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去る3月の神社本庁の部長解雇事件の判決文が裁判所HPにアップされてました。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/517/090517_hanrei.pdf
この事件、かなり話題になりましたが、やはり文春オンラインのこの記事が強烈です。
https://bunshun.jp/articles/-/44319(神社本庁が「絶対に負けられない戦い」で全面敗訴 裁判で訴えた"強烈な言葉"とは)
Bunshun 法廷闘争の末、全国約8万の神社を束ねる"総本山"が断罪された――。
内部告発を理由に懲戒解雇されたのは不当だとして、宗教法人「神社本庁」(渋谷区)の元部長(61)らが処分の無効を訴えた訴訟。東京地裁は3月18日、「懲戒権の行使に客観的な合理性はなく、社会通念上相当性を欠く」と原告の訴えを認める判決を言い渡した。
「神社本庁が15年10月に1億8400万円で売却した職員寮が即日転売され、後に3億円以上に値上がりした疑惑が発端でした。元部長らは同様の案件が複数あり、売却先が同じ不動産業者で随意契約だったことを問題視。『不当に安く売却したのは背任行為に当たる』などとした内部告発の文書を配布したのです。これに対して神社本庁は17年8月、元部長を懲戒解雇し、裁判になっていました」(神社本庁関係者)・・・
その判決文は86ページに及ぶ膨大なものですが、失礼ながら下手な企業小説より面白い。結論部分を引用しますが、それに先行する事実認定のところがスリリングで夏の読み物として最適です。
以上をまとめると,解雇理由1に係る行為は,被告の事務所に本部を置く政治団体の長であるJ会長及び被告の代表者であるH総長が,本件売買についての背任行為に関与したとの事実,及び,被告の幹部職員であるL部長及びM課長が,この背任行為に加担し,これを隠匿するために原告A2に根拠のない叱責を加えているとの事実を,それぞれ多数人に対して摘示し,もってJ会長,H総長,L部長及びM課長の社会的評価を低下させ,これらの者の名誉を毀損し,これらにより,被告の信用を毀損し,被告の組織における秩序を乱す行為であり,また,神職の定めにも反する行為であり,被告15 の就業規則に定める懲戒事由に外形的に該当する行為である。
しかし,H総長及びJ会長が,本件売買について背任行為を行った事実,及び,M課長がこれに加担した事実については,1真実であるとは認められないものの,前記エ(ウ)〜(カ)の事実関係の下,本件文書を理事2名に交付した当時,原告A1が,これを真実と信じるに足りる相当の理由があったといえ,2不正の目的であったとはいえず,3手段は相当であったから,公益通報者を保護し,公益通報の機会を保障することが,国民生活の安定などに資するとの公益通報者保護法の趣旨などに照らし,本件文書の交付をもってこれらの事実を摘示した行為は違法性が阻却されて懲戒すべき事由といえないというべきである。
2021年8月 6日 (金) | 固定リンク
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