最近の記事
- 「2024年度 分野別動向調査報告書」発行について(MMC「国内外技術動向調査委員会」)
- JCK MEMS/NEMS 2025(7月6日〜9日、沖縄)参加報告
- マイクロマシンセンター各種委員会およびMEMS協議会活動について
- 2025 第28回「国際マイクロマシンサミット」(カナダ・モントリオール) 参加報告
- 第1回MEMS事業者連携委員会開催報告 (2025年6月5日)
- IEC国際標準化 TC47/SC47E WG1&2, SC47F WG1-3&MT1会議(中国 石家荘開催)参加報告(2025年5月19日〜23日)
- 「MEMS Engineer Forum 2025(MEF2025)」出展報告
- 2024年度海外調査報告会を盛況に開催
- 第3回MEMS事業者連携委員会開催報告 (2025年3月12日)
- 第43回マイクロナノ先端技術交流会 「MEMSの新たなアプリケーションと新たなプロセス技術」 開催報告(2025年3月10日)
携帯URL
携帯にURLを送る
2025年2月 7日 (金)
MEMSセンシング&ネットワークシステム展2025 開催報告 (2025年1月29日〜1月31日)
マイクロマシンセンター(MMC)は、2025年1月29日(水)から1月31日(金)までの3日間、東京ビッグサイトで開催された「MEMSセンシング&ネットワークシステム展」を主催しました。
MMCブースでは、研究開発プロジェクトとして「未来社会におけるMEMSセンシングデバイスの市場動向及び技術動向調査(中間報告)(SiM: Study of innovative MEMS for coming society)」、「メタサーフェスSiハイパースペクトル赤外光センシングデバイス (MESH: Metasurface Si Hyperspectral Infrared Sensing Device)」、「MEMS事業者連携委員会」の紹介を始め、MNOIC事業、標準化事業、調査研究事業などを展示しました。
Mems_sn2025_01
写真1 MMC展示ブース
ブース展示とともに例年通り各種講演会も開催いたしました。1月29日は特別シンポジウム「MEMS・半導体次世代テクノロジーフォーラム」、1月30日は午前にTIA-MEMSウインターセミナー/MEMS講習会、午後に研究開発プロジェクト/SSN研究会公開シンポジウム、MEMS協議会フォーラムを開催しました。
●くろまる1月29日10:15〜12:15
特別シンポジウム「MEMS・半導体次世代テクノロジーフォーラム」
@東5ホール シーズ&ニーズセミナーA
本シンポジウムでは、MEMS、センサの実用化・応用先として期待される次世代テクノロジー(半導体、5G、IoT、DX、ロボット、AIなど)にフォーカス。次世代MEMS・半導体市場、最先端のMEMS・半導体技術が社会および産業に貢献するビジョンや方向性について、政策動向や最新情報を報告しました。
まず「半導体・デジタル産業戦略の現状と今後」と題して、経済産業省情報産業課デバイス・半導体戦略室 室長 清水英路様から、我が国半導体産業復活の基本戦略として、我が国の半導体の安定的な供給に向けた先端半導体の製造基盤確保についてと経済安保推進法に基づく先端電子部品サプライチェーンの強靭化について説明がありました。またパッケージ技術、AI半導体設計技術など技術開発の重要性と人材育成の必要性についても説明がありました。さらに国としては経済安全保障の観点から半導体、電子部品に広げてきた支援策をさらにMEMSにも広げていきたい旨のお話もありました。
次に富山大学下山勲学長の代理で、富山大学准教授 野田堅太郎様から「MEMS ×ばつ エッジ処理チップ一体化で広がるアプリケーション」として、MEMSで収集した大量のデータをエッジ処理して特徴データだけを抽出する機能を一体化チップとして構築できると、様々なアプリケーションに適用することが可能であると、インフラモニタリング、モーションキャプチャ、血流測定等の例を挙げて紹介いただきました。
3番目の講演は、「センシングシステムの研究開発動向」というタイトルで、産業技術総合研究所センシングシステム研究センター副研究センター長 吉田学様から、産総研で開発してきたセンシング技術、センサ製造技術とその適用事例の紹介と、今後それらの技術を活かした半導体産業への貢献、展望について紹介いただきました。
本フォーラム最後は「0-100vol.%で高精度・高信頼性を実現したMEMS水素センサが切り拓く水素社会」と題して、ローム株式会社基幹技術研究開発部技術主幹 赤坂俊輔様から、カーボンニュートラルの実現に大きく貢献する水素エネルギーの利用において、社会実装のために必要な高精度なセンシングと高い信頼性を備えた、ロームが取り組む高精度熱伝導式水素センサの技術と開発の方向性、期待されるアプリケーションについて紹介いただきました。
Mems_sn2025_02
写真2 特別シンポジウム
●くろまる1月30日10:30〜12:15
TIA MEMS ウインターセミナー/MEMS講習会
@会議棟606会議室
例年通り、主に学生や若手技術者向けにTIAの次世代育成事業に協力して実施するTIA-MEMSウインターセミナー MEMS講習会を開催しました。
まず「見えない分子を可視化するMEMS分子認識センサ」と題して、豊橋技術科学大学次世代半導体・センサ科学研究所教授 高橋一浩様から、全国の大学で唯一、半導体LSI-MEMSの一貫製造が可能な施設を有している豊橋技術科学大学の開発環境と人材育成の環境の紹介と、この施設で開発したMEMSセンサとして、家庭において体温計や体重計の感覚で病気を測るセンサシステムや感染症対策のための環境計測型センサを紹介いただき、またこれらのセンサを適用した在宅検査・遠隔医療のアプリケーションについても紹介いただきました。
次に「マルテンサイトエピタキシー」と題して、株式会社Gaianixx CSO 木島健様から同社のコアテクノロジーである「マルテンサイトエピタキシー」の紹介がありました。「マルテンサイトエピタキシー」では従来困難とされてきた多層での高品質単結晶化を「多能性®中間膜」と「動的格子マッチング」で可能とし、分野を問わず既存デバイスの飛躍的な革新に貢献できるデバイスの提供が可能であるとの説明がありました。
※(注記)株式会社Gaianixx: 半導体の高付加価値化、軽薄短小化、低価格化実現に必要不可欠な単結晶膜を、独自に多能性®中間膜を駆使して開発製造する東京大学発のスタートアップ企業。
3番目の講演は、「低消費電力MEMSセンサ・回路の協調最適設計技術」題して、産業技術総合研究所先端半導体研究センター主任研究員・ラボチーム長 秋田一平様から、IoT時代におけるセンサ・アクチュエータにおいて、その機能や性能を効率よく引き出すために重要な役割を担っているアナログフロントエンド回路の低消費電力設計の手法であるMEMSセンサ・回路の協調最適設計技術について紹介いただきました。
Mems_sn2025_03
写真3 TIAウインターセミナー
●くろまる1月30日13:30〜15:00
研究開発プロジェクト成果報告会/SSN研究会公開シンポジウム
@会議棟606会議室
本報告会では、持続可能な社会の実現を目指してマイクロマシンセンターが現在取り組んでいる新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の調査委託で2024年度に受託した「未来社会におけるMEMSセンシングデバイスの市場動向及び技術動向調査」の中間報告並びにアプリケーション技術についての報告がなされました。
冒頭、本プロジェクトのご担当であるNEDO AIロボット部量子チーム主任 永井弥夕様からご挨拶として、本プロジェクトは2035年の未来社会において求められるMEMSセンシングデバイスの仕様や開発すべきMEMS技術を明確にして日本のMEMS研究開発戦略の策定を担うために行う調査である旨の紹介がございました。
1番目の講演として「MEMSセンシングデバイスの市場・技術動向と2035年の将来像」というタイトルで三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社デジタルトランスフォーメーション推進部 岩﨑拓也様から、本プロジェクトは現在のフォアキャストと2035年からのバックキャストから2035年の将来像の想定を行うため、フォアキャスト情報としての現在の市場動向と技術動向、バックキャスト情報として現在検討を行なっているMEMSセンシングデバイスが実現する2035年の未来社会像の紹介をするとともに、2035年に期待されるMEMSデバイスについての紹介がありました。
次に「医療におけるビッグデータ、AI・DX活用について」というタイトルで国立循環器病研究センター予防医学・疫学情報部部長 西村邦宏様から、AI革命の開始から20年間で様々な医療分野においてビッグデータ、ディープラーニング、DX化が急速に普及しつつある中、国立循環器病研究センターが行っているビッグデータ、ディープラーニング等の活用事例並びに将来展望について紹介がありました。
3番目の講演では「労働者不足課題に対するCPSを基盤としたIoT、AI、ロボット活用」というタイトルで産業技術総合研究所 情報・人間工学領域インダストリアルCPS研究センター 研究センター長 谷川民生様から、少子高齢化が進むことにより生産年齢人口の減少から生じる人手不足が現在の社会的課題であり、この課題を解決するための、労働集約型産業においては生産性維持のためにサイバーフィジカルシステム(CPS)を基盤としたIoT、AI、ロボット技術を活用した人と機械の協調システムの必要性、並びに現在産総研が検証を行っているシステム事例を紹介いただきました。
Mems_sn2025_04
写真4 研究開発プロジェクト成果報告会/SSN研究開発公開シンポジウム
●くろまる1月30日15:15〜16:35
MEMS協議会フォーラム
@会議棟606会議室
本フォーラムでは、MEMS協議会として長年続けている「国内外技術調査」とMMCが現在進めているMEMS再興に関する議論について最新の報告がありました。
まず、「最新の国際会議を通してみるMEMS関連研究の動向」というタイトルで、長年MEMSの国際会議運営に携わってきた立命館大学理工学部 小西聡先生から、最近のMEMS関連国際会議からIEEE MEMS2024、APCOT2024を取り上げ、これまでとの比較も含めた国際学会発表の分析結果についてわかりやすく紹介いただきました。
次に、「我が国MEMS産業の再興に向けて〜MEMS事業者連携委員会の活動より〜」というタイトルで、弊センター専務理事 長谷川から、MEMS産業の動向とMEMS事業者連携委員会で行っている我が国MEMS産業再興にむけての議論についての紹介がありました。また現時点での議論として、経済安全保障の対象にMEMSを含めてもらうべく経済産業省に働きかけているとの説明がありました。
Mems_sn2025_05
写真5 MEMS協議会フォーラム
各講演会の会場は満席となり、今回の講演テーマに対する関心の高さがうかがえました。
2026年度は2026年1月28日〜30日、東京ビッグサイト南・西ホールで開催を予定しております。
(MEMS協議会 八嶋 昇)
2025年2月 7日 (金) MEMSビジネス展, 活動全般, Pj 国プロ全般 | 固定リンク
| コメント (0)
Tweet
国際会議MEMS2025(台湾 高雄開催)参加報告
MEMS2025(The 38th IEEE International Conference on Micro Electro Mechanical Systems)が、1月19 日〜23日に、台湾 高雄のKaohsiung Exhibition Centerで開催されました。今回、MEMS分野の研究開発事例が発表される代表的な国際会議であるMEMS2025に参加し、最新の研究開発動向を調査しました。
MEMS2025への投稿件数は729件(前回659件)で、昨年より10%超増加しました。採択された論文数は、全体で328件(前回324件)、採択率は約45%(前回49%)でした。採択論文の地域別の割合では、アメリカ13%、ヨーロッパ&アフリカ9%、アジア&オセアニア78%となっており、この分野でアジア&オセアニアのプレゼンスが向上していることがわかります。
Memsieee2025_01
MEMS2025 <https://mems25.org/>
Memsieee2025_02
MEMS2025が開催されたKaohsiung Exhibition Center
MEMS2025のCONFERENCE CHAIRSは、Korea Adv. Inst. of Science and Tech.のHyunjoo "Jenny" Lee氏とNational Tsing Hua UniversityのSheng-Shian Li氏で、以下に示す4件のプレナリートーク、4件の招待講演がありました。その中で韓国i3systemからは、3D MEMS技術を用いた赤外線アレイセンサについて講演され、従来の0.35 μm CMOS技術&2 μm 3D MEMS技術から0.18 μm CMOS技術&0.18 μm 3D MEMS技術への進展により、画素サイズの小型化(50 μm → 8 μm)、大フォーマット化(×ばつ240画素 → ×ばつ1024画素)を実現し、高性能なセンサについてはミリタリー用途が紹介されました。CMOS技術との融合によるMEMSデバイスの高性能化は近年重要性を増しています。
【プレナリートーク】
1 NAVIGATING THE NEW NORMAL (Tien Wu氏, Advanced Semiconductor Engineering, Inc (ASE), TAIWAN)
2 MY 50 YEARS IN MEMS (Kurt Petersen氏, Silicon Valley Band of Angels, USA)
3 HIGH-RESOLUTION UNCOOLED INFRARED SENSORS: INNOVATIONS IN 3D MEMS TECHNOLOGY FOR MILITARY USE (Hau Chung氏, Myungho Kwon氏, Sang-gu Kang氏, i3system, KOREA)
4 WILL ORGAN-ON-A-CHIP SURVIVE THE TEST OF TIME? (Sabeth Verpoorte氏, University of Groningen, NETHERLANDS)
【招待講演】
1 CARBON NANOTUBES AS CONTACT MATERIAL FOR MEMS: ENHANCING SENSITIVITY, DURABILITY, AND FLEXIBILITY (Jongbaeg Kim氏, Yonsei University, KOREA)
2 3D PRINTED MEMS (Frank Niklaus氏, KTH Royal Institute of Technology, SWEDEN)
3 MICROMACHINED SILICA RESONATORS FOR BIOSENSING APPLICATIONS (Srinivas Tadigadapa氏, Northeastern University, USA)
4 EMERGING TECHNOLOGY FOR THE BIOHYBRID ROBOTICS (Shoji Takeuchi氏, University of Tokyo, JAPAN)
発表論文の分野別では、MEMS Physical & Chemical Sensor 83件とBio and Medical MEMS 75件が多く、MEMS/NEMS for Optical, RF and Electromagnetics 37件で続きました。詳細のプログラムは以下のURLに記載されており、MEMSに関して基礎分野から応用分野まで幅広い研究の発表が行われました。オーラルセッションはシングルセッションまたはパラレルセッションで行われ、オーラルセッションおよびポスターセッションの様子を以下に示します。
MEMS2025プログラム <https://mems25.org/program/program_overview.html>
Memsieee2025_03
オーラルセッションの様子(メイン会場)
Memsieee2025_04
ポスターセッションの様子(展示会場)
本国際会議は、MEMSに関する材料、デバイス構造、製造方法、実装方法から特性評価方法まで多岐にわたる技術領域を網羅し、最新のMEMS研究開発動向を知る上で重要な会議となっています。内容としては、Materials, Fabrication, and Packaging for Generic MEMS and NEM、Micro-and Nanofluidics、Bio and Medical MEMS、MEMS Physical & Chemical Sensors、MEMS/NEMS for Optical, RF and Electromagnetics、MEMS Actuators and Power MEMS、Industry MEMS and Advancing MEMS for Products and Sustainability、Emerging Technologies & New Opportunities for MEMS/NEMSのカテゴリーでの最新の論文発表により活発な議論がなされ、研究開発動向について情報が得ることができ、大変有意義な会議となりました。
Memsieee2025_05
次回MEMS2026説明の様子
また、会議では次回のMEMS2026が、2026年1月25 日〜29日にオーストリアのザルツブルグにおいて開催されることがアナウンスされました。
(調査研究・標準部長 藤澤 大介)
2025年2月 7日 (金) 国際交流, 調査研究, Pj SiM調査研究 | 固定リンク
| コメント (0)
Tweet
サイト内検索
カテゴリー
- MEMSPedia
- MEMSビジネス展
- MNOIC/TIA
- Pj AIRs研究開発
- Pj BEANSプロジェクト
- Pj GSNプロジェクト
- Pj HS-ULPAC研究開発
- Pj LbSS/IoT
- Pj MemsONE
- Pj RIMS研究開発
- Pj SII国際標準
- Pj SiM調査研究
- Pj UCOMS研究開発
- Pj エネ環先導 IRiS
- Pj エネ環先導 MEH
- Pj ファインMEMS
- Pj 原子時計ULPAC
- Pj 国プロ全般
- Pj 畜産センサー
- Pj 社会センサ先導
- SSN研究会
- お役立ち
- 事業者連携委員会
- 人材育成事業
- 国際交流
- 国際標準化
- 情報サービス
- 活動全般
- 産業・技術動向
- 調査研究
- 講習会・先端技術交流会