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Pj HS-ULPAC研究開発
2024年12月27日 (金)
新年のご挨拶(MMC 2024年10大ニュース)
新年あけましておめでとうございます。
OECDの世界経済見通しによれば、2024年は世界経済の成長率が3.2%であったところ、2025 年は貿易摩擦や保護主義の高まり、地政学的紛争激化などのリスクもあり、インフレは和らいだものの、3.3%に留まるとの予想をしています。日本については、24年はマイナス0.3%と、G7中最低であったところ、景気刺激策を追い風に25年は1.5%のプラス成長を回復するとされています。
そのような中において、世界の半導体はWSTSの24年12月予測によれば、全半導体では11.2%増の6,871億ドルに、そのうちのSensor & Actuator(MEMSとほぼ同義)は7.0%増の200億ドルに拡大するであろうとされています。我が国政府も社会課題の解決と持続的な経済成長の実現に向けては、DX・GXの推進を中心に据え、それを支える柱の一つがAI・半導体であるとしています。
経済産業省においても、半導体・デジタル産業を「国家事業」と位置づけ、2021年6月に策定した「半導体・デジタル産業戦略」を「経済安全保障推進法」とも関連させて発展させ、その政策的支援を加速されているところですが、MEMSもその波に乗せていただくべく、2023年に当センター内に設置しました「MEMS事業者連携委員会」において、我が国MEMS再興についての検討を精力的に進めています。ただ、現時点ではMEMSは半導体の中で唯一、経済安保の枠外という状況にあることから、その点も含め、さらに議論を深めてまいります。
また、昨年NEDOから受託しました「未来社会におけるMEMSセンシングデバイスの市場動向及び技術動向調査(SiM)」事業において、2035年を視野とするMEMS研究開発戦略の議論を深めており、これもMEMS再興への一つの重要な活動と位置付けています。
さらにMNOIC(マイクロナノ・オープンイノベーションセンター)では、老朽化設備の更新を引き続き産業技術総合研究所にお願いしつつも、自前での新規設備投資も行い、MEMSの研究支援や工程受託などのユーザーのご要望に的確にお応えできるよう、運営に努めてまいります。
さて当センターでは通算35回目にあたるマイクロナノ分野の展示会である「MEMSセンシング&ネットワークシステム展2025」を1月29日から31日にかけて東京ビッグサイトで開催いたします。今回も会場でのセンターの活動紹介、MNOICの紹介、研究開発報告とともに、各種セミナーを開催し、興味深い様々な技術報告を行います。セミナーの冒頭には経済産業省の情報産業課デバイス・半導体戦略室長に半導体・デジタル戦略関連のご講演をお願いしております。是非、多くの皆様にご来場いただき、今後のMEMSの発展のために当センターに対するご指導・ご支援を賜れれば幸いです。
皆様方には以下のマイクロマシンセンターの2024年の10大ニュースをご覧いただき、このような私どもの活動状況をご賢察いただければ幸いです。
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マイクロマシンセンター
2024年10大ニュース
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1.報告書「我が国MEMS事業者の動向に関する調査」に基づき「MEMS事業者連携委員会」で活発な意見交換を実施
(1)「我が国MEMS事業者の動向に関する調査」報告書を3月にリリース
産業動向調査委員会は、我が国MEMS産業の再興のため改めてMEMS事業者の動向調査を行い、国内MEMS関連事業者73社、大学・公的研究機関40機関の協力を得て2024年3月に報告書「我が国MEMS事業者の動向に関する調査」並びに調査に協力いただいた法人のディレクトリをまとめました。
(2)MEMS事業者連携委員会で活発な意見交換
2023年11月から始動したMEMS事業者連携委員会では、前述の報告書の中で「MEMS戦略に関する期待」として整理された事項から、我が国のMEMS事業者が抱えている課題の抽出を行い、2024年は委員会を3月、6月、11月に開催し我が国MEMS産業の再興に向けた方向性をめぐって活発な意見交換を行いました。引き続き次回委員会(3月12日開催)ではこれまでの意見を集約し政策提言に向けてのとりまとめを行います。
2.2つのプロジェクト(HS-ULPACとBaMBI)が所望の成果をもって終了
(1)量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究(HS-ULPAC)
防衛装備庁令和元年度安全保障技術研究推進制度の中で「量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究(HS-ULPAC)」のプロジェクトを2020年3月から2023年度まで実施して参りました。この度2024年3月31日をもって、ほぼ所期の目標を達成して終了いたしました。
(2)血中成分の非侵襲連続超高感度計測デバイスおよび行動変容促進システムの研究開発(BaMBI)
2019年度にNEDO委託事業「IoT社会実現のための革新的センシング技術開発」の中でスタートした本事業は2022年度からは株式会社タニタ様主導の2年間の助成事業として継続、この度2024年3月31日に終了いたしました。当センターはウェアラブル中・遠赤外ディテクタプロセス試作を行い、非侵襲で血中成分のトレンドを追うことが可能な試作機を構築することができました。
3.NEDO「未来社会におけるMEMSセンシングデバイスの市場動向及び技術動向調査」を受託
2024年度に受託した本調査事業では、富山県立大学の下山勲学長を委員長に、東京大学の伊藤寿浩教授と東北大学の田中秀治教授を副委員長とする有識者委員会での議論及び有識者へのヒアリング調査等を通じて、2035年の社会像からのバックキャスト及びMEMS市場/技術動向からのフォアキャストから、日本のMEMS研究開発として実施すべき項目を抽出するとともに、フィージビリティスタディでその研究開発内容を明らかにして、日本のMEMS研究開発戦略を策定しています。
4.MEMS展示会並びにセミナーは来場者増で盛況に終了
例年通り当センターが主催する「MEMSセンシング&ネットワークシステム展」を2024年1月31日から2月2日までの3日間、東京ビッグサイトで盛況裡に開催しました。会場への来場者は前回より1万人以上多く、MMCブースでは、研究開発プロジェクトの紹介をはじめ、MNOIC事業、標準化事業、MEMS事業者連携委員会の概要などを展示しました。また当センター主催のセミナーは全て展示ホール内のセミナー会場で行われましたが、どのセミナーも満席となるほど盛況で、今回の講演テーマに対する関心の高さがうかがえました。2025年は1月29日〜31日、東京ビッグサイト東ホールで開催を予定しております。奮ってのご参加をよろしくお願いいたします。
5.NEDO先導研究プログラム「MESH」の開発は順調に進捗
電気通信大学、産業技術総合研究所と当センターの連名で実施中の「メタサーフェスSiハイパースペクトル赤外光センシングデバイス」ではプロセスの開発並びに試作が計画通りに進捗しており、当センターではメタサーフェスの試作やマイクロ工学系との融合等を担当しています。
6.MNOIC事業は堅調に推移
MNOICユーザーの現行製品の継続的な製造および次期製品に向けた開発試作等を請け負う工程受託が堅調に推移している一方で、産総研との連携による研究受託や企業ユーザー向けの研究試作支援など、将来の高機能MEMSデバイスを目指した取り組み案件も着実に増加しています。また、工程の効率化を図るため、新たにリフトオフ装置、レーザマーカ、チップソータを導入し稼働を開始しています。
7.MEMS協議会・海外調査報告会の開催や第27回国際マイクロマシンサミット2024への参加等、国際交流事業を活発化
新型コロナの影響で5年ぶりの開催となった海外調査報告会を3月4日にハイブリッドで開催し、オンライン109名を含む137名の方にご参加いただき、世界の最新MEMS動向等を広く紹介しました。また、当センターが1995年に開始した国際マイクロマシンサミットも第27回を数え、MEMS協議会副会長の東京大学伊藤寿浩教授をチーフデリゲイトとして、2024年5月、オーストラリアのゴールドコーストに派遣しました。そのほかにも国内外の国際会議等に積極的に参加し、国際交流事業を活発に実施しました。
8.2024年度MEMS協議会・推進委員会とメンバー交流会を開催
7月10日、虎ノ門APの会場にて2024年度MEMS協議会・推進委員会を開催しました。経済産業省の清水情報産業課デバイス・半導体戦略室長から半導体政策の全体像についてご紹介いただいた後、2024年度の協議会活動、プロジェクトの状況等も含め、出席者の間で活発な意見交換が行われました。委員会終了後はMEMS協議会のメンバー交流会を開催し、ご参加いただいた50名以上の方々の間で、様々に情報交換や懇談が行われました。
9. MEMSの国際標準化事業を積極的に推進
2021年度に国から受託した国際標準化事業では、薄膜圧電MEMSについての「Temperature and humidity test methods for piezoelectric MEMS cantilevers」と、フレキシブルMEMSデバイスについての「Test method of electrical characteristics under two-directional cyclic bending deformation for flexible micro-electromechanical devices」をIEC(国際電気標準会議)/TC47(Semiconductor devices)/SC47F(MEMS)に提案し承認を受けるという目標を達成し、2024年2月末に終了しました。当センターはSC47F国内審議団体として日本提案の規格案への理解獲得のためIEC会議等で積極的な活動を推進し、IEC/TC47/SC47Fでこれまでに発行されたMEMSに関する国際規格42件のうち、18件を日本提案規格とすることができています。
10.技術研究組合NMEMS技術研究機構の解散
2011年7月に設立以降、多くの組合員が参加し、9つのプロジェクトを実施してまいりましたが、組合員の技術水準の向上を図るという所期の目的を達成することができましたので、2024年3月27日に開催されました臨時総会におきまして解散することが決議され、2024年3月31日をもって組合は解散いたしました。13年間に亘るご支援・ご協力、誠に有難うございました。
2024年12月27日 (金) MEMSビジネス展, 国際標準化, 国際交流, 活動全般, 産業・技術動向, Pj 国プロ全般, Pj HS-ULPAC研究開発, 事業者連携委員会 | 固定リンク
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2024年10月 4日 (金)
JCK MEMS/NEMS 2024 参加報告
9月18日(木)から9月21日(土)に中国成都にあるJinjiang HotelのHongbin Hall とFour Seasons Hall で開催されましたJCK MEMS/NEMS 2024に参加しましたので、報告いたします。JCK MEMS/NEMSは日本-中国-韓国のMEMS/NEMS(Micro Electro Mechanical Systems / Nano Electro Mechanical Systems)に関するジョイントの会議で、今回が第15回目になります。 日本、韓国、中国の順に持ち回りで開催しており、新型コロナのため、一時オンラインやハイブリッド開催になりましたが、今回から日本、中国、韓国から研究者が集まっての本格的な対面だけの会議に戻っております。
今回のジェネラルチェアは四川大学のZhuqing Wang教授で、参加者は過去最大の191名でした。開催国の中国が170名で最も多く、日本は15名、韓国は6名でした。以下に示す中国、韓国、日本から各1件のプレナリーレクチャーと55件の招待講演(日本:3件、中国:51件、韓国:1件)、40件の口頭発表(日本:8件、中国:32件、韓国:0件)、32件のポスター発表(公式詳細データなし)の計127件の発表があり、MEMS/NEMS分野の最新の研究発表に関して活発な議論がなされました。今回は発表件数が多かったため、口頭発表は以下の6セッションが3パラレルセッションで実施されました。日本のプレナリーレクチャーは慶應義塾大学の三木教授による「Design of Medical Devices from Multiple Perspectives」でした。
【プレナリートーク】
1 The Sound of Music at the Nanoscale Exploring the Nanoscale World with NEMS Resonators Based on Low Dimensional (Prof. Zenghui Wang, University of Electronics Science and Technology of China, CHINA)
2 New Artificial Cell Membrane platform for Electrophysiological Characteristics analysis of Ion Channel in Microfluidics Device (Prof. Tae Song Kim, Korea Institute of Science and Technology, KOREA)
3 Design of Medical Devices from Multiple Perspectives (Prof. Norihisa Miki, Keio University, JAPAN)
【セッション構成】
1) セッション1(10招待講演(中国:9,日本:1)、3口頭発表(中国:3))
Topic 1:Micro/Nano Electro-Mechanical Systems (M/NEMS)
Topic 2:Material & Device Characterization
2) セッション2(8招待講演(中国:7,日本:1)、6口頭発表(中国:5,日本:1))
Topic 1:Micro & Nano Fabrication Including 3D Printing
Topic 2:Modeling & Simulation of Manufacturing Process
3) セッション3(9招待講演(中国:9)、5口頭発表(中国:5))
Topic 1:Micro/Nano-Actuators & Robotics
Topic 2:Medical Engineering Technology
4) セッション4(9招待講演(中国:8,韓国:1)、9口頭発表(中国:7,日本:2))
Topic 1:Micro/Nano-Chemical & Physical Sensors
Topic 2:Micro/Nano-Bio Devices & Systems
5) セッション5(10招待講演(中国:10)、8口頭発表(中国:6,日本:2))
Topic 1:Micro & Nano Electronics Including Flexible Electronics
Topic 2:Micro/Nano-enabled Wearable Devices
6) セッション6(9招待講演(中国:8,日本:1)、9口頭発表(中国:6,日本:3))
Topic 1:Networked Microsystems & IoT Technologies
Topic 2:Integration & Packaging Technologies
国別の発表では日本12件、中国84件、韓国2件で、開催国の中国からの発表者が多いのは当然のことながら、韓国からの発表者が少し少なかったです。詳細のプログラムは以下のURLからご覧いただけます。
http://jckmemsnems2024.com/public/upload/01/b9acd69709c3b3ea13af6b342a31dd.pdf
ジェネラルチェアの四川大学Wang教授の開会挨拶、慶應義塾大学の三木教授のプレナリーレクチャーの様子、会場の様子及び集合写真を写真1〜写真4にそれぞれ示します。
Jck2024_01写真1 ジェネラルチェア(Wang教授)の 挨拶
Jck2024_02写真2 三木先生のプレナリーレクチャーの様子
Jck2024_03写真3 会場の様子
Jck2024_04写真4 集合写真
今回私は、「量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究(HS-ULPAC : High Stability Ultra Low Power Atomic Clock )」におけるMEMS技術を活用した耐振動性を有する新しい小型原子時計量子部の小型化の成果(The Development of Chip-scale Atomic Clock using Quantum Interference Effect)について招待講演として発表(写真5)し、HS-ULPACの技術力の高さをアピールして、研究成果の広報ができたと考えます。また、セッション6のセッションチェアを務めました。
Jck2024_05写真5 武田の招待講演の様子
また、テクニカルツアーして、今回のジェネラルチェアの四川大学のWang先生が参画している成都郊外に建設中のNational Industrial Innovation Center of Precision Medicine (NIICPM、写真6)と成都市内にある四川大学のWang先生の研究室を見学しました。四川大学は医学が有名で、中国で5番目くらいにランキングされる大学で、7万人の学生がいるとのことです。
NIICPMは総額200億円(1B 元)をかけて、精密医学のセンターを新たに建設中です。この中でWang先生のBio Fluidics関連で40億円の予算がついていて、MEMS関連のCRを新たに建設中で2025年に完成とのことでした。1FのショールームでCIICPMの概要説明を受けるとともに、225m2のイエロールーム(装置は未だ入っていない部屋)を見学しました。NIICPMには1200人くらいの研究者がいるとのことでした。成都市内のWang先生の研究室では、100m2のMEMS CR(一般的な日本の大学のCR程度)と実験室を見学しました。学生は50人いるとのことでした。
Jck2024_06写真6 NIICPMの建屋
次回のJCK MEMS/NEMS 2025は2025年7月初めに日本の沖縄で開催されることが次回ジェネラルチェアを務める東京大学大学院工学系研究科精密工学専攻の伊藤教授からアナウンスされました。次回は日本開催ですので、多数の日本からの参加者に期待したいと思います。
(MEMSシステム開発センター長 武田 宗久)
2024年10月 4日 (金) 国際交流, Pj HS-ULPAC研究開発 | 固定リンク
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2024年1月 9日 (火)
新年のご挨拶(MMC/NMEMS 2023年10大ニュース)
新年あけましておめでとうございます。
OECDの世界経済見通しによれば、昨年は世界経済の成長率が2.9%であったところ、本年はなお地政学的リスクやインフレの影響で、2.7%と若干の低下となるものの、後半からは緩やかに回復するとされています。ただ、昨年の日本の国民一人当たりのGDPは為替レートの影響でG7の最下位になるなど、あまり気持ちが浮き立つようなところではありませんでした。
そのような中においても日本の経済の浮揚を図るべく、経済産業省は半導体・デジタル産業を「国家事業」と位置づけ、2021年6月に策定した「半導体・デジタル産業戦略」を2023年6月に改定を行い、その戦略の中に「MEMS」を加えていくという方向を示されています。これを受けてマイクロマシンセンターとしましても、我が国MEMS産業界の実態を、IDMのみならず、ファウンドリや装置・材料なども含めて、もう一度把握し直した上で、その課題や政策要望などの検討を行なう場とする「MEMS事業者連携委員会」を昨年11月に発足いたしました。今年からは、MEMS事業者の抱える課題等の分析や競争力を高めていくための方策の検討を本格化してまいります。委員会では多くのMEMS関連事業者や大学・研究機関の皆様のご意見・ご要望を集約致したく、広く皆様の参加を募集しております。
また当センターは今年もDX、GXの推進に不可欠な各種MEMSセンサの開発の一環として、非侵襲で血中成分を計測するBaMBIプロジェクトや、小型原子時計の基礎研究であるHS-ULPACプロジェクト、昨年7月に開始したSi半導体プロセスと親和性が高く高機能なSi製ハイパースペクトル赤外光センシングデバイスを実現するためのMESHプロジェクトを推進するとともに、MEMS戦略にも通じるような新たなプロジェクトの獲得を目指してまいります。
さて、当センターでは通算34回目にあたるマイクロナノ分野の展示会である「MEMSセンシング&ネットワークシステム展2024」を1月31日から2月2日にかけて東京ビッグサイトで開催いたします。今回もセンターの活動紹介、MNOICの紹介、研究開発報告とともに、各種セミナーを開催し、興味深い様々な技術報告を行います。セミナーの冒頭には経済産業省の情報産業課デバイス・半導体戦略室長に半導体・デジタル戦略関連のご講演をお願いしております。是非、多くの皆様にご来場いただき、今後のMEMSの発展のために当センターに対するご指導・ご支援を賜れれば幸いです。
皆様方には以下のマイクロマシンセンターの2023年の10大ニュースをご覧いただき、このような私どもの活動状況をご賢察いただければ幸いです。
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マイクロマシンセンター/NMEMS技術研究機構
2023年10大ニュース
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1.「MEMS事業者連携委員会」発足、活動開始
経済産業省では、半導体・デジタル産業戦略の中にMEMS戦略も加えていく方向性を打ち出されました。当センターとしてもこれに呼応して我が国MEMS産業界の実態を、IDMのみならず、ファウンドリや装置・材料なども含めて、今一度把握し直した上で、MEMS事業者の抱える課題等を分析し、競争力を高めていくための方策や政策提言等を検討する「MEMS事業者連携委員会」を発足しました。
第1回委員会を11月28日に開催し、60名以上の方々にご参加いただき、有意義な議論や情報交換が行われ、経産省からもご評価いただきました。
また、「産業動向調査委員会」と連携してアンケートを実施、現在分析結果を基に活動の基盤作りを行っています。
委員会では多くのMEMS関連事業者の皆様のご意見・ご要望を集約致したく、広くMEMS関連事業者の皆様の参加を募集しております。
2.「GXを支えるMEMS」報告書の発行、MEMS事業者動向調査など、
産業動向調査委員会 活発に活動
3月末には、産業動向調査報告書「グリーントランスフォーメーション(GX)を支えるMEMS」を発行し、GXに貢献するMEMSとは何かという観点から結果を取り纏めて、好評を得ました。
また、2023年度からは「我が国MEMS事業者の動向に関する調査」に着手し、MEMS事業者連携委員会と連携して、MEMS事業者動向調査を実施しています。
現在は調査結果を分析し、MEMS産業・政策に関する報告書を取り纏めると伴に、国内MEMS事業者を分野別に網羅したディレクトリ作成に向けて活動しています。
3.日本機械学会マイクロ・ナノ工学部門「技術功績賞」受賞
マイクロマシン技術研究開発プロジェクトをはじめ、マイクロ・ナノ工学分野の研究開発プロジェクトを数多く推進してきたこと、MEMS展や併催シンポジウム、マイクロマシン国際シンポジウムの開催、マイクロマシンサミット、MEMS関連調査、国際標準化等の事業を通して、当分野の概念を内外に広く普及してきたこと、さらにMEMS協議会やMNOICによりMEMS産業化を支援してきたことなど、マイクロマシンセンターの長年の活動がマイクロ・ナノ工学分野に多大に貢献したとして評価され、日本機械学会マイクロ・ナノ工学部門から『技術功績賞』を11月8日に受賞しました。
4.NEDO先導研究プログラム「MESH」受託
「NEDO先導研究プログラム/未踏チャレンジ」に電気通信大学、産業技術総合研究所と連名で提案した「メタサーフェスSiハイパースペクトル赤外光センシングデバイス」(MESH)が採択され、7月1日から事業を開始しました。
電気通信大学の菅哲朗教授をプロジェクトリーダーとして、10年後の実用化を目指しSi半導体プロセスと親和性の高いSi製ハイパースペクトル赤外光センシングデバイスの実現に取組んでまいります。
5.HS-ULPAC、BaMBI、最終年度迎え、目標に向けて邁進中
(5-1)BaMBI最終年度として研究開発継続中
「血中成分の非侵襲連続超高感度計測デバイス及び行動変容促進システムの研究開発」(BaMBI)は、助成事業の最終年度として、最終目標達成に向けラストスパートに入っています。
(5-2)HS-ULPAC最終目標達成を目指し研究を推進
防衛装備庁安全保障技術研究推進制度で受託した「量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究(HS-ULPAC)では、移動体に搭載可能な高精度原子時計を実現するため、周波数変動要因を根本から解明するとともにプロトタイプを試作して実証・評価しています。MMCでは2023年度は最終年度になるため、最終目標達成を目指し、MEMSガスセル、実験室モデル量子部、プロトタイプ真空断熱型量子部の3次試作を行っています。
6.4年ぶりに「国際マイクロマシンサミット」参加等、
国際交流活動を本格再開
新型コロナウイルス感染症の影響により延期されていましたが、4年ぶりにマイクロマシンサミットが5月22日〜24日、ルーマニアのブカレストで対面開催され、参加しました。
また、4月18日に賛助会員のオクメティック株式会社の親会社のフィンランドOKMETIC OYから、11月22日には海外アフィリエートのドイツのFraunhofer ENASからの研究者の受入れ等を行い、国際交流を本格開始しました。
7.MNOIC事業堅調
現行製品の継続した製造や次期製品に向けた開発試作などを請負う工程受託コースを中心に依頼が増加し、直近3年間で20%の平均成長率を達成しています。
産総研と連携した研究受託や企業ユーザの試作支援など、将来のMEMS産業活性化に向けた取組み案件も着実に増加しています。
8.国際標準化WG会議のホスト国となるなど、国際標準化事業を推進
IEC(国際電気標準会議)/TC47(半導体分野技術委員会) /SC47F(MEMS分野)の国際標準化WG会議を日本のホスト(マイクロマシンセンター主催)で、6月21 日〜23日に、熊本県 熊本市国際交流会館にて開催しました。各国主査等と技術交流を図ることができ、各国でのデバイス開発状況やデバイス標準化検討項目など情報の共有ができ、充実した会議となりました。
また、11月13日〜17日には、フランクフルトでIEC/TC47の国際標準化全体会議が開催され、SC47FとTC47/WG7(半導体デバイス エネルギーハーベスタ、エネルギー変換・伝送分野)に関連する会議に参加しました。各国からの参加者と活発な議論を交わし、規格案審議を着実に前進させることができました。
9.MEMS展示会、セミナーが盛況
例年通り当センターが主催する「MEMSセンシング&ネットワークシステム展」を2023年2月1日から3日の3日間、東京ビッグサイトで開催し盛況の内に閉幕しました。会場への来場者はコロナ禍が落ち着き、前回の3倍以上の方にご来場いただきました。MMCブースでは、研究開発プロジェクトの紹介を始め、MNOIC事業、標準化事業、SSN研究会の概要などを展示しました。
また同時開催の次の5つのセミナー「MEMS・半導体次世代テクノロジーフォーラム」「TIA MEMS ウインターセミナー MEMS講習会」「研究開発プロジェクト成果報告会」「SSN研究会公開シンポジウム」「MEMS協議会フォーラム」では、何れのセミナーでも多くの聴衆が熱心に聞き入られていました。
主な講演として「MEMS・半導体次世代テクノロジーフォーラム」では経済産業省情報産業課長の金指壽様に「半導体・デジタル産業戦略の現状と今後」と題して、半導体産業の現状と我が国半導体産業復活の基本戦略についてご説明いただき、「TIA MEMS ウインターセミナー MEMS講習会」では、筑波大学、東京大学、東北大学の先生から、MEMSに関係する研究の取組みや最新の研究成果についてご報告いただきました。
今年は1月31日(水)〜2月2日(金)に昨年と同様、東京ビッグサイトにおいて、nano tech展等と同時開催を予定しております。また今年もご来場頂けますよう関係者一同お待ちしております。
10.MMC、MEMS協議会の新体制が始動
3月末に株式会社日立製作所の鈴木教洋様が当センターの理事長をご退任され、4月1日に株式会社日立製作所執行役常務の西澤格様が理事長にご就任されました。
7月には、MEMS協議会推進委員会を東京虎ノ門グローバルスクエアにおいて4年ぶりに対面により開催しました。協議会副会長に就任された三菱電機株式会社上席執行役員の岡徹様が新委員長として委員会を進行され、西澤理事長にもMEMS協議会会長としてご出席いただきました。また、経済産業省商務情報政策局情報産業課の金指課長様に経済産業省の政策をご紹介いただいたほか、経済産業省、NEDO、産総研の方々と委員との間で意見交換が行われました。
2024年1月 9日 (火) MEMSビジネス展, 国際標準化, 国際交流, 活動全般, 産業・技術動向, MNOIC/TIA, Pj HS-ULPAC研究開発, 事業者連携委員会 | 固定リンク
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2023年9月28日 (木)
JCK MEMS/NEMS 2023 参加報告
9月17日(日)から9月20日(水)に韓国済州島Ocean Suites Jeju HotelのCanola Hall & Cherry Hall で開催されましたJCK MEMS/NEMS 2023に防衛装備庁安全保障技術研究推進制度の成果報告のため参加しましたので、報告致します。JCK MEMS/NEMSは日本―中国-韓国のMEMS/NEMS(Micro Electro Mechanical Systems / Nano Electro Mechanical Systems)に関するジョイントの会議で、今回が第14回目になります。 日本、韓国、中国の順に持ち回りで開催しており、新型コロナのため、2019年の旭川での開催以来4年ぶりに日本、中国、韓国から研究者が集まっての本格的な対面での会議になりました。
ジェネラルチェアはKIMM(Korea Institute of Machinery & Materials)のDr. Jeongdai Joで、参加者は約60名でした。以下に示す日本、中国、韓国から各1件のプレナリートークと17件の招待講演(日本:3件、中国:4件、韓国:10件)、8件の口頭発表(日本:5件、中国:0件、韓国:3件)、19件のポスター発表(日本:5件、中国:5件、韓国:9件)の計47件の発表があり、MEMS/NEMS分野の最新の研究発表に関して活発な議論がなされました。日本のプレナリートークは富山県立大学の下山学長による「MEMSピエゾ抵抗力センサの応用」でした。
【プレナリートーク】
1 Application of MEMS piezo-resistive force sensors (President. Isao Shimoyama, Toyama Prefectural University, JAPAN)
2 Empowering MEMS: A journey towards self-powered MEMS technologies (Prof. Jeju National University, KOREA)
3 MEMS techniques towards self-powered sensing and human-machine interaction (Prof. Huicong Liu, Soochow University, CHINA)
国別の発表では韓国22件、日本13件、中国9件で、地元の韓国からの参加者が多いのは当然のことながら、中国からの参加者が少し少なく、何件かはビデオ発表になっていました。詳細のプログラムは以下のURLに記載されていますが、各種センサの応用、パッケージング、加工技術に関する幅広い技術の発表が行われました。韓国、中国のプレナリートークを含め、エネルギーハーベスター関連の発表が少し多かった気がします。
https://www.jckmemsnems2023.com/program
富山県立大学の下山学長のプレナリートークの様子、会場及びポスター発表の様子、集合写真を写真1〜写真4にそれぞれ示します。
写真1 下山学長のプレナリートークの様子
写真2 会場の様子
写真3 ポスター発表の様子
写真4 集合写真
今回私は、防衛装備庁が実施する安全保障技術研究推進制度JPJ004596 の委託事業「量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究(HS-ULPAC : High Stability Ultra Low Power Atomic Clock )」におけるMEMS技術を活用した耐振動性を有する新しい小型原子時計量子部の試作成果(Development of miniaturized vibration-resistant physics package for chip-scale atomic clock)について口頭発表し、HS-ULPACの技術力の高さをアピールして、研究成果の広報ができたと考えます。
また、テクニカルツアーして、KIER(Korea Institute of Energy Research)の地域組織あるJGRC(Jeju Global Research Center)を訪問ました。済州島には韓国初の陸上及び洋上風力発電機が建設されており、JGRCは陸上・海上の新エネルギーと再生可能エネルギー源を組み合わせたコア技術の開発、統合実証プラットフォームの構築、技術開発のためのグローバル人材の試験・交流・育成の3つの目標を掲げて設立されました。JGRCの概要の説明を受けるとともに、大型風洞や加速腐食試験機等を見学しました。
次回のJCK MEMS/NEMS 2024は2024年9月中旬に中国の成都市で開催されることがアナウンスされました。
(MEMSシステム開発センター長 武田 宗久)
2023年9月28日 (木) 国際交流, Pj 国プロ全般, Pj HS-ULPAC研究開発 | 固定リンク
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