらうための運動です。以下の8つの分野をベースに、毎日の生活の中でできる取組が提案されています。
出典:環境省「ゼロカーボンアクション30―日常生活における脱炭素行動と暮らしにおけるメリット」
ライフスタイルに合わせて、一人ひとりが脱炭素化を意識した選択を行うなど、小さな行動の積み重ねが大きな力となるでしょう。
パリ協定をきっかけとして、企業が脱炭素経営に取り組む動きが進展しています。こうした企業の脱炭素に向けた取組は、省エネ等の取組を通じた事業基盤の強化や、国際的なESG投資の潮流の中における自らの企業価値の向上に、つながることが期待できます。
さらに、気候変動の影響がますます顕在化しつつある今日、先んじて脱炭素経営の取組を進めることにより他者と差別化を図ることができ、新たな取引先やビジネスチャンスの獲得に結びつくものになっています。例えばカーボンニュートラルに積極的に取り組む企業は、設備設置に対する支援や補助制度の利用も可能です。
脱炭素先行地域とは、2050年カーボンニュートラルに向けて、民生部門の電力消費に伴う二酸化炭素の実質排出量ゼロを実現し、運輸部門や熱利用等も含めたそのほかの温室効果ガス排出削減についても、我が国全体の2030年度目標と整合する削減を、地域特性に応じて実現することを目指す地域のことです。
地方公共団体や地元企業・金融機関が中心となり、環境省を中心に国も積極的に支援しながら、少なくとも100か所の脱炭素先行地域で、2025年度までに、脱炭素に向かう地域特性等に応じた先行的な取組実施の道筋をつけ、2030年度までに実行することとされています。
農村・漁村・山村、離島、都市部の街区など多様な地域において、地域課題を同時に解決し、住民の暮らしの質の向上を実現しながら脱炭素に向かう取組の方向性を示すための、モデル地域としての役割が期待されています。
山梨県では、県と自治体、地元企業が一丸となって、カーボンニュートラルに取り組んでいます。
代表的な取り組みは「ゼロカーボンシティ」です。山梨県と県内27市町村が共同して、2050年までの二酸化炭素排出実質ゼロを目指しており、県内のすべての市町村が宣言したのは、全国初です。
ゼロカーボンシティを実現するため、各自治体がそれぞれ取り組みを行っています。
例えば、山梨県は、屋根置き太陽光パネルの共同購入事業の実施により、設備の導入負担を減らすことで、太陽光発電システムの普及を図っています。また、水素燃料電池の活用や利用技術の開発を推進しています。
市町村での取組も進められており、例えば、市川三郷町では、公共施設の省エネや太陽光発電を推進したり、西桂町では、電気自動車の導入を掲げたりするなど、しています。
2050年カーボンニュートラルを実現するためには、県や市町村等の地方公共団体が率先して取り組むことはもちろんですが、県民や事業者の皆様も含めて、オール山梨で、脱炭素化に向けた取組を進めていくことが重要です。
県民の皆様をはじめ、関係団体、市町村の皆様には、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、より一層の御協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。