セフィデロコルは、カルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)を含む薬剤耐性グラム陰性菌に幅広い抗菌活性を示し、2019年に米国、2020年に欧州そして本邦では2023年11月に承認されたβ-ラクタム系新規抗菌薬である1,2)。わが国とアジアで分離の多いIMP型やNDM型メタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)を産生するCREに対しても単剤で抗菌活性を示し、その臨床効果が期待されている3)。5類全数把握疾患であるCRE感染症は、2017〜2018年は3,949例が届出られ、患者より分離された2,549株が地方衛生研究所等で試験検査されている4)。国立感染症研究所(感染研)薬剤耐性研究センターはこのうち1,348株の提供を受け、メロペネムに耐性を示した449株(33%)についてセフィデロコルの薬剤感受性試験を実施したところ、117株の大腸菌のうち3株がセフィデロコル耐性を示したため、その概要を報告する。