産業・技術動向

2025年8月 5日 (火)

「2024年度 分野別動向調査報告書」発行について(MMC「国内外技術動向調査委員会」)

マイクロマシンセンターでは、国内外の最新かつ詳細なマイクロマシン・MEMSそしてナノ関連の研究開発の情報を収集・分析し、その技術動向を把握することを目的に、各年度MEMSの分野で代表的な国際会議を定点観測して、分野別動向調査報告書にまとめています。

2024年度は"APCOT 2024 (The 11th Asia-Pacific Conference of Transducers and Micro-Nano Technology)"と"MEMS 2025(The 38th IEEE International Conference on Micro Electro Mechanical Systems)"を調査しました。

"APCOT"は、アジア、太平洋地域でのMEMS/ナノテク分野の研究開発事例が発表される国際会議で、2002年に中国・アモイ市で第1回が開催されて以来、2004年は札幌、2006年シンガポール、2008年台湾・台南、2010年オーストラリア・パース、2012年中国・南京、2014年韓国・大邱、2016年金沢、2018年香港と、国際会議Transducersの開催されない年に隔年で開催されています。第10回が開催予定であった2020年は新型コロナウィルス感染拡大のため中止となり、2022年に開催地を上海としてハイブリッド形態で開催され、第11回である今年は、シンガポールで開催されました。

投稿件数は計11ヵ国から192件で、前回の129件から大幅に増加しました。その中から178件(前回118件)の論文が採択され、採択率は92.3%(前回91%)でした。
国では、日本が前回は33件で2位でしたが今回は66件で1位となり、中国は前回の72件から減少し今回は56件で2位となりました。また、開催地であるシンガポールが、今回は21件(前回3件)と大幅に増加して3位となり、韓国が今回は10件(前回1件)で4位でした。
発表内容の大分類別では、Fundamentals(基礎)が46件(26%)、Applied Devices/Systems(応用)が131件(74%)、どれにも該当しないものが0件(0%)で、基礎分野に関する発表と応用分野に関する発表件数の割合は、前回とほぼ同等でした。発表件数が多い分野は、Mechanical Sensorが26件と一番多く、RF-MEMSが20件、Radiation/Material Substanceが19件となりました。

次に、"MEMS2025"は、IEEEのMEMS技術に関する国際会議で、毎年開催されています。38回目にあたる今回は、2025年1月19日〜23日の日程で、台湾 高雄のKaohsiung Exhibition Centerで開催されました。
論文投稿数は729件(前回659件)で、昨年より約10%超増加しました。採択された論文数は、全体で328件(前回324件)、採択率は約45%(前回49%)でした。採択論文の地域別の割合では、アメリカ13%、ヨーロッパ&アフリカ9%、アジア&オセアニア78%となっており、アジア&オセアニア地域が大きな割合を占めています。
地域別ではアジアが最も多く、国別では、昨年に続き中国が114件(前回99件)でトップ、日本44件(前回40件)、米国41件(前回81件)と続きました。アジア諸国では、韓国32件(前回18件)、台湾28件(前回30件)でした。
発表内容の大分類別では、Fundamentals(基礎)が210件(全体の35.2%、前回は37.8%)、Applied Devices/Systems(応用)が384件(全体の64.3%、前回は61.5%)と、いずれの比率も前回と同程度でした。小分類別に見ると、件数が多いのは、Tissue/Organ & Medical Applications(76件)、Mechanical Sensor(72件)、Design and Modeling(56件)、Radiation/Material Substance Sensor(56件)、Others (Applied Devices/Systems)(49件)、Fabrication Technologies (non-Silicon)(45件)でした。

報告内容の詳細は、マイクロマシンセンターホームページ内の賛助会員ページにてご覧になることができます。((注記)ログインには、ユーザーID及びパスワードの入力が必要です。)


(調査研究・標準部長 藤澤 大介)

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2025年4月18日 (金)

2024年度海外調査報告会を盛況に開催

2024年度MEMS協議会海外調査報告会を3月26日(水)にハイブリッドで開催し、オンライン175名を含む213名の方にご参加頂きました(写真1)。このイベントはマイクロマシンセンター/MEMS協議会(MIF)が行っているMEMS関連の海外調査及び国際標準化の最新状況について国際交流事業の一環として報告するもので、新型コロナの影響で4年間休止しておりましたが、昨年からハイブリッドで再開いたしました。
今回は世界のタイミングデバイスの動向について造詣の深いPNT Technologiesの山下雅樹氏の特別講演「タイミングデバイスの世界動向」を含み、以下のプログラムで行いました。

15:00〜15:05 主催者挨拶
(財)マイクロマシンセンター 専務理事 長谷川 英一

15:05〜15:35「タイミングデバイスの世界動向」
PNT Technologies 代表取締役 山下雅樹氏

15:35〜16:30「2024年度国際会議報告」
1 国内外技術動向調査委員会報告
(APCOT2024とMEMS2024+2025)
MMC 調査研究・標準部長 藤澤大介
2 MSEC2024
MMC MEMSシステム開発センター長 武田宗久
3 MEF2024とJCK MEMS/NEMS 2024
MMC 武田宗久

16:30〜16:45「マイクロマシンサミット2024
(オーストラリア、ゴールドコースト)報告」
MMC 武田宗久

16:45〜17:05 「標準化国際会議報告」 (MMC 藤澤大介)
1 IEC/TC47/SC47Fの国際標準化WG会議(韓国・済州島)
2 IEC/TC47の国際標準化プレナリー会議(英国・ロンドン)

17:05〜17:15 「その他:海外機関との交流活動」(MMC 武田宗久)
1 15th Fraunhofer Symposium in Sendai
2 IOT SOLUTIONS WORLD CONGRESS 2025(IOTSWC25)
アンバサダー 就任

17:30〜18:30 参加者交流会

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写真1 会場の様子

はじめにMEMS協議会事務局長で専務理事の長谷川英一からの主催者挨拶を行い、そのあと、PNT Technologiesの山下雅樹氏から「タイミングデバイスの世界動向」と題して特別講演をいただきました(写真2)。MEMSタイミングデバイスとして世界を席巻しているSiTimeの構造や特性を含めた興味深い話を伺うことができました。

次に、MMCの藤澤調査研究・標準部長から2024年1月21日〜25日に米国のオースティンで開催されましたIEEE MEMS2024と2024年6月23日〜26日にシンガポールで開催されましたAPCOT2024(The 11th Asia-Pacific Conference of Transducers and Micro-Nano Technology)の分析結果及び2025年1月19日〜23日に台湾の高雄で開催されましたIEEE MEMS2025の速報についても紹介いたしました(写真3)。

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写真2 PNT Technologies 山下氏のプレゼンの様子

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写真3 MMC藤澤のプレゼンの様子

続いて、MMCの国際交流担当部長の武田宗久から2024年10月7日〜9日にカナダのケベック州ブロモンで開催されましたSEMI MSEC (MEMS & Sensors Executive Congress)2024、2024年4月17日〜18日に両国で開催されましたMEF (MEMS Engineer Forum)2024、2024年9月18日〜21日に中国の成都で開催されましたJCK(Japan-Chine-Korwea) MEMS/NEMS2024及び2024年5月26〜29日にオーストラリアのゴールドコーストで開催されましたマイクロマシンサミット2024の報告を行いました(写真4)。

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写真4 武田からの報告の様子

マイクロマシンサミット2024は日本からはチーフデリゲイトの東京大学の伊藤寿浩教授とマイクロマシンセンターの国際交流担当の武田の2名が出席しました。今回は直前のキャンセルが4カ国あり、ヨーロッパ4カ国+1地区(ドイツ、ポーランド、ルーマニア、UK、イベリア地区)、アジア3カ国(シンガポール、中国、日本)以外はカナダとオーストラリアの10地域に留まりました。今回のテーマは「Quantum semiconductor microtechnologies: novelty and re-emergence」でした。各国からのカントリレビューと18件の一般講演が行われました。2025年のサミットはカナダのモントリオールで2025年6月2日〜5日に「The Intersection of Micromachines and IoT」というテーマで開催されます。

続いて「標準化国際会議報告」としてMMCの藤澤からMEMSの標準化活動内容と以下の2つの標準化国際会議の報告が行われました。
1 IEC/TC47/SC47Fの国際標準化WG会議
(韓国・済州島、2024年5月23日〜24日)
2 IEC/TC47の国際標準化プレナリー会議
(英国・ロンドン、2024年11月25日〜29日)

最後にMMCの武田から海外機関との交流活動として、以下の3件の報告が行われました。MMCは2に示すように、IOTSWV25のアンバサダーなっておりますので、MEMS協議会の会員様には参加費の割引特典がございます。
1 15th Fraunhofer Symposium in Sendai
(仙台、2024年12月9日〜10日)
2 IOT SOLUTIONS WORLD CONGRESS 2025(IOTSWC25)
アンバサダー就任(スペイン・バルセロナ、2025年5月13日〜15日)
3 MEMSセンシング&ネットワークシステム展2025
(2025年1月29日〜31日)

報告会の終了後には会場参加者で意見交換会も実施し、活発な意見交換が行われました。

今回はオンラインを含め213名という多数の参加を得て、盛況のうちに終了いたしました。
来年以降も、海外報告会でMEMS分野における海外の最新動向をご報告いたしますので、ご期待ください。
最後のこの場を借りまして、今後のMEMS協議会への積極的なご参加を引き続きお願いしたいと存じます。

(MEMS協議会 国際交流担当部長 武田 宗久)

2025年4月18日 (金) 国際標準化, 国際交流, 産業・技術動向 | 固定リンク | コメント (0)
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2024年12月27日 (金)

新年のご挨拶(MMC 2024年10大ニュース)

新年あけましておめでとうございます。

OECDの世界経済見通しによれば、2024年は世界経済の成長率が3.2%であったところ、2025 年は貿易摩擦や保護主義の高まり、地政学的紛争激化などのリスクもあり、インフレは和らいだものの、3.3%に留まるとの予想をしています。日本については、24年はマイナス0.3%と、G7中最低であったところ、景気刺激策を追い風に25年は1.5%のプラス成長を回復するとされています。

そのような中において、世界の半導体はWSTS2412月予測によれば、全半導体では11.2%増の6,871億ドルに、そのうちのSensor & Actuator(MEMSとほぼ同義)は7.0%増の200億ドルに拡大するであろうとされています。我が国政府も社会課題の解決と持続的な経済成長の実現に向けては、DXGXの推進を中心に据え、それを支える柱の一つがAI・半導体であるとしています。

経済産業省においても、半導体・デジタル産業を「国家事業」と位置づけ、20216月に策定した「半導体・デジタル産業戦略」を「経済安全保障推進法」とも関連させて発展させ、その政策的支援を加速されているところですが、MEMSもその波に乗せていただくべく、2023年に当センター内に設置しました「MEMS事業者連携委員会」において、我が国MEMS再興についての検討を精力的に進めています。ただ、現時点ではMEMSは半導体の中で唯一、経済安保の枠外という状況にあることから、その点も含め、さらに議論を深めてまいります。

また、昨年NEDOから受託しました「未来社会におけるMEMSセンシングデバイスの市場動向及び技術動向調査(SiM)」事業において、2035年を視野とするMEMS研究開発戦略の議論を深めており、これもMEMS再興への一つの重要な活動と位置付けています。

さらにMNOIC(マイクロナノ・オープンイノベーションセンター)では、老朽化設備の更新を引き続き産業技術総合研究所にお願いしつつも、自前での新規設備投資も行い、MEMSの研究支援や工程受託などのユーザーのご要望に的確にお応えできるよう、運営に努めてまいります。

さて当センターでは通算35回目にあたるマイクロナノ分野の展示会である「MEMSセンシング&ネットワークシステム展2025」を129日から31日にかけて東京ビッグサイトで開催いたします。今回も会場でのセンターの活動紹介、MNOICの紹介、研究開発報告とともに、各種セミナーを開催し、興味深い様々な技術報告を行います。セミナーの冒頭には経済産業省の情報産業課デバイス・半導体戦略室長に半導体・デジタル戦略関連のご講演をお願いしております。是非、多くの皆様にご来場いただき、今後のMEMSの発展のために当センターに対するご指導・ご支援を賜れれば幸いです。
皆様方には以下のマイクロマシンセンターの2024年の10大ニュースをご覧いただき、このような私どもの活動状況をご賢察いただければ幸いです。

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マイクロマシンセンター
2024年10大ニュース
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1.報告書「我が国MEMS事業者の動向に関する調査」に基づき「MEMS事業者連携委員会」で活発な意見交換を実施
(1)「我が国MEMS事業者の動向に関する調査」報告書を3月にリリース
産業動向調査委員会は、我が国MEMS産業の再興のため改めてMEMS事業者の動向調査を行い、国内MEMS関連事業者73社、大学・公的研究機関40機関の協力を得て2024年3月に報告書「我が国MEMS事業者の動向に関する調査」並びに調査に協力いただいた法人のディレクトリをまとめました。
(2)MEMS事業者連携委員会で活発な意見交換
2023年11月から始動したMEMS事業者連携委員会では、前述の報告書の中で「MEMS戦略に関する期待」として整理された事項から、我が国のMEMS事業者が抱えている課題の抽出を行い、2024年は委員会を3月、6月、11月に開催し我が国MEMS産業の再興に向けた方向性をめぐって活発な意見交換を行いました。引き続き次回委員会(3月12日開催)ではこれまでの意見を集約し政策提言に向けてのとりまとめを行います。

2.2つのプロジェクト(HS-ULPACとBaMBI)が所望の成果をもって終了
(1)量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究(HS-ULPAC)
防衛装備庁令和元年度安全保障技術研究推進制度の中で「量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究(HS-ULPAC)」のプロジェクトを2020年3月から2023年度まで実施して参りました。この度2024年3月31日をもって、ほぼ所期の目標を達成して終了いたしました。
(2)血中成分の非侵襲連続超高感度計測デバイスおよび行動変容促進システムの研究開発(BaMBI)
2019年度にNEDO委託事業「IoT社会実現のための革新的センシング技術開発」の中でスタートした本事業は2022年度からは株式会社タニタ様主導の2年間の助成事業として継続、この度2024年3月31日に終了いたしました。当センターはウェアラブル中・遠赤外ディテクタプロセス試作を行い、非侵襲で血中成分のトレンドを追うことが可能な試作機を構築することができました。

3.NEDO「未来社会におけるMEMSセンシングデバイスの市場動向及び技術動向調査」を受託
2024年度に受託した本調査事業では、富山県立大学の下山勲学長を委員長に、東京大学の伊藤寿浩教授と東北大学の田中秀治教授を副委員長とする有識者委員会での議論及び有識者へのヒアリング調査等を通じて、2035年の社会像からのバックキャスト及びMEMS市場/技術動向からのフォアキャストから、日本のMEMS研究開発として実施すべき項目を抽出するとともに、フィージビリティスタディでその研究開発内容を明らかにして、日本のMEMS研究開発戦略を策定しています。

4.MEMS展示会並びにセミナーは来場者増で盛況に終了
例年通り当センターが主催する「MEMSセンシング&ネットワークシステム展」を2024年1月31日から2月2日までの3日間、東京ビッグサイトで盛況裡に開催しました。会場への来場者は前回より1万人以上多く、MMCブースでは、研究開発プロジェクトの紹介をはじめ、MNOIC事業、標準化事業、MEMS事業者連携委員会の概要などを展示しました。また当センター主催のセミナーは全て展示ホール内のセミナー会場で行われましたが、どのセミナーも満席となるほど盛況で、今回の講演テーマに対する関心の高さがうかがえました。2025年は1月29日〜31日、東京ビッグサイト東ホールで開催を予定しております。奮ってのご参加をよろしくお願いいたします。

5.NEDO先導研究プログラム「MESH」の開発は順調に進捗
電気通信大学、産業技術総合研究所と当センターの連名で実施中の「メタサーフェスSiハイパースペクトル赤外光センシングデバイス」ではプロセスの開発並びに試作が計画通りに進捗しており、当センターではメタサーフェスの試作やマイクロ工学系との融合等を担当しています。

6.MNOIC事業は堅調に推移
MNOICユーザーの現行製品の継続的な製造および次期製品に向けた開発試作等を請け負う工程受託が堅調に推移している一方で、産総研との連携による研究受託や企業ユーザー向けの研究試作支援など、将来の高機能MEMSデバイスを目指した取り組み案件も着実に増加しています。また、工程の効率化を図るため、新たにリフトオフ装置、レーザマーカ、チップソータを導入し稼働を開始しています。

7.MEMS協議会・海外調査報告会の開催や第27回国際マイクロマシンサミット2024への参加等、国際交流事業を活発化
新型コロナの影響で5年ぶりの開催となった海外調査報告会を3月4日にハイブリッドで開催し、オンライン109名を含む137名の方にご参加いただき、世界の最新MEMS動向等を広く紹介しました。また、当センターが1995年に開始した国際マイクロマシンサミットも第27回を数え、MEMS協議会副会長の東京大学伊藤寿浩教授をチーフデリゲイトとして、2024年5月、オーストラリアのゴールドコーストに派遣しました。そのほかにも国内外の国際会議等に積極的に参加し、国際交流事業を活発に実施しました。

8.2024年度MEMS協議会・推進委員会とメンバー交流会を開催
7月10日、虎ノ門APの会場にて2024年度MEMS協議会・推進委員会を開催しました。経済産業省の清水情報産業課デバイス・半導体戦略室長から半導体政策の全体像についてご紹介いただいた後、2024年度の協議会活動、プロジェクトの状況等も含め、出席者の間で活発な意見交換が行われました。委員会終了後はMEMS協議会のメンバー交流会を開催し、ご参加いただいた50名以上の方々の間で、様々に情報交換や懇談が行われました。

9. MEMSの国際標準化事業を積極的に推進
2021年度に国から受託した国際標準化事業では、薄膜圧電MEMSについての「Temperature and humidity test methods for piezoelectric MEMS cantilevers」と、フレキシブルMEMSデバイスについての「Test method of electrical characteristics under two-directional cyclic bending deformation for flexible micro-electromechanical devices」をIEC(国際電気標準会議)/TC47(Semiconductor devices)/SC47F(MEMS)に提案し承認を受けるという目標を達成し、2024年2月末に終了しました。当センターはSC47F国内審議団体として日本提案の規格案への理解獲得のためIEC会議等で積極的な活動を推進し、IEC/TC47/SC47Fでこれまでに発行されたMEMSに関する国際規格42件のうち、18件を日本提案規格とすることができています。

10.技術研究組合NMEMS技術研究機構の解散
2011年7月に設立以降、多くの組合員が参加し、9つのプロジェクトを実施してまいりましたが、組合員の技術水準の向上を図るという所期の目的を達成することができましたので、2024年3月27日に開催されました臨時総会におきまして解散することが決議され、2024年3月31日をもって組合は解散いたしました。13年間に亘るご支援・ご協力、誠に有難うございました。

2024年12月27日 (金) MEMSビジネス展, 国際標準化, 国際交流, 活動全般, 産業・技術動向, Pj 国プロ全般, Pj HS-ULPAC研究開発, 事業者連携委員会 | 固定リンク | コメント (0)
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2024年9月 4日 (水)

「2023年度 分野別動向調査報告書」発行について (MMC「国内外技術動向調査委員会」)

マイクロマシンセンターでは、国内外の最新かつ詳細なマイクロマシン・MEMSそしてナノ関連の研究開発の情報を収集・分析し、その技術動向を把握することを目的に、各年度MEMSの分野で代表的な国際会議を定点観測して、分野別動向調査報告書にまとめています。

2023年度は"Transducers2023(The 22nd International Conference on Solid-State Sensors, Actuators and Microsystems)"と"MEMS2024(The 37th IEEE International Conference on Micro Electro Mechanical Systems)"を調査しました。

"Transducers"は、マイクロセンサ、マイクロアクチュエータに関する最先端の研究開発事例が発表される国際会議で、1981年の米ボストンでの第1回会合以来、隔年で開催されています。今回のTransducers2023は22回目で、2023年6月25日〜29日の日程で、京都で開催されました。参加者数1037名、論文投稿数は863件で、前回の550件より57%増加しました。採択件数は483件(口頭196件、ポスター287件)で、採択率は56.0%でした。加えて、Late Newsへの投稿139件からも71件が、ポスターとして採択されました。国別では、日本が最多の49件で(前回29件)、続いて中国48件(前回40件)、台湾20件(前回12件)、米国17件(前回29件)という各国からの発表件数でした。発表内容の大分類別では、Fundamentals(基礎分野)が、前回34件から今回44件となり、発表件数が増加しました。Applied Devices/Systems(応用分野)では、Mechanical Sensor(20件)、Chemical Sensor(21件)、Bio Science(25件)、Bio Medical Applications(22件)などが、多くの件数を占めていました。前回から件数の増加が目立つものとして、Bio Scienceが前回10件から25件と2.5倍の発表件数でした。

次に、"MEMS2024"は、IEEEのMEMS技術に関する国際会議で、毎年開催されています。37回目にあたる今回は、2024年1月21日〜25日の日程で、米 オースティンで開催されました。論文投稿数は659件(前回636件)で、昨年より約4%程度増加しました。採択件数は324件(前回314件)、採択率は約49%(前回49%)でした。プレナリーを含む地域別発表論文数は、米州81件(前回43件)、欧州29件(前回57件)、アジア太平洋214件(前回212件)となり、開催地である米州の発表論文数が前回から大幅に増加しました。地域別では、アジアが最も多く、国別では、昨年に続き中国が99件(前回83件)でトップ、米国81件(前回40件)、日本40件(前回54件)と続きました。発表内容の大分類別では、Fundamentals(基礎分野)が221件(全体の37.8%、前回は36.0%)、Applied Devices/Systems(応用分野)が360件(全体の61.5%、前回は63.5%)と、発表の比率は前回と同程度でした。小分類別に見ると、件数が多いのは、Fabrication Technologies (Non-Silicon)(66件)、Tissue/Organ & Medical Applications(58件)、Radiation/Material Substance Sensor(57件)、Others (Applied Devices/Systems)(54件)、Mechanical Sensor(51件)、Actuators(50件)でした。


報告内容の詳細は、2023年度分野別調査報告書冊子のほか、マイクロマシンセンターのホームページ内の賛助会員のページにてご覧になることができます。((注記)ログインには、ユーザーID及びパスワードの入力が必要です。)

(調査研究・標準部長 藤澤 大介)

2024年9月 4日 (水) 産業・技術動向 | 固定リンク | コメント (0)
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2024年3月 7日 (木)

「2023年度 海外調査報告会」を盛況に開催

2023年度MEMS協議会海外調査報告会を3月4日(月)にハイブリッドで開催し、オンライン109名を含む137名の方にご参加頂きました(写真1)。
このイベントはマイクロマシンセンター/MEMS協議会(MIF)が行っているMEMS関連の海外調査及び国際標準化の最新状況について国際交流事業の一環として報告するもので、2018年まで毎年開催をしておりましたが、新型コロナの影響で5年ぶりの開催となりました。

今回は以下のプログラムで行いました。

15:00〜15:05 主催者挨拶
(財)マイクロマシンセンター専務理事 長谷川 英一
15:05〜16:05 「2023年度国際会議報告」
1 国内外技術動向調査委員会報告(Transducers2023等)
立命館大学 小西聡教授(オンライン)
2 MEF2023 MMC 武田 宗久(報告)、
東北大学 田中 秀治教授(補足:オンライン)
3 JCK MEMS/NEMS 2023 MMC 武田 宗久
16:05〜16:35
「マイクロマシンサミット2023(ルーマニア、ブカレスト)報告」
東京大学 伊藤 寿浩教授(チーフデリゲイト)
16:35〜17:05 「標準化国際会議報告」 MMC 藤澤 大介
1 IEC/TC47/WG7 国際標準化WG会議(ベトナム・ハノイ)
2 IEC/TC47/SC47F、SC47Eの国際標準化WG会議(日本・熊本)
3 IEC/TC47の国際標準化全体会議(ドイツ・フランクフルト)
17:05〜17:15 「その他:海外機関との交流活動」 MMC 武田 宗久
1 Fraunhofer ENAS-AIST-MMCジョイントセミナー
2 IOT SOLUTIONS WORLD CONGRESS 2024
(IOTSWC24)アンバサダー就任
3 OKMETIC Oy意見交換会
17:30〜18:30 参加者交流会(簡単な立食交流会)

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写真1 会場の様子

はじめにMEMS協議会事務局長で専務理事の長谷川英一からの主催者挨拶(写真2)を行い、そのあと、最初の報告は2023年度国際会議報告として、MMCの国際外動向調査委員長をお願いしております立命館大学の小西聡教授から2023年1月15日〜19日にドイツのベルリンで開催されましたIEEE MEMS2023と2023年6月25日〜29日に京都で開催されましたTransducers2023の分析結果及び2024年1月21日〜25日にアメリカのオースティンで開催されましたIEEE MEMS2024の速報についてもオンラインでご紹介いただきました(写真3)。

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写真2 長谷川専務理事の挨拶
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写真3 立命館大学小西教授のオンラインプレゼンの様子

続いて、MMCの国際交流担当部長の武田宗久から2023年4月19日〜20日に東京・両国で開催されましたMEF(MEMS Engineer Forum)2023と2023年9月17日〜20日に韓国の済州島で開催されましたJCK(Japan-Chine-Korwea) MEMS/NEMS2023の報告を行いました(写真4)。なお、MEFのチェアをされている東北大学の田中教授にもオンラインでご参加いただき、MEF2023の補足説明と4月に開催されるMEF2024のご紹介もいただきました。

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写真4 武田からの報告の様子

次は「マイクロマシンサミット2023(ルーマニア、ブカレスト)報告」」と題して日本のチーフデリゲイトである東京大学の伊藤寿浩教授から報告いただきました(写真5)。
マイクロマシンサミットも新型コロナの影響で3年中止となり、4年ぶりに2023年5月22日〜24日にルーマニアのブカレストで開催されました。日本からはチーフデリゲイトの伊藤寿浩教授とマイクロマシンセンターの国際交流担当の武田の2名が出席しました。久しぶりの対面開催ではありましたが、ヨーロッパ以外は南北アメリカ、アジア、オセアニアからはそれぞれ1カ国しか参加しておらず全体でも36名の参加と少し寂しい状況でした。
今回のテーマは「Chip Act Initiatives: Sensor, MEMS, system integration, Green, sustainable ECS technologies, AI for data analysis and prediction」でした。各国からのカントリレビューと15件の一般講演が行われました。
2024年のサミットはオーストラリアのゴールドコーストで2024年5月26日〜29日に「Quantum semiconductor microtechnologies: novelty and re-emergence」というテーマで開催されます。

[画像:Image5]
写真5 伊藤教授からの報告の様子

続いて「標準化国際会議報告」としてMMCの調査研究・標準部長の藤澤大介氏からMEMSの標準化活動内容と以下の3つの標準化国際会議の報告が行われました。
1 IEC/TC47/WG7 国際標準化WG会議
(ベトナム・ハノイ、2023年6月8日〜9日)
2 IEC/TC47/SC47F、SC47Eの国際標準化WG会議
(日本・熊本、2023年6月22日〜23日)
3 IEC/TC47の国際標準化全体会議
(ドイツ・フランクフルト、2023年11月14日〜17日)

[画像:Image6]
写真6 藤澤からの報告の様子

最後にMMCの国際交流担当部長の武田宗久から海外機関との交流活動として、以下の3件の報告が行われました。
MMCは➁に示すように、IOTSWV24のアンバサダーなっておりますので、MEMS協議会の会員様には参加費の半額特典がございます。
1 Fraunhofer ENAS-AIST-MMCジョイントセミナー
(つくば、2023年11月22日)
2 IOT SOLUTIONS WORLD CONGRESS 2024 (IOTSWC24)
アンバサダー就任(スペイン・バルセロナ、2024年5月21日〜23日)
3 OKMETIC Oy意見交換会(秋葉原、2023年4月18日)

報告会の終了後には会場参加者で意見交換会も実施し、活発な意見交換が行われました(写真7)。

[画像:Photo7_20240307134901]
写真7 意見交換会の様子

今回5年ぶりの開催ということで、立命館大学の小西教授、東京大学の伊藤教授、東北大学の田中教授にご発表及びコメントをいただいたこともあり、オンラインを含め137名という多数の参加を得て、盛況のうちに終了いたしました。
来年以降も、海外報告会でMEMS分野における海外の最新動向をご報告いたしますので、ご期待ください。
最後のこの場を借りまして、今後のMEMS協議会への積極的なご参加を引き続きお願いしたいと存じます。

(MEMS協議会 国際交流担当部長 武田 宗久)

2024年3月 7日 (木) 国際標準化, 国際交流, 産業・技術動向 | 固定リンク | コメント (0)
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2024年2月 7日 (水)

MEMSセンシング&ネットワークシステム展2024 開催報告 (2024年1月31日〜2月2日)

マイクロマシンセンター(MMC)は、2024年1月31日(水)から2月2日(金)までの3日間、東京ビッグサイトで開催された「MEMSセンシング&ネットワークシステム展」を主催しました。
MMCブースでは、研究開発プロジェクトとして「量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究(HS-ULPAC : High Stability Ultra Low Power Atomic Clock)」、「メタサーフェスSiハイパースペクトル赤外光センシングデバイス(MESH : MEtasurface Si Hyperspectral Infrared Sensing Device)」、今年度から活動を開始している「MEMS事業者連携委員会」の紹介を始め、MNOIC事業、標準化事業、調査研究事業などを展示しました。

[画像:Photo1_mems2024]
写真1 MMC展示ブース

ブース展示とともに例年通り各種講演会も開催いたしました。1月31日は特別シンポジウム「MEMS・半導体次世代テクノロジーフォーラム」、2月1日は午後にTIA-MEMSウインターセミナー/MEMS講習会、研究開発プロジェクト/SSN研究会公開シンポジウム、MEMS協議会フォーラムを開催しました。

くろまる1月31日10:15〜12:15
特別シンポジウム「MEMS・半導体次世代テクノロジーフォーラム」
@東5ホール シーズ&ニーズセミナーC

本シンポジウムでは、MEMS、センサの実用化・応用先として期待される次世代テクノロジー(半導体、5G、IoT、DX、ロボット、AIなど)にフォーカス。次世代MEMS・半導体市場、最先端のMEMS・半導体技術が社会および産業に貢献するビジョンや方向性について、政策動向や最新情報を報告しました。

まず「半導体・デジタル産業戦略の現状と今後」と題して、経済産業省情報産業課企画官小林健様から、半導体産業の現状と我が国半導体産業復活の基本戦略の3ステップに従った最新の進捗状況について説明がありました。さらに今般その戦略の中にSAW/BAWを含む電子部品が加わったことと、それに続いて戦略にMEMSを加えようとしていることについてのご説明をいただきました。

次に東京大学 生産技術研究所教授年吉洋様から「産学連携MEMS研究:これまでとこれから」として、MEMS発展の過程における、発展可能性を探る大学の研究と利益一点を追究する企業の研究の違いを示して、今後もお互いに補完しながら開発を行っていく必要性についてお話がありました。

3番目の講演は、「モバイルの進化を可能にするRFフィルター技術」というタイトルで、スカイワークス・ソリューションズ株式会社BAW/SAWフィルター開発総括副社長アレクサンドレ・シラカワ様から、RFフィルター(BAW・SAW)の設計と製造プロセスの進化に焦点を当て、通信分野における重要部品に成長した経緯と技術革新についてご報告いただきました。

本シンポジウム最後は「産総研センシングシステム研究センターにおけるセンシング技術の半導体分野への展開」と題して、産総研九州センター所長植村聖様から、産総研で開発してきたセンシング技術、センサ製造技術とその適応事例のご紹介と、今後それらの技術を活かした半導体産業への貢献、展望についてご報告いただきました。

[画像:Photo2_1_mems2024]

[画像:Photo2_2_mems2024]
写真2 特別シンポジウム

くろまる2月1日13:30〜14:30
TIA MEMS ウインターセミナー/MEMS講習会
@東5ホール シーズ&ニーズセミナーC

例年通り、主に学生や若手技術者向けにTIAの次世代人材育成事業に協力して実施するTIA-MEMSウインターセミナー MEMS講習会を開催しました。本講習会では、人と機械とのコミュニケーションに必要な注目技術である触覚センシングの最新技術についてMEMS初心者にもわかりやすく紹介されました。

まず「極薄MEMSハプティック素子によるリモート触覚伝達システムの開発」と題して、産総研センシングシステム研究センターハイブリッドセンシングデバイス研究チーム長竹井裕介様から、極薄MEMS技術により厚さ7μmの圧電薄膜アクチュエータの開発と振動を最大化するフィルム基板実装技術により、多彩な触覚を表現できるハプティクスフィルムの開発についてご説明いただき、この素子を用いた双方向リモート触覚伝達システムに関する取り組みついてのご紹介をいただきました。

次に香川大学創造工学部教授高尾秀邦様から「指先の手触り感を見える化する技術:シリコンMEMSナノ触覚センサ」として、人間の指先が持つ精緻な指紋構造と触覚受容器の機能を模倣する独自の原理による「粗滑感」「摩擦感」「硬軟感」「乾湿感」「冷温感」の5大触覚要素を実現するシリコンMEMSナノ触覚センサを開発し、繊細な指先の感覚を可視化する技術をご紹介いただきました。この触覚センサは、高尾先生が設計し、マイクロマシンセンターのMNOIC(マイクロナノ・オープンイノベーションセンター)が作製したものです。

[画像:Photo3_mems2024]
写真3 TIAウインターセミナー

くろまる2月1日14:45〜15:45
研究開発プロジェクト成果報告会/SSN研究開発公開シンポジウム
@東5ホール シーズ&ニーズセミナーC

本報告会では、持続可能な社会の実現を目指してマイクロマシンセンターが現在取り組んでいるセンサやセンサネットワークシステム関係の技術開発プロジェクトの概要及び成果の報告が行われました。

まずは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託で2023年度から開始した「NEDO先導研究プログラム/未踏チャレンジ/メタサーフェスSiハイパースペクトル赤外光センシングデバイス(MESH)」の基礎基盤技術を「シリコンを基材に利用した赤外光センサの展開」として電気通信大学教授菅哲朗氏からシリコンとプラズモニクスを融合することで得られるシリコン製赤外光センサの研究開発とその展開についてご報告いただきました。

次にNEDO助成事業として実施している「非侵襲連続超高感度血中成分計測デバイス」について「血中成分モニターデバイスの研究開発 〜タニタのビジョンと商品開発の方向性〜」としてタニタ蔦谷孝夫氏から研究進捗の経過報告がありました。

[画像:Photo4_mems2024]
写真4 研究開発プロジェクト成果報告会/SSN研究開発公開シンポジウム

くろまる2月1日16:00〜16:40
MEMS協議会フォーラム
@東5ホール シーズ&ニーズセミナーC

本フォーラムでは、弊センター長谷川英一専務理事から今年度「産業動向調査委員会」が作成している「我が国MEMS事業者に関する動向調査」についての中間報告として、MEMS関連産業の現状とMEMS事業者の抱える課題の分析結果の紹介、並びにそれをもとに今後のMEMS戦略策定に資する政策提言などの検討を行うために新設した「MEMS事業者連携委員会」の状況についての紹介が行われました。また最後に経産省の半導体・デジタル産業戦略検討会議(2023年11月29日)が示した「半導体・デジタル産業戦略の現状と今後」に組み込まれた「MEMSの現状および今後の方向性」に対するマイクロマシンセンターの期待についての説明が行われました。

[画像:Photo5_mems2024]
写真5 MEMS協議会フォーラム

今回の講演会は全て展示ホール内のセミナー会場で行われましたが、各講演会の会場は満席となり、追加の椅子を準備するほど盛況で、今回の講演テーマに対する関心の高さがうかがえました。
2024年度は2025年1月29日〜31日、東京ビッグサイト東ホールで開催を予定しております。

(MEMS協議会 八嶋 昇)

2024年2月 7日 (水) MEMSビジネス展, 活動全般, 産業・技術動向, MNOIC/TIA, SSN研究会, 事業者連携委員会 | 固定リンク | コメント (0)
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2024年1月 9日 (火)

新年のご挨拶(MMC/NMEMS 2023年10大ニュース)

新年あけましておめでとうございます。

OECDの世界経済見通しによれば、昨年は世界経済の成長率が2.9%であったところ、本年はなお地政学的リスクやインフレの影響で、2.7%と若干の低下となるものの、後半からは緩やかに回復するとされています。ただ、昨年の日本の国民一人当たりのGDPは為替レートの影響でG7の最下位になるなど、あまり気持ちが浮き立つようなところではありませんでした。

そのような中においても日本の経済の浮揚を図るべく、経済産業省は半導体・デジタル産業を「国家事業」と位置づけ、2021年6月に策定した「半導体・デジタル産業戦略」を2023年6月に改定を行い、その戦略の中に「MEMS」を加えていくという方向を示されています。これを受けてマイクロマシンセンターとしましても、我が国MEMS産業界の実態を、IDMのみならず、ファウンドリや装置・材料なども含めて、もう一度把握し直した上で、その課題や政策要望などの検討を行なう場とする「MEMS事業者連携委員会」を昨年11月に発足いたしました。今年からは、MEMS事業者の抱える課題等の分析や競争力を高めていくための方策の検討を本格化してまいります。委員会では多くのMEMS関連事業者や大学・研究機関の皆様のご意見・ご要望を集約致したく、広く皆様の参加を募集しております。
また当センターは今年もDX、GXの推進に不可欠な各種MEMSセンサの開発の一環として、非侵襲で血中成分を計測するBaMBIプロジェクトや、小型原子時計の基礎研究であるHS-ULPACプロジェクト、昨年7月に開始したSi半導体プロセスと親和性が高く高機能なSi製ハイパースペクトル赤外光センシングデバイスを実現するためのMESHプロジェクトを推進するとともに、MEMS戦略にも通じるような新たなプロジェクトの獲得を目指してまいります。

さて、当センターでは通算34回目にあたるマイクロナノ分野の展示会である「MEMSセンシング&ネットワークシステム展2024」を1月31日から2月2日にかけて東京ビッグサイトで開催いたします。今回もセンターの活動紹介、MNOICの紹介、研究開発報告とともに、各種セミナーを開催し、興味深い様々な技術報告を行います。セミナーの冒頭には経済産業省の情報産業課デバイス・半導体戦略室長に半導体・デジタル戦略関連のご講演をお願いしております。是非、多くの皆様にご来場いただき、今後のMEMSの発展のために当センターに対するご指導・ご支援を賜れれば幸いです。
皆様方には以下のマイクロマシンセンターの2023年の10大ニュースをご覧いただき、このような私どもの活動状況をご賢察いただければ幸いです。

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マイクロマシンセンター/NMEMS技術研究機構
2023年10大ニュース
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1.「MEMS事業者連携委員会」発足、活動開始
経済産業省では、半導体・デジタル産業戦略の中にMEMS戦略も加えていく方向性を打ち出されました。当センターとしてもこれに呼応して我が国MEMS産業界の実態を、IDMのみならず、ファウンドリや装置・材料なども含めて、今一度把握し直した上で、MEMS事業者の抱える課題等を分析し、競争力を高めていくための方策や政策提言等を検討する「MEMS事業者連携委員会」を発足しました。
第1回委員会を11月28日に開催し、60名以上の方々にご参加いただき、有意義な議論や情報交換が行われ、経産省からもご評価いただきました。
また、「産業動向調査委員会」と連携してアンケートを実施、現在分析結果を基に活動の基盤作りを行っています。
委員会では多くのMEMS関連事業者の皆様のご意見・ご要望を集約致したく、広くMEMS関連事業者の皆様の参加を募集しております。

2.「GXを支えるMEMS」報告書の発行、MEMS事業者動向調査など、
産業動向調査委員会 活発に活動
3月末には、産業動向調査報告書「グリーントランスフォーメーション(GX)を支えるMEMS」を発行し、GXに貢献するMEMSとは何かという観点から結果を取り纏めて、好評を得ました。
また、2023年度からは「我が国MEMS事業者の動向に関する調査」に着手し、MEMS事業者連携委員会と連携して、MEMS事業者動向調査を実施しています。
現在は調査結果を分析し、MEMS産業・政策に関する報告書を取り纏めると伴に、国内MEMS事業者を分野別に網羅したディレクトリ作成に向けて活動しています。

3.日本機械学会マイクロ・ナノ工学部門「技術功績賞」受賞
マイクロマシン技術研究開発プロジェクトをはじめ、マイクロ・ナノ工学分野の研究開発プロジェクトを数多く推進してきたこと、MEMS展や併催シンポジウム、マイクロマシン国際シンポジウムの開催、マイクロマシンサミット、MEMS関連調査、国際標準化等の事業を通して、当分野の概念を内外に広く普及してきたこと、さらにMEMS協議会やMNOICによりMEMS産業化を支援してきたことなど、マイクロマシンセンターの長年の活動がマイクロ・ナノ工学分野に多大に貢献したとして評価され、日本機械学会マイクロ・ナノ工学部門から『技術功績賞』を11月8日に受賞しました。

4.NEDO先導研究プログラム「MESH」受託
「NEDO先導研究プログラム/未踏チャレンジ」に電気通信大学、産業技術総合研究所と連名で提案した「メタサーフェスSiハイパースペクトル赤外光センシングデバイス」(MESH)が採択され、7月1日から事業を開始しました。
電気通信大学の菅哲朗教授をプロジェクトリーダーとして、10年後の実用化を目指しSi半導体プロセスと親和性の高いSi製ハイパースペクトル赤外光センシングデバイスの実現に取組んでまいります。

5.HS-ULPAC、BaMBI、最終年度迎え、目標に向けて邁進中
(5-1)BaMBI最終年度として研究開発継続中
「血中成分の非侵襲連続超高感度計測デバイス及び行動変容促進システムの研究開発」(BaMBI)は、助成事業の最終年度として、最終目標達成に向けラストスパートに入っています。
(5-2)HS-ULPAC最終目標達成を目指し研究を推進
防衛装備庁安全保障技術研究推進制度で受託した「量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究(HS-ULPAC)では、移動体に搭載可能な高精度原子時計を実現するため、周波数変動要因を根本から解明するとともにプロトタイプを試作して実証・評価しています。MMCでは2023年度は最終年度になるため、最終目標達成を目指し、MEMSガスセル、実験室モデル量子部、プロトタイプ真空断熱型量子部の3次試作を行っています。

6.4年ぶりに「国際マイクロマシンサミット」参加等、
国際交流活動を本格再開
新型コロナウイルス感染症の影響により延期されていましたが、4年ぶりにマイクロマシンサミットが5月22日〜24日、ルーマニアのブカレストで対面開催され、参加しました。
また、4月18日に賛助会員のオクメティック株式会社の親会社のフィンランドOKMETIC OYから、11月22日には海外アフィリエートのドイツのFraunhofer ENASからの研究者の受入れ等を行い、国際交流を本格開始しました。

7.MNOIC事業堅調
現行製品の継続した製造や次期製品に向けた開発試作などを請負う工程受託コースを中心に依頼が増加し、直近3年間で20%の平均成長率を達成しています。
産総研と連携した研究受託や企業ユーザの試作支援など、将来のMEMS産業活性化に向けた取組み案件も着実に増加しています。

8.国際標準化WG会議のホスト国となるなど、国際標準化事業を推進
IEC(国際電気標準会議)/TC47(半導体分野技術委員会) /SC47F(MEMS分野)の国際標準化WG会議を日本のホスト(マイクロマシンセンター主催)で、6月21 日〜23日に、熊本県 熊本市国際交流会館にて開催しました。各国主査等と技術交流を図ることができ、各国でのデバイス開発状況やデバイス標準化検討項目など情報の共有ができ、充実した会議となりました。
また、11月13日〜17日には、フランクフルトでIEC/TC47の国際標準化全体会議が開催され、SC47FとTC47/WG7(半導体デバイス エネルギーハーベスタ、エネルギー変換・伝送分野)に関連する会議に参加しました。各国からの参加者と活発な議論を交わし、規格案審議を着実に前進させることができました。

9.MEMS展示会、セミナーが盛況
例年通り当センターが主催する「MEMSセンシング&ネットワークシステム展」を2023年2月1日から3日の3日間、東京ビッグサイトで開催し盛況の内に閉幕しました。会場への来場者はコロナ禍が落ち着き、前回の3倍以上の方にご来場いただきました。MMCブースでは、研究開発プロジェクトの紹介を始め、MNOIC事業、標準化事業、SSN研究会の概要などを展示しました。
また同時開催の次の5つのセミナー「MEMS・半導体次世代テクノロジーフォーラム」「TIA MEMS ウインターセミナー MEMS講習会」「研究開発プロジェクト成果報告会」「SSN研究会公開シンポジウム」「MEMS協議会フォーラム」では、何れのセミナーでも多くの聴衆が熱心に聞き入られていました。
主な講演として「MEMS・半導体次世代テクノロジーフォーラム」では経済産業省情報産業課長の金指壽様に「半導体・デジタル産業戦略の現状と今後」と題して、半導体産業の現状と我が国半導体産業復活の基本戦略についてご説明いただき、「TIA MEMS ウインターセミナー MEMS講習会」では、筑波大学、東京大学、東北大学の先生から、MEMSに関係する研究の取組みや最新の研究成果についてご報告いただきました。
今年は1月31日(水)〜2月2日(金)に昨年と同様、東京ビッグサイトにおいて、nano tech展等と同時開催を予定しております。また今年もご来場頂けますよう関係者一同お待ちしております。

10.MMC、MEMS協議会の新体制が始動
3月末に株式会社日立製作所の鈴木教洋様が当センターの理事長をご退任され、4月1日に株式会社日立製作所執行役常務の西澤格様が理事長にご就任されました。
7月には、MEMS協議会推進委員会を東京虎ノ門グローバルスクエアにおいて4年ぶりに対面により開催しました。協議会副会長に就任された三菱電機株式会社上席執行役員の岡徹様が新委員長として委員会を進行され、西澤理事長にもMEMS協議会会長としてご出席いただきました。また、経済産業省商務情報政策局情報産業課の金指課長様に経済産業省の政策をご紹介いただいたほか、経済産業省、NEDO、産総研の方々と委員との間で意見交換が行われました。

2024年1月 9日 (火) MEMSビジネス展, 国際標準化, 国際交流, 活動全般, 産業・技術動向, MNOIC/TIA, Pj HS-ULPAC研究開発, 事業者連携委員会 | 固定リンク | コメント (0)
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2023年8月29日 (火)

「2022年度 分野別動向調査報告書」発行について (MMC「国内外技術動向調査委員会事業」)

マイクロマシンセンターでは、国内外の最新かつ詳細なマイクロマシン・MEMSそして近年活発化しているナノ関連の研究開発の情報を収集・分析し、その技術動向を把握することを目的に、各年度MEMSの分野で代表的な国際会議を定点観測して、分野別動向調査報告書にまとめています。

2022年度は"APCOT 2022(The 10th ASIA-Pacific Conference of Transducers and Micro-Nano Technology)"と"MEMS 2023(The 36th International Conference on Micro Electro Mechanical Systems)"を調査しました。

"APCOT2022"は、アジア、太平洋地域でのMEMS/ナノテク分野の研究開発事例が発表される国際会議で、2002年に中国・アモイ市で第1回が開催されて以来、2004年は札幌、2006年シンガポール、2008年台湾・台南、2010年オーストラリア・パース、2012年中国・南京、2014年韓国・大邱、2016年金沢、2018年香港と、国際会議Transducersの開催されない年に隔年で開催されています。
第10回が開催予定であった2020年は新型コロナウイルス感染拡大のため中止となり、2022年 5月29日(日)〜6月1日(水)の日程で開催地を上海としてハイブリッド形態で開催されました。
投稿件数は129件で、前回の157件から僅かに減少しました。その中から118件(前回143件)の論文が採択され、採択率は91%(前回91%)でした。
国別では中国が72件(前回45件)でトップ、2位、日本33件(前回42件)と続きました。次いで、台湾とシンガポールが3件、タイとオーストラリアが2件、韓国が1件となりました。
発表内容の大分類別では、Fundamentalsが33件(28%), Applied Devices/Systemsが83件(71%)、どれにも該当しないものが1件(1%)で、応用分野に関する発表と基礎分野に関する発表の割合は、前回とほぼ同等でした。発表件数が多い分野は、Fundamentals Othersが16件と一番多く、Chemical Sensorが13件、Design and Modeling、OpticalおよびRF-MEMSで11件となりました。

次に、"MEMS2023"は、IEEEのMEMS技術に関する国際会議で、毎年開催されています。36回目にあたる今回は、2023年1月15日〜19日の日程で、独 ミュンヘンで開催されました。
投稿件数は636件(前回600件)で、昨年より6%程度増加しました。採択された論文数は全体で314件(前回275件)、採択率は約49%(前回46%)でした。プレナリーを含む地域別発表論文数は米州43件(前回56件)、欧州57件(前回41件)、アジア太平洋212件(前回172件)となり、前回とほぼ同水準でした。
地域別ではアジアが多く、昨年に続き中国が83件(前回70件)でトップ、日本54件(前回57件)、米国40件(前回54件)と続きました。このほか、アジア諸国では、台湾33件、韓国23件で、欧州では、ドイツ13件(前回5件)、オーストリア11件(前回1件)、オランダ6件(前回10件)となりました。
発表件数が多い分野は、Mechanical Sensor(65件)、Radiation/Material Substance Sensor(66件)、Fabrication Technologies (non-Silicon)(47件)、Fluidic(42件)、Design and Modeling(38件)、Others (Applied Devices/Systems)(38件)、Actuators(35件)となりました。

報告内容の詳細は、2022年度分野別調査報告書冊子のほか、マイクロマシンセンターのホームページ内の賛助会員のページにてご覧になることができます。

(調査研究・標準部長 藤澤 大介)

2023年8月29日 (火) 産業・技術動向 | 固定リンク | コメント (0)
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2022年9月29日 (木)

「2021年度 分野別動向調査報告書」発行について

マイクロマシンセンターでは、国内外の最新かつ詳細なマイクロマシン・MEMSそして近年活発化しているナノ関連の研究開発の情報を収集・分析し、その技術動向を把握することを目的に、各年度MEMSの分野で代表的な国際会議を定点観測して、分野別動向調査報告書にまとめています。

2021年度は"Transducers 2021(The 21th International Conference on Solid-State Sensors, Actuators and Microsystems)"と"MEMS2022(The 35th International Conference on Micro Electro Mechanical Systems)"を調査しました。

"Transducers 2021"はマイクロセンサ、マイクロアクチュエータに関する最先端の研究開発事例が発表される国際会議で、1981年にボストン(米)での第1回会合以来、隔年に開催されています。
今回は21回目となります。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2021年6月20日から25日にヴァーチャルで開催されました。
投稿件数は550件で前回の1528件より64%減少しました。採択件数は395件(口頭136件、ポスター218件、その他41件)で、採択率は71.8%(前回42.9%)でした。
地域別ではアジアが多く、国別では中国が40件(前回41件)でトップ、前回最多であった米国が29件(前回57件)で2位、日本29件(前回40件)と続きました。アジア諸国では台湾12件(前回10件)、シンガポール8件(前回1件)でした。欧州は、ドイツ6件(前回14件)、ベルギー6件(前回3件)、スイス5件(前回6件)等となりました。
発表件数が多い分野は、Mechanical Sensor(38件)、Radiation/Material Substrate Sensor(14件)、Medical Power-MEMS(13件)、Fabrication Technologies (non-Silicon)(12件)、Medical Systems(12件)、Actuators(11件)となりました。

"MEMS2022"はIEEEのMEMS技術に関する国際会議で、毎年開催されています。
今回は35回目となります。コロナウイルス感染拡大の影響で、2022年1月9日から13日にハイブリッドで開催されました(対面開催地は東京)。
投稿件数は600件(前回518件)で、昨年より16%程度増加しました。採択された論文数は全体で275件(前回250件)、採択率は約46%(前回52%)でした。
地域別ではアジアが多く、国別では、昨年に続き中国が70件(前回89件)でトップ、日本57件(前回41件)、米国54件(前回56件)、と続きました。アジア諸国は、台湾19件(前回13件)、韓国10件(前回9件)でした。欧州は、オランダ10件(前回2件)、イタリア7件(前回4件)、スイス6件(前回8件)、ドイツ5件(前回6件)等となりました。
発表件数が多い分野は、Mechanical Sensor(68件)、Fabrication Technologies (non-Silicon)(42件)、Actuators(41件)、Design and Modeling(38件)、Fluidic(38件)、Tissue/Organ & Medical Applications(38件)、Radiation/ Material Substance Sensor(36件)、Material(33件)となりました。

報告内容の詳細は、2021年度分野別調査報告書冊子のほか、マイクロマシンセンターのホームページ内の賛助会員のページにてご覧になることができます。

(調査研究・標準部長 時岡 秀忠)

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2022年2月 2日 (水)

MMC創立30周年記念講演会(1月28日)開催報告

「MEMSセンシング&ネットワークシステム展2022」の最終日に、東京ビッグサイト会議棟にてMEMS協議会フォーラム「MMC創立30周年記念講演会」を開催いたしました。

くろまる 1月28日 10:15-11:45:MMC創立30周年記念講演会 @607+608会議室
第1部 TIA-MEMSウィンターセミナー MEMS講習会
「MEMS分野の産業動向と注目技術」

午前中の第1部は主に学生や若手技術者向けに「TIA-MEMSウィンターセミナー MEMS講習会」を開催しました。
初めに、MMCの長谷川専務理事からMMC産業動向調査委員会によるMEMS技術の進展の歴史と、今後20年のMEMS関連技術の進展予測した調査結果を報告しました。
次に、静岡大学橋口教授から、近年注目されている環境発電デバイス(エナジーハーベスタ)などの新機能MEMSに使われるエレクトレット技術について、そして立命館大学の小西教授から、長年MEMSの国際会議運営に携わってきた先生によるMEMSの研究開発動向と、つい先日に開催されたMEMS2022の速報を交え、MEMS関連研究開発動向について報告がありました。

[画像:Photo1_kiji2_2022_02]

写真1 MEMS講習会

くろまる 1月28日 13:15-16:00:MMC創立30周年記念講演会 @607+608会議室
第2部 「MEMSの過去30年と今後の20年の技術展望」と
パネルディスカッション

午後の第2部は、MMC30周年特別企画として、30年の歴史をMEMSなどの微細加工、半導体製造技術の進歩とともに振り返り、未来へ続いていくために必要なことを、産業界、大学、国立研究所を代表する方々による基調講演とパネルディスカッションで展望しました。
山中MMC理事長による開会挨拶と、経済産業省産業機械課の安田課長からの来賓ご挨拶の後、基調講演の1番目として、「MEMSの発展が世界を変革 〜過去、現在、未来〜」というタイトルでSPPテクノロジーズエグゼキュティブシニアアドバイザーの神永 晉氏から、過去数10年にわたって著しい発展を遂げたMEMSの原動力であったシリコン深掘り技術を中心とする微細加工技術の更なる進化と、今後どのような世界を創出するかの展望が語られました。
次に基調講演の2番目「オタクあがりのモノづくり人生」というタイトルでMEMSコアCTOで、東北大学マイクロシステム融合研究開発センター シニアリサーチフェローの江刺 正喜先生から、半導体微細加工をベースにしてセンサなどの多様な部品をつくるMEMSの研究を自作した装置などを使うことで、費用がかからず自由度の多い形で研究を行っていたという半生が紹介されました。
そして、最後は「これからのMEMSの技術展望」について、基調講演のお二人に加え、パネリストとして、富山県立大学学長の下山 勲先生と産総研の上級執行役員 金丸 正剛TIA推進センター長の4人でモデレータの長谷川専務の進行でディスカッションしました。 我が国としてMEMSの技術面で、どこをどう伸ばしていくべきかとか、MEMSによって描くことのできる未来の産業や社会の姿などについて、会場で聴講されていた、西安交通大の前田龍太郎先生も交えて、熱く議論がされました。

[画像:Photo2_kiji2_2022_02]

写真2 パネル討論会

(MEMS協議会 八嶋 昇)

2022年2月 2日 (水) 産業・技術動向 | 固定リンク | コメント (0)
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