真菌症は病原真菌が引き起こす感染症の総称で, 病変の局在によって, 表皮・粘膜面に病変が限局する表在性真菌症と, 1つまたは複数の臓器病変, あるいは, 播種性病変を形成する深在性真菌症の2つに大別される。前者には口腔カンジダ症, カンジダ腟炎, カンジダ皮膚炎などが含まれ, 罹患者数は多いが一般的に重症度は低い。一方で後者は主として免疫不全患者に生じ, 頻度は低いものの, 重篤な病態を引き起こすことが多い。他にも真菌が原因となる病態としては, アスペルギルス属等によるアレルギー性疾患(気管支喘息・副鼻腔炎)や, アフラトキシン等のマイコトキシンによる中毒が挙げられ, これらも広い意味で真菌症に含まれる。